戦姫絶唱シンフォギア 戦姫と音撃戦士   作:ユウキ003

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と、言うわけで今回からG編突入です!


第二期「戦姫絶唱シンフォギアG」編
第1話 「戦い、再び」


ここに至るまでのあらすじ ~戦姫絶唱シンフォギア編~

 

正体不明の怪物、ノイズが出現する世界。その世界では

シンフォギアと呼ばれる、歌をエネルギー源とする鎧を

纏った少女達がノイズの唯一の対抗手段とされ、ノイズと

戦っていた。

一方、日本に古来から出現する謎の怪異、魔化魍と

人知れず戦う戦士達、鬼が居た。そんな鬼と、シンフォギア

を纏った少女達が出会い、共に戦いへと赴いて行く。

ある事がきっかけでシンフォギアの力を発現した少女、

立花響や、かつて関東最強の鬼の弟子であった安達明日夢ら

は出会い、時に対立し、時に共闘しながら、ノイズを操り

人類支配を目論む先史文明時代の巫女、フィーネと

戦い、彼女との戦闘に勝利。その戦闘で欠けた月の欠片も

響と、同じシンフォギア装者である風鳴翼、雪音クリスらの

協力で排除され、人々は一応の平和を取り戻すのだった。

 

 

フィーネとの戦い、ルナアタックから3か月後。

 

ある夜の道を、一台の武装列車が駆け抜けていた。しかし

その背を追いすがる多数の飛行型ノイズ。

そんな武装列車の中では、一つの杖。ノイズを召喚し

意のままに操る『ソロモンの杖』が運ばれていた。

 

それを狙ったかのように飛行型ノイズの群れが現れ、

武装による迎撃を物ともせずに最後部の車両へ攻撃を

開始した。

そんな中、杖の護衛に同行していた二課のエージェント、

『友里あおい』と生化学研究者の『ジョン・ウェイン・

ウェルキンゲトリクス』博士が杖を収めた箱を手に

前の車両へと行こうとしていた。

そこへ。

響「大変です!」

後ろの車両から、人影が3人。こっちへやって来た。

一人は、シンフォギア装者、『立花響』。

 「凄い数のノイズが追ってきます!」

クリス「連中、明らかにこっちを獲物と定めていやがる」

そう答えるのは、響と同じシンフォギア装者の『雪音クリス』

明日夢「って事は、やっぱり狙いは十中八九、ソロモンの杖」

そして、ノイズの狙いを当てたのは響達とは別の力、

音撃の力で戦う鬼の一人となった、白衣を纏っている男性、

『安達明日夢』。

あおい「急ぎましょう!」

ノイズから離れるため、5人は前の方の車列へと向かう。

 

朔也「第71チェックポイントの通過を確認!」

そして、その様子は響やクリス達が所属する対ノイズ用の

組織、特異災害対策機動本部二課の仮司令部となっている

潜水艦の艦橋でも捉えられていた。

  「岩国の米軍基地到着まではもう間もなく!

   ですが!」

弦十郎「こちらとの距離が伸びきった瞬間を

    狙い撃たれたか。どう思う?了子君?」

司令である『風鳴弦十郎』が問うと、モニターの一つに

一人の女性、『櫻井了子』、またの名を『フィーネ』の姿が

投影された。今の彼女はフィーネのアバターの姿を

していた。

フィーネ「飛行型と大型が多数。それに妙な反応もある。

十中八九、狙いはソロモンの杖だろう。

     だが野党のノイズにこんな芸当は出来ない。

     何かがノイズを操っていると見るべきだろう」

弦十郎「ソロモンの杖以外にも、ノイズを操作する

    聖遺物があると?」

フィーネ「分からん。私の知らない聖遺物か?」

弦十郎「そうか。……頼むぞ、響君、クリス君、明日夢」

静かにモニターを見ながら彼はつぶやく。

 

そして、響達3人とあおい、ウェル博士の計5人は後ろの

車両から前の車両へと移動していった。

そんな中で、ソロモンの杖に関する考察を述べる

ウェル博士。

しかし、最後尾を歩いていたクリスが……。

クリス「そいつは、ソロモンの杖は、簡単に扱っていいもんじゃ

    ねぇよ」

ギュッと、過去にその杖でした事を考えながら拳を握りしめるクリス。

響「クリスちゃん?」

彼女の言葉に、足を止める5人。

クリス「最も、私にとやかく言える資格はねぇんだけどな」

そう言って、視線をそらすクリス。

 

