戦姫絶唱シンフォギア 戦姫と音撃戦士   作:ユウキ003

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今回は第4話です。オリジナル派生の内容です。


第4話 「鬼の覚悟」

――前回までのあらすじ――

シンフォギアを纏う者、『奏者』としてノイズと戦う事に志願した。

立花響。しかし、未だに彼女が戦う事に懐疑的な明日夢、奏、翼の

3人。そんな中で、弦十郎達は奏を奏者ではなく鬼とするために

彼女を鬼の支援組織である『猛士』へと預ける事となった。

だが、奏が抜けた穴を狙うかのようにノイズと、2年前の

ライブの時の事件によって消失した完全聖遺物、『ネフシュタンの鎧』

を纏った謎の人物が響、明日夢、翼の前に現れたのだった。

 

 

~~数年前~~

私は最初、明日夢先生をただの医師だと思っていた。

最初はごく普通の何処にでもいる医師の一人だと思っていた。でも、違った。

あの人は私や奏を、防人として戦う私たちの事を一番に考えてくれていた。

でも、私にはそれが、ただ私たちと親しくなりたいと言うスケベ心なん

じゃないかと思っていた。でも、違った。

 

ある戦いのとき、私は不注意のせいでノイズの攻撃を喰らい、右腕を

怪我したことがあった。

ノイズから隠れ、路地裏に翼を運び込んだ奏。

奏「翼!大丈夫か!?」

翼「何とか……。でも、これくらいなら…ッ!」

立ち上がろうとしたが、右腕の傷は想像以上に深く、痛みで

立ちくらみを起こす翼

奏「翼!しっかりしろ!」

咄嗟に倒れそうな翼を抱き留め、近くの壁際に座らせる奏。

 「クソ!あたしじゃ怪我の治療なんてできないし……早くしないと

  ノイズ達に見つかっちまう。どうすれば……」

と、その時。

明日夢「奏ちゃん!翼ちゃん!」

路地の中、暗がりの方から白衣姿の明日夢が走ってきて二人に駆け寄った。

奏「せ、先生!?何でこんな所に!?」

明日夢「翼ちゃんが負傷したって聞いたから、医療道具一式を

    持ってきたんだ。それより、早く傷の手当をしないと」

翼「ダメです。早く逃げてください。防人ではない先生では、

ノイズに触れられただけで死んでしまいます」

明日夢「……そんな事、関係ない」

そう言いながら消毒液や包帯を持っていた鞄から取り出す明日夢。

翼「え?」

対して、翼は疑問符を漏らした。

明日夢「僕は医者だ。目の前にいるけが人を放って逃げられるわけがない。

    例えどこだろうと、周りに何が居ようと、絶対に怪我人を

    見捨てて逃げたりなんてしない」

翼「明日夢、先生」

明日夢「奏ちゃん」

奏「お、おう。何だ?」

明日夢「1分で良い。外を見張ってて欲しいんだ。その間に

    応急処置をする」

奏「わ、わかった」

そう言って、奏は近くに置いてあったアームドギアを持ち、外の様子を

窺い始めた。

 

その間に翼の傷口を拭いて血を拭い、消毒をしてから包帯を巻きつけた。

その手際は早く、翼を驚かせた。そして何より、普段は翼や奏に

笑いかけてくれる顔が、今は口を横一文字に閉じて一心不乱に

翼を治療していた。

その表情を見て、翼は彼に対する印象をガラリと変えたのだった。

明日夢「……。よし、これで応急処置はできた」

翼「あ、ありがとう、ございます。先生」

明日夢「気にしないで。それより、ノイズがまだ残ってる。右腕の

    傷の応急処置はできたけど、戦闘には耐えられないかも

    しれない。剣を振るう時は左手を使った方が良いよ。下手に

    右腕を使えば傷が開いて最悪、出血多量で動けなくなる

    可能性がある。それと、腕に負担を掛ける逆羅刹も禁止だ。

もう一度言うけど、下手に右手に負荷をかけると一気に傷が開く。

気を付けて」

翼「は、はい」

奏「翼!先生!奴らが来たぞ!」

と、その時、外を見張っていた奏が叫んだ。

翼「私はもう大丈夫!行こう、奏!」

奏「おう!」

路地から飛び出した二人は、ノイズの集団に向かって飛び込んでいった。

 

これ以降、翼は明日夢を信頼するようになったのだった。

 

 

