戦姫絶唱シンフォギア 戦姫と音撃戦士   作:ユウキ003

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投稿が遅くなってしまい大変申し訳ありませんでした。


第2話 「覚醒の4人目」

ツヴァイウィングのライブの際のノイズ襲撃の翌日

運よく軽傷で済んだ弦十郎と

同じく二課で研究者をしている『櫻井了子』、翼、奏、

そして今の話題の中心である明日夢の5人が小さな部屋に

集まっていた

奏「それで、どういう事か説明してくれるんだろうな?先生?」

明日夢「わかってる。順を追って説明するから。」

そう言って明日夢はポケットから音叉を取り出して奏達の前に置いた

翼「これは?」

明日夢「これは、鬼と呼ばれる戦士が使う道具だよ。」

奏「鬼?って、あの昔話に出て来る鬼?」

翼「確かに、あの時の先生は鬼みたいな姿をしてましたけど…」

弦十郎「…古来から日本には『魔化魍』と呼ばれる、言ってみれば

物の怪のような化け物が存在していたんだ。」

明日夢「そして、鬼の使命は、人知れずに魔化魍から人間を守る事なんだ。」

奏「それが、鬼?」

明日夢「そう。僕は元々、その鬼の一人、『ヒビキ』さんの弟子だったんだ。

    ただ、一度は鬼になる事をやめて、医者になったんだけど…

    昨日は無我夢中だったからね。この音叉も鬼をサポートする

    組織の『猛士』に所属する人に貰ったんだ。」

弦十郎「ちなみに、その鬼の活躍でノイズが撃退された例もある。

    シンフォギアがノイズを俺達の世界に引っ張り出すように、鬼の奏でる

    『清めの音』もまた、ノイズをこの世界に固定し、消滅させる力を

持っていると言う事だ。」

奏「その鬼って、誰でもなれるのか?」

明日夢「鬼になるには、それなりの特訓が必要だよ。精神力や体力も

    かなり必要になるからね。」

奏「ふ~ん。」

翼「でも、それならどうして二課は今まで鬼の人達に協力を要請しなかった

  んですか?」

弦十郎「さっきも言ったように、鬼の本来の使命は魔化魍から人を守る事だ。

    俺だって初めて鬼の存在を知った時は真っ先にスカウトに行ったさ。

    だが、断られちまってな。」

了子「まぁでも、みんな無事なんだし、それはそれで結果オーライじゃない。」

明日夢「そうですね…それより、奏ちゃん達はしっかり休みなよ?

    ライブと戦闘、両方やって相当疲労が溜まってるはずだからね。

    今日はもう休んだ方が良いよ。」

奏「は~い。」

翼「わかりました。失礼します。」

そう言うと二人は自分の部屋へと戻って行った

それを確認すると、大きく息をつく明日夢

弦十郎「大丈夫か?明日夢も昨日から寝ていないのだろう?お前も眠ってくる

    と良い。」

明日夢「そうですか、それじゃ、僕もこれで。」

そして明日夢も自分の部屋に戻り、着替えもせずにベッドに

倒れこんだ

   『やっぱ…今の僕でも鬼に変身するのは堪えるな。

    これでも最近は体を鍛え続けていたはずなのに……』

そのまま、明日夢は眠りについた

 

