ちょっと活躍します。あと、DAに関して独自設定も入っています。
~~前回までのあらすじ~~
デュランダルの一件から数日後。二課では施設の拡充が進み、
奏も鬼としての修行を続けていた。
一方の響はデュランダルの力に呑まれかけた事を後悔していた。
そんな折、翼との話し合いで彼女との仲を深める響。
だが、そんな矢先に再びクリスが襲来。しかも運の悪い事に
響はルームメイトであり親友の小日向未来に変身する所を
見られてしまう。
それでも響と戦線復帰していた明日夢はクリスと戦うのだった。
そして、戦いは続いていた。
響と音撃鼓の力を合わせた一撃で吹っ飛ばされたクリスは、公園の
石垣に叩きつけられていた。
鎧の腹部は大きく欠損し、自己修復が始まっていた。
クリス『喰い破られる前にカタをつけなければ……』
そう思って響と明日夢の方を睨むクリス。だが、響は構えを解き、
静かに歌い、明日夢も同じように音撃棒こそ手にしているが、
今はクリスの方に背を向け、地面に落ちた音撃鼓を拾っていた。
「お前ら、バカにしてんのか!?私を!雪音クリスを!」
響「そっか、クリスちゃんって言うんだ。あなたの名前」
明日夢「僕たちは、雪音ちゃん。君と戦いたいんじゃない」
クリス「はぁ?だったら何だってんだ!!」
明日夢「少なくとも、僕は鬼だ。鬼で、医者だ。鬼も医師も
戦ったりする理由はたった一つ。命を、誰かを守る事だ」
そう言いながら響の隣に並ぶ明日夢。
「この鬼の力も、ギアの力も、それは誰かを守るためにある」
クリス「守る?守るだと?ふざけんなっ!嘘くせえ!青くせえ!」
明日夢「そう。僕たちの言っている事は唯の理想論だ。響ちゃんが
言うように、分かり合えるって言う事は簡単じゃない。
でも、それでも——」
クリス「うるせえっ!!」
不意に、飛びかかってくるクリスの蹴りを弾く明日夢。
「分かり合えるだと!?そんなのは虚構だ!」
明日夢「だとしてもっ!」
次の瞬間、クリスの拳を捉えた明日夢が背負い投げのように彼女を
投げ飛ばした。
クリス「くっ!?」
背中から地面に落ちるクリス。
明日夢「その理想さえ信じる事をやめてちゃ、もう理想でもなくなる!
簡単じゃないのは分かってる!
でも、分かり合おうとする努力さえ捨ててしまったら、誰とだって
仲良くなんてなれない!だから、僕たちは諦めない」
響「わ、私だって!クリスちゃんと友達になるまで、諦めない!」
クリス「何が友達だ!笑わせるな!」
そう言って立ち上がった次の瞬間。
「吹っ飛べよ!アーマーパージだ!」
不意にネフシュタンの鎧の隙間から光が漏れたかと思うと、
鎧が無数の金属片となって散弾のように周囲に飛び散った。
咄嗟に姿勢を落として両腕で頭を庇う響と明日夢。アーマーパージの
攻撃の余波で周囲の木々が倒れ、砂埃が辺りに充満していた。
と、その時だった。
クリス『killter Ichavial tron』
不意に、聖詠の歌声が響いた。
「見せてやる。イチイバルの力だ!」
次の瞬間、クリスを中心に爆風が放たれ、周囲を覆っていた砂煙を
吹き飛ばした。
煙が晴れた先に立っていたクリスが纏っていたのは、銀色だったネフシュタンの
鎧とは対照的に、黒や赤と言ったカラーの装備、シンフォギアだった。
響「あ、あれって」
明日夢「確か、二課が創設された当時に失われたって言う、二番目の
聖遺物」
『そのイチイバルまで、どうしてあの子が』
と、疑問を浮かべている明日夢だったが……。
クリス「歌わせたな」
響「え?」
クリス「私に、歌を歌わせたな!教えてやる!私は
歌が大っ嫌いだ!」
響「歌が、嫌い?」
と、疑問符を浮かべた響だったが、その言葉に答える事なく
クリスは歌い始めながら、腕を覆っていたギアをクロスボウ
のような形に変化させた。
そして、そのギアから無数のエネルギーの矢が放たれた。
明日夢「危ないっ!逃げて!」
