~~前回までのあらすじ~~
本格的に戦う決意を固め、弦十郎との訓練に励む響。
そんな中、防衛大臣である広木大臣が暗殺されるという
事件が起こった。
その後、二課は施設最深部アビスに保管されていた完全聖遺物
『デュランダル』の移送任務についた。
だが、その最中ノイズとそれを使役するネフシュタンの鎧の
少女、『雪音クリス』の襲撃を受ける。
あわや奪われそうになるデュランダルだったが、それを
ギアを纏った響がキャッチした瞬間、変化してその力で
クリスを撃退したものの、付近一帯を吹き飛ばす程の
大惨事になってしまったのだった。
あの後、響と了子、デュランダルは無事に弦十郎達の手によって
回収された。
弦十郎と翼は明日夢の警告で一度距離を取ったため、爆発による
被害を免れ、響と了子も運よく瓦礫の隙間に入れて助かった所を
捜索していた弦十郎達に発見された。
そんな事があった為にデュランダルの移送は中止。
二課のアビスへと逆戻りとなった。
で、事件から数日が経った現在。
今まさに二課の施設内は改修工事が進行していた。これは、元々
反対派の広木防衛大臣が死去した事によるものだったが、
それもまた広木自身が二課の事を思っての判断だったため、二課の
トップである弦十郎は複雑な心境だった。
一方の響は、デュランダルの力に呑まれ、クリスに向けて
躊躇いもなくその力を振り抜いた自分を悔いて、
更なる力を手に入れるためのトレーニングに勤しんでいた。
翼もまた、同じように真剣を使った鍛錬に励んでいた。
明日夢は怪我も回復したため、リディアンの医師としても
仕事を再開していた。
で、その一方で、現在鬼となるべく修行中の奏はと言うと……。
某所の山岳地帯、の、急流沿いにある石砂利で出来た川岸。
そこに、一台のSUV、ホンダ・エレメントが停車していた。
そのエレメントのトランクは開けられ、傍にはキャンプ用の
折り畳み式のテーブルや椅子があり、一人のオレンジ色の髪の
少女が椅子に腰かけた状態でぼ~っと空を見つめていた。
そう、彼女こそ、ガングニール装者、天羽奏だ。
奏「あ~~~~。暇~~~~」
と、彼女一人で待機をしながら呟くのだった。
「は~~。師匠はあっちで烈雷振り回して特訓してるし、
アニマル達はまだ帰ってこない。あ~~。暇~~」
今の彼女は鬼の一人である轟鬼を師事して修練に励んでいた。
今日は彼と共に鬼の仕事、魔化魍退治に同行していた。
と、そんな時だった。
『Wow、Wow』
不意のテーブルの下から金色の狼のような形をした物、
ディスクアニマルの『コガネオオカミ』が現れ、奏の肩に
飛び乗ってきた。そして、何かを語りかけるように彼女の肩の上で
犬のように鳴いた。
「あぁ、わかってるって。鬼は日々精進、だろ?」
そう言うと、コガネオオカミは頷き、奏はオオカミの頭を指で
撫でるのだった。
と、そうこうしていた時だった。
彼女の左手首に巻かれていたあるものが振動した。それに気づいて
周囲を見回す奏。
すると、近くの川の中から緑色の金属のカエルのようなものが
現れて彼女に近づいてくるなり、ディスクの形に戻って飛んできた。
それをキャッチする奏。
「っと、お帰り」
それはコガネオオカミと同じで、ディスクアニマルの一種、
青磁蛙(セイジガエル)だった。
奏はその戻ってきたセイジガエルを、左手首に巻いているアイテム、