やがて事件から2年の月日が流れた 

あの日、戦闘に巻き込まれた響は命を取り留め、今は『私立リディアン音楽院』

の生徒となった

そして、明日夢もそのリディアンの医務室の先生として働いていた

明日夢『え~っと、今日は入学初日だから……特に仕事は無いかな?』

そんな事を考えながらリディアンの廊下を歩いていた時の事だった

   『……ん?』

ふと、窓から見える校庭の木に目をやると、そこには木登りをしている生徒が居た

   『あの子…何やってるんだろう?注意しておこうかな?』

校舎から出て、その木の元までやってくる明日夢

   「お~い、そんな所に居ると授業に遅刻するし怪我するよ~

    早く降りて来なさ~い。」

すると、木の上の少女『立花響』が声のした方に顔を向けた

響「あ~すいませ~ん!でもどうしてもこの子が気になって!」

その懐には猫の姿が

 「すぐに降りま~す!」

そう言うと片手と両脚を器用に使って木を降り始める響 だが次の瞬間

   『バキバキバキ!』

 「うわわわ!」

彼女の足を掛けていた枝が折れて、響が地面に落下した

明日夢「危ない!」

落下してくる響をナイスキャッチする明日夢 

俗に言う、お姫様抱っこ状態だった

   「大丈夫だった?」

響「は、はい!助かりました!」

彼女を地面に下ろす明日夢 

明日夢「猫を助けようとした気概は買うけど、もう少し自分を大事にね。

    下手したら、今ので大けがをしていたんだから。」

響「はい、すみません…」

明日夢「それより、授業に行かないと遅れるよ。」

響「うわあ!そうだった!って、そう言えば、あなたは一体…?」

明日夢「僕は安達明日夢、リディアンで保健医をしてるんだよ。

    ……それより、早く行かないと怒られるよ。

    一年の先生は厳しいからね。」

響「うえぇ!そうなんですか!?失礼しま~す!」

そう言うと猫を抱えたまま行ってしまった響

しばらくして明日夢は真剣な表情になった

明日夢『どうやら、2年前の僕の事は知らないみたいだね。……

    好都合と言えば好都合かな…』

そう言って響の後を追うようにリディアンの校舎に戻る明日夢だった

 

そして、その日の夜 山岳部にノイズが出現した

武装した部隊が銃弾の雨を降らせるが、それはことごとくノイズをする抜ける

いくら撃ち込んでもすり抜ける現状に誰もが絶望した時

奏・翼「「♪~♪~」」

   『キイィィィィン』

何処からか、女性の歌声と澄んだ音が聞こえて来た すると彼らの上をヘリが

通過し、そのヘリから3人の人影が飛び降りて来た

光のリングに覆われた女性が二人と紫の炎に包まれた人物が一人、

今まさに絶望しかかっていた彼らの前に舞い降りた3人 それは

ギアを纏った奏と翼 そして、鬼に変身した明日夢だった

その明日夢の手に握られていたのは音撃棒……では無く音撃管だった

明日夢はこの2年間、時間があればかつての鬼の仲間たちの元へと行き、

修行を付けて貰っていたのだった 今では音撃棒と音撃管を使えるように

なった明日夢は最近の戦いでは音撃管を使うようになった

1対1の戦いが多い対魔化魍戦はともかく、1体多数の戦いになるノイズ

との闘いは音撃棒では効率が悪いと言う判断に至ったからであった

だが、腰に装着されているのは音撃鼓であり、後ろにも音撃棒を持っていた

奏「それじゃ先生、援護よろしく♪」

明日夢「うん。でも無茶は禁物だよ。」

翼「はい。」

奏「わかってるって…行くぜ!」

刀と槍を持って駆けだした翼と奏

それを見るとノイズたちも姿を棒状に変えて突進してきた

明日夢「はぁっ!」

それを音撃管の圧縮空気弾で撃ち落としていく明日夢 

さらに飛び上がった奏と翼の『LAST∞METEOR』と『千ノ落涙』が

ノイズの集団を襲った 残った大型の一体が2人を叩き潰そうと右手を

振り上げるが、それを明日夢の音撃管の攻撃が襲って右手を肘の辺りから

吹き飛ばした たたらを踏んだところを翼の『蒼ノ一閃』が襲い

真っ二つにした  

 

着地した翼に近づいて拳を打ち合わせる奏 それを後ろから鬼の姿のまま

見守る明日夢  これが、ノイズと戦う3人の姿だった

 

彼女達を送って来たヘリで再び帰って行く3人

あおい「3人ともお疲れさま。大丈夫だった?」

奏「平気平気!今の私達3人がいれば怖いもんなんてないぜ!な?」

明日夢「あはは……」

翼「もう、油断してると足元すくわれるよ?」

奏「お?何だよ~最近翼も言うようになって来たじゃないか~このこの~」

翼「ちょ!?やめてってば!」

頬をつつく奏とそれから逃げる翼

 『もしあの時…明日夢先生が居なかったら…そう考えただけで

  ゾッとする……だから、失いたくないから。』

奏「?もしも~し?お~い?」

急に動かなくなった翼の前で手を振る奏 しばらくして諦めたのか自分の椅子に

座り直した

 「それにしても、先生のお陰で今じゃLINKER無しでも戦えるように

  なったぜ。」

今の彼女が言った事は1年前のあることがきっかけだった

 