咄嗟に響に警告を発し、自分も射線から逃れるように走る
明日夢と、一拍遅れてそれに続く響。
だが、射撃攻撃を今まで殆ど受けた事がない響はクリスに翻弄され、
更に追撃のようにギアを変化させ、3連装のガトリングを片手に2門、
合計で4門展開する『BILLION MAIDEN』へと変化させ、
銃弾の雨を降らせてきた。
何とか態勢を立て直してギリギリで回避する響と地面を
転がって避ける明日夢。
だが、それだけでは終わらず、更にクリスはサイドスカート内部の
構造を展開、そこに収められていた無数の自動追尾式小型ミサイルを
発射する『MEGA DETH PARTY』を放って来た。
その狙いは響の方だった。
何とか走って逃げようとする響だったが、流石にミサイル相手に
逃げ切る事が出来ず……。
『ドォォォォンッ!』
明日夢「響ちゃんっ!」
爆音と爆風が周囲に響き渡る。対してクリスの方も連戦と大技の
連続で息が上がっていた。
だが、煙幕が僅かに晴れた時、クリスは響と自分の間に何かが
あるのに気づいた。
クリス「盾?」
翼「剣だ!」
不意に、クリスの目の前に現れた物の上から声が聞こえ、慌てて視線を
上に向けるクリス。
そう、彼女が盾と見間違えた巨大なそれは、巨大化させた翼の
アームドギアだったのだ。
クリス「はっ!ようやくお出ましか!」
翼「もう何も、誰にも、奪わせはしない」
『そして、あの時のような焦りもない。今は唯、自分の覚悟を
胸に一振りの剣となるのみ!』
静かに、改めて決意を固めてクリスを見つめる翼。
対して、爆音や閃光で一時的に気を失っていた響が起き上がった。
響「つ、翼さん」
翼「遅れて済まない、立花。だが、ここからは私も手を貸そう。
共に戦ってくれ」
翼「っ!はいっ!」
と、次の瞬間、クリスのガトリングからの攻撃が襲い掛かるが、
それを回避して彼女に接近する翼。そして、彼女の覚悟もさることならが、
重い機関砲を保持しているクリスの攻撃をかわしつつ、その懐に
飛び込み、攻撃を弾き、クリスと背中合わせの状態で立つ翼。
響「翼さん!その子は!」
翼「わかっている」
クリス「くっ!?」
その時、一瞬の隙をついて刀を弾き、距離を取るクリスと、彼女に
対して正面から向き合う翼。
翼「♪~~♪~~」
『刃を交える敵じゃないと信じたい。それに、10年前に失われた
第二号聖遺物の事も質さなければ』
歌いながらも心の内で考える翼。
クリス「このぉっ!!」
対して、再びガトリングを構え、発砲しようとした、その時。
『ギュィィィィィンッ!』
『ドガドガッ!』
不意に、上空から飛行型ノイズが二体飛来・突進し、クリスの武装である
両手のガトリングを破壊した。
クリス「なっ!?」
咄嗟の事で判断が付かない彼女めがけて、更に二体の飛行型が突進
してきた。
『ダダッ!』
そして、それを見た響と明日夢が駆けだした。
一体を体当たりで倒す響と、咄嗟に伸ばした右手の鬼爪でもう一体を
切り裂く明日夢。
翼「立花!先生!」
そしてクリスは、体当たりの衝撃で倒れそうになる響を咄嗟に抱きかかえ、
地面に膝をついた。
翼と明日夢は、刀と音撃棒を構え、膝をついているクリスを響を
守るように周囲を警戒した。
クリス「お前何やってんだよ!?」
響「ごめん。クリスちゃんに、当たりそうだったから、つい」
クリス「っ!バカにして!余計なお節介だ!」
と、少しばかり顔を赤くして叫ぶクリス。
と、その時だった。
???「命じた事もできないなんて、あなたはどこまで私を失望
させるのかしら?」
不意に、どこからか声が響いた。
周囲を見回す翼と明日夢の目が、近くの海に面したデッキの上に立つ
謎の金髪の女性を捉えた。
そして、彼女の頭上には更に3体の飛行型ノイズが飛び回り、その手には
ソロモンの杖が握られていた。
クリス「フィーネ!?」
翼『フィーネ?終わりの名を持つ者?』
明日夢『まさか、あの人が鎧やイチイバルを盗んでいた?