時間は戻って現在。

今、ギアを纏った翼と響、明日夢の3人が完全聖遺物、『ネフシュタンの鎧』を

纏った謎の少女と相対していた。

響「な、何ですかあれ!?あれも、シンフォギアなんですか?」

明日夢「あれは、完全聖遺物第4号ネフシュタンの鎧。

    破片である翼ちゃんの天羽々斬や奏ちゃんのガングニールとは

    違って、デュランダルと同じ完全な状態で発掘された聖遺物の事だよ」

???「へ~?あんたら、この鎧の事知ってんだ」

明日夢「2年前、ツヴァイウィングのライブの際に起きたノイズの襲撃

    事件の際に紛失したことになっていたけど……」

翼「忘れるものか。私達の不始末で失い、そして、一度は失いかけた

  あの日の事を!」

今、翼の心にあるのは奏を失っていたかもしれない未来の事。

 『私が無力であったがゆえに、あの日先生がいなければ私は

  大切な友を失っていた。そして、力がない故にあの鎧を

  奪われた。もう、何人たりとも奪わせはしない!』

そう思った次の瞬間、翼は歌いながらアームドギアを巨大な

太刀へと変化させた。と、その時。

響「やめてください翼さん!相手は人です!同じ人間です!」

翼・??「「戦場で何をバカ事を!!」」

と、見事にはもってしまった翼と、ネフシュタンの鎧の少女。

翼「むしろ、あなたと気が合いそうね」

???「だったら仲良くじゃれ合うかい!」

そう言いながら鎧の少女は紫色の鎖にも似た鞭を打ち付けて来た。

明日夢「響ちゃん!」

咄嗟に離脱した翼と、危うく攻撃を受けそうになった響を

抱えて飛ぶ明日夢。

 

   『戦うしか、ないのか』

響を抱えながら、明日夢もまた、彼女と同じように人間同士が戦う事には

疑問を抱いていた。明日夢は、鬼は、人を厄災から守る力であって、

人間を倒すための力ではない。明日夢はその事を理解しているからこそ、

あのネフシュタンの鎧の少女と戦う事を悩んでいた。

 

と、その時。謎の少女と戦っていた翼が腹部を蹴飛ばされ、吹き飛んだ。

???「ネフシュタンの力だなんて思わないでくれよなぁ。

    私の天辺は、まだまだこんなもんじゃねえぞ!」

と、鎧から伸びている紫色の鞭で追撃する少女。しかし。

   『ガガガン!』

咄嗟に明日夢の放った音撃管の銃撃が少女の手に当たり、鞭の軌道がずれた。

鞭は翼の数メートル横の地面に突き刺さった。

   「ちっ!ギアを纏えもしない男が、邪魔すんじゃねえよ!」

と、怒りを露にしてターゲットを明日夢に変更する少女。

鞭の連打が明日夢に襲い掛かるが、それを全て避けるか炎を纏った音撃棒で

弾く明日夢。

   「ちょろちょろ逃げ回るだけの、その程度かよ!来いよ!

    それとも、そこのあまちゃんみたいに人は撃てないってか!!」

明日夢「………」

???「どうしたどうした!ビビッて声も出ねえのか!!」

ただ回避と防御を行う明日夢を挑発する少女。だが。

唐突に、鎧の少女の背後から無数の剣の雨が降り注ぎ、咄嗟にそれを回避する少女。

   「ちっ!」

翼「先生にかまけて、私を忘れてもらっては困るな!」

???「うるせぇっ!端からテメェらに用なんてないんだよ!」

すると、鎧の少女は腰元から弓とも杖とも取れるような物を取り出した。

その杖らしき物から緑色の光が発せられた。すると、響の近くに

縦長のノイズが4体現れ、粘着質のような物質で響の動きを封じた。

響「う、動けない」

 

明日夢「ッ!ノイズを召喚した!?」

???「そうさ!こいつは≪ソロモンの杖≫!そして、私の目的は

    そこの女って訳さ!」

そう言って響を指さす少女。

   「さてと、そんじゃ、頂いてくぜ」

明日夢と翼に背を向け、響の方に少女は向き直った。

 

次の瞬間、明日夢は駆け出した。そして……。

   「はっ!バカはバカらしく、感情的になりやすいなぁっ!」

振り向きざまに紫色の鞭を振るう少女。だが、明日夢はそれを飛び越え、少女の

後ろに着地すると、その少女を羽交い絞めにした。

明日夢「翼ちゃん!今の内に響ちゃんを!」

翼「しかし!」

???「ちっ!男が私に触るなぁっ!」

明日夢の拘束を振りほどこうと、彼の脇腹に肘鉄を喰らわせる少女。

明日夢「ぐっ!!」

翼「先生!」

明日夢「僕に構わず響ちゃんを!早く!」

翼「ッ!はい!」

そう言って駆け出した翼は、瞬く間に響を押さえていたノイズ4体を切り裂いた。

だが…。

 

明日夢「ッ!ぐぅっ!」

少女を押さえつけている明日夢の首に鞭が絡みつき、彼の首を締め上げている。

???「おらおら!その腕を離さねえと首の骨をへし折っちまうぜ!」

   ≪もっとも、離した瞬間にもへし折っちまうけどな≫

明日夢「……もんか」

???「あぁ?」

明日夢「ッ!翼ちゃん!僕事この子を倒せ!」

???・翼「「なっ!?」」

明日夢「この子の持つ杖を回収できればノイズの戦いを終わらせられる

    かもしれない!」

翼「ですがっ!!」

明日夢「僕に構わずにやるんだ!それが、防人なんだ!!」

???「わかってるのか!お前自分で何を言ってるのか!」

明日夢「今の僕は鬼だ!鬼の使命は、人間を守る事だっ!!」

今、首だけを動かして鬼としての明日夢の顔を見ている少女。

その仮面の奥の瞳に宿るには、鬼としての勇気と、自分が傷ついてでも、

戦いを終わらせたいという覚悟が宿っていた。そのために明日夢は戦う。

一日でも早く、ノイズとの戦いを終わらせるために。

そして彼女の目には、明日夢の背後に阿修羅のようなオーラが見えていた。

 