明日夢は医師として奏の負担を減らそうと何か手立てを考えた そしてそれは

鬼の技術へと行きついた 元々鬼はそれぞれの属性を司るまでに至っている

そして、明日夢が行きついた答えが

『五感でギアのエネルギーを感じ、それを気力でコントロール』する

と言う物だった 最初は荒唐無稽な話に思われたが

試してみた所、効果が表れ始めた 基準値を下回るとはいえ、

奏は適合係数がある為、五感でギアが発する『音』のような物を捉え、

それに自身を同調させる、という方法を見出した 

無論負担が0と言うわけでは無い 鬼が体力以前に気力で姿を

コントロールするように、奏も気力でギアをコントロールしないと

すぐに装着が解除されてしまう またLINKERとは違い

気力、精神力をかなり消費するため、最初はダメかと思われたが

戦いを重ねるうちに、奏のギアの使用時間が伸び始めた 

奏曰く『なんかだんだんギアの使い方がわかって来た気がするんだよね~』

との事

 

最近ではLINKERの投与を抑えつつ、気力でギアと適合しながら

戦闘に参加する機会が増えて行った  

もっとも、何故気力で装着をカバーできるかは本人もあまり理解しておらず、

彼女曰く『自分とギアを繋ぐ線みたいなものができてきたみたい』との事

その『線』と言うのが彼女の気力なのか、それともその線の繋がりを強くするのが

彼女の気力なのか、細かい事は何もわかってはいなかった

それでもLINKERの投与を抑えられるため、弦十郎はその方法を

使う事にした

LINKERは確かに適合係数が基準値以下の奏にギアを装着させる事には

成功しているが、同時にその反動もまた、彼女の寿命を縮めていたのだった

だからこそ、LINKERに頼らない装着は彼女の為にもなるのだった

 

明日夢「まぁ、偶然見つかった方法だし、判らない事だらけだし、

    実際、今度は気力の面で奏ちゃんに負担を掛ける事になってるのは

    事実だしね。褒められた事じゃないよ。」

奏「謙遜するね~……先生にはさ、ホントに感謝してるよ。

  もし、先生が居なかったら、私は2年前に死んでた。」

その言葉を聞いて翼もハッとなった

 「けどさ…先生が居てくれたから、私は生きてる……LINKERに

  頼らない戦い方も見つけられそうだ…ホントに、ありがとな。先生。」

それを聞いて頬をかく明日夢

 「あ!ひょっとして先生照れてるのか?」

明日夢「ま、まぁ…そんな所。」

奏「おうおう!かわいい先生だね~!」

明日夢「こら!年上をからかうんじゃない!」

奏「きゃ~、先生が怒った~助けて翼~(棒読み)」

翼「え!?私!?」

その様子を見て、あおいは笑っていた 

それが、今を生きる3人の姿だった そして4人目の目覚めもまた、

近づいていた

 

その翌日の朝

響は友人の『小日向未来』と朝食を取りながら話をしていた

その時

生徒「見て。翼先輩と奏先輩よ。」

リディアンが誇る現役歌手である翼と奏がやってきた

奏「おはようさん。」

生徒「お、おはようございます!」

奏「しっかり食べなよ。歌は元気が無いといけないからな。」

生徒「は、はい!」

奏「じゃあな~」

それだけ言うと奏と翼は食堂を後にした そしてその姿を響は

ずっと見ていた まるで、何か言いたい事があるかのように

 

街にツヴァイウィングの特典付きのCDを一人で買いに来ていた響

だが、コンビニの前にたどり着いた響が見たのは、降り積もったかのような

灰の山  それが意味するのは

響「ノイズ!?」

その時

少女「いやあぁぁぁ!」

何処からか少女の悲鳴が聞こえて来た 

 

一方二課の司令部に入って来た奏と翼

奏「奴らか!?場所は!?」

弦十郎「今特定している所だ。少し待て。」

奏「そうかよ……ん?先生は?」

了子「明日夢君なら、ディスクアニマルを引き連れて町に出て行ったわよ。」

奏「何だってぇ!?」

 

その頃、ノイズに襲われていた少女の手を引いて逃げる響 

だが、路地を抜けた途端、左右をノイズに挟まれた

少女「お姉ちゃん……」

響「大丈夫だよ。お姉ちゃんが付いてるから…」

その時、空から飛来した何かがノイズを攻撃し始めた 

それを見た響はチャンスとばかりに川に飛び込み、反対側へと泳いで渡った

少女を岸に上げながら振り返った時、響が見たのは、赤い鳥だった

 『あの鳥…確か2年前にも…』

そんな事を思いながら響は少女を連れて必死に逃げた

 

その頃、2匹1組でディスクアニマルにノイズの捜索をさせていた明日夢

そんな彼の下に1匹のアカネタカが戻って来た

音叉を使ってアカネタカに録音された音を聞いていた

やがてそこに録音されていたのは、ノイズが移動に際に発する擬音と

少女の悲鳴だった

明日夢「あたりだ!案内して!」

再びアニマルモードにしたアカネタカに道案内をさせ、先を急ぐ

明日夢 

 

