ヤマブキシティの第一シェルター付近でジムリーダーのエリカとキョウを中心とした警察チームはシェルターの入り口を守るように展開するロケット団とポケモンバトルを繰り広げていた。
建物を傷つけ、公共道路が陥没する程の激しいポケモンバトルは時折煙幕や催涙弾などの妨害が飛んでくる上にロケット団はポケモンバトルが不利になった時ヤマブキシティの一般市民をポケモンバトルの中に放り投げるのでエリカとキョウ達は一般市民を保護するためポケモンバトルを中断せざるを得ない。その結果、エリカとキョウのチームが優勢を保っているが制圧できず長引いていた。
カツラとカスミの警察チームもロケット団の対応をしているらしく、応援は望めず何時一般市民をポケモンバトルの中に放り込まれるか分からない為、間違っても自分達のポケモンの攻撃で一般市民を傷つけないように神経を張り詰めているので精神的な疲労がポケモンバトルの質を徐々に落としていっている事にエリカとキョウは気づいていたがどうする事も出来ず、ポケモンバトルを続けるしかなかった。
「モジャンボ、リーフストーム!」
「甘いぞ小悪党!フォレトス、地震」
青い蔓草に覆われたモンジャラを大きくしたようなポケモン、モジャンボは主人であるロケット団の男の指示に従い、手元に渦の様に草花を集める様子にキョウは薄紫色のゴツゴツとした殻に包まれたミノムシポケモン、フォレトスに指示を出した。フォレトスはモジャンボを見た後、殻を閉じコンクリートの地面にその身をぶつけて地面を揺らした。
地面の揺れと揺れによりおきた地面の陥没によりダメージを受けたモジャンボは体制を崩し、慌てて体制を整える事を優先して集中力が切れてしまい、リーフストームが不発に終わった。
通常ならばモジャンボの方が種族値による素早さが上なのだが、連続のポケモンバトルで高速スピンを連発して素早さが上がっていた事と大技であるが故に少しためが必要になるリーフストームの放たれる僅かな時間をつく事が出来た為、先制を取る事が出来たのだ。
「高速スピン」
フォレトスが高速スピンで突っ込み、モジャンボが目を回し戦闘不能になったのを確認した後、キョウは周りの仲間達の様子を確認する。
エリカはさすがというべきかまだまだ余裕そうな表情をしているが、警察官達はロケット団から優位を取れているものの、表情に余裕がない。手持ちが全て全滅してしまい後方に下がった警察官も10人中4人になりキョウは警察官達の様子が心配になったが、それ以上に心配な人物がいた為配慮する余裕がなかった。
「フーディン!その辺に散らばってるコンクリートの破片をサイコキネシスでぶつけろ!」
「クロバット、影分身で回避!」
両手にスプーンを持ったユンゲラーの進化系ポケモン、フーディンはコンクリートの破片をサイコキネシスで持ち上げると短髪でキャップ帽を被ったロケット団の青年のポケモンであるクロバットに投げつけるがクロバットはロケット団の青年の指示通り影分身で飛んでくるコンクリートの破片を見事に避け切っていた。
フーディンのトレーナーである明るい茶髪をたて、黒いシャツと茶色いズボンを着たグリーンが悔しそうに舌打ちする様子にキョウはこっそりため息をついた。
ロケット団とのポケモンバトルが激化する中、グリーンがポケモンを出し、突然乱入してきた事に驚き、思わずポケモンに攻撃を指示してしまいそうになったが、ジム挑戦で面識のあるエリカがロケット団関係者ではなく、むしろロケット団の本部を壊滅させた実績を持つ一般トレーナーである事を証言し、ロケット団のポケモンに攻撃し、攻撃されている状況を見て味方であると判断したが、グリーンの事を全く知らないキョウにとっては無鉄砲で無謀な守るべき子供なのか
どちらにしてもエリカとキョウの警察チームと共にロケット団とポケモンバトルをするべきではない。キョウが唸る程のポケモンバトルの実力があるのは確かだが、だからと言って子供を犯罪者の制圧の最前線に駆り出すような真似はしない。
だが、グリーンは引き下がらなかった。