『変身鬼弦・音錠』の裏側にある突起にセットして回転させた。
それによって聞こえてくる音に耳を澄ませる奏。
しかし……。
「う~ん。ダメだな。外れだ」
このセイジガエルの中には、今トドロキと奏が追っている魔化魍、
『バケガニ』の存在を示す音は録音されていなかった。
ディスクアニマルには録音機能が搭載されており、鬼は録音された
音を聞き、魔化魍の居場所を特定するのだ。
奏は再生が終わったセイジガエルのディスクをケースに戻すと、
近くにあった地図に刺さっていたそのセイジガエルが担当していた
地点のピンを外した。
「一番は外れか」
そう言いながら地図と睨めっこしていた奏だが、足音が近づいて
来たので、そちらを向くと近くにあったタオルを取ってその人物に
渡した。
「おつかれ師匠」
その相手とは、今の奏の師匠、トドロキだった。
トドロキ「ありがとう奏ちゃん。って、あ、一匹帰ってきたんすね」
奏「けど外れだった。まぁ、こういうのは根気って奴?」
トドロキ「アハハ、まぁ、俺も最初はそれ思ったよ。と言うか、
初めてディスクを見た時は驚いたっすね」
奏「あ、それ私も思った!」
と、相槌を打っていた時だった。
『ヴヴヴ』
奏とトドロキの変身音弦が震え、近くの川の中から大量の
セイジガエルと更に、アカネタカの発展形で薄い青緑色の
『アサギワシ』や、ルリオオカミの発展形でオレンジ色の
『キアカシシ』、リョクオオザルと言った大量のディスクアニマル達が
戻ってきた。
奏「団体でお帰りだな。師匠」
トドロキ「うん」
互いに頷いた二人は、早速音弦での録音の再生を始めた。
最初は外れが多かったが……。
『キュルキュル』と言う回転音を聞きながら耳を澄ませる二人。
その時だった。
『ギィィィッ!』
奏「ッ!当たり!」
彼女が調べていたキアカシシの一体にバケガニの声が
録音されていた。
「こいつは、シシの7番。この辺だな」
音弦からディスクモードのキアカシシを外しつつ、地図の方に
歩み寄ってそのキアカシシが担当していた区域を指さす奏。
トドロキ「この辺は確か、地元の人が大きな洞窟があるって
言ってた辺り」
奏「バケガニが隠れるには絶好の場所って訳か。師匠」
地図から目を離し、トドロキと向き合う奏。
「今日は私の『デビュー戦』で良いんだよな?」
トドロキ「うん。但し、無茶は禁物だよ。ぜっっったいに
油断しないように!」
と、奏の肩を掴んで言い聞かせるトドロキ。
奏「わかってるって。……伊達にノイズと戦ってきた訳じゃ
無いんだ。……最後の最後まで、諦めないで戦うさ」
トドロキ「わかった。それじゃあ」
そう言うと、トドロキは己が武器、烈雷を収めたケースを肩に
掛けた。
「行こう、奏ちゃん」
奏「おう!」
そう言うと、トドロキと奏は駆け出した。
『待ってなよ、先生、翼。私は絶対、強くなって帰るからな!』
奏は今まさに鬼となるべく、修行を続けていた。
一方、戻ってリディアン、の廊下では……。
明日夢「あ、響ちゃん」
廊下を歩いて響を探していた明日夢が目的の彼女を見つけて
声をかけた。
響「ふぇ?あ。明日夢先生」
声を掛けられた事で振り返る響。
「何か御用ですか?」
明日夢「用って程の事じゃないんだけど、さっき緒川さんから
連絡があって、響ちゃんの端末に連絡できないって
言われてさ。今持ってる?」
響「ふぇ?……あぁ!今朝机の上に置きっぱなしに!
