ここは本編とあんまり変わらないと思います。
~~前回までのあらすじ~~
出会いを通して変化し始めていたクリス。そんな中で彼女は
両親の思いを知り、涙を流す。
そんな中で弦十郎達が掴んだ『カ・ディンギル』と言う単語。
それについて調査を開始しようとした矢先に超大型飛行ノイズが
出現し、東京スカイタワーに集結してしまう。
響、明日夢、翼は助っ人として現れたクリスの協力の元4人で
力を合わせ、ノイズを撃退した。
しかし喜びもつかの間。響の耳に、未来からリディアンがノイズに
襲われているという連絡が届いたのだった。
響達が市街地のノイズと戦っていた頃、リディアン敷地内には数体の
大型ノイズと数十体の小型ノイズが発生し自衛隊が応戦していたが、
その意味を成さない程ノイズは易々と侵攻を続けていた。
一方で、リディアンの校舎内では未来が生徒達の避難誘導をしていた。
そこへ……。
創世「ヒナ!」
未来「ッ!みんな!」
響と未来のクラスメイトである『安藤 創世(くりよ)』、『寺島 詩織(しおり)』、
『板場 弓美(ゆみ)』が未来に気付いて駆け寄ってきた。
弓美「どうなってる訳?学校が襲われるなんて、アニメじゃないん
だからさ~」
未来「みんなも早く避難を」
詩織「小日向さんも一緒に」
未来「先に行ってて。私、他に人が居ないか——」
そう言って駆け出そうとした未来の手を創世が掴んで止めた。
創世「何言ってるのヒナ!早くシェルターに!」
とそこへ……。
自衛官「君達!」
武装した自衛官らしき男性が現れた。
「急いでシェルターに向かってください!」
そう言って駆け寄ってくるが、その時未来は隣のガラス張りの窓から見える
外で、今まさに飛行型ノイズが突進しようとして来ているのに気づいた。
未来「ノイズが来ます!左へ飛んで!」
自衛官「ッ!?」
彼女の言葉に、自衛官は考えるより先に左へ飛んだ。
次の瞬間、天井を突き抜けて突進してきた飛行型ノイズが自衛官の持っていた
小銃をバラバラに破壊しつつ、地面に突き刺さった。
そして、槍状に変化したノイズがグラグラと動くようにして床から
自身を引き抜こうとしていた。
創世「の、ノイズ!?」
突然の事で、驚き足が竦んでしまう創世ら3人。
と、その時未来は握られたままだった手を振り払って3人の前に出ると、
腰元に下げていたホルダーから5枚のディスクアニマルを取り出し、
更にポケットから音笛を取り出した。
未来「お願い!ノイズをやっつけて!」
『ピィィィィッ!』
未来が音笛を鳴らすと、5枚のディスクが色づき、アカネタカ、アサギワシ、
ルリオオカミ、キアカシシ、リョクオオザルになるとノイズに
向かって行き身動きが取れない状態のまま何とか倒す事が出来た。
未来とディスクアニマル達がノイズを倒した事に驚く自衛官と創世たち。
「大丈夫ですか?」
驚き動けない自衛官の元に駆け寄り手を差し出す未来。
自衛官「き、君は一体?」
未来「私は二課の関係者です。それより、あの3人を連れて早く
シェルターに避難してください」
自衛官「ッ!?ならば君も一緒に!」
未来「私は大丈夫です。……この子達が居ますから」
そう言って未来の周りに集まるアニマル達。