のだが……。

   『ガシッ』

   「へっ!?」

彼女の手を響が両手で包み……。

   『ポンッ』

   「なっ!」

同じように彼女の頭に手を置く明日夢。

   「お、お前ら!こんな時に何を!」

響「大丈夫だよ!」

明日夢「そうそう。今のクリスちゃんには、僕たちが

    居るからさ」

クリス「ッ~~!お前ら、ホントのバカッ!」

顔を赤くしながらもそっぽを向くクリス。

 

そうこうしている内に、司令部から迎撃命令が下る。

同時に、数体のノイズが列車の天井に突き刺さる。

だが……。

 

『Balwisyall Nescell Gungnir tron』

 

『killter Ichavial tron』

 

『キィィィィィンッ』

 

響とクリスが、聖詠を詠い、明日夢が変身音叉改、音歌を

起立させると左手首に当て、澄んだ音を響かせる。

 

二人の体をエネルギーが覆い、シンフォギアを形作る。

明日夢の体を青い炎が包み込む。

そして……。

響「ハッ!」

クリス「おらぁっ!」

明日夢「ふぅぅ、ハァッ!」

各々が光と炎を振り払い、変身を完了する。

 

列車の屋根を突き抜け、屋根の上に出る3人。

明日夢「これは……。かなりの数だね」

クリス「はっ!濡れ雀どもがうじゃうじゃと!」

響「どんな敵がどれだけ来ようと、今日まで訓練

  してきたあのコンビネーションがあれば!」

クリス「あれはまだ未完成だろ?実践でいきなり

    ぶっ込もうなんておかしな事考えてんじゃ

    ねぇぞ」

明日夢「あれはもっと練り込んでからにしよう。

    今はまだその時じゃないよ」

響「はい!取っておきたいとっておきだもんね!」

クリス「ふんっ。分かってんなら言わせんな」

 

そう言うと、クリスはシンフォギアの武装である

アームドギアをクロスボウのような形状に変化させる。

   「背中は預けたからな!」

響「任せて!」

明日夢「クリスちゃんの死角は、僕たちがカバーするから!」

 

音撃棒を取り出す明日夢と、拳を構える響。

響「♪~~♪♪~~」

ギアのエネルギー元である歌を歌いながら、クリスの攻撃を

くぐり抜けて接近してくる飛行型ノイズを殴り、蹴飛ばす響。

更に……。

明日夢「烈火弾ッ!」

音撃棒の先端にある鬼石から青い炎を迸らせ、それを

火球として発射し、ノイズの群れを一直線になぎ払う。

エネルギーの矢を撃ちまくるクリスの背後に数体の

飛行型ノイズが突進してくるが……。

響「ハァッ!」

明日夢「セァッ!」

それを響の蹴りと、進鬼の音撃棒の一撃が打ち砕く。

そして、チャージを完了したクリスはクロスボウ状の

アームドギアを変形させると、棒状の物体をそれぞれの

ギアに二個形成。合計4本の物体を射出した。

 

放たれたそれはノイズ数体を貫通してから空中で分離を

繰り返し、まるで星空のように空中に幾重もの金属体が

展開され輝く。

すると、その金属体がエネルギーに包まれ、文字通り

銃弾の雨となってノイズの群れに降り注ぎ、クリスの技の

一つ、『GIGA ZEPPELIN』は大型を含む飛行型ノイズの

大多数を撃破した。

 

しかし、その時3人の目にこれまで見た事も無い飛行ノイズが

映った。

クリス「あいつが取り巻きを率いてやがるのか」

そう呟くと、サイドスカートからミサイルを展開し、

『MEGA DEATH PARTY』を放つクリス。

しかし、追尾ミサイル全てを躱しきる指揮官ノイズ。

明日夢「速いっ!?」

クリス「だったらぁっ!」

驚く明日夢を後目に、ガトリング砲、『BILLION MAIDEN』

を展開し撃ちまくるクリス。しかし、指揮官ノイズは

それを避けながら体を槍のように変形させ、突進

してきた。

明日夢「ッ!烈火弾!!」

それを見た明日夢、進鬼が烈火弾を放つが、それも

突き破る指揮官ノイズ。

   「これも効かないっ!」

響「だったらぁっ!」

烈火弾が効かない事に驚く中、響が右腕のガントレットを

引き絞り、跳躍。

 「はぁぁぁぁぁぁっ!」

   『ギィィィィンッ!』

撃破には至らなかったが、火花を散らしながら指揮官型の

進行方向を3人から見て右へと逸らす事が出来た。

電車の上に着地する響と、砲撃を行うクリス。

更に烈火弾を放つ進鬼。

 