その頃、逃げる響と少女は工業地帯に逃げ込んでいた

響「ハァ…ハァ…シェルターから遠ざかっちゃった…うわっ!?」

息も上がり、おんぶしていた少女と一緒にこけてしまった響

その後ろには、すでにノイズが迫っていた

一度は絶望の色が浮かべる響だったが、

かつて奏より受け取った言葉 『生きる事を諦めるな!』

という言葉がよぎった 再び少女を抱え、走り出す響

響『あの日私は…力強い歌と音に助けられたから、生きてるんだ……

  だから、諦めない!何が何でも生きる!』

長いはしごを登り切って、屋上に倒れる響と少女

少女「私達……死んじゃうの?」

その問いに、体を起こした響は首を横に振った だが、振り返った

響が見たのは、すでに屋上に20を超える数のノイズだった

咄嗟に少女を抱きかかえる響 じりじりと近づいてくるノイズ

響『私に、出来る事は…私に、出来る事があるはず!』

 「生きる事を、諦めないで!」

そう叫んだ瞬間、彼女の中で何かが目覚めた

 「♪~♪~」

そして、何故か聖詠を詠い始める響 それは、奏と同じ音色だった

次の瞬間、響の胸から光が溢れた

 

そしてそれは、二課の司令室でも確認されていた

弦十郎「バカな!?ガングニールだと!?」

奏「私のこれ以外に、あれの聖遺物があるってのか!?」

画面に出た、アウフヴァッヘン波形と言う波形から特定されたギアは

奏と同じ『ガングニール』だった 

その事実に驚く弦十郎や了子、翼、奏、オペレーターたち

だが、現に、今この時、第二のガングニールが覚醒した

 

