戦姫絶唱シンフォギア 戦姫と音撃戦士   作:ユウキ003

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アニメ第10話がベースです。


第10話 「生まれる物・訪れる物」

~~前回までのあらすじ~~

二課に協力する事になった未来。明日夢はそんな彼女に護衛として

ディスクアニマルを託した。その数日後、響、未来、明日夢と共に

町中へと出かけ、日常を楽しんだ翼は、響の言葉とライブを通して、

改めて自分の歌に対する情熱を再確認するのだった。

一方でクリスもまた、出会いを通して徐々に変化が見受けられていた。

 

久しぶりに学園でののどかな日常を実感している響と未来。

 

しかし、その裏では相も変わらず事態が動き続けていた。

 

クリスは一人、ではなくアニマル達数匹を連れてかつて彼女と

フィーネが生活していた某所にある邸宅に足を運んだ。

そして、部屋の一つの大広間に足を踏み入れた時、クリスは絶句した。

そこには、無数の軍人の死骸が転がっていたからだ。

一瞬息をのむクリスと、その現状を見たリョクオオザル達は

アカネタカやルリオオカミに偵察するように命令した。

サッと周囲に散って行くアカネタカやルリオオカミ。

そして、クリスはリョクオオザルを数匹連れたまま広間を

見回しつつ足を前へと進めた。

 

クリス「何が、どうなってやがんだ?」

訳が分からずに歩みを進めるクリス。その時。

   『ガタッ!』

後ろで物音がしたので振り返るクリス。オオザルたちも慌てて

振り返った。

先ほどクリスが入ってきた半壊したドアの前には、弦十郎と明日夢が

立っていた。

   「違うっ!私じゃない!やったのは!」

と、クリスがそう言い切る前に数人のエージェントが部屋に突入してきた。

咄嗟に身構えるクリスだが、エージェントは彼女を素通りして行った。

半ば呆然とそれを見送るクリス。そこへ……。

 

明日夢「誰も、君がやったとは思ってないよ。証人も居るし」

クリス「え?」

ゆっくりと歩み寄りながら呟いた明日夢は指をパチンと鳴らした。

すると一匹のリョクオオザルが明日夢の元へと走って行き、

ディスク形態に戻りながら彼の手に収まった。

明日夢「リョクオオザルには録画機能があるんだ。証拠と

    証人は、この子だよ」

と言いつつ、再びリョクオオザルの音叉でなぞって起動し、

クリスの元に帰す明日夢。

そして……。

弦十郎「この殺しの犯人は、君を操り、俺達の傍に居た『彼女』だ。

    俺は、彼女を追っていたとこだ」

弦十郎がそう言うと、明日夢は苦虫をかみつぶしたかのような表情を

浮かべた。その時。

 

エージェント「風鳴司令」

周囲を警戒していたエージェントの一人が、軍人の遺体上に置かれた、

『I Love You  SAYONARA』と、血か何かで

書かれたメモらしき物を見つけ、拾い上げた次の瞬間。

 

   『カチッ!』

どこかで何かが作動する音が聞こえ、明日夢は考えるよりも先に手にした

ままだった音叉を左手首に打ち付け、クリスの元に走った。

   『キィィィィン』

澄んだ音が響き渡った次の瞬間。

   『ドドォォォォォォンッ!』

周囲に仕掛けられていたトラップの爆弾が一斉に起爆した。

 

屋根の一部が崩落し、周囲を砂塵が覆う。エージェントたちが

立ち上がり、弦十郎が不動のまま立っていた。

そして、クリスと明日夢は……。

 

   『ボゴォォォンッ』

   『ガラガラッ』

明日夢はクリスを片手で抱きしめ、右手の拳で二人の頭上に落ちてくるはず

だった瓦礫を打ち砕いた。

そして、クリスは呆然と鬼と化した明日夢の顔を見つめていたが、

ハッとするとすぐに明日夢の手を払いのけて彼から離れた。

 

クリス「て、テメエ!どういうつもりだ!なんで私を守った!?」

彼女の言葉に、明日夢は変身を解除しながら答えた。

明日夢「細かい理由なんてないよ。助けたいから助けた。それだけだよ」

クリス「バ、バカじゃねえのか!私は敵なんだぞ!?」

明日夢「例え君が僕の事をどう思っていても僕は君の事を敵だなんて

    思ってないよ。それに、敵だから助けちゃいけないなんてのは

    可笑しいと思うんだ。僕は」

その言葉に、クリスは……。

クリス「ふざけんなっ!敵を助けるだと!お前みたいな大人が、

    下手な理想なんて夢見てんじゃねえよ!大人のくせに、

    そんな事も分かんねえのか!お前も、お前も同じだ!