一方で、司令室では……。

弦十郎「ノイズとは、ただ人を殺す事に終始する単調な

    行動パターンが原則。そうだな、了子君」

フィーネ「あぁ。これほど組織だった動きは、私の

     知る限り前例が無い。ソロモンの杖のような

     コントロール装置が無ければな」

彼の問いに、画面に映ったフィーネが答える。

弦十郎「つまり、今の奴らは言わば軍隊、と言う訳か」

   『だが、一体誰が、何を使ってこんな……』

そう思考を巡らせる弦十郎。

 

そして、戦いは続いていた。

ガトリングを撃ちまくるクリスだが、例の指揮官型ノイズ

には当たらない。

クリス「あんときみたいに空を飛べるエクスドライブ

    モードなら、こんな奴に一々おたつく事

    なんてねぇのに!」

明日夢「何とか取り付ければ、僕の音撃で……」

と、愚痴混じりに撃ちまくるクリス。とチャンスを

伺う進鬼。しかしその時、不意に後ろを向く響。

そして、気づいた。

響「ふ、二人とも!前、前ぇっ!」

明・ク「「え(あ?)?」」

そう言いながら振り返る二人。そして二人も気づいた。

 

トンネルがすぐそこまで迫っている事を。

 

響・明・ク「「「う、うわぁぁぁぁぁぁっ!!!」」」

驚き絶叫する3人。

響「たぁっ!」

そんな中、天井を踏み抜いた響がクリスを抱えて

車内に降り、進鬼もギリギリでそれに続いた。

響「ぎ、ギリギリセーフ!」

明日夢「あ、危なかった~~」

クリス「悪い助かったぁ。クソッ、攻めあぐねるとは

    こういうことか!」

礼を言いつつも、すぐにパンと手を打ち付け合うクリス。

その時。

響「そうだっ!」

クリス「何かひらめいたのか?」

響「うん!師匠の戦術マニュアルで見た事がある!

  こういうときは列車の連結部を壊してぶつければ

  良いって!」

と言う回答に、クリスは頭を抱える。

クリス「おっさんのマニュアルって面白映画だろ?

    そんな物が役に立つものか?大体、ノイズに

    車両をぶつけたってあいつらは通り抜けて

    来るだけだろ?」

明日夢「………。いや、通り抜けるその一瞬なら、

    奴の動きが鈍るかもしれない。それに、

    狭いトンネル無いなら奴の動きも制限

    されるはず。ここは、一か八かやってみよう」

 

と言う彼の提案に後押しされ、進鬼が後部の列車の

連結部分を烈火剣で溶断する。

明日夢「響ちゃん!」

響「これ、でぇっ!」

そして、響が車両と車両の間に体を入れ、足の力で後部

車両を押し離す。

 

 

そして、車両とノイズが接触し、ノイズがその中を

透過する中、響はトンネルの出口付近で待機して、

右手のユニットを巨大化させ、一撃を放つために構えていた。

 「♪~~♪♪~~」

歌を歌いながら、一瞬の隙をうかがう響。そして、

列車から指揮官型ノイズがにじみ出てきた次の瞬間。

 「飛べぇぇぇぇぇぇっ!」

ユニットのスラスターを吹かし跳躍。痛烈な一撃が

真正面から指揮官型をぶち抜き、更に発生した爆炎が

後続の飛行型ノイズを巻き込み、爆炎はとうとう

反対側の出口から吹き出すまでに及んだ。

 

その後、戦闘を終えた響や明日夢達は、岩国の基地で

ソロモンの杖とウェル博士を相手側に引き渡し、護衛の

仕事は無事終了となった。

そこへ。

ウェル「確かめさせて頂きましたよ。

    皆さんがルナアタックの英雄と呼ばれる装者の方達が

    伊達では無いとね」

響「英雄!?私達が!?」

と自分を指さしながらニヤける響だが、クリスから

ツッコまれてしまう。そしてもう一人は……。

明日夢「英雄だなんて。僕たちは僕たちに出来る事を

    全力でしたまでですよ。……それに、この場に 

    居ない人たちの力を借りて、やっとの事でしたから」

   『と言うか、この人、僕の事も装者って勘違いしてる?