雪音ちゃんに指示を出していたのも、あの人なのか?』
と、咄嗟に刀と音撃棒を構える翼と明日夢。
その時だった。
不意に抱きかかえていた響を明日夢達の方に突き飛ばすクリス。
それを咄嗟に受け止める明日夢と、二人を守るように構える翼。
クリス「こんな奴なんか居なくたって、戦争の火種くらい私一人で
消してやる!そうすれば、あんたの言うように、人は呪い
から解放されてバラバラになった世界は元に戻るんだろ!?」
まるで、それこそが彼女自身の戦う根底であるかのように、泣く子供の
ような声で叫ぶクリス。
だが、フィーネと呼ばれた女性から帰ってきたのは、ため息だった。
フィーネ「ハァ。……もうあなたに用はないわ」
クリス「っ!?なんだよそれ!?」
と、その時、フィーネの右手が淡い青い光を放ったかと思うと、
クリスのアーマーパージで周囲に吹き飛んでいたネフシュタンの鎧
のパーツ達が青白い粒子となって、フィーネの手元に集められた。
そして、鎧を回収したフィーネはソロモンの杖を使い、残っていた
飛行型を回転させ、回転鋸のように明日夢達の方へと向けて来た。
明日夢「くっ!?」
翼「やらせるか!」
飛んでくる二体を翼が切り裂き、残りの一体を鬼火で焼き払う明日夢。
そして、二人がノイズを倒してフィーネの方に視線を向けた時には、
既に彼女は姿を消し、クリスもフィーネを追ってどこかへと去って行った。
一方、最初の戦闘に巻き込まれた未来は今、二課のメンバーに保護
されていて、その施設へと案内されていたのだった。
そんな時だった。
弦十郎『何?保護した少女への説明をやらせて欲しい?』
電話越しに、オウム返しで明日夢が質問した言葉が返ってきた。
現在は二課施設の中に戻っている明日夢達。あの後、響が倒れてしまった為、
今は了子の元でメディカルチェックを受けていた。
そんな折、弦十郎の元へ通信を入れていた明日夢。
明日夢「はい。あの子はリディアンの生徒で、僕もあそこでは
保健医として働いていますから。顔見知り、かどうかは
ちょっとわかりませんが……」
弦十郎『そうか。……わかった、お前に任せよう』
明日夢「はい。ありがとうございます」
礼を言って通信機をしまうと、明日夢は歩き出した。
今、未来は中くらいの部屋の中に座っていた。目の前の
テーブルにはお茶が出されていたが、とても飲める気分では
なかった。
『シュッ』
その時、部屋の自動ドアが開いて明日夢が現れた。
未来「あなたは、安達先生」
明日夢の顔を見て、僅かに呟く未来と、無言のまま静かに
頭を下げる明日夢。
そして彼はテーブルを挟んだ未来の反対側のソファに腰を下ろした。
明日夢「前置きは、抜きにして話をしよう。僕は君に、あの時
起きた事を説明するためにここに来たんだ。
響ちゃんの事を」
未来「………」
明日夢「今の僕と響ちゃんは、特異災害対策機動部二課と言う
組織に所属している。この二課は、ノイズと戦うために
ある組織だ。そして、二課の施設はリディアンの地下に
存在している。僕も表向きはリディアンの保健医だけど、
実際はここで医師として、鬼として戦っている」
未来「……。響は、どうしてこんなことをしているんですか?」
不意に、俯いた未来の口から漏れた言葉。それに対して明日夢は
できるだけ響の意思を汲もうと考えた。
明日夢「現在、この国、ううん、世界中を探してもノイズに対抗できる
力、シンフォギアを使える人間は、響ちゃんを入れて4人しか
いない。そして、響ちゃんが僕たちと関わったのは2年前の、
あのライブ事件の時だ」
その言葉に、僅かに未来の体が震えた。
「……小日向ちゃん、君は、響ちゃんの胸にある傷の事は、
知ってる?」
と言う彼の言葉に、未来は無言で頷いた。
「今から2年前、あのライブ事件の時、偶然にも響ちゃんは