ご、ごめんなさい!」
と、気づいて慌てる響。
明日夢「あぁうん。別に謝らなくていいから。それより、
緒川さんから伝言があってさ」
響「伝言、ですか?」
明日夢「うん。実は緒川さん、翼ちゃんの身の回りのお世話とか
もしてるんだけど、今忙して手が離せないみたいなんだ。
悪いんだけど、翼ちゃんの方のお世話を少しだけ響ちゃんに
頼めないかってさ」
響「は、はぁ?それで私にですか?」
明日夢「一応、僕も男だから同じ女性の響ちゃんが良いんだって。
あ、これ翼ちゃんの住んでるマンションの場所と部屋の
番号と合鍵なんだけど、頼んじゃっても大丈夫かな?」
響「は、はい!任せてください!」
と言って頷いていた時、近くの階段の上に人の気配を感じてそちらを
向く響とそれを追う明日夢。階段の上に居たのは未来だった。
明日夢「あ、じゃあ僕はこれで失礼するね」
響「あ、はい!」
そう言って明日夢は去って行った。
未来「今の、保健の安達先生だよね?何を話してたの?」
響「あぁ、えっと、実はその、先生経由で伝言と言うか
お願いを頼まれて。あぁでも!怪しい物とかじゃないから
心配しないで!」
未来「そう、なんだ」
響「あ、あの。それで何だけど、急な用事ができちゃって、その」
と、申し訳なさそうに語尾を濁す響。
未来「良いよ。何か用事があるんでしょ?」
響「ごめん!絶対、ぜ~~~ったい埋め合わせするから!」
そう言うと、響は未来に背を向けて駆け出した。
残された未来は笑みを浮かべていたが、響が見えなくなると
笑みを消して踵を返すのだった。
数十分後。翼の住んでいるマンションの前にやってくる響。
合鍵で恐る恐るドアを開けて入って行く、が。
響「え!?」
玄関を通ってリビングに出た響は開口一番に驚愕した。
それもそのはずで、リビングの現状は『酷い』以外の何物でも
無かった。
服は上着下着を問わず散らかり放題で、新聞、雑誌、飲み物のコップ、
薬、化粧品とうとうが乱雑に、しかも部屋の床にまで散らばっていた。
酷いのはドリンクなど中身までぶちまけている始末である。
で、それを見た響が思った事はと言うと……。
「ま、まさか、翼さんは!?」
と、その時。
翼「ん?あなた、私の部屋で何をしているの?」
近くの扉が開いて、そこからバスローブ姿の翼が現れた。
響「あ!翼さん!ご無事だったんですね!?」
翼「あ、は?無事って、何の事かしら?」
響「だ、だって!こんなに物が散乱してて!てっきり誘拐された
んじゃないかと思って!だって二課の皆がほかの国の陰謀が
どうのって言ってて!それで!」
と言って、リビングを指さす響だが、翼の方は途端に顔を赤くして
俯いてしまった。
そう、こういっては何だが、翼は全くと言って良いほど家事ができない
のであった。
そして、翼の表情からそれに気づいた響は…。
響「え?あ、あぁ、え~っと」
彼女の意外な一面を見て、微妙は心境になるのだった。
その後、響の協力の元に部屋を片付ける翼。そんな時だった。
片付けのさなかに、緒川に片付けなどを任せている事などを
話しながら、赤面したりして少女らしい話をしていた二人。
掃除を終えて、リビングのソファに座る翼と彼女の向かいに立つ響。
やがて話は戦いの事へとシフトしていった。
翼「あたなは、十分に頑張っているわ。この前のデュランダルの
戦いや、レポートを見ればわかる」
響「う、嬉しいです。翼さんにそんな風に言ってもらえるなんて」
と、照れながら頬をかく響。しかし。
翼「でも、だからこそ聞かせて欲しいの。あなたの戦う理由を」
響「え?」
唐突な言葉に疑問符を漏らす響。
翼「ノイズとの戦いは遊びではないわ。これまで戦ってきたあなたなら、
それはわかるはず」
響「よく、わかりません。私、人助けが趣味みたいなものだから。
それで……」
翼「それで?それだけで?」
響「だって、勉強とかスポーツは誰かと競い合って結果を出すしか
無いけど、人助けって誰かと競わなくていいじゃないですか。
私には、特技とか人に誇れる物なんて何もないから」
そう言うと、リビングの窓の方へ視線を向ける響。
やがて、彼女の口から語られたのは、彼女自身がそう思うきっかけとなった、
あの日の、2年前のライブの事だった。
奏に助けられた事、自分以外に大勢の人が亡くなった事、対して、
自分は生き残ったという事、生きていられるからこそ、誰かの役に
