夜遅く城塞都市クリスタリアでは、重々しい空気には包まれていた。
『時は来た!今こそ、奴ら異端種を滅ぼすのだ!』
都市の中央広場では、鎧兜を身に纏い剣、槍、弓、斧を持った屈強な男達が集まっていた。
『我々の祖先は奴ら異端種に三百年以上も苦しめられて来た!だが、しかし!それも今日までだ!我らストルバイト十字軍は今日吸血鬼を滅ぼす!』
《うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!》
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「どういうことだ!!!」
女王クルル・ツェペシは荒れに荒れていた。
「元老院は今ここに女王クルル・ツェペシの王位を剥奪し、ヘルガ・ツェペシを新たな王にする。」
議会長の決定により議会が拍手の嵐に包まれる。だが、クルルとその他のクルル派閥の吸血鬼達のとっては最悪の決定だ。
「並びに、我らはペンドラゴンを放棄し地下へと居住地を移すことを承認する。という政策を行う。」
なんということだ。吸血鬼としての誇りはどうした!先祖代々受け継いで来た。ペンドラゴンを捨てるというのか!
「我々はペンドラゴンを離れるが、貴様たちはどうするのだ?クルル・ツェペシ?」
金髪に赤眼の男ヘルガ・ツェペシが私の前に立つ。
「貴様らのような金や権力に塗れた者など吸血鬼ではない!」
「そうか。ならばもう二度と会うことはないだろうな。さらばだ、クルル・ツェペシよ。」
ヘルガは後ろに己の派閥の吸血鬼を従え議会を後にする。
クルルは奴らから微かに臭った人間の欲に顔をしかめた。
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あの出会いから、3日が過ぎた。
僕はあのあとチェスとホーンに挟まれながらペンドラゴンに連行された。
周りの吸血鬼達が反発したが、二人に睨まれると静かになった。
クルルはずっと涙目で『わたしは女王なのにわたしは女王なのに…』とずっと呟いていて正直怖かった。
そして僕は一人客間のベッドでずっと二人に血を吸われ続けた。最初は痛いけど、だんだん気持ちよくなっていって癖になりそうだ。
ペンドラゴンは三方を山に囲まれたとても自然が豊かな国だ。
山が太陽の光を遮るので、吸血鬼でも火が出ている時間帯もフードを被れば大丈夫なのだそうだ。結界を張ることで人間達から逃れてきた吸血鬼のまさに理想の都市と言っていいだろう。
「おっはよ〜!優!朝ご飯だよ〜!」
チェスが朝食ののったワゴンを押して入ってきた。
この3日チェスとホーンがそれぞれの手料理を僕に振舞ってくれている。
けれど、その代わりに僕は彼女達に血を吸わせることと、ここでの安全を保障してくれている。
チェスとホーンはペンドラゴンでもクルルの次に強い4人の内の二人なのだそうだ。
「ありがとうございます。いただきます。」
「今日は、ワッフルを作ってみたんだ〜。ハチミツとメープルシロップ、ストロベリーとブルーベリーのジャムもあるから色々楽しみながら食べれるよ。」
「わぁ!美味しそう!いただきますっ!」
ワッフルを一口食べると口の中にハチミツの甘みとワッフルの甘みが絶妙だ。
「美味しいよ!チェス!」
僕は次々とワッフルを口に放り込んでいく。
チェスはそんな僕を見ながら微笑む。
「失礼するわ。優」
クルルとホーンが入って来た。
けれど、二人の顔は険しく良い知らせではなさそうだ。
「優、今すぐに逃げなさい。」
「優様を巻き込むわけにはいきません。ですから、早くお逃げください。ペンドラゴンは最早安全な国ではなくなりました。」
「どうしたの二人とも?」
「元老院が裏切ったのよ。この私を王座から落とすためにね。」
とクルルが怒りを露わにする。
「北西10km先に約1万の大群を確認しました。旗を確認したところ、聖書崇拝の人間達による聖軍のようです。
彼らは我々の弱点である十字架を始め、銀の弾丸や銀の武器を多く持っていることでしょう。
我々は弱点の多い種族です。故にこれまでも何ども滅びかけて来ました。」
「元老院は奴らと手を組み私を王座から落とす代わりにこのペンドラゴンから去ることを約束しやがった!ここはわたし達吸血鬼が唯一地上で暮らすことに適した場所。それを何故簡単に手放せる!」
すると僕の手元に一枚の紙が出現する。
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第四関門:【聖なる侵略】
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「そうか、もう来てしまったか。」
世界の理不尽の第四幕が今上がる