    私のパパやママと!夢想家の臆病者だ!」

明日夢「……君にどう思われても良い。それでも僕は、医者として、

    鬼として、人々を守る。僕は、『人を助ける事に一生懸命に

    なれるから、鬼になったんだ』。」

その最後の一言は、奇しくも彼の師匠の戦う理由と同じだった。

そして、クリスはその台詞に言葉を詰まらせた。

クリス「人々を、守るだと!?ふざけるな!そんなの唯の理想だ!

    本当に誰かを守りたいのなら、敵となる奴全てから

    武力と戦う意思を奪えばいい!」

明日夢「……。確かに、戦う力さえなければ誰も他の人を

    殺す事なんてないかもしれない」

クリス「だったら!」

明日夢「でも、人々から何かを奪う事は、支配する事と何が

    違うって言うんだ」

クリス「ッ!」

明日夢の言葉に再びクリスが言葉を詰まらせた。

 

明日夢「確かに、戦う意思も力も何もなければ争いなんて起こらない。

    それを無くすことが一番の平和への近道なのかもしれない。

    けど、そんな支配じゃ誰も納得なんてしないし、誰も笑えない。

    ……少なくとも、今の僕には争いを止める術なんてない。

    それでも僕は戦う。みんなを守る。人々を守る。医者として、

鬼として」

確固たる意志を持った明日夢の瞳がクリスを見つめる。

その時だった。

 

弦十郎「君は、大人が夢なんて見るな。そう言ったな。だが、

    俺はそうは思わない。いや、逆なんだ。大人だから

    夢を見ないんじゃない。大人だからこそ夢を見るんだ」

クリス「大人だから、だと?」

弦十郎「大人になれば、子供じゃ手が届かなかった物に手が届く。

    もっと高い場所へ、遠い場所へ。子供以上に現実を

知っているからこそ、夢を見る。子供の時じゃ届かなかった

夢に手を伸ばす。……確かに、歌で世界を救うなんてのは

傍から見れば夢想家の妄言に聞こえるだろう。

だがな、それでもあの二人は、君の両親は自分から死地に

飛び込んだ。自分の命を懸けて、夢を叶えるためにな」

クリス「なんで、そんな、事」

弦十郎「俺には夫妻の意図を完全に察する事は出来ない。

    だが、きっとお前に見せたかったんだろう。

    夢は、決して夢のまま終わる物なんかじゃない。

    夢は、叶えられる現実なのだと」

彼の言葉に、狼狽するクリス。

   「お前は嫌いと吐き捨てたが、きっと、お前の両親はお前の事を、

    大切に思っていたはずだ。それが、親ってもんだろ」

弦十郎がそう言うと、途端に泣きだしそうになるクリス。

クリス「私は、バカだ。今更、親の事を……。パパと、ママを……」

そう言って泣き出しそうになるクリス。

すると……。

   『ピィッ』

   『ワウッ』

   『ウホッ』

先ほどまで周囲に散っていたディスクたちがクリスの周囲に集まり、

それぞれが鳴き声を上げた。

まるで、『君は一人じゃない』と、言わんばかりに。

クリス「お前ら」

と、ディスクたちを見つめるクリス。すると、ディスクたちは

何を思ったのかクリスの周囲を囲み、何やら踊り始めた。

体や頭、腕を振って精一杯踊るディスクたちに、クリスは

どこかぽか~んとしてしまった。

 

やがて……。

クリス「ったく。お前らまでお人よしかよ。いい迷惑だっての」

そう言って、俯きながらも彼女は静かに涙を流すのだった。

    

 