立ちたい、と。明日もまた、笑ったりご飯が食べたいから、と。
そんな響らしい言葉に、翼は笑みを漏らした。だが。
翼にとって、彼女から見ればそれは、響自身の自殺衝動なのだと、
自己犠牲により古傷から逃れたいという響の自己断罪の表れなの
ではないかと、翼は響に突き付けた。
響「あ、あの。私、もしかして変な事言っちゃいました、か?」
翼の言葉に、委縮してしまったような響。それを見た翼は、
ゆっくりと立ち上がって窓の方へと歩み寄り、静かに窓ガラスに
右の掌を当てた。
翼「あなたの言った事が変かどうかは、私が決める事じゃないわ。
それは自分で考え、自分で決める事ね」
響「でも、考えても考えても、分からない事だらけなんです。
デュランダルに触れて、闇に呑まれかけて、気づいた時には力を
振るって。まだまだ私が未熟なせいで」
翼「……戦う術を学ぶという事は、戦士になると言う事」
響「戦士?」
翼「そう。明日夢先生や他の鬼達が人から戦士、鬼へと
変わるように、戦士になると言う事は人としての
生き方から遠ざかるという事。今までの日常が、非日常へと
変わる。今まで自分にとって、非日常だった戦場へと
赴く事が、日常へと変わっていく。今までの普通が、普通では
無くなる。それが戦士になるという事よ。今までの普通を捨て、
戦士になる覚悟は、あなたにはあるの?」
振り返った翼の瞳が、真っ直ぐ響を見つめた。対して響は……。
響「私には、守りたい物があるんです。それは、何でもない日常です。
でも、それでも私は、それを守りたい。ちっぽけって言われるかも
しれません。でも、明日夢先生が言ってくれたんです。
それで良いんじゃないかなって。だから、私はこの気持ちを
大切にしたい。ノイズに襲われている人を助けたいんです。
そして、もし、相手が誰かであるのなら、私自身の思いを、
どうして戦わなくちゃいけないのかって言う思いを、
ぶつけたいと思っています」
そう言って、拳を握りしめる響。
翼「ならば、その思いをこれまで以上にはっきりと、鮮明に
思い描きなさい。その思いから生まれる覚悟こそが、あなたの
アームドギアとなるのだから」
響「はいっ!!」
それから数時間後。話し込んでいた響と翼だったが、腹が減っては
戦はできない、もとい。腹が減っては良いアイデアは浮かばないという
響は、行きつけのお好み焼き屋である『フラワー』のお好み焼きを
お持ち帰りしてくると言ってマンションを飛び出していった。
だが、その数分後、二課に居る弦十郎達から響、翼、明日夢の元に
ネフシュタンの少女、クリスが現れたという報告があり、
3人はそれぞれが駆けだした。
だが、響はフラワーへと向かっていた際に、未来と鉢合わせしてしまった。
しかも運の悪い事に、響を見つけたクリスが攻撃を仕掛けようとしていた。
その場に、丁度未来の後ろに現れた明日夢。
明日夢「ッ!あの子は確か響ちゃんの!?」
クリスと未来は、互いに気付いていない状態だった。そして。
『ドガァァァァァンッ!』
未来「きゃぁぁぁぁぁぁっ!!」
響の方へと走り寄ってくる未来だったが、丁度二人の間にネフシュタンの
鞭がさく裂し、未来を吹き飛ばしてしまった。
クリス「ッ!しまった!奴のほかにも居たのか!?」
不測の事態な事で驚くクリス。
だが、その時未来に向かって、近くに止められていた車の残骸が
落下していた。それを見て、目を見開く未来。
と、その時。
『ザッ!』
響『Balwisyall Nescell Gungnir tron』
『キィィィィン』
響の聖詠と、未来の前に立ち、音叉を左手首に打ち付け、額に
当てる明日夢。
紫炎を纏う明日夢と、光に包まれる響。
そして、次の瞬間、未来目掛けて落下していた車を飛び込んできた
響と明日夢の二人の拳が弾き飛ばした。
だが、響はどこか申し訳なさそうな表情を浮かべていた。
そして、余りの事に思考が追い付かない未来。
未来「え?響?」
響「……ごめん!」
不意に呟く未来と、短く謝り駆け出す響と、それに続く明日夢。
響と明日夢は、市街地を避けて森林地帯に入り、ある程度行った
所で立ち止まった。
クリス「はっ!どんくせぇ奴らがやってくれる!」
響「どんくさいなんて名前じゃない!」
クリス「は?」
響「私は立花響15歳!誕生日は9月の13日で血液型はO型!