シンフォギア、飛び散った聖遺物の破片を浴びる形に
なってしまった。そして、その破片は心臓に近い事もあり、
現代の医療技術では摘出不可能とされ、響ちゃんの体内に
残されたままとなってしまった。
時は流れて、今から一か月とちょっと前。ちょうど、翼ちゃんの
CDが発売になった日、ノイズが現れた。君は、その事は?」
未来「知って、ます」
掠れるような僅かな声を漏らす未来に対し、明日夢は説明を続けた。
明日夢「その時、響ちゃんはノイズに襲われ、その最中に、
第3号聖遺物、ガングニールの力を覚醒させてしまった。
何がどうして、彼女の中にある破片がガングニールになった
のかは分からない。けど、響ちゃんはシンフォギアの適合者に
なってしまった。
それを受けて、二課は、響ちゃんに対して協力を仰いだ」
未来「協、力?」
その時、ギュッと、未来の手が握りしめられた。
明日夢「そう。……ギアを纏える人間は、ノイズと戦う事ができる
人間なんだ。だから——」
その時。
『バンッ!』
机を叩いて未来が立ち上がった。その衝撃でお茶のカップが
倒れて床に落下して割れ、中身をぶちまけた。
未来「だから、だから『巻き込んだ』んですか!響を!?」
そう言って、未来は泣きながらも明日夢を睨みつけた。
だが、対して明日夢は……。
明日夢「そう、だね。本来、響ちゃんは普通の子供だった。でも、
そんな響ちゃんを僕たちは戦いへ巻き込んだ。そう言われても
仕方ないのはわかってる。………でもどうか、これだけは
わかって欲しい。ギアに関する事は、国の機密に掛かる事なんだ。
そして、もし何の後ろ盾がない君がそれを知れば、色々な組織が
君を人質にしてでも、響ちゃんを奪おうとする。だから、
響ちゃんは君に真実が言えなかったんだ。響ちゃん自身が、
望んで嘘をついた訳じゃないって事だけは、わかってあげて欲しい」
と言う明日夢だったが、未来は俯くと無言を貫いた。
それを見て、明日夢も無言で立ち上がり、部屋を出ると外に待機
していたSPに後を託すのだった。
その後、明日夢は大きなケースを3つ持ち、リディアン校舎の屋上へと
来ていた。
今はすっかり日が暮れ、西の空ではオレンジと青が混ざり合っていた。
やがて、明日夢はケースを地面に置くと、それを開いた。
そこから現れたのは20枚組のディスクアニマルだった。
腰元から音叉を取り出して起立させる。
明日夢は音叉で銀色の待機状態のディスクたちをなぞり、起動していった。
そして明日夢の前に20体ずつのアカネタカ、ルリオオカミ、リョクオオザル
が合計で60体展開された。
『ピィッ!』
『ワウワウッ!』
『ウホッ!』
各々が独特な鳴き声を上げるディスクたち。
明日夢「みんなに、お願いがあるんだ」
そう言うと、明日夢はポケットの中から一枚の写真を取り出し、
ディスクたちに見せた。
「この子を見つけて、見守ってあげて欲しいんだ。
お願いできる?」
という言葉に、ディスクたちは鳴き声を上げてやる気を示し、
各々が翼や足で駆け出し、飛翔していった。
飛び出していくディスクたちを見送った明日夢の手には、雪音クリスの
写真が握られていた。
『戦争の火種を消したい、か。……彼女が戦う理由は悪意
なんかじゃない。自分なりに、戦いを終わらせようとしている。
僕は、そう信じたい』
そう思いながら、明日夢は沈み行く太陽を見つめるのだった。
一方、自分の部屋に戻った響だったが、未来との仲は最悪の一言だった。
未来「嘘つき!隠し事はしないって言ったくせに!」
その一言が、響の心を深く抉る結果となってしまうのだった。
一方、フィーネに見限られたクリスもまた、様々な疑問や悩みを
抱えたまま夜の町を彷徨っていた。そんな時だった。
女の子「えぇぇぇぇんっ!」
不意に、クリスの耳の女の子の泣き声が聞こえて来た。