「リョクちゃん」
未来は『リョクちゃん』と名付けたリョクオオザルを呼んだ。
「みんなの事、守ってあげて。お願い」
と未来が言うとリョクオオザルは敬礼をした。
創世「ヒナ」
未来「ごめん。ちゃんと後で説明するから」
とだけ言い残すと、未来は残りの4匹を連れて駆け出した。
そして、創世達は自衛官とリョクオオザルに促されるまま、
後ろ髪を引かれる思いでシェルターへと向かっていた。
リディアンへと走り急ぐ響達4人。緒川と合流して二課施設に
向かう未来。黄金のネフシュタンの鎧を纏い本性を現した了子、
いや、フィーネとぶつかり合うが重症を負ってしまう弦十郎。
そして、フィーネがデュランダルの保管庫に入ろうとしていた頃、
もう一つの動きがあった。
今、1台のホンダ・エレメントが町へと続く山道を飛ばしていた。
その内の一台の助手席に座っていたのが……。
奏「師匠!早く早く!」
ここ数か月の間、鬼としての修練を積んでいた奏だった。
そして運転席でエレメントを運転していたのは奏の師匠である
現役の鬼、トドロキだった。
トドロキ「そうはいっても、一応俺元警官だから!飛ばし過ぎて警察に
お世話になってたら世話無いでしょう!」
奏「んじゃあ捕まらない程度に急いで!」
と言いつつ苦虫をかみつぶしたような表情を浮かべる奏。
彼女たちが街へと急いでいる理由。それは今から数十分前。
弦十郎がフィーネとぶつかり合う前、弦十郎からの通信が元だった。
「ハァ!?了子さんが、裏切り者ぉっ!?」
丁度その日、奏とトドロキはたちばなの秘密の地下室に勢地朗たちと
一緒に居たのだが、魔化魍撃破の報告をしていた際に奏の電話がなり、
相手を弦十郎と確認して出た途端にそんな話が飛び出して来た。
奏の声にびっくりしているトドロキや勢地朗、香須実。
「そんでもってリディアンが襲われてるって、どういう事だよ
おっさん!」
弦十郎『言葉通りの意味だ。……勢地朗氏よりお前が鬼になるための
訓練を粗方終え実戦訓練に入っているのは聞いている』
奏「……」
弦十郎『援軍を、頼めるか?』
奏「……みんな戦ってるんだよな?」
弦十郎『あぁ、お前の後輩になる奴も、な』
その言葉に、奏は……。
奏「わかった。すぐに戻る」
そう言って通話を切った。
勢地朗「……向こうで、何かあったのかい?」
ゆっくりと、お茶を飲みながら勢地朗が問いかけた。
奏「はい。向こうで、よくわかんないけど戦いが始まったみたいで」
その言葉に勢地朗は……。
勢地朗「トドロキ君」
トドロキ「ッ!はいっ!」
勢地朗「君は奏ちゃんの師匠として同行してあげなさい。
……向こうさんもかなり不味い状況みたいだし、師匠として、
弟子の門出を見送ってあげなさい」
トドロキ「はいっ!」
勢地朗「それと日菜佳、確か近くにキョウキ君が居たよね?
合流できるようだったら明日夢君達に合流するよう
連絡を」
日菜佳「わっかりました~!」
と、そんな話をしていると隠し通路を通ってみどりが現れた。
みどり「ちょ~~っと待って~!」
数個の木箱を持って来たみどり。
奏「みどりさん?」
みどり「間に合った~!奏ちゃん!自立祝いにこれ、持ってって!