光に包まれ、細胞が変化し、奏と似た姿へと変わっていく響

響「ふぇぇ!?何これ!?私、どうなっちゃってるの!?」

ノイズを前に、驚くことしかできない響 

少女「お姉ちゃん、かっこいい~!」

輝く瞳で響を見つめる少女

と、その時 

   『ガガガン!』

何処からともなく銃声がして、ノイズを打ち抜いた

驚いて銃声がした方を向く響と少女 隣の建物の屋上

そこには、音撃管を持った明日夢の姿があった 

明日夢は助走をつけると、2メートルはある響達の建物と自分の建物の間を

跳躍した

着地の瞬間に前転して衝撃を和らげてからノイズを睨み、

音撃管のバースト射撃でノイズを蹴散らしていく明日夢

それを見た響は

響「明日夢、先生……どうして?」

明日夢「話は後!今はとにかく逃げて!」

そう言いながら明日夢はポケットから音叉を取り出した

音叉を振って立て、それを左手首に軽く打ち付けた

   『キイィィィィン』

澄んだ音の波動が辺りに響く 

響『この音……2年前と同じ……あの時の…』

音叉を額に当てる明日夢 すると額に鬼の顔が現れ、紫の炎が明日夢を包んだ

明日夢「……はあぁぁぁぁ……たあっ!」

腕を振って炎を払い、鬼の姿へと変身する明日夢

響「嘘……先生が、変身、した……」

少女「お兄ちゃんもかっこいい!」

音撃管でノイズを牽制している明日夢

明日夢「響ちゃん!すぐに逃げるよ!」

響「えぇ!?でもどうやって……」

明日夢「…ゴメン、これ持ってて。」

手に持っていた音撃管を響に投げる明日夢 彼はそのまま腰の音撃棒を

取り出した

   「鬼棒術!烈火弾!はぁっ!」

ヒビキの持つ音撃棒が振られるのと同時に大きな火炎の球がノイズを薙ぎ払っていた

   「今なら!」

音撃棒を腰に戻して、右に響を 左に少女を抱えて建物から飛び降りる明日夢

響「うぅぅそぉぉぉ!?」 

響が絶叫する中、地面にクレーターを作って何とか着地する

明日夢「大丈夫?」

響「は、はい~」

少女「何とか…」

だが、安心する間もなく上空から明日夢達の後を追って降下してくるノイズの群れ

明日夢「くっ!?」

咄嗟に二人を抱えたまま横に飛んで回避する明日夢 

   『二人を守りながら戦うのは、かなりきつい!どうする!?』

自問自答していたその時

翼・奏「「♪~♪~」」

何処からともなく2台のバイクが走って来て、ノイズを蹴散らしながら

こちらに向かって来た 3人の前に止まるバイクに跨っていた2人

それはギアを纏った翼と奏だった

奏「お待たせ先生!」

翼「後は私達が!」

明日夢「任せた!」

奏「おっしゃあ!行くぜ!」

バイクから飛び降りて、各々の武器を使いノイズを蹴散らしていく奏と翼

響「す、すごい…」

少女「……あぁ!」

その時、響と少女、明日夢の後ろに巨大なノイズが迫っていた

明日夢「こいつ!…はあっ!」

音撃管でノイズの片手を吹き飛ばし、四つん這いだったノイズを転倒させた

そのままノイズの背中に飛び乗り、音撃鼓を取り付けた

一気に巨大化する音撃鼓

   「はあぁぁぁ!……たあっ!」

   『ドンドンドドンドドンドドドン!』

音撃棒の連打で清めの音を叩き込んでいく明日夢ヒビキ 

   「これで、トドメ!」

   『ドドン!』

最後に大きく音撃鼓を叩くと、ノイズは炭の塊となって瓦解した

着地した明日夢を輝く目で見上げる少女と響

と、そこに小型ノイズを片づけた奏達がやって来た

奏「お疲れさん、先生。」

明日夢「助かったよ。おかげであの子達を守れた。」

翼「勇敢と無謀は違いますよ?」

明日夢「アハハ…肝に銘じておきます…」

やがてやって来た処理班によって、炭になったノイズたちの処理が始まった

無事保護された事に少し安堵した響はオペレーターらしき女性から

飲み物を渡された

女性「温かい物です。どうぞ。」

響「あ、温かい物、どうも。」

ギアを纏ったまま、両手で受け取った飲み物を飲む響

すると今までの緊張が途切れたのか、急に響の体が光り始めた

装着が解除され、後ろに倒れそうになる響

それを後ろに現れた明日夢が受け止めた

明日夢「ふぅ、大丈夫?」

響「先生……あ!ありがとうございました!助けてもらって……」

明日夢「気にしないで良いよ。それより、大丈夫だった?何処か怪我はない?」

響「は、はい!おかげ様で何もなく!」

明日夢「そうか……よく頑張ったね。」

その時、響の頭にフラッシュバックする声 

   『生きる事を諦めるな。』

あの時聞こえた同じセリフ あの時、明日夢が奏に向けた言葉は、響にも

届いていたのだった 

響「あ、あの、先生…」

明日夢「ん?何?」

響「じ、実は、先生に聞きたい事が…」

と、その時、

少女「ママ!」

どうやら響と一緒に逃げていた少女が母親と再会したようである

だが、すぐ隣にいたオペレーターが何やら事務的な口調で色々と言い始めた

それに呆気にとられる母子

明日夢「あ~仕方ない。」

明日夢は少女の前に膝立ちになってから、オペレーターの女性に変わって説明を始めた

   「君はさ、さっき見た事を、覚えてる?僕と、あのお姉ちゃんの事。」

少女「うん!覚えてるよ!二人ともかっこよかった!」

明日夢「ありがとう……でも、それは僕達だけの秘密にしたいんだ。

    でないと、君にも、僕達にも、とても困った事になるんだ。

    だから、この事を他の人には話さないでほしいんだ。できるかな?」

少女「うん!約束する!」

それを聞いた明日夢は視線を少女から母親に移した

明日夢「すみません。詳しい事はお話できませんが、この子は国の

    機密に関わる事を見てしまったんです。お手数ですが、

    あなた達親子には、発言に関わる制限が付くことになります。」

母親「あ、あの、それって一体…」

明日夢「ご心配するほどの事ではありません。しいて言うなら、

    この子が今回見聞きした事を外の誰かに話さないように、

    いつも以上に気を使ってあげて下さい。それだけですから。」

と、丁寧に説明する明日夢だった

響「あ、じゃあ私もこれで~」

と言って立ち去ろうとした響だったが

奏「おっと、あんたには、来てもらう所があるぜ。」

と、響の肩を奏が掴んで止めた

響「あ、あなたは!ツヴァイウィングの奏さん!?」

奏「そういう事、こんなアイドルの誘いなんてめったに無いんだからさ、

  来ないと損だよ?」

響「え?でも、私……」

その時、ガチャンと音がして、響の手首に重厚な手錠が掛けられた

響「え?えぇ!?」

緒川「すみませんが、ご足労をお願いします。」

奏「そういう事。大人しく付いて来な。」

その後、黒服の男たちに連行される響だった

響「何でぇぇぇぇ!!??」

無慈悲にも、響の問いに答えられる相手は居なかった

 