その後、この邸宅では情報が得られないとわかった弦十郎達は

撤収の準備を始めた。

最初はクリスも一緒に来るかと誘ったのだが……。

クリス「やっぱり、私は……」

弦十郎「今はまだ、俺達と来られない、か?」

クリス「………」

弦十郎の言葉に無言を貫くクリス。すると、車に乗りかけていた

彼が振り返ってクリスと向き合った。

弦十郎「お前は、お前が思ってるほど独りぼっちじゃない。

    周りを見て見ろ」

その言葉に、周囲を見回すクリス。今も変わらず彼女の周りには

大量のディスクアニマル達が控えていた。

   「それに、きっとお前の道は遠からず俺達の道と交わる。

    そして、同じ道を歩む仲間になるはずだ」

クリス「今まで散々やりあって来た敵同士が一緒になれるって

    言う気か?現実を理解している大人が随分と甘ちゃんな

    事言うじゃねえか」

弦十郎「ホント、ひねてんなお前。ほれ」

と、苦笑いしつつ通信機を投げ渡す弦十郎。それに……。

 

明日夢「それじゃ、僕からも」

と言うと、一枚のディスクを取り出して音叉で起動し、投げる明日夢。

すると本来一色のはずのアニマルが赤と薄緑、浅葱色に染まった。

それは、あの要塞型ノイズとの戦いで中破したアカネタカだった。

クリス「ッ、こいつは……」

明日夢「実は手持ちの修理パーツが無くて。アカネタカと同型の

    アサギワシのパーツで直したんだ。ちょっと色が違うけど、

    ごめんね」

と言うと、クリスは肩に止まったアカネタカとアサギワシのキメラ

とも言えるディスクの頭を指で撫でながら……。

 

クリス「そ、その。ありがと、な」

と、恥ずかしそうに礼を言うのだった。

そして、クリスは弦十郎達の去り際、彼女が知っていた『カ・ディンギル』

という単語を弦十郎と明日夢に教えるのだった。

 

その後、基地に戻った弦十郎は響と翼に入手した情報を教えた。

その際に響が、了子が人間離れした力を持っていると言ったのだが、

響の語った事実は弦十郎や明日夢を始め、響以外全く知らない事実だった。

その言葉が、明日夢に知らされた事の確実性をより高くした。

 

それは、今から数日前の事だった。

その日、弦十郎は明日夢の医務室に昨日の夜飲み過ぎたみたいだから

薬が欲しい、と言って訪れたが実際にはそれは建前でしかなかった。

その時、秘かに弦十郎から明日夢に話されたのが……。

 

明日夢「了子さんが、裏切り者!?そんなまさか!?」

了子が裏切り者であり、フィーネだという事実だった。

弦十郎「本当だ。広樹防衛大臣暗殺事件の時、了子君はケースを

    持って来たのを覚えているな?俺達は最初、大臣が了子君に

    本物を託し、自分が偽物を持っていたがそれを知らない

    第三者に襲われ亡くなったと考えていた。が、了子君の

    持って来たケースの淵から、ごく微量だが大臣の血液が

    検出された」

明日夢「じゃあまさか!?」

弦十郎「防衛大臣は本物を持っていたが、第三者、恐らくは米軍

    の特殊部隊辺りに襲われ亡くなったのだろう。そして、

    了子君は恐らく米軍と繋がっていて、特殊部隊経由で

    本物のケースを受け取り、何食わぬ顔で俺達の元へと

    戻ってきた。大臣と会談し、ケースを受け取ったという、

嘘の証言と共にな」

明日夢「……。死人に口なしって事ですか?」

弦十郎「恐らくな。大臣は了子君とは会ってなどいなかったのだろう」

明日夢「そうですか。了子さんが……」

その事実に、明日夢はショックを受けていた。だが……。

弦十郎「このことは、翼や響君には知らせるな。できれば俺達だけで

    了子君との戦いを、終わらせたい」

明日夢「……わかりました」

 

それが、明日夢が数日前に聞いた話だった。

 

一方、明日夢がその事を思い出している間、了子と通信が繋がり、

彼女の口からカ・ディンギルに対する情報が話された。

彼女曰く、カ・ディンギルは塔を指している、と。

そして弦十郎達がその塔に関する情報を集め始めた矢先、

市街地に5体もの超大型飛行ノイズが現れた。

 

 

弦十郎「至急ヘリを用意しろ!明日夢!」

明日夢「はいっ!響ちゃんを拾ってから現場に向かいます!」

そう言って、司令室を飛び出す明日夢。

   『例え、敵が誰でも、僕は人を守る!』

そう心の中で叫びながら明日夢は駆け出したのだった。

 

