最後の方はちょっと展開が変わってると思います。
~~前回までのあらすじ~~
雪音クリスと戦う響と明日夢。クリスはネフシュタンの鎧から、
第二号聖遺物『イチイバル』に切り替えて戦い、更に戦いに遅れて
参加してきた翼。更にクリスを操っていた黒幕、フィーネと
呼ばれた女性はクリスを見限り、鎧と杖を持ってどこかへと消えた。
そして、この一件が発端となり響と未来の仲に亀裂が入ってしまった。
そんな中、響が明日夢の居る保健室を訪れて泣き出してしまうのだった。
響がやってきてから数十分後。
何とか落ち着いた響に対してお茶を出す明日夢。
明日夢「大丈夫?落ち着いた?」
今は明日夢と向かい合う形でパイプ椅子に座っている響。
だが、その頬は未だ赤く腫れていて、どれだけ彼女が泣いたかを
物語っていた。
響「………」
そして響は、明日夢の問いかけに答える事なく無言でいた。
やがて響が静かに語りだしたのは、それから30分ほど後の事だった。
「私、さっき、屋上で、未来に、言われたんです。もう、
『友達でいられない』って。それで、私、うぅ、ぁぁ」
先ほどまでではないにしても、また泣き出してしまう響。
明日夢は静かに席を立って、彼女の背中をさする事しか
できないのだった。
それから数分後。
明日夢「今の僕は、響ちゃんに仲直りの仕方を教えてあげる事は
出来ないんだ。でも、言える事はある。
響ちゃんと小日向ちゃんの絆は、終わった訳じゃない。
今はまだ、二人は生きてるんだ」
その言葉に、僅かに頭を上げる響。
「生きているからこそ、これからは変えていける。
まだ終わりになんてなってない。未来は、自分の手で
いくらでも変えられる。辛い事もたくさんあるかもしれない。
それでも、諦めちゃダメなんだ」
響「先、生」
その言葉に、顔を上げて、少しばかり瞳に色が戻る響。
その後、ある程度響を励ました明日夢。
明日夢「それと、こういっては何だけど、この喧嘩は僕たちにも
責任がある」
響「責任って。先生たちにはそんな」
明日夢「ううん。…小日向ちゃんに事情を説明した時、言われたんだ。
僕たちが響ちゃんを巻き込んだのかって。
実際、その通りだから。だからこそ、僕にできる事があったら
何でも言ってね」
響「そう、ですか。……あ、あの、じゃあ、少しだけ、質問とか
していいですか?」
明日夢「うん、僕に答えられる事なら何でも聞いてよ」
響「そ、その。私、未来とルームメイトなんです。でも、あんなことが
あった後じゃ、帰りづらいって言うか、顔を合わせずらいって言うか。
でも、外泊とかもダメですし、その」
明日夢「そっか。なら、二課の誰かに言って空き部屋を教えてもらった
方が良いかもしれないね。確かまだ部屋は残ってたはずだから」
響「ふぇ?あそこって部屋とかあるんですか?」
明日夢「うん。弦十郎さんとか、オペレーター、SPの人たち
なんかが生活してるんだよ。僕や響ちゃん、翼ちゃんは
リディアンの教師や生徒だから寮や近くのマンションに
住んでいるけど、二課の大半の人たちは不用意に
リディアンを出入りできないからさ。
僕もあそこに部屋を一つ借りてるんだ。一応、施設内で
寝泊りできるようにね」
響「そう、だったんですか。……じゃあ、今日はそっちに
お泊り、しようかな」
明日夢「……できれば、僕の方から小日向ちゃんに話しておこうか?」
響「……いえ、私の方から、連絡しておきます」
そう言うと、響は立ち上がって明日夢に礼をすると保健室を
出て行った。
それを見送った明日夢は、複雑な気持ちになった。
そして、彼は目をつむり過去の一幕を思い出していた。
京介「俺はなぁ、お前とちゃんと勝負して勝ちたかったんだよ!