対ノイズ用に開発した新型のディスクと明日夢君への
プレゼントに奏ちゃんから頼まれてたものよ!」
そう言って、中くらいのを1つ。小さいのを2つ。渡すみどり。
奏「間に合ったのか。……サンキューみどりさん!」
そう言うと、奏は勢地朗や香須実の方に向き直った。そして……。
「今まで、短い間でしたが、本当にお世話になりました」
勢地朗「奏ちゃん。君ならきっと、その力で大勢の人を守れるはずだよ。
自分に自信を持って、進みなさい。自分の信じた道を。
天羽奏として、鬼として、新たなる『斬鬼』として」
奏「はいっ!お世話になりましたっ!」
と言う言葉に、奏は無言で頭を下げ、叫ぶように礼を述べると
箱を片手に外へと向かい駆け出していった。
それを慌てて追うトドロキ。
みどり「……大丈夫かな?奏ちゃん」
不安そうな表情を浮かべるみどり。そこへ……。
勢地朗「大丈夫だと思うよ。……我々がそう信じ、あの子が
自分自身でそう思い続ける限り。
……送り出す事しかできないのが歯痒くないと言えば
嘘になるけど、彼らを支え、彼らに出来ない事を、
私達に出来る事で補うのが大人の役目だと私は思っている」
そう言うと、勢地朗は近くの棚から火打石を取り出し、カチカチと
それを鳴らした。
「頑張り処だぞ。奏ちゃん。いや、『ザンキ』」
そう呟きながら、勢地朗は想いを馳せた。
『思えば、斬鬼の名を継いだ鬼は何時だって真っ直ぐな
人間だった。……先代の斬鬼達よ。願わくば、今また
その名を継いだ新たな少女を守りたまえ』
勢地朗は、最後の最後まで弟子を想い散っていた男の事を
思い出しながら、そう願うのだった。
一方、響、明日夢、翼、クリスがリディアンに到着したのは既に
空に星が見える日没後の事だった。
たどり着いた先で、崩壊したリディアンを見て呆然とする4人。
響「未来。……未来~~~!みんな~~~!」
そんな中で叫ぶ響。しかし、返事が返ってくるどころか人っ子一人
居なかった。
余りの光景に、その場に膝をついてしまう響。
その時、翼が半壊した校舎の屋上の淵に立つ了子を、いや、
了子の姿をしたフィーネを見つけた。
翼「櫻井女史?」
クリス「フィーネ!お前の仕業かぁ!」
その問いに、高笑いを始めるフィーネ。
翼「そうなのか!?その笑いが答えなのか!櫻井女史!」
クリス「あいつこそ、私が決着を付けなきゃいけないクソッタレ!
フィーネだ!」
すると、了子の姿をしていたフィーネは眼鏡を捨て、結んでいた髪を
解いた。
次の瞬間、彼女の体を青白い光が包み、黄金のネフシュタンの鎧を
その身に纏った。
響「嘘……」
黄金のネフシュタンの鎧を纏うフィーネを前にして、驚きを
最も隠せないのは響だった。
「嘘ですよね。そんなの嘘ですよね……!?」
動揺を隠せず、彼女自身そうあって欲しいと願いながらも、
フィーネに語り掛ける響。
「だって了子さん、私を守ってくれました!」
フィーネ「あれはデュランダルを守っただけの事。希少な完全状態の
聖遺物だからね」
響「嘘ですよ。了子さんがフィーネと言うのなら、じゃあ、本当の
了子さんは?」
フィーネの言葉に納得できずに、どこか、縋るように言葉を
紡ぐ響。
フィーネ「櫻井了子の肉体は先だって食い尽くされた。いや、
意識は12年前に死んだと言って良い。
超先史文明期の巫女、フィーネは遺伝子に己が意識を
刻印し、自身の血を引く者がアウフヴァッヘン波形に
接触した際その身に、フィーネとしての記憶、能力が
再起動する仕組みを施していたのだ」
明日夢「12年、前?……ッ!?まさか、翼ちゃんの
天羽々斬の覚醒の時に!?」
フィーネ「そうだ。あの時偶然にも風鳴翼が引き起こした覚醒が、
同時に櫻井了子の中に眠っていたフィーネを
呼び覚ましたのだ。その目覚めし意識こそが、私
なのだ」
明日夢「つまり、あなたは自分が何度でも蘇るために自分の
子孫その者を依り代にしていた。そう言う事なんですね!?」
翼「まるで、過去から蘇る亡霊!」
フィーネ「ふふふ。フィーネとして覚醒したのは私一人ではない。
歴史に記される偉人、英雄。世界中に散った私達は
パラダイムシフトと呼ばれる技術の大きな転換期に
いつも立ち会って来た」
翼「ッ。シンフォギアシステム」
フィーネ「そのような玩具、為政者からコストを捻出するための
副需品に過ぎぬ」
翼「では何のためにシンフォギアシステムを作った!?