その後、各々の足で現場に向かう翼、響、明日夢。

響は一緒だった未来と、未来の元に帰ってくることを約束して

駆け出した。

 

そしてそれから数分後。進路の予測が司令室で行われ3人の

元に伝えられた。

明日夢「24地区に、28地区。……あ!その方面には確か!」

飛行機の中で通信を聞いていた明日夢の予想を裏付けるように、

更なる通信が3人の耳に届く。

朔也「それぞれのノイズの侵攻経路の先に、東京スカイタワーが

   あります!」

翼「では、まさか!?」

朔也「カ・ディンギルが塔を意味するのであれば、東京スカイタワーは

   まさにその物じゃないでしょうか!?」

明日夢「こっちがカ・ディンギルの情報を掴んだのを知って、護衛を

    派遣した、と?」

あおい「た、確かにその可能性は十分にありえます」

弦十郎「……向こうさんが動いた理由はどうであれ、今あの5体の

    大型ノイズを無視する理由にならん。ともかく3人は

    すぐに現場に急行してくれ」

   『罠だとしても』

と、弦十郎は心の中で付け足すのだった。

 

その後、明日夢を乗せたヘリは響も回収して現地へと向かった。

一方で、現れた5体は各部から地上型、飛行型の各ノイズを

放出し市街地に放っていた。

そこへ明日夢と響を乗せたヘリが到着。そのサイドドアのハッチを

握りしめ、体を外に晒している響。

そして、ヘリから眼下を飛行する超大型飛行ノイズめがけて跳躍。

空中に大の字に寝っ転がるようにしながら、彼女は聖詠を口ずさむ。

 

   『Balwisyall Nescell Gungnir tron』

 

瞬く間に光が彼女を包み、ギアを纏った響は歌を歌いながら右手の

ギアパーツを後ろに伸長。

パワーをチャージした右手で超大型飛行ノイズの背中を殴りつけた。

打撃によってノイズの背中から腹部までを貫通した。それによって

一体の超大型が爆発。撃破された。

 

明日夢「よしっ!なら僕もっ!」

響の成功を確認した明日夢は、自分もヘリのハッチから飛び降りた。

体を地面に真っ直ぐ向け、砲弾のように加速していく中で彼は

音叉を取り出し、それを左手首に打ち付け額に翳す。

   『キィィィィィィンッ』

澄んだ音と共に明日夢の体を紫炎が覆って行き、明日夢は鬼へと

変身した。

空中で体を丸めて回転させて、姿勢を反転させてから超大型飛行

ノイズの背中に着地。

片方の音撃棒を取り出して両手で握った。

   「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

すると、音撃棒の鬼石から炎が現れ、伸長し収縮されていき、

それが一本の刀、鬼棒術が一つ、『烈火剣』となった。

そして、それを超大型ノイズの背中に突き立てた。そのまま……。

   「うおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」

剣を突きさしたまま駆け出す明日夢。そのまま超大型ノイズの背中を

端から端まで切り裂き、その背から明日夢はジャンプした。

そして、背中を真っ二つにぶった切られた超大型ノイズは、その傷が

体全体に及ぶのに合わせて、左右に割れるのとほぼ同タイミングで爆発。

周囲に塵をまき散らした。

一方地上からバイクで合流した翼が瞬く間に天羽々斬を纏い上空に向けて

『蒼ノ一閃』を放つがそれは飛行型ノイズ数体を倒しただけで上級の

超大型には届かなかった。

着地する翼の元に合流する響と明日夢。

 

明日夢「翼ちゃん!」

翼「くっ!相手に頭上を取られる事がこうも立ち回りにくいとは!」

響「だったらヘリを使ってもう一度上空から!」

と、彼女が提案したその時。

   『ボガァァァァンッ!』

響と明日夢を乗せて来たヘリが飛行型ノイズの攻撃で撃墜されてしまった。

 「そんな……」

翼「よくも!」

そこへ、飛行型ノイズが棒状に体を変化させて突進してきた。

 