ポケモンバトルが激戦になっていく中、グリーンはポケモンを下げる事もせずポケモンバトルを続けながら幼馴染兼ライバルの少年と共にロケット団のポケモンと思わしきエイパムの案内で見つけた抜け道を使ってヤマブキシティに入った事、ロケット団がヤマブキシティを占拠している事に気づき、とあるビルを探索中にヤマブキシティのジムリーダーであるナツメのポケモンを発見し、ナツメもこのビル内の何処かに監禁されているのではと考えた2人は巡回するロケット団の眼を欺く為にピカチュウにナツメのポケモンが入ったボールホルダーとネジ回しを持たせ、換気口からナツメを探すように指示して2人でロケット団の下っ端達にピカチュウに気づかれない様にロケット団の下っ端を気絶させたり、ポケモンバトルで戦闘不能にしたりして騒ぎを起こした事、その後無事ナツメとピカチュウに合流できたがエイパムにテレポートマットを押し付けられ離れ離れになっている事を説明し、此処を片付けたら探すのを協力してほしい。とエリカとキョウの警察チームに話したが、それを聞いたキョウは一般人の2人がしでかした事に思わず頭を抱えた。
おきてしまった事はどうしようもないのでせめて2人がマスコミにかぎつけられ面白おかしく記事に書かれたり、ニュースに取り上げられたりして旅に支障が出ない様に手を回そうとキョウは思った。
グリーンから見え隠れする悪を正すという子供特有の無謀と無知に気づいてしまったキョウはできればこれ以上何もしないでほしかったが、ポケモンバトルの激しさが増す中、説得する時間も惜しかった為、渋い顔をしながら了承し、せめてエリカとキョウからなるべく離れない様に言い聞かせてポケモンバトルを続行し、今にいたる。
キョウが再びため息をついたのを横目で見たグリーンは内心でムッとしたが、自分は大人だからと自分に言い聞かせて指摘せずに短髪で帽子を被ったロケット団の青年とクロバットに集中する。
「クロバット!かみ砕く!」
短髪でキャップ帽を被ったロケット団の青年は自身のポケモンであるクロバットに指示した。
クロバットは進化前のゴルバットよりもより速く、静かに飛ぶ事に特化したその4枚の羽根で音もなくグリーンのフーディンに接近する。
グリーンを信頼し、技が当たるギリギリまでクロバットを引き付けたフーディンにグリーンは指示を出す。
「雷パンチ!」
グリーンの指示を待っていたかのようにフーディンは拳に雷を纏わせ、クロバットの顔面に叩き込んだ。かみ砕くの攻撃を仕掛けようと接近していた事もあり、タイプ不一致とはいえ効果抜群の攻撃をまともに受けたクロバットは道路のコンクリートにボールの様に1回跳ねて目を回して戦闘不能になった。
もう残りのポケモンがいない短髪でキャップ帽を被ったロケット団の青年は舌打ちし、グリーンがガッツポーズをした瞬間だった。
「ぐえっ!」
「グリーン君!?大丈夫ですか!」
突如上から何かがグリーンを地面に押しつぶしたのだ。
顔面を強打したグリーンは心配して声をかけてくれるエリカに返事をしながら薄っすら赤くなっているであろう額をさすって、何なんだよ。と心の中で悪態をつき、自分を地面に押しつぶしたものを確認すべく視線を背中に向けた。
まず、最初に見えたのは足だった。
赤いシューズと動きやすい青のカーゴパンツをはいており、視界の端に投げ捨てられた赤いリュックサックが見えた。
グリーンは最初、人の足が視界に入った事に驚いて硬直し、見覚えのある服装と赤いリュックサックである事に気づいた瞬間、一気に血の気が引いた。
幼馴染兼ライバルであるレッドの服装に当てはまっていたからだ。
グリーンは慎重に尚且つ素早く上に乗っかっている人物から自身の体を抜け出し、勘違いであってくれ。と祈るように思いながら顔を確認する。
うつ伏せに倒れている人物のまたもや見覚えのあるモンスターボールの帽子を被る頭を震える手で揺らさないように慎重に横にずらして顔を確認したグリーンは息をのんだ。
その顔はグリーンの予想通り幼馴染兼ライバルであるレッドだった。
グリーンは目の前の光景が信じられず呆然とし、レッドとの思い出が脳裏に走馬灯のように駆け抜けながらロケット団に関わった事を後悔した。
グリーンは心のどこかで大丈夫だという根拠のない自信があった。
今までレッドと共にロケット団の下っ端達を蹴散らして警察に引き渡し、助けた人に感謝されて来た為、警察に子供が大人に頼らずポケモンマフィアに立ち向かった事に叱られ、警告されても聞き流してきた。
順調にジムを攻略する自分とレッドなら悪に負けないヒーローの様に上手くいくと。
だが、こうしてピクリとも動かないレッドを見てグリーンは自分の考えがいかに無知で愚かな子供の考えであったかをようやく理解した。