夜のリディアンへとやって来た一行

 「あの、何でリディアンに?」

明日夢「詳しい話は僕達の基地でね。…とにかく付いて来て。」

エレベーターに乗り込む、響、明日夢、奏、翼、緒川

緒川が持っていた端末を翳すと、エレベーターの入口が重厚な扉にロックされ、

壁から取っ手が出て来た

響「な、何これ…」

明日夢「あ、響ちゃん、ちゃんと取っ手に掴まった方が良いよ。

    かなりの速度で移動するから。」

響「え?えぇ?」

奏「しっかり掴まってないと、怪我するぜ。ジェットコースターみたいだからな。」

響「は、はぁ。」

響が近くの取ってを掴んだ瞬間、すごい勢いでエレベーターが降下し始めた

 「ああぁぁぁぁぁ!」

奏「あははは!だから言っただろう!ジェットコースターみたいだって!」

やがて、エレベーターは不思議な模様が描かれた外壁をさらに降下していった

やがて明日夢達に連れられて響がやって来た部屋では

   『パン!パン!』

と、盛大に音を立ててクラッカーが鳴っていた 

弦十郎「ようこそ!人類守護の砦!特異災害対策機動部二課へ!」

魔術師のような帽子を被った弦十郎が現れた

 

その様子にポカーンとする響 額に手を当てる翼 おなかを抱えて笑う奏

苦笑する緒川 やっぱりこうなったかと言わんばかりにため息をつく明日夢

と、そこに了子が近づいて来て響とツーショット写真を撮ろうとするが

手錠をされた状態では嫌だと言う響

さらに素性がバレている事や響のカバンを了子が持っている事などで

色々てんやわんやな事が続いた その後、自己紹介を始めるメンバーたち

 

弦十郎「先ずは俺からだな。俺は風鳴弦十郎、ここの責任者をしている。」

了子「そして私は出来る女と評判の櫻井了子、よろしくね。」

響「あ、はい。こちらこそよろしくお願いします。」

弦十郎「君をここに呼んだのは、君に協力を要請したいからなんだ。」

響「協力って?」

その時、彼女は先ほどの戦いの事を思い出していた

 「そうだ…教えてください…私がああなった理由を…」

それを聞いて顔を見合わせる弦十郎と了子

了子「あなたの質問に答えるためにも…2つばかりお願いがあるの。

   一つは今日の事は誰にも内緒…もう一つは…とりあえず、

   脱いでもらいましょうか。」

と言う彼女の声を聴いた響は

響「だから…何でえぇぇぇ!?」

涙目のまま叫んだ

 

その日の夜遅くに自室に戻った響 

同室の未来に心配されながらも、未来を自分の『陽だまり』と言う響だった

 

やがて翌日の放課後、オレンジ色に染まった教室にただ一人残っていた響

そこに

明日夢「ゴメンね。待たせちゃったみたいで。」

白衣姿の明日夢が現れた

響「明日夢先生……いえ、大丈夫です。」

明日夢「それじゃ、悪いけどまた本部まで来てほしいんだ。」

響「はい……」

明日夢の後に付いて行き、再び二課にやってくる響

 