咄嗟に別々の方向にジャンプして回避する3人。そのままノイズの

迎撃を開始するが、彼女たちがノイズを撃破するたびに上空の

超大型が無数のノイズを降下させてきた。

響「空飛ぶノイズ、どうすれば!?」

翼「臆するな立花!防人が後退ればそれだけ戦線が後退するという

  事だ」

明日夢「とはいえ、これじゃ完全にじり貧だ」

 

その時、3人目掛けて大量の飛行型が向かって来た。咄嗟に構える

3人。

と、その時。

   『ガガガガガガガガッ!』

無数の銃弾がその飛行型の群れを撃ち払った。驚いて銃弾が

飛んで来た方向に視線を向ける響。

そこにはイチイバルを纏いガトリングを展開したクリスと

彼女に付き従うディスクたちの姿があった。

そして、彼女の手には弦十郎によって渡された通信機が握られていた。

クリス「ちっ、こいつがピーチクパーチクやかましいからちょっと

    出張って見ただけ。それに勘違いするなよ!お前達の

    助っ人になったつもりはねぇ!」

と、声を張り上げるクリスだが……。

弦十郎『助っ人だ。少々到着が遅くなったかもしれないがな』

と、彼女の握る通信機から弦十郎の声が聞こえて来て、顔を赤くする

クリス。

明日夢「あ~。あれか。クリスちゃんはツンデレタイプなんだね」

クリス「ばっ!?か、勝手に人の事ツンデレとか言うな!」

咄嗟に反論するクリスだが、彼女の足元ではディスクたちが皆

うんうん、と言わんばかりに頷いていた。

 

クリス「お、お前らっ!?……ちっ!とにかく、慣れ合う気は

    ねえからな!」

そう言うと、響達から離れて応戦を開始するクリスと彼女を追う

ディスクたち。

 

しかしクリスは抱き着く響や共闘を持ちかける翼を振り払い

一人で戦闘を開始してしまった。

咄嗟に彼女に追従するディスクたちと、各々応戦を開始する

響、翼、明日夢。

 

しかしそんな中でクリスと翼が対立してしまう。だが……。

   「そう簡単に、人と人が——」

声を張り上げようとしたクリスの拳を、響の両手が包み込んだ。

響「出来るよ。誰とだって、仲良くなれる」

そう言うと、左手でクリスの拳を握ったまま、右手で翼の左手を

取る響。

 「どうして私にはアームドギアが無いんだろ~ってずっと

  考えてた。いつまでも半人前はやだな~って。

  でも、今は思わない。何もこの手に握ってないから、二人と

  こうして手を握り合える。仲良くなれるからね!」

翼「立花」

そう言って、笑みを浮かべる響。そこへ。

明日夢「確かに、僕たちはこの前まで戦っていた。……過去は

    変えられなくても、これからは変えていける」

そう言いながら、腰元に音撃棒を戻しつつ、響と向かい合うように立つ

明日夢。

   「ことわざにもあるでしょ?昨日の敵は今日の友、ってさ」

そう言って、右手をクリスの方に差し出す明日夢。

翼「先生、それは人の心は移ろいやすいという意味で決して良い意味では

  無いと思うのですが」

明日夢「あ、あれ!?そうだっけ!?と、とにかく!」

と、翼からのツッコみを受けつつ、明日夢はクリスに向かって

手を伸ばした。

   「正直、僕はそんなの気にしないよ。今は、クリスちゃんの

    隣に居る仲間だから」

という彼の言葉に、僅かに目を見開いたクリスはゆっくりと明日夢に

左手を伸ばし、差し出された手を静かに掴んだ。

クリス「お前、バカじゃねえのか。こんなの……」

明日夢「バカで結構。医者だけど」

と言うと、笑みを浮かべる響や翼。そして、明日夢の左手と翼の

右手が繋がり、4人の手は繋がった。更に、その輪を喜ぶかの

ように周囲でディスクたちが鳴いていた。

クリス「……お前まで馬鹿に当てられやがって」

翼「あなたも、でしょ?」

と言い合う二人。響と明日夢がそのやり取りに笑みを浮かべていたが、

その時4人の頭上を超大型が通過した。

 「親玉をやらないと、きりがない」

頭上を見上げる4人。その時。

クリス「だったら私に考えがある」

と、腰に手を当てたクリスが提案をした。

   「私でなきゃできない事だ。イチイバルの特性は長射程

    広域攻撃。派手にぶっ放してやる!」

響「まさか、絶唱を!?」

クリス「バカ、私の命は安物じゃねえ!」

翼「ならば、どうやって?」

クリス「ギアの出力を引き上げつつも放出を抑える。行き場の

    無くなったエネルギーを臨界まで溜め込み、

    一気に解放ってやる!」

翼「だがチャージ中は丸裸も同然……!」

明日夢「例えシンフォギアでも、相当の危険が伴うよ」

響「だったらそのチャージ中は、私達3人がクリスちゃんを守るだけの

  事ですよね!」

その言葉に、目を見開くクリス。笑みを浮かべ、飛び出す翼と響。

 