今、共闘しているエリカとキョウにも最初は渋い顔でポケモンバトルに参戦した事に難色を示していた。それは、大人の詰まらないプライドだろうとグリーンは決めつけて無理矢理参戦したが、グリーンの無謀と無知を理解していたからこそ難色を示したのだろうと今ならわかる。
しかし、新人トレーナーとは思えないポケモンバトルの才能と周りのポケモンバトルの戦況から最終的にグリーンの参戦を認めなければならなかった。それによりグリーンは自分の実力が認められたと鼻を益々伸ばしていたが、その鼻も今は見る影もなくへし折れた。
グリーンは徐々に視界が滲むのを感じながらロケット団がヤマブキシティを占拠している事に気づいた時点でレッドを何が何でも連れ戻し、抜け道の事を警察や大人に説明するべきだったと後悔した時だった。
レッドから大きないびきが聞こえてきたのは。
グリーンは光の速さで滲んだ視界が元に戻り、真顔になった。
聞き間違いであってほしいと思いながらレッドを見るが、再びいびきが聞こえてきてグリーンは口の端を引き攣らせた。
色々な感情が嵐の様にグリーンの心の中に吹き荒れるが、当の本人はグリーンの心を察することなく気持ちよさげに寝ている。
グリーンは真顔のまま無言でレッドを叩き起こす為に拳を振り上げたが、振り落とす事はかなわなかった。
『——————!』
突然、ポケモンの雄叫びがあたりに響いたからだ。
その雄叫びはとっさに耳を手で塞いでしまう程の大音量でグリーンは顔を顰めながら雄叫びを上げたポケモンへと視線を向けた。
全身が紫色の硬い皮膚に覆われ、自身の身長近くもある長い尻尾と頭部に鋭い角を持つポケモン、ニドキングがグリーン達を睨みつけていた。その目は殺意が宿っており、グリーンはその濃厚な殺意に震え上がった。
通常1.4mしかないポケモンだが、このニドキングは明らかにグリーンの身長を超えており、目測2m程の巨体であった。その胸には大きな3本の古傷がある。
「ウインディ!神速」
警察官のポケモンであるウインディが神速を繰り出し、先制する。
ニドキングは白い壁を張りながら神速を受け少し後退するが、ウインディをその硬い両腕で掴み、地面に叩きつける。
ウインディは受け身を取る事も出来ずに地面が割れる程叩きつけられ、目を回し戦闘不能となった。
ウインディが最後のポケモンだったのだろう。警察官が悔しそうにモンスターボールにウインディを戻して後方に下がるのを見ながらグリーンはニドキングのレベルの高さに冷や汗をかく。
先程の攻撃は恐らくカウンターでウインディの物理攻撃である神速を2倍にして叩き込んだのだろうと予測できるが、問題はその流れがあまりにも洗練された動きであり、何度も実戦で経験してきたパターンである事が分かったからだ。
そこからグリーンの現在のトレーナーとしての実力と手持ちのポケモンのレベルでは太刀打ちできない事が嫌でもわかり唇を噛む。
「…グリーン君、下がっていてください」
エリカはグリーンの様子にそう声をかけてニドキングの視界に入らない様にグリーンと眠るレッドの前に出た。エリカ自身もレッドがいきなり落ちてきた事に驚いたが、眠っているだけである事に一安心し、目の前のニドキングに集中する事にした。
「ラフレシア、エナジーボール」
物理技を返されるのなら特殊技で様子をみる事にしたエリカの指示を聞いたラフレシアは緑の輝く球体を作り、ニドキングに向けて放っていく。
エナジーボールは太陽の光を受けながら緑色に輝き、ニドキングへと向かっていくが、ニドキングは避けず口元から炎を出し、吐き出した。
炎は勢いよく大という文字に広がり、エナジーボールを焼いてそのままラフレシアへと迫る。
大文字を繰り出された事に驚きはしたが、エリカは動じなかった。
何故ならエリカは1人ではないからだ。
「ギャラドス、大文字をハイドロポンプで相殺しろ!」
青く長い体に3叉の角と顎から延びる2本の髭を持つポケモン、ギャラドスは30代程の青年警察官の指示によりエリカのラフレシアに向けられている大文字をハイドロポンプで相殺した。
大文字を相殺された事に腹を立てたのかニドキングはギャラドスを睨みつけ、ヘドロウェーブを繰り出す。
ヘドロウェーブはギャラドスへと向かっていくが、選抜された警察官の中で一番若い青年が自身のポケモンである真っ赤な外殻に覆われた両手のカニバサミが特徴的なポケモン、ハッサムをギャラドスの前に出るように指示し、ヘドロウェーブを受けた。