何の隠れ蓑としてシンフォギアを作り上げた!?」
クリス「私を拾ったり、アメリカの連中とつるんでいたのも
そいつが理由かよ!?」
明日夢「まさか、あなたがシンフォギアを理由にして作ろうとしていた
物が……!」
フィーネ「そう!それこそがカ・ディンギルだっ!」
高らかに宣言するフィーネ。
と、その時突如として地震が発生した。慌てて周囲を見回す4人。
するとフィーネの後ろの地面から盛大な土埃と共に何かが
浮上してきた。それは正しく、塔だった。
明日夢「ッ!?まさか、カ・ディンギルと言うのは東京
スカイタワーじゃなくて……」
翼「二課の、リディアン地下のエレベーターシャフトその物!?」
フィーネ「その通りだ。これこそが地より屹立し天にも届く一撃を
放つ『荷電粒子砲カ・ディンギル』」
明日夢「なっ!?あの塔が、荷電粒子砲!?」
クリス「カ・ディンギル?こいつで、バラバラになった世界が
一つになると?!」
フィーネ「あぁ。今宵の月を穿つ事によってな」
天を見上げ、赤く染まる月を忌々しそうに睨みながら呟くフィーネ。
響「月を?」
翼「穿つと言ったのか?」
クリス「何でさ?!」
しかし、響達にはその意味が分からなかった。
フィーネ「私は唯、『あのお方』と並びたかった」
と、いきなり哀愁のような目をしながら語り始めるフィーネ。
「そのための、あのお方へと届く塔をシンアルの野に
建てようとした。だがあのお方は人の身が同じ高みに
至る事を許しはしなかった」
明日夢「塔?シンアル。……ッ!?まさか!」
響「せ、先生?」
突然声を荒らげた明日夢に、驚き振り返る響達。
明日夢「フィーネ!あなたの言った塔とはつまり、
旧約聖書第11章創世記に記されたバベルの塔!
そして、あなたはそのバベルの塔を作ろうとした
張本人と言う事ですか!?」
翼「ッ!?バベルの、塔!?しかしあれは神話とする説が
濃厚だったはずでは!?」
明日夢「けど、僕達にタイムマシンは無い。それほど過去の
確かな情報が現代に残っている事なんてまず
ありえない。その説だって、確証はないって事だよ。
僕自身、信じられないけどね」
驚き反論する翼だが、明日夢もまさか、と言いたげな表情を
浮かべながらそう提言する。
フィーネ「ほう?察しが良いな。その通りだ安達明日夢。
……あのお方の怒りを買い、雷霆に塔が砕かれた
ばかりか人類は交わす言葉まで砕かれる。果てしなき
罰。バラルの呪詛を掛けられてしまったのだ。
……月が何故古来より不和の象徴と伝えられて来たか。
それは!月こそがバラルの呪詛の源だからだ!」
憎たらし気に歯を食いしばり、天の月を睨みつけるフィーネ。
「人類の相互理解を妨げるこの呪いを!月を破壊
する事で解いてくれる!そして再び、世界を一つに
束ねる!」
ギュッと、月に向かって握りこぶしを作るフィーネ。
すると、それに合わせるように音を立ててカ・ディンギルに
エネルギーがチャージされ始めた。
と、その時。
クリス「呪いを解く?」
フィーネ「ん?」
クリス「それは、お前が世界を支配するって事なのか?!」
どうやら、フィーネの言い分に納得できないのかクリスが叫んだ。
「安い!安さが爆発し過ぎてる!!」
フィーネ「ふん。永遠を生きる私が余人に歩みを止められる事
などあり得ない」
その言葉に、各々構える4人。そして……。
明日夢「止める。止めて見せる」
そう言いながら、音叉を取り出す明日夢。
「あなたが人を支配しようとするのなら、僕達がそれを
止める!」
そう叫んだ、次の瞬間。
『Balwisyall Nescell Gungnir tron』
『Imyuteus amenohabakiri tron』
『killter Ichavial tron』
『キィィィィィンッ』
3人の少女の聖なる詠と、魔を清める音が静かな世界に
響き渡る。
光が少女達の体を包み……。
紫炎が青年の体を包み……。
そして響達はシンフォギアを。
明日夢は鬼の力を。その身にそれぞれ纏った。
クリス「♪~~~♪~~」
真っ先に攻撃を仕掛けたのは、遠距離攻撃が得意な
クリスだった。クロスボウ状のギアからエネルギーの
矢をフィーネ目掛けて放つクリス。
それを避け、校舎から地面に降り立ったフィーネ目掛け
4人が一斉に飛びかかった。