???≪何なんだよこいつの覇気は!?≫

明日夢「翼ちゃん!早く!」

翼「ッ!!」

明日夢「撃てぇぇぇっ!翼ぁぁぁぁぁっ!!」

翼「ッ!!!うああぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

叫びながら放たれた翼の≪蒼ノ一閃≫が明日夢と少女の居る地点に命中した。

 

2人が立っていた場所が爆炎に包まれ、そこに駆け寄る翼と響。

その時、煙の中から鎧の少女が飛び出してきて、翼たちを憎々し気に

睨んでから夜空へと飛んで去って行った。

 

翼「……。ㇵッ!先生!」

少女の背中を見送ってから、煙の中央に向かう翼。

そこで彼女が見たのは、血だらけのまま倒れていた明日夢だった。

 「先生!しっかりしてください!先生!」

そこへ、今度は弦十郎達が駆け付けた。

 

しかし、響の耳には翼や弦十郎の声は届いていなかった。

今、目の前に多くの血を流した人がいるからだ。そして……。

響「明日夢さぁぁぁぁんっ!!」

暗い夜の空に少女の絶叫が響いた。

 

 

それから数十分後。

明日夢は弦十郎達の手によって明日夢は病院へと運ばれた。

医師「幸い、一命は取り留めました。内蔵等にも目立った傷はありません。

   しかし、だからと言って無傷と言うわけでもありません。

   骨の一部にはヒビも入っていました。数週間もすれば日常生活に

   支障は出ない程度に回復するでしょうが、戦闘はまず無理でしょう」

弦十郎「そうですか。……明日夢の事、よろしくお願いします」

その後、弦十郎達はあの鎧の少女の探索に乗り出した。

 

一方で、手術室の近くの休憩ルームに座り込んでいる響。

翼「これでわかったでしょう。防人と言う存在が、どう言うものか」

響「………」

翼「先生は、戦いを終わらせるために戦っている。それは、私達子供に

  平和な未来を残したいからだ。先生はそのために戦い、傷つく事を

  恐れない。そして私も、一振りの剣として戦っている。

  だが、お前は何のために戦う?立花響」

響「私は……」

翼「もう一度、よく考えてみなさい。自分が本当に戦えるのかどうか」

そう言うと、翼は去って行った。そして、その場に一人残された響は

静かに涙を流すのだった。

 

 

そして、数日後。響は弦十郎達から話しを聞いていた。

そんな中で、弦十郎は自分の責任だと言って泣く響に明日夢の事を話し出した。

弦十郎「あれは、明日夢がまだ二課に来たばかりの頃だった。俺は明日夢に

    どうして医師になったのかを聞いた。あいつはこういった」

 

明日夢『一人でも多くの命を救いたいんです。困ってる誰かや、泣いている

    誰かに手を差し伸べてあげたい。誰かを助けたい。

    だから人助けができる仕事って一生懸命考えて考えて。それで

    医師になったんです』

弦十郎『こう言っては何だが、それだけのために?』

明日夢『はい。…僕には、それだけで十分ですから』

 

弦十郎「明日夢は、ただ誰かを助けたい。医師として。鬼として。

    だからこそ戦っている。奏も、翼も。各々が各々の覚悟を

    その胸に秘めている。響君。君の戦う理由は、

    傷ついてでも戦う覚悟を生み出せるだけの理由はあるのか?」

その言葉が響の胸に突き刺さった。

 

 

その後、未来によって励まされた響は、明日夢の病室を訪れた。

その理由は……。

明日夢「そっか。それが響ちゃんの戦う理由なんだね」

響「はい。私の力じゃ、護れるものは小さくし少ないかもしれません。

  でも……」

明日夢「良いんじゃないかな。それで」

響「え?」

明日夢「もし響ちゃんが、それだけで戦えるって言うなら、僕は別に

    止めないよ。何のために戦うのか。何のために変身するのか。

    その理由はどんなものでも良いんだよ。その人が、

    それだけあれば戦えるのならね」

響「明日夢先生」

明日夢「僕も、誰かを護りたい。この国で、この町で暮らす人たちの

    日常、笑顔。それを護りたいから戦う。だからこそ、

    これから僕達は一緒に戦っていく」

そう言って右手を差し出す明日夢

   「こんな怪我人の僕が言えるのかどうか、わからないけど、

    改めて、よろしくね、響ちゃん」

響「ッ!はい!明日夢先生!」

 

それを僅かに開いたドアの外、廊下で聴いていた翼は、少しだけ

笑みを浮かべてから歩き出したのだった。

 

改めて、覚悟を宿した少女は戦う事を誓い、本当の意味で防人の

仲間となったのだった。

 

     第4話 END

 




と、言うわけで一時的に明日夢は戦線離脱です。
でもまぁすぐに復活するでしょう。
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