そこには弦十郎、了子と奏、翼が待っていた

明日夢「それじゃ、昨日の君のメディカルチェックの結果だけど…

    ある一部を除いて響ちゃんの体は正常だったよ。」

響「『一部を除いて』、ですか。…ひょっとして…」

明日夢「そう。その一部が君の先日の事に関係しているんだ……

    順を追って説明するね。奏ちゃん、翼ちゃん。見せてあげて。」

奏「あいよ。」

翼「…はい。」

そう言って二人が服の下から取り出したのは、首から下げていた何かだった

弦十郎「翼が持っているのが『天羽々斬』、第一号聖遺物…奏の持つのが

    同じく第三号聖遺物の『ガングニール』だ。」

響「聖、遺物?」

了子「聖遺物とは、各地の伝承に登場する現代では製造不可能な異端の技術の

   結晶の事で、本来は遺跡などから発掘されるんだけど、経年による

   欠損が著しくてかつての力を秘めたままの物はホントに希少なの。」

弦十郎「この、天羽々斬も、ガングニールも、剣や槍のごく一部に過ぎない。」

了子「欠片にほんの少し残った力を増幅して解き放つ鍵が特定振幅の波動なの。」

響「波動?」

弦十郎「わかりやすく言えば、それは歌の事だ。」

了子「歌の力で起動し、エネルギーで聖遺物を物質変換した物が、あの時響ちゃんが  

   着ていた鎧、アンチノイズプロテクター…シンフォギアなの。」

明日夢「そして今現在ノイズに対してまともに戦えるのは、

    そのシンフォギアを起動できる人、つまり奏ちゃんと翼ちゃんだけなんだ。」

響「そうなんですか……あれ?」

それを聞いて疑問に思い当たる響

 「そう言えばあの時、明日夢先生も戦ってましたよね。あれも

  その、シンフォギアなんですか?」

弦十郎「いや。明日夢の持つ力はギアとは別物だ。」

響「別物?」

弦十郎「今現在俺達が把握しているノイズに対抗できる戦力は2つだ。

    一つは今話した聖遺物によるシンフォギア…そしてもう一つが

    鬼、と呼ばれる存在だ。明日夢のあれがその鬼だ。」

 

響「鬼?それってあの、童話に出て来るような赤鬼とか青鬼みたいな?」

明日夢「ちょっと違うかな?…鬼って言うのは、古来から日本に存在する

    魔化魍っていう化け物と戦う事を使命にした人達の事なんだ。」

響「それって、ノイズ以外にも化け物が居るって事ですか?大変じゃない

  ですか。」

弦十郎「だが、はっきり言って魔化魍とノイズ、その被害の死傷者は

    ノイズの方が圧倒的に多い…そう言う意味ではノイズは

    魔化魍以上に危険な存在…と言うより、魔化魍と

    戦う鬼たちが優秀な証拠、とでも言うべきか。」

響「でも、だったら何でその、魔化魍と戦う明日夢先生がノイズと戦ってる

  んですか?」

明日夢「僕が初めて鬼になったのは、あの2年前ノイズとの闘いの時だったんだ。」

響「え?」

明日夢「鬼との出会いは、今でも覚えてるよ。僕が響ちゃん位の歳の時、訳有って

    屋久島に行ったんだ…そこで、魔化魍に襲われた僕を助けてくれた

    のが、ヒビキさんって言う鬼だったんだ。」

響「ヒビキ…私と同じ名前…」

明日夢「それ以来僕は、一度はそのヒビキさんに弟子入りして鬼になる事を

    目指したんだ……けど、鬼だけが人を守る仕事じゃないって

    思った僕は医者になった……そして…」

弦十郎「シンフォギア以外でノイズに対抗できる鬼の存在を知った俺は

    鬼たちをスカウトに行った。だが結果はNOだった。

    彼らにもやる事があるのだろう…その代わり、と言っては何だが、

    腕の良い医者として明日夢を紹介してもらったんだ。」

明日夢「僕は3年前にこの二課に医師として配属されたんだ。

    そしてその時、鬼を支援する組織『猛士』の人からこの音叉と

    これを貰ったんだ。」

そう言って取り出したのは銀色のディスクだった

響「それって…」

明日夢「これはね。ディスクアニマルって言うんだ。」

音叉を起動し、銀色のディスクに当てて、宙に投げる

すると銀だった色が赤に変わり、アカネタカに変形した

響「うわわ!……あ、この鳥って…昨日、私達を助けてくれた…」

やがて、部屋の中を旋回したアカネタカは響の肩にとまった

そのアカネタカの頭を指で撫でる響  

弦十郎「さて、では話を戻そう。我々は聖遺物を起動しえる人間、つまり

    奏達を適合者と呼んでいる…そして君は、その三人目だ。」

響「で、でも、どうしてその聖遺物を持ってない私が…」

その時、響の横に彼女自身のカルテが映し出された 

明日夢「一部を除いて正常ってさっき言ったけど、その一部と言うのが、

    これなんだ……響ちゃんの心臓に食い込んだ…2年前の戦いの時、

飛び散った奏ちゃんのギア、ガングニールの破片。それが響ちゃんの

中にあるんだ。」

奏「あの時のか!?」

明日夢「そう。砕けた鎧の欠片が、新たな鎧を形作った。とでも言えば良いのかな。

    …それで、弦十郎さん、今後響ちゃんをどうするつもりですか?」

弦十郎「うむ……立花響君。」

響「は、はい!」

弦十郎「我々二課は、改めて君に協力を要請したい。君が宿したシンフォギアの力で

    対ノイズ戦に参加してほしい。」

それを聞いて悩む響

明日夢「響ちゃん。これは強制じゃない。怖いからと言って逃げても、

    誰も責めたりはしない。」

響「先生……」

明日夢「これは、命を懸けた戦いなんだ。自分でよく考えてほしい。」

響「………私は、この力で、誰かを守れるんですよね?」

弦十郎「あぁ。」

響「…私!やります!」

戦う決意をする響だったが、明日夢の表情は暗かった

明日夢『これで、良かったのか?』

 