    鬼の事は、そう言えば海外には公表して

    無かったっけ?』

と、そんな事を考えている明日夢。一方で……。

ウェル「ですが!こんな世の中だからこそ英雄が必要なのです!

    今あなたが言ったように人々を束ねる中心的な存在と

なり信奉される英雄が!」

明日夢「……。そ、そう、ですね」

と、頷く明日夢だが、彼にはウェル博士の目に、一瞬狂気じみた

気配が浮かぶのを見逃さなかった。

 

その後、岩国の基地を後にしようとする響、クリス、明日夢、

あおいの4人。

実は今日、東京で翼と奏が参加するステージがあるのだ。

あおい「3人が頑張ってくれたから、司令が東京まで

    ヘリを出してくれるみたいよ」

響「マジっすか!」

と喜ぶ響。次の瞬間……。

   『ドォォォォォンッ!』

基地の方で爆発が発生し、その中からノイズが出現する。

 「マジっすか~?」

クリス「マジだなぁ!」

明日夢「あおいさんは人々の避難誘導を!行くよ!

    響ちゃんクリスちゃん!」

響「はいっ!」

クリス「おうよっ!」

そう叫び、3人は基地の方へと駆け出した。

 

 

一方、その頃。翼と現在人気急上昇中の新進気鋭

の歌手、『マリア・カデンツァヴナ・イヴ』の合同

ライブ。更にその前座として奏のギター演奏の為の

ステージ設置が行われていた。

そのステージの裏で奏はギター練習で掻いた汗を

タオルで拭っていた。そこへ。

翼「お疲れ様奏」

そう言って水のボトルを差し出す翼。

奏「お、サンキュー翼」

彼女は差し出されたそれを受け取ると、ラッパ飲みで

一気に3分の1を飲み干す。そして、そんな奏が

腰掛けている機材の箱に自分も腰を下ろす翼。

翼「それにしても、びっくりしたよ奏。

  戻ってきたかと思えばソロデビューと

  一緒にギタリストデビューするなんて」

奏「二足のわらじならぬ、三足のわらじだな。

  翼と一緒にツヴァイウィングとしても

  活動を続けるし、でも翼にはここ最近はずっと一人で

  やらせてた訳じゃん?で、そんな翼を見てたら

  私も一人でやってみたくなったのさ。それに、

  ギターの練習は烈斬の練習にもなるからな」

そう言うと、立ち上がる奏。

 「私は、改めて思い知ったんだよ翼。

  私を鬼として鍛えてくれた師匠に、師匠の

  同輩、私の先輩達。そんな先輩達を支える

  色んな人たち。……あそこは、『暖かかった』」

翼「それって、鬼を支援する猛士の人たちの事?」

奏「あぁ。……確かに了子さんが言うとおり、人間は

  バラルの呪詛が有る限り、相互理解なんて出来ない

  のかもしれない。けど、あそこに居る人たちは

  一生懸命、鬼として、猛士のメンバーとして、

  自分に出来る事をしていた。ただひたすらにさ。

  だからかな。……今の私は、斬鬼である事に

  誇りを感じてる。どのみち、適合数値の事を

  考えれば、ガングニールを纏うのも無理だしな。

  ……あれは、とりあえず二課のおっさん達に

  保管して貰う事にした」

翼「奏。……そう、私も、会ってみたいな。奏の

  言う人々に」

奏「あぁ。今度立花や雪音を連れて『たちばな』へ

  行こうぜ!あそこに和菓子旨いぞ~!」

と、二人そろってそんな談笑をしていた。

 

すぐそこに、戦いが迫っている事などつゆ知らず。

 

 

その頃、二課の司令室では、基地を襲撃したノイズを

無事撃退したあおいから、現状の報告を受けていた。

報告によって、ソロモンの杖が消失した事。

ウェル博士が行方不明である事を聞く弦十郎。

朔也「今回の襲撃、何者かの手引きによる物

   なんでしょうか?」

フィーネ「そう見て間違い無いだろう」

彼の問いに、画面の中のフィーネが答える。

    「こんな組織だった襲撃は何者かが

     糸を引いていたとしか考えられない。

     ……ソロモンの杖があれば、ノイズは

     無限に召喚出来る。そうなれば……」

弦十郎「敵はノイズの軍隊を持ったも同じ、か」

フィーネ「そうだ。警戒は怠るなよ?」

弦十郎「もちろんだ」

 