彼女はその声の方に視線を向けると、そこではベンチに座った
女の子が泣いていて、傍には少し歳が上くらいの男の子が居た。
クリスはてっきり男の子が女の子をいじめていると思って
注意しようとしていたが、実際にはどうやら父親とはぐれて
しまったようだった。
その事をクリスに話す兄妹だったが、3人の後ろの森では……。
『ピィッ』
『ウホッ』
木の枝に無数のディスクアニマル達が集まっていた。
そんな折、アニマル達の中でも知能が高いリョクオオザル達は
考えた。
彼らは体こそ無機質な機械だが、その中には生き物の魂が吹き込まれていた。
彼らの役目は主でもある人間に尽くす事。そして何より、彼らの中には
『良心回路』が開発者のみどりによって備え付けられていた。
その時、一匹のリョクオオザルが木の枝から器用に降りて行って、
ベンチの背もたれの隅に着地した。
女の子「ふぇ?」
男の子「え?」
クリス「な、何だこいつ?」
突然の事で、現れたリョクオオザルに戸惑う兄妹とクリス。
と、その時、もう一匹のオオザルが小さい石を持って現れ、最初の
一匹に向かってパスをした。
それを手に取り、小石でお手玉を始めるリョクオオザル。
女の子「わ~♪おサルさんすご~い♪」
お手玉をするオオザルを見て笑い出す女の子と、つられて笑う
男の子。
しかし、手元が滑ったのか、小石が連続でリョクオオザルの頭に
ぶつかり、背もたれから倒れて落ちそうになるが、それを
女の子がキャッチした。
「おサルさん、大丈夫?」
と、声をかけると、オオザルは大丈夫、と言わんばかりに頷いた。
と、その時、森の中から残りのルリオオカミやアカネタカたちが
現れてベンチの近くに座った。
男の子「す、すげ~」
女の子「うわ~♪ねぇねぇ、これってみんなおサルさんの友達なの?」
きらきらとした目でアニマル達を見つめる少女と、頷くオオザル。
そして、手の上に立っていたオオザルはベンチの後ろを指さした。
そちらに視線を向けるクリスと兄妹の3人。
そこでは丁度、2匹のリョクオオザルが協力して一本の枝で
土の地面に何かを描いていた。
「おサルさん達、何してるの?」
クリス「こいつら、字を書いてるな。……えっと、さ、が、す?
探す?」
女の子「探す?……あ、もしかして、お父さんを探してくれるの!?」
と言う女の子達の言葉に、各々の鳴き声で答えるアニマル達。
すると、今度は枝を持っていた二匹のリョクオオザルが枝を捨てて
何かを始めた。一匹は何かポーズを決めていて、もう一匹は
顔の前に両手を寄せる形にしていた。
ジェスチャーで何かを伝えようとしていたのだ。
男の子「お前ら、何してんだ?」
女の子「う~ん。何かを、撮ってるの?」
クリス「撮る?……。あ、なぁ、お前らってその親父の写真とか
持ってないか?」
男の子「え?あ、あるある!えっと、確か、携帯に」
と言って、ポケットの中から携帯電話を取り出して画面を
開いた男の子は、それをリョクオオザル達に渡した。
「これが俺たちの父ちゃんなんだ」
携帯を受け取ったリョクオオザルは、それを他の
アニマル達に見えるように、頭上に掲げた。
そして、兄妹の父親の顔を覚えたアカネタカやルリオオカミ、
リョクオオザル達はそれぞれがどこかへと去って行き、
3種の内の一匹ずつがその場に残ったのだった。
その後、結局ベンチで待っている事にした兄妹と、成り行きで
一緒に待っていたクリス。
兄妹の前では、オオザルとオオカミがロデオの様な事をやっていて
二人を笑わせていた。
対して、クリスはひじ掛けに止まったままのアカネタカの頭を
無言で撫でていたのだった。
やがて、クリスは無意識のうちに鼻歌を口ずさんでいた。
そして、彼女が気付いた時には、兄妹とアニマル達がクリスの
歌を聞き入っていたのだった。
クリス「な、何だよ?」