虫と鋼タイプであるハッサムは鋼タイプにより毒はきかない為、自身の身にかかった毒を振り払ったハッサムを見たニドキングは尾を地面に叩きつけコンクリートを破壊し、不機嫌さを隠そうともしない。
エリカは3匹のポケモンに囲まれても敵意と殺意を向けてくるニドキングを見ながらシェルター付近にいるロケット団の人数が減っている事に気が付いた。
ニドキングやレッドの様子に注視するグリーンやロケット団とポケモンバトルをしているキョウと他の警察官達は気づいてない様子だが、ニドキングが出てくる前よりも明らかに人数が減っている。エリカはどうやってポケモンバトルに集中しているキョウや他の警察官達の邪魔にならないように伝えるべきか考えているうちにポケモンが全て戦闘不能になった為に後方に下がっていた警察官達の1人が気づいたのか声を上げてしまった。
「皆さん!ロケット団達の人数が減っています!」
「何!?」
「今よ、ヌオー!あくび!」
驚いて声を上げ、ポケモンバトルから目を離したほうれい線の目立つ老年の警察官の隙をつき、セミロングのロケット団女性は水色の体色と背中に紫色のヒレ状の器官をもつポケモン、ヌオーにあくびを指示した。
老年の警察官の大きな下顎からはみ出すように突き出た2本の牙を持つポケモン、グランブルはヌオーのあくびを受け、体を左右にふらつかせながら懸命に眠気と戦っているが、今にも瞼が閉じてしまいそうになっている。
ほうれい線の目立つ老年の警察官は慌ててスーパーボールに引っ込めて、別のポケモンを繰り出した。
声を上げた後方に下がっていた警察官は自分の犯したミスで仲間を追い込んでしまった事に責任を感じ顔が青ざめているが、過ぎてしまった事なので同じく後方に下がっている警察官に励まされているのを確認しながらニドキングに再度視線を向ける。
ニドキングはハッサムに大文字を繰り出すが、ギャラドスが前に出て再びハイドロポンプで相殺し、その隙にハッサムが電光石火をニドキングにあてるが、読んでいたニドキングのカウンターの餌食になる。
「ラフレシア、しびれごなです」
ラフレシアはエリカの指示の通り、ニドキングに向かってしびれごなを頭の大きな花から噴出して浴びせようとするが、ニドキングはしびれごなを風上に逃げる事により回避し、ラフレシアとエリカに警戒の眼差しを向ける。
ロケット団の人数が減っているという事は撤退しようとしている可能性が高く、ヤマブキシティの一般市民が人質として連れていかれる可能性も捨てきれない為、早く倒して確認したいエリカはラフレシアに指示を出す。
「ラフレシア、エナジーボール」
「ハッサム、剣の舞でニドキングを引き付けろ!」
「ギャラドス、冷凍ビーム」
ラフレシアが放ったエナジーボールを皮切りに3匹は協力しながらニドキングに攻撃し、ニドキングは引き付けようとするハッサムの剣の舞には目もくれず、ギャラドスにヘドロウェーブを繰り出す。
ギャラドスは多少あたりながらも空中を泳いで回避する。エリカはギャラドスに狙いを定めたニドキングのポケモントレーナー顔負けの正確な判断に内心で驚愕する。
ハッサムはポケモントレーナーの間では物理アタッカー兼物理耐久が主流でこのハッサムも剣の舞を覚えているのであればその型である可能性が高い。
ハッサムがニドキングに攻撃してきた場合、カウンターで2倍にして返しやすい上にすでにカウンターを食らっている為、いくらタイプ不一致とは言えもし次に大文字が一発でも当たったら4倍弱点により戦闘不能になる可能性がある。ラフレシアもニドキングに対してタイプ相性的に決定打がなく、大文字で沈められる可能性が高いが、ギャラドスは違う。
先程ハッサムやラフレシアに対して効果抜群である大文字をハイドロポンプで相殺した上に冷凍ビームを繰り出している。ニドキングは水と氷タイプは2倍弱点である為、何時でも戦闘不能にするチャンスのあるハッサムやラフレシアよりも自身の脅威であるギャラドスを倒す事を優先したのだ。
ポケモントレーナーの指示を受けていないポケモンがポケモントレーナーが育てたポケモンに対して此処まで正確な判断をしたポケモンをエリカは見た事がなかった。それ故に、このニドキングは相当手強い事を理解し、口元を引き締める。