ここに、人類のこれからを掛ける戦いが始まった。
一方二課施設を離れ移動する、応急処置をした弦十郎、未来、
緒川、朔也とあおい。そして彼らはシェルターの一室に到着した。
丁度、そこには校舎で別れた創世や詩織、弓美。あの時の自衛官と
リョクオオザルのリョクが使っていた。
詩織「小日向さんっ!」
未来「良かった!みんな良かった!」
状況は最悪だが、友人の3人が生きていた事に安堵し涙を
浮かべる未来。
朔也「この区画の電力は生きているようです」
部屋の中にあった端末を起動し、操作しだす朔也。
緒川「他を調べてきます!」
自衛官「あ!それなら俺も!」
と、緒川と近くに居た自衛官が飛び出していった。
創世「ヒナ?この人たちは?」
未来「うん、あのね」
と、明らかに民間人ではない弦十郎達に驚き未来へ問いかける
創世と、何と答えて良いのか分からず口ごもる未来。
弦十郎「我々は、特異災害対策機動部」
そこへ弦十郎が未来に代わって説明を始めた。
「一連の事態の、収束に当たっている」
その説明を受けた弓美は、怪訝そうな表情を浮かべた。
弓美「それって、政府の……」
静かに呟く弓美。
朔也「モニターの再接続完了。こちらから操作できそうです」
と、その時、その場にいた者達の注意を引くように報告する
朔也。そして接続が確立されると、小さなモニターに外での
戦闘の様子が映し出された。
そして、創世達が以前の未来と響の喧嘩の事に勘付く中、
外では未だに戦闘が続いていた。
クリス「うおぉぉぉぉぉぉぉっ!」
サイドスカートから大量の小型ミサイルを放つ、『CUT IN CUT OUT』
を放つが……。
フィーネ「ふんっ!」
無数のミサイルを、フィーネは手にしたクリスタルの鞭の一振りで
粉砕してしまった。
それを見て、翼に目配せをするクリス。それを見た翼や明日夢、
響は今の爆発で出来た煙幕を突破してフィーネに突進した。
響「はっ!たぁっ!」
接近し、連続で蹴りを放つが、尽く弾かれ避けられる。そこへ。
明日夢「おぉっ!」
炎を纏った音撃棒を手に側面から接近する明日夢。フィーネを
基点にV字を描く様に左右から攻撃するが、それをどちらも
片手で防ぐフィーネ。
しかし次の瞬間、響は上に跳躍。明日夢は響の後ろを通った
横へと離脱した。
その一瞬の動きを目で追っていた時、二人の背後から翼が
接近。
翼「はぁぁぁぁぁぁっ!」
刀で切りかかるが、フィーネは咄嗟に鞭を硬化させて棒状にし、
鍔迫り合いを始めた。しかし次の瞬間、再び軟化した鞭が
刀の刀身に巻き付き、弾き飛ばしてしまった。
翼は次の攻撃を避け、そのまま技の一つである『逆羅刹』を
仕掛ける。フィーネはそれを右手の鞭を回転させて
シールドとすることで防御。だが……。
響「はぁぁぁぁぁぁっ!」
フィーネから見て左側面から響が殴りかかって来た。それを
咄嗟に左腕でガードするフィーネ。更に……。
明日夢「おぉぉぉぉぉっ!」
そこへがら空きの胴体目掛けて、明日夢が炎を纏った音撃棒を
叩きつけた。
フィーネ「ちっ!?」
真後ろに弾き飛ばされ、舌打ちするフィーネ。そこへ。
クリス「本命は、こっちだっ!」
翼達が時間を稼いでいる間にエネルギーをチャージして
具現化させた大型ミサイルを発射するクリス。
ミサイルを避けるフィーネだが、自動追尾システムに
よってミサイルは避けても彼女を追いかけた。
「ロックオンアクティブ!スナイプ!」
そして、クリスは残っていた一発をカ・ディンギルに
向けた。それに気づいたフィーネの表情が強張る。
「チェストライッ!!!」
カ・ディンギル目掛けて発射されるミサイル。だが……。
フィーネ「させるかぁっ!!!」
放たれた鞭がミサイルを真っ二つにしてしまい、ミサイルは
空中で爆散。
「もう一発は!?」
そのまま空中に滞空し、自らを追っていたミサイルの方を
探すフィーネ。その時、彼女は音に気付いて視線を上に
向けた。
見ると、自分を追っていたはずのミサイルはさながらロケット
のように天辺部分にクリスを乗せて空へ空へと登って行く。
響「クリスちゃん!?」
翼「何のつもりだっ!?」
明日夢「そこはカ・ディンギルの射線上だ!危険だ!早く
逃げるんだっ!!!」
空へと登って行くクリスに向かって3人が叫ぶ。
フィーネ「ちっ!?だが、足掻いた所で所詮は玩具っ!