身長はこの間の測定では157センチ!体重は、
もう少し仲良くなったら教えてあげる!」
と、何やら怒涛のプロフィール暴露を始める響に対して、
明日夢は静かに構えていた音撃棒を下げた。
その後も響はクリスの攻撃を回避しつつ、言葉を紡ぎ、
自分も攻撃を回避しながらそれを無言で見守る明日夢。
だが、それはある意味クリスの逆鱗に触れてしまった。
響「だって、言葉が通じていれば人間は——」
クリス「うるせぇっ!」
響の言葉を怒号で遮るクリス。
「分かり合える物かよ人間がっ!そんな風に出来ている物か!
気に入らねえ気に入らねえ気に入らねえ気に入らねえ!!
わかっちゃいねえことをペラペラと口にするお前がぁっ!!!」
それにはさしもの響も呆然となり、明日夢も無言を貫いた。
攻撃を再開し、大きな黒いエネルギーの球体を叩きつけてくるクリス。
だが。
明日夢「はぁぁぁぁぁぁっ!!!」
それに対して、炎を纏った音撃棒を叩きつけて何とか攻撃を逸らす明日夢。
クリス「持ってけダブルだッ!」
そこに二つ目の球体が放たれる。対して明日夢は再び鬼石から
炎を出した状態で叩きつけるが、今度のは防ぎきれずに爆発し、
吹き飛ばされた明日夢。
明日夢「うわっ!!!」
爆炎と煙が明日夢と響を覆った。
流石に大技の連続で息が上がるクリス。
クリス「ハァ、ハァ。まずは、一人」
だが、煙が晴れた先では響がアームドギアを具現化しようとして
失敗し、弾き飛ばされた。
明日夢「響ちゃん!」
それを見て咄嗟に起き上がる明日夢。
この時、響はアームドギアを形成するエネルギーを攻撃用に変換
しようとした。
クリス「させるかぁっ!」
そこにクリスタルの鞭を放ってくるクリス。
明日夢「はぁっ!」
だが、それは響の前に立った明日夢の音撃棒に弾かれた。
そして、攻撃を弾いた明日夢はクリスめがけて駆け出した。
クリス「っ!このぉっ!」
クリスタルの鞭の攻撃を連続して放つが、そのすべてが尽く
弾かれた。
と、ある程度接近された時、鬼の口元が開き、技の一つ、鬼火が
放たれた。
「くっ!?」
咄嗟の事に両腕で顔をガードするクリス。だが、明日夢にはその
一瞬で十分だった。
ガードを下げた時、既に彼女の眼前には鬼の明日夢が立っていた。
「なっ!?」
そして、その右手には音撃鼓が握られていた。次の瞬間。
『バシッ!』
「くっ!」
クリスの腹部に音撃鼓が叩きつけられ、巨大化し、彼女の
動きを封じた。
明日夢「響ちゃん!!」
咄嗟にクリスの前から真横に飛びながら響の名を叫ぶ明日夢。
次の瞬間、腰元のスラスターを使って響がクリスめがけて
突進してきた。
クリス「何ッ!?」
余りの事に驚き対応できないクリス。
突進の最中に響のギアの右手の手甲部分が可動し、力をためた。
響『うおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!』
そして、彼女の拳がクリスに腹部に命中するのと、そのまま
手甲が前進し、パイルバンカーのように響の打撃力を向上させた。
ドォォォンと言う大きな破裂音にも似た音が周囲に響く。
同時に、響の拳は真っ直ぐに音撃鼓を捉えていた。
ナックルの衝撃が、音撃鼓の中で更に増幅された。結果。
『ビキビキビキッ!』
腹部から中心にネフシュタンの鎧にヒビが入った。
クリス『バカな!ネフシュタンの鎧が……!』
そう思った次の瞬間、森林地帯で大きな爆発が起こった。
そして、その様子を見ながら一人佇んでいた未来は、誰かに
知られる事もなく、一人呆然としながら涙を流すのであった。
第6話 END
この作品に対する意欲に火が付いたため、しばらくはこっちの
投稿が続くと思います。