ニドキングはギャラドスに再びヘドロウェーブを繰り出すが、1番若い青年警察官がハッサムに前に出る様に指示をして、ハッサムが前に出ようと動いた瞬間、ニドキングはヘドロウェーブを繰り出すのを中止し、先程とは比べ物にならない位の速さで口元に炎をためて大文字を繰り出した。
一番若い青年警察官は慌ててハッサムに声をかけて引っ込む様に指示し、30代程の青年警察官はギャラドスにハッサムを庇う様に指示する。エリカはどうにかしたかったが、ラフレシアが前に出ても大文字の餌食になるだけなのでどうしよも出来ず、中途半端に止まったハッサムと庇おうとしたギャラドスは大文字を受けてしまった。
だが、草タイプのジムリーダーの名はただでは転ばない。
「しびれごなです」
大文字が決まった瞬間、エリカはラフレシアにニドキングへしびれごなを指示した。ニドキングはハッサムとギャラドスに注視していた為、風にのってあたる様に仕向けたラフレシアのしびれごなを避け切ることができず、麻痺状態になった。
ハッサムは大文字を受けてカウンターのダメージもあり、戦闘不能状態であったが、ギャラドスは効果はいまひとつの為、余裕だったが戦闘不能のハッサムを見ると申し訳なさそうに目尻を下げた様に見えた。
1番若い青年警察官はハッサムを引っ込めて次のポケモンを繰り出した。
赤い大きな目に紫の体と青い小さな手足に白い翅には黒い模様があるポケモン、バタフリーは鱗粉を纏いながらニドキングを威嚇する様に翅を動かし、威嚇する。
バタフリーの様子にニドキングは鼻を鳴らす様な仕草をしたが、痺れがあるのか顔を歪めてエリカとラフレシアを睨みつけ、ラフレシアに大文字を繰り出した。
「ギャラドス、ハイドロポンプ!」
「バタフリー、ニドキングの足元に糸を吐く!」
「ラフレシア、ギガドレインです」
ラフレシアの前に出たギャラドスはハイドロポンプで大文字を相殺し、その影からバタフリーはニドキングの動きを制限する為に糸を吐くで足を糸で固定し、ラフレシアは効果は今ひとつだが、ニドキングの体力を吸い取る。
ニドキングは麻痺で体の動きが鈍い上にバタフリーの糸を吐くで身動きが取れなくなった為、ギガドレインが直撃した。
ニドキングは頭を左右に振りながら硬い皮膚の隙間から何かを取り出し、噛み砕いた。ニドキングの口元からこぼれ落ちた緑色のかけらを見たエリカは口元を隠して驚いた。
その緑色のかけらは紛れも無く、状態異常と混乱状態を治すラムの実のかけらだったからだ。
ニドキングは麻痺状態から回復し、足元にはられた糸を引きちぎり、3匹とエリカ達への距離を詰める。
30代程の青年警察官はニドキングの行動に危機感を覚え、ギャラドスに冷凍ビームを指示する。ギャラドスの口から繰り出された冷凍ビームは真っ直ぐニドキングへと向かっていくが、ニドキングはギリギリのタイミングで避けてヘドロウェーブを繰り出す。
ヘドロウェーブはギャラドスに直撃するが、横からバタフリーが1番若い青年警察官の指示に従い、虫のさざめきを繰り出す。効果は今ひとつとは言え、直撃しているのにも関わらずニドキングは何事も無かったなかったかの様にバタフリーに一気に近づき、ラフレシアの方向に叩き落とした。
ラフレシアはエリカの指示により打とうとしていたエナジーボールを打つのを中止し、バタフリーを受け止めたが、ニドキングは2匹に向かって口に冷気を溜め込み繰り出した。
冷凍ビームである。
「っ、ラフレシア!」
エリカはラフレシアの名を呼び、ラフレシアはバタフリーを抱えて回避しようとするが、どう見ても間に合わない。
無情にも冷凍ビームは2匹に直撃し、氷の中に閉じ込められた2匹は仲良く戦闘不能になっていた。
エリカと一番若い警察官はモンスターボールに引っ込める。
エリカが次のポケモンを繰り出そうとボールホルダーを確認したが、一番若い警察官は後方に下がった。如何やらあのバタフリーで最後のポケモンだったらしい。
味方が減りつつある事に危機感を覚えながらも応援が期待できない以上、ジムリーダーである自分か頑張らなければ、と己を奮い立たせたエリカはニドキングを睨みつけて次のポケモンを繰り出す為、ハイパーボールを投げた。
ハイパーボールから出てきたのは大きな赤い花を背中に咲かせたポケモン、フシギバナであった。進化前のフシギソウの花が開花した姿は最終進化系に相応しい風貌で、普段は気だるげな目つきは心なしか鋭く感じる。
新たなポケモンの出現にニドキングは威嚇するように咆哮した。