と、話をしている中で、弦十郎は静かに危機感を

募らせる。

新たな戦いの気配に。

 

場所は戻ってライブ会場。

会場の様子は各国へと放送されていた。文字通り、全世界ライブ

だったのだ。そして、翼とマリアのステージの前座として、

奏によるステージが行われていた。

 

   『ギュィィィィィィンッ!』

手にしていたギターを演奏し終える奏。

   『『『ワァァァァァァァッ!!』』』

奏「ありがと~~!」

歓声と拍手が上がる中、観客達に手を振る奏。

そして、奏は2、3挨拶をすると舞台袖に戻っていった。

翼の方も舞台裏で準備を進めていたが……。

 

会場が見える少し離れた場所。陰に隠れるようにして

一台のトレーラーが止まっていた。

その中では、紫色に輝くモニターがいくつもあり、

怪しさを醸し出していた。

そんな中で、モニターの一つに映るライブの様子を、

車椅子に座る隻眼の女性が見ていた。

 

と、そこへ。

???「マム」

奥の方の暗がりから、一人の人影が現れた。

そして、マムと呼ばれた隻眼の女性、『ナスターシャ・

セルゲイヴナ・トルスタヤ』が振り返った。

そこに立っていたのは、栗色のロングヘアの女性、

『セレナ・カデンツァヴナ・イヴ』が立っていた。

セレナ「先ほど博士から連絡が。どうやら到着

    した様子です」

ターシャ「そう。……ようやくのご到着。ずいぶんと

     待たされたものです」

そう言って、彼女は計画の段階の一つが完了した事に

安堵しながら僅かに笑みを漏らす。

 

しかし、一方でどこか不安なのか俯くセレナ。

それに気づいたナターシャ。

ターシャ「セレナ。あなたは……」

セレナ「あ、ごめんなさいマム。……分かってる。

    私も分かって、ここに居る。……でも」

ターシャ「『恩人』の同胞を巻き込むのは、やはり

     気が引けますか?」

セレナ「ごめんなさいマム」

図星を当てられ、済まなさそうに頭を下げるセレナ。

ターシャ「そう。……でも、これは必要な事ですセレナ。

     人類を救うためには」

そう言うと、ナターシャは視線を彼女からライブ会場を

映し出すモニターへと動かす。

そんな彼女の後ろで、セレナは一人、静かに胸の前で

祈るように手を握りしめる。

 

そして、彼女の脳裏に、かつて彼女を助けた男の

姿が浮かび上がる。

『東洋の鬼』のような姿をした、『彼』が。

 

 

そして、時間は流れ。ライブ会場に足を運んでいた未来と、

創世達の計4人は、個室からライブの様子を見ていた。

内心、遅い響達を心配する未来だったが、そうこうしている

内に翼とマリアによるライブが始まった。

レイピアを模したマイクを使ってのライブに、すぐさま

会場内のボルテージが高まる。

最後は、フェニックスの羽をイメージしたのか、光り輝く

羽が会場中に舞い落ちる。

 

これには未来達を始め、会場の観客全員が大盛り上がり。

そのまま、翼とマリアの二人からのコメントとなり、

当然その様子はカメラを通じてリアルタイムで世界各国へと

配信されていた。

 

奏「うっわ~。こりゃ、ライバル出現かな~」

と、舞台袖から翼とマリアの様子を楽しそうに見ていた奏。

 「こりゃ、私も頑張らないとあいつにツヴァイウィング

  のポジション取られちまうかもな~。

  く~!うかうかしてらんねぇぞ私~!