女の子「お姉ちゃん、歌好きなの?」
クリス「は?……歌なんて、大嫌いだ。特に、壊す事しかできない
私の歌なんて」
と、疑問符を浮かべてから俯くクリス。と、その時だった。
『ピィッ!』
そこに一匹のアカネタカが戻ってきて3人の頭上をクルクルと回った。
「戻ってきた、って事は、見つかったみたいだな」
男の子「そっか!行こうぜ!」
と言って、ベンチから立ち上がって歩き出そうとする男の子だったが、
妹の女の子の方は、足が痛いと言って、動けなかった。
それを見たクリスは、女の子の前に背中を向けて屈みこんだ。
女の子「ふぇ?」
クリス「しょ、しょうがねえからおんぶしてやる。早くしろ」
女の子「ありがとうお姉ちゃん」
と、顔を少し赤くしながらクリスは女の子をおんぶし、アカネタカの
先導で町中を進んでいったのだった。
アカネタカが導いたのは、近くの交番だった。3人が交番の前に
差し掛かろうとした時、中から一人の男性が出てくる所だった。
男の子「あ!父ちゃん!」
そして、それに気づいた男の子が声を上げ、二人の父親だと
思われる男性も3人に気付いた。
クリスは一度立ち止まって女の子を下ろした。
そして、男性を見るなり、一緒に居た3匹のアニマル達は透明に
なって静かに離れたのだった。
父親に駆け寄る兄妹たち。
父親「お前達、どこに行ってたんだ?」
女の子「あのねあのね!おサルさん達がパパの事を
探してくれたの!ね!って、あれ?おサルさんや
タカさん、オオカミさんは?」
父親「何を言ってるんだ。おサルさんじゃなくて、お姉さんだろ?
どうもすみません。子供たちがご迷惑をおかけしてしまったようで」
クリス「あ、いや、成り行きみたいなもんだから、その」
父親「ほら、お姉ちゃんにお礼は言ったのか?」
と、父親が言うと、兄妹は揃ってクリスに礼を言った。
そして、クリスは二人にどうしてそんなに仲がいいのかと、
仲良くなれる方法を聞いたが、兄妹の答えに、クリスは納得
したような、そうでもないような表情を浮かべるのだった。
と、クリスはクリスで色々な事が起こっている一方で、響と未来の
仲は、未だに修復できてはいなかった。
二人の仲に入ったヒビ。
そして、そのヒビは、悪い結果となってしまうのだった。
その日、明日夢は、保健室で作業をしていた。備品の管理や
数合わせ等々。そんな事をしていた時だった。
『シュッ』
不意に、自動扉が開いて人影が入ってきた。
明日夢「あれ?」
普段なら、自動扉とはいえ入る前にノックや声をかけると
言った事が普通だったのだが、何も無しに誰かが入ってきた事に
疑問符を浮かべながら振り返る明日夢。
振り返った先に居たのは、俯いた響だった。
「響ちゃん?」
座っていた椅子から立ち上がり、響の方に歩み寄る明日夢。
「どうしたの?どこか怪我し——」
『バッ!』
明日夢の言葉が終わるよりも先に、響が明日夢に飛びついた。
『ドタンッ!』
咄嗟の事で明日夢も響と自分を支えきれず、倒れてしまった。
「響、ちゃん?」
何とか上半身を起こす明日夢だったが、響の方は明日夢の白衣に
しがみ付いていた。と、その時。
響「先、生。私、わた、し。……う、うぅ、うぁ、ぁ。
うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!ぁぁぁぁぁぁっ!」
唐突に、響は声を上げて泣き始めてしまった。
幸いと言うべきか、この医務室は完全防音となっており、外部に
音が漏れる事を心配する必要はない。
そう思った明日夢は、ただ静かに、泣き叫ぶ響の頭を
優しく撫でるのだった。
はたして、響の涙の意味とは?
第7話 END
最後はちょっと意味深な感じにしてみました。
個人的には一部のシンフォギアキャラと響鬼キャラとの
カップリングとかが決まっていてそれを描くのが楽しみです(笑)。