明日夢「そうだね。……それじゃあ、やるしかないね!」

そう言って、明日夢もまた、腰元から音撃棒を抜きとりノイズに

向かって行った。

クリスを守るために戦う3人。

そしてさらに、クリスを守るようにディスクたちが彼女を中心に

円陣を組む。

 

クリス『全く。どいつもこいつも』

   「バカばっかりじゃねえか。……ったく、しょうがねえ!

    やってやるさっ!」

そう叫んだ次の瞬間、胸に浮かぶ歌を歌い始めるクリス。

 

そして、響も、翼も、明日夢も、各々の思いを胸に戦う。

明日夢『やっぱりこういうの、良いな。仲間が傍に居て、誰かを

    信じて誰かを守るために戦う。……心が熱い。

    自分の中でやる気があふれ出てるのがわかる!

    だからこそ!』

   「負ける気なんてない!僕たちは、勝つ!」

そう叫びながら明日夢は音撃棒から烈火弾を放ちノイズを

焼き払った。

 

そして……。

 

クリス「魂を~~♪ぶっ放せ~~♪」

 

彼女の体を光が覆い、イチイバルの鎧が瞬く間に新しい武器を

生成していった。

両肩に作られる4発の大型ミサイル。腰元のサイドスカートパーツが

伸長し無数のミサイルを内蔵したコンテナを展開し、その両手には

ガトリング砲を保持していた。

 

響・翼「「託した!!」」

明日夢「行っけぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!」

二人の言葉と明日夢の叫びに背中を押されるように、クリスは

大型ミサイル・小型ミサイル・ガトリングを一斉に斉射する

『MEGA DETH QUARTET』を発動。大小のミサイル、

ガトリングを斉射した。

 

ガトリングと小型ミサイルが空中の小型飛行ノイズを撃墜。

妨害する物が無くなった大型ミサイルが残りの超大型の3体に命中。

全てを撃墜した。

 

翼「やった、のか?」

近場にいた地上ノイズの最後の一体を倒した翼が天を仰ぎながら疑問符を

漏らした。

クリス「ったりめ~だ!」

一方で勝ち誇った笑みを浮かべるクリスと響。明日夢もまた最後の

一体を音撃棒で粉砕すると天を見上げた。

明日夢「……終わったね」

 

そしてその後。

響「やったやった~!」

と、喜びのあまりクリスに飛びつく響。

クリス「やめろバカ!何しやがるんだ!」

と、鬱陶しそうに響を引きはがすクリス。そしてその隣に明日夢と翼が

集まり、4人揃った所で変身を解除した。

 

響「勝てたのはクリスちゃんのおかげだよ~!」

と言いつつまた飛びつく響。

クリス「だからやめろと言っているだろうが!」

また引きはがすクリス。

   「良いか!?お前達の仲間になった覚えはない!私はただ

    フィーネと決着をつけてやっと見つけた本当の夢を

    果たしたいだけだ!」

響「夢?クリスちゃんの?どんな夢!?聞かせてよ~!」

クリス「ばっ!?だから抱き着くな!」

三度抱き着く響と三度引き離し顔を赤くするクリス。

 

そんな時だった。

   『PLLLLL!』

不意に響の通信機から通信音が響いた。何だろうと思いつつそれを

取り出した響。だが……。

 

未来『響!学校がっ!リディアンがノイズに襲われ——』

 

未来の叫びを最後まで伝える事無く通信は途切れた。

 

響「え?」

 

少女達はまだ、決戦の時が近い事を知らないのであった。

 

     第10話 END

 




いよいよ決戦を描く事になりました。次回も早めに投稿できるように
頑張ってみます。
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