  数ヶ月のブランク、速ぇとこ克服しねぇとなぁ!」

と、彼女は一人そんな事に息巻いていた。

 

だが……。

マリア「そして、もう一つ」

翼「ん?」

ある程度コメントを述べたマリアが不意にそんな事を

呟いた。何だろう、と疑問符を浮かべる次の瞬間。

   『バッ!』

   『ドドドドドドッ!!』

マリアがドレスを翻した次の瞬間、観客席のすぐ側に

ノイズが出現した。

それによって、観客は瞬く間にパニックになってしまう。

と、その時。

マリア「狼狽えるなっ!!」

マイクを通してマリアの声が響き渡り、次第に悲鳴が

小さくなっていく。

 

人々が怯える中、密かに首元に巻いていたスカーフを

外す翼。その下には当然、天羽々斬を下げていた。

マリア「怖い子ね。この状況に会っても私に

    飛びかかる気を伺っているなんて」

まるで翼を牽制するかのような言葉を呟くマリア。

   「でもはやらないの。オーディエンス達が

    ノイズからの攻撃を防げると思って?」

その言葉に歯がみする翼。

   「それに……」

呟きながら、マリアは視線を周囲のモニターに向ける。

そこには、世界各国のライブ映像が映し出されていた。

当然、翼の様子も。

   「ライブの模様は世界中に中継されているのよ?

    日本政府はシンフォギアについての概要を

    公開しても、その装者については秘匿した

    ままじゃなかったかしら?

    ね?風鳴翼さん?」

翼「甘く見ないで貰いたい!」

その言葉に、反論する翼。

 「そうとでも言えば、私が鞘走る事を躊躇うと

  でも思ったか!」

そう言ってレイピア型マイクをマリアに向ける翼。

そう思う中で……。

 『彼女たちは、鬼の事を知らない?確かに、

  鬼の存在は日本が国外へ切れるカードの

  一枚。それをギアの事と共に公開したとも

  思えない』

翼がそんな考えを抱いていた時。

マリア「ふっ。あなたのそう言う所、嫌いじゃないわ。

    あなたのように誰もが誰かを守るために、

    あの日、あの子を助けてくれたあの人のように、

    まっすぐに戦えたのなら、世界は、もう少し

    まともだったかもしれないわね」

その声色は、憂いと憧れを含んでいるようだった。

翼「なん、だと?マリア・カデンツァヴナ・イヴ。

  貴様は一体……」

彼女のその様子に、翼も戸惑いを覚えるがマリアは

頭をかぶり振り、表情を戻す。

マリア「そうね。そろそろ頃合いかしら?」

 

そう言うと、レイピア型マイクを豪快に振り回すマリア。

   「私達は、ノイズを操る力を持ってして、

    この星の全ての国家に要求する!」

翼「世界を敵に回しての交渉!?これはまるで――」

緒川「宣戦布告!?」

マリアの言葉に驚く翼と、会場内を走っていた緒川が

偶々モニターを見て驚く。だが、本当の驚きは

ここからだった。

マリア「そして……」

呟きながら、マイクを上に投げるマリア。一瞬のことで

翼の視線がそちらに向く。その時。

 

『Granzizel bilfen gungnir zizzl』

 

そう。その歌は、聖詠。

次の瞬間、彼女の体を光が包み込む。

翼「これは、まさか!?」

奏「ガング、ニール……!?」

すぐ側に居た翼と、ある物を取りに楽屋に戻っていた

奏は、それぞれ目とテレビでそれを見て、驚愕する。

 「クソッ!」

しかし、奏はすぐに立ち直り、『それ』を引っ掴むと

楽屋を飛び出した。

 

そして、マリアは……。

 

色、マントを持つ、と言う違いこそあれど、それは

紛れもない。響が持ち、そして奏もかつて持っていた

聖遺物第3号、ガングニールだった。

 

そして、その様子は翼を始め、司令部の弦十郎達。

ヘリで移動中の響達も見ていた。そして、それを

見ていた響が……。

響「黒い、ガングニール……!?」

驚きの余り、そう呟く。

 

マリア「私は……。私達はフィーネ。

    そう。終わりの名を持つ者だ!」

そう、宣言するかのように叫ぶマリア。

 

と、その時。

奏「フィーネ、終わりの名、ねぇ。ずいぶん

  ご大層な名前を言うじゃないか」

耳元に、インカムを装着した奏が舞台袖から現れ、

会場中に彼女の声が響き、注目を集める。

 

そして、翼の隣に並んだ左手首には音枷を。

右手には、抜き身の烈斬が握られていた。

マリア「天羽奏。……あなたに用はないわ。戦えない者は

    下がっていなさい?死ぬわよ?」

奏「それは、私があんたと同じ物を纏ってない

  からって事かい?」

マリア「えぇ。その通りよ。ギアを持たないあなたは

    今、一民間人に過ぎない。それとも、あなたには

    ノイズに勝てる算段があるのかしら?」

奏「勝てる算段?そんな物、あるさ。

  なぜなら私は、私は、鬼だからなぁ!」

そう叫ぶ奏の声が会場中にハウリングする。

 

 「おらぁ!ノイズどもぉ!」

観客席の方に向かって叫ぶ奏。

 「私はテメェら何か怖くねぇぞ!