その時サイレンの音が響いた

弦十郎「司令室!どうした!?」

朔也『ノイズの出現を確認しました!』

弦十郎が叫ぶと、6人がいる部屋の壁にディスプレイが映し出された

弦十郎「では、一課にこの件は我々二課が請け負う旨を伝えろ!」

あおい『出現位置特定!ッ!リディアンより距離200!』

弦十郎「近いな!」

翼「迎え撃ちます!」

奏「よっしゃあ!行くぜ!」

そう言うと奏と翼は飛び出して行った

それを見て、後を追おうとする響

明日夢「待って。君はダメだ。」

響「行きます!私だって!誰かのために戦えるなら!だから行きます!」

明日夢「待って!」

明日夢の制止も効かずに奏達の後を追う響

朔也『良いじゃないか。本人もやる気なんだし。』

明日夢「良くありませんよ!……戦いは、自分自身との闘いなんです!

    それを…」

弦十郎「明日夢の気持ちはわかる。…昨日まで普通の生活をしていた

    少女が、『誰かを守りたい』。ホントにそれだけの理由で、折れない闘志を持てるか、

    どうかと言う事だ。」

明日夢「……とにかく。僕は響ちゃん達を追います!」

弦十郎「わかった。」

 

その後、路地の上に立つ奏と翼 するとその前に集まったノイズたちが

融合して一体の大きな個体になった

奏「へ!デカくなったからって…私達には勝てないぜ!行くぞ!翼!」

翼「えぇ!」

奏・翼「「♪~♪~」」

聖詠を詠い、ギアを身に纏う二人

そこに、背中から生えた羽のような物を回転させながら放ってくるノイズ

 

左右に分かれて飛んだ二人にまとわりつくが翼は脚部のブレードを展開し、

ブレイクダンスの要領で回転しながら羽を切り裂き、奏は槍を高速回転させて

盾にして羽を弾いた

 

と、その時

響「あちょおぉぉぉぉ!」

奏と同じような、オレンジ色のギアを纏った響が現れ、横から中型ノイズを

蹴飛ばし、バランスを崩した

 「翼さん!奏さん!」

それを好機と捉えた二人が攻撃を放つ

奏は『STARDUST∞FOTON』を

翼は『蒼ノ一閃』を、それぞれ放ち、中型ノイズを撃破した

 

爆炎の残る道路に着地する奏と翼、そこにバイクで走ってきた明日夢と

奏と似たような姿の響が走ってきた

響「翼さん!奏さん!それに先生も!

  私、未熟かもしれませんけど、みんなを守るために一生懸命

  戦います!だから、私も一緒に戦わせてください!」

そう言って笑みを浮かべる響と対照的に…3人は渋い顔をしていた

そして……その内の一人、奏が響に近づいて行って……

響「奏さん!一緒に戦いましょう!ノイズからたくさんの人を守るために―――」

奏「いやだね。」

響「え?」

そう言って響をにらみつけ……

奏「戦場で笑う奴なんかと一緒に戦えるか。」

静かにそう告げ、響の横を通り過ぎていく奏 翼もそれに続き…

翼「戦場は遊び場ではないわ。怪我をする前に、大人しく帰りなさい。」

そう言って響の横を通り過ぎて、奏の後を追った

残された明日夢は……

明日夢「響ちゃん。何度でも言う。もう一度、よく考えるんだ。

    戦うことが君の望みなのか、本当にそれで良いのか。

    戦う事の意味を、もう少し考えてほしいんだ。」

そう言って、バイクのエンジンを再起動してから、上げていたヘルメットの

フェイスガードを下ろし、奏たちのように響の横を通り過ぎていく明日夢だった

 

鎧を受け継いだ少女は戦いを望み、防人たちはその少女の姿勢を否定した

彼女が、防人たちに認められる日が来るのだろうか?

    第2話 END

 

 




それで、アイデアなのですが、自分は作中で奏を鬼にするかを
迷っています。コメント次第では奏が一度戦線から離脱して
鬼となる修行をするか、それとも今後ともガングニール奏者として
やっていくか、意見があったらコメントください。
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