カ・ディンギルの発射を止める事などっ!」
そう叫んだ、次の瞬間。
『Gatrandis babel ziggurat edenal………』
不意に、クリスの歌声と共にそんな歌詞がフィーネや響、
明日夢達の耳へと届く。
翼「この歌っ!?まさか!?」
響「絶唱っ!?」
今まさに彼女のやろうとしている事は捨て身の一撃だ。
絶唱はたった一度でも使えば使用者に多大な負担を強いる。
ましてや今のクリスはカ・ディンギルの射線上に居る。
絶唱でカ・ディンギルを防げる確証も、仮に防げたとしても
助かる可能性も低い。
明日夢「……やめろ」
鬼の姿の明日夢が、ギュッと拳を握りしめる。そして……。
「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」
『ドォォォォォォォォンッ!!!!!!』
明日夢の叫びをかき消すかのように、カ・ディンギルが
発射された。
地上からでは、既にクリスの正確な姿や状況を知る事は出来ない。
クリスが放った、絶唱の桃色のエネルギーとカ・ディンギルの
緑色のエネルギーがぶつかり合う。それを、唯々地上から
見上げる事しかできない響、明日夢、翼。
クリス『ずっと私は、パパとママの事が、大好きだった』
例え、口から血を吐こうと、ギアがどれだけひび割れようと、
攻撃をやめないクリス。
『だから、二人の夢を引き継ぐんだ』
ギアの限界が近い。このままでは。誰もが一目見ても
そう思う中でも、クリスは笑っていた。
『パパとママの代わりに……』
拮抗していたエネルギーが、カ・ディンギルの緑色のエネルギーが
絶唱のエネルギーを押し始めた。
『歌で平和を掴んで見せる』
そして……。
『私の歌は——』
カ・ディンギルの光が、クリスを飲み込む。
『そのために』
そして、光の中でクリスは自らと手を繋ぐある日の両親との
記憶を、思い出していた。
その光景を、ただ茫然と空を見上げる事しかできない響や明日夢達。
と、その時。何と月の一部が文字通り『欠けた』。
だが、フィーネにとっては……。
フィーネ「し損ねた!?僅かに逸らされたのか!?」
彼女にとって目的は月の完全破壊。しかし欠けただけでは目的を
達成したとは言えないのだ。
と、その時、響達は天から落ちてくる光を見つけた。それは、
頭から真っ逆さまに落下するクリスだった。
余りの光景に、動けない響達。そして弦十郎達もまた、
モニターを通してその様子を見ていた。
そして、次の瞬間………。
『ドシャァァァァァッ!!!』
リディアンから離れた森林の中に、クリスが落下した。
それを目にした、響と明日夢は………。
明日夢「ッ!!!クリスゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!!!」
響「あぁぁぁぁぁぁァァァァァァッ!!!!」
悲痛な叫びを上げるのだった。
そして、響の中の闇が今、目覚めてしまった。
第11話 END
出来れば、次回辺りから鬼となった奏や強鬼が出てくると
思います。