  お前ら全部、私が相手してやるから

  掛かってこぉい!」

その言葉に、ノイズ達が僅かに振り返る。それを見た

マリアが……。

マリア「……無謀ね。それとも、私達が無駄な殺生を

    しないと勘ぐっての蛮勇かしら?

    だとしたら当てが外れたわね。舐められっぱなし

    は好きじゃ無いの」

彼女は奏を睨みながら、杖を持っていた左手を横に振る。

すると、近くに居たノイズが彼女に向かって

跳躍する。

 

   「「「きゃぁぁぁぁぁぁっ!」」」

それだけで、会場から悲鳴が上がる。

翼「奏っ!」

誰もが奏の死を確信する。

だが………。

 

奏「舐めんじゃねぇぞおらぁっ!!」

   『ズバッ!!』

次の瞬間、逆手から順手に切り替えた烈斬が振り下ろされ、

ノイズを真っ二つに切り裂いた。

マリア「なっ!?」

これには流石のマリアも驚き、会場中がざわめく。

ノイズは殺せない。それが一般人の常識である。

だがその常識が今、彼らの目の前でぶち壊されたのだ。

 

そして、奏は烈斬を床に突き刺す。

奏「私にとって、お前達はどこの誰だろうと関係無い。

  だがなぁ」

そう言って、左手を顔の前に掲げる奏。

翼「ッ!?奏!?」

驚き、まさかと思い一歩前に出る翼。それに気づいた奏は……。

 

奏「悪いな翼。それに、観客のみんなにも。私はみんなに

  一つだけ隠し事をしていた。……だが、その分、

  ここに居る全員は私がきっちりと守る」

インカムを通して彼女の声が会場中に広まる。

それは、これから彼女がする事と、翼が『無関係』で

あると思わせる、演技だった。

そして、奏がマリアを真っ正面から見据える。

 「マリア・カデンツァヴナ・イヴ。お前が誰か

  なんて、この際どうでも良い。だけどな、

  私には、受け継いだ名前に掛けて、この場で、

  お前とノイズに相対するだけの理由がある」

そう言いながら、彼女は音枷のパーツを引っ張り、

弦を露出させる。そして……。

 「見せてやるよ。どうせ世界中に配信されてるんだ。

  派手に暴れるぜ!」

   『ヴェヴェェェェンッ!!』

弦をつま弾く奏。

 

そして、彼女が音錠を額に近づけると、そこに鬼面が

浮かび上がる。

   『バッ!』

そこに、今度はノイズが数体向かってきたが……。

   『バッ!!』

   『バチバチバチッ!!』

奏が左腕を上に掲げるのと同時に、周囲に落雷が落ちて

飛びかかってきたノイズを一掃する。

 

誰もがその落雷とそれによって生まれた火花に、

一瞬驚いて目を背けてしまう。

そして、視線を戻した時、皆が驚いた。

それもそのはず。

先ほどまで奏が立っていた場所には、異形が

立っていたのだから。

 

しかし、異形、斬鬼は臆する事無く烈斬を床から

引き抜く。

マリア「天羽奏!あなたは一体!?」

どうやら、本当に鬼のことを知らなかったのか

驚くマリア。

そして、そんな彼女を前に斬鬼は……。

 

斬鬼「私の名は、斬鬼。魔を斬る鬼さ」

 

そう言って、彼女は烈斬を構える。

  「さぁ!ノイズども!!掛かってきな!

   この斬鬼が、バラバラにしてやるぜ!」

 

ここに、新たな戦いが始まろうとしていた。

 

そして同時に。鬼の存在が、世界へと発信

されてしまうのだった。

 

    G編 第1話 END

 




実は、ですね。最初セレナは原作通りにする予定だった
んですよ。ですが他の作者さんのシンフォギア小説
呼んでたらやっぱりセレナも生かしたいって思ったん
ですよ。なので、セレナ生きてます。
そこは追々説明します。また、奏は思いっきり
観衆の前で変身させました。そこも今後の展開の
布石、みたいな物です。
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