それを、裏切りやがって!」
明日夢「お前に何がわかるんだよ!!」
それは、明日夢がヒビキの言葉を、以前響に話した言葉、
『自分の道を決められない奴に、何の人助けができるんだよ』と、
言われた直後の出来事だった。
当時、明日夢のほかにもう一人だけ、ヒビキの弟子だった同世代の
男がいた。
『桐矢京介』。明日夢と同じ城南高校へ編入してきた後、紆余曲折を
経てヒビキの弟子とり、明日夢をライバル視するようになった。
そんな中、明日夢が鬼を諦める道を選んだという事に怒り、
一度は明日夢と喧嘩となり喧嘩別れにも似た事態になってしまった。
その1年後には何とか和解を果たした二人で、今現在京介は
『強鬼』を名乗って鬼として活動している。
そして、明日夢は響と未来の出来事にそんな過去の自分の出来事を
重ねていたのだった。
明日夢『それぞれの意思とか、感情。そう言うのがすれ違いを
生んだりする。響ちゃんだって、小日向ちゃんとの
日常を守りたいって言っていた。でも、だからって
小日向ちゃんがそれを知ったからって喜ぶ訳でもない。
かといってこのままって訳にも……』
「ハァ」
一人になった明日夢は、椅子にもたれかかりながら天井を見つめつつ、
ため息を漏らすのだった。
「やっぱ、大変なんだよな。こういうのって」
そう一人愚痴りながら明日夢はまたため息をつくのだった。
翌日。天気は雨だった。
そんな中、暗い路地裏をイチイバルを纏ったクリスが走っていた。
彼女が立ち止まって振り返った時、ノイズが追ってきていた。
咄嗟に構えを取るクリス。その時。
『ピィッ!』
『ワウッ!』
どこからともなくディスクアニマル達が現れ、ノイズに噛みつき、
切り裂き、隙を作った。
クリス「ッ!こいつら。……このぉっ!」
一瞬、驚きながらもクリスは隙だらけのノイズを蹴とばし、
倒した。
やがて、再び歩き出そうとするクリスだったが、フラフラになって
息も上がっていた彼女は、壁にもたれ掛かり、変身を解除しながら
倒れこんでしまった。
『ピィッ!』
『ワウッ』
『ウホッ』
そんな彼女の元に、アニマル達が集まり声をかけるが、反応がない。
どうしようかと思っていたアニマル達。このままではクリスが
危険な事は分かっていたが、如何せん相手は16歳の女性。
いくら何でもアニマル達だけで運べるほど彼らは力持ちではない。
と、その時だった。ルリオオカミが大通りの方から響く足音に
気づいて、そちらに走った。
大通りで傘を差しながら歩いていたのは、未来だった。
と、その時。
『ワウッ!』
未来「ひゃっ!?な、何?」
俯きながら歩いていた未来の視界に、青いルリオオカミが
映った。
咄嗟の事で小さく悲鳴を上げる未来。
『ワゥッ!ワウッ!』
未来「お、狼の、ロボット?」
ルリオオカミを見て少しばかり驚く未来だったが、その時
彼女は、路地の方に走って行って再び振り返って、まるで
自分を呼んでいるかのようなルリオオカミに興味と疑問を
思った。
と、その時、未来の目に多数のディスクアニマルと、路地裏で
倒れている誰かの姿が映ったのだった。
それから数時間後、明日夢と響はそれぞれ、通信で先ほど起こった
事を聞いていた。それは、今朝未明にノイズが出現したという情報だった。
弦十郎の説明を受けてから響は教室に行ったが、そこには未来の姿は
無かった。
響『未来が、いない?いつもならこの時間はとっくに教室に
来ているはずなのに』
と、疑問に思う響だった。
一方そのころ、未来はあの時見つけた人物、つまりはクリスを
近くにある知人、お好み焼き屋フラワーのおばちゃんの元へと
運んで、事情を説明した。
おばちゃんは家の中に二人と、結構大っぴらについてきたディスクたちを
入れて、部屋に布団を用意してくれて、クリスは今その布団で
眠っていた。
そのクリスの傍に寄り添う未来と、同じように黙ったままクリスの周り
を囲んでいるディスクたち。
おばちゃん「未来ちゃん。お友達はどう?」
未来「まだ眠ってます。それより、ごめんなさい。無理言っちゃって」
おばちゃん「良いの良いの。こういう時はお互い様ってね。
それにしても、最近の玩具はスゴイのね~」
と言って、ディスクアニマル達を見回すおばちゃん。
「あ、それじゃあ、私はこの子の服を洗濯しておくから、
しばらくお願いね」
未来「うん、ありがとうおばちゃん」
そう言うと、クリスの方に向き直る未来。
静かにクリスの看病を続けながら、未来は手持無沙汰な手で
ディスクたちの頭を撫でるのだった。
それから数十分後。
クリス「はっ!?」
唐突に目を開いてガバッと体を起こすクリス。
そして彼女は、体中に冷たい汗を浮かべながらも、状況が分かって
居ないのか、しきりに周囲を見回していた。
未来「良かった。目が覚めたのね」
と、安堵しながら笑みを漏らす未来と、二人の周りで同じく喜んでいる
ディスクアニマル達。
「びしょ濡れだったから、着替えさせてもらったわ」
と言う未来。
実際、今のクリスは先ほどとは違い、小日向と書かれた未来の
体操着を着ていた。
クリス「勝手な事を!」
と言って、布団をまくり上げて立ち上がるクリス。だが、途端に
顔を赤くする未来と『あわわ!?』と慌てるようにひっくり返る
ディスクアニマル達。
そして、クリスは数秒遅れて気づいた。今、自分が着ているのは
未来の体操着『だけ』と言う事を。
「な、何でだ!?」
未来「さ、流石に下着の替えまでは持ってなかったから」
と言って、顔を赤くしながら少しばかり目を背ける未来と、
咄嗟に布団に包まるクリス。
そしてクリスは、未来やおばちゃんのしてくれたことに、少しばかり
戸惑いを覚えていたのだった。
それから、数時間後。
今はクリスの背中を拭いている未来と、その周囲でそれを
見守っているアニマル達。
その時、未来は気づいていた。クリスの背中が、痣だらけである事を。
それでもそれを聞く事なく唯黙々と背中を拭く未来。
しかし……。
クリス「何も、聞かないんだな」
不意に、クリスの方から背中の事に関する話題を振られてきた。
彼女自身もまた、背中の事は気づいていたからだ。
未来「…うん。私は、そう言うの苦手みたい」
静かに呟き、語り始める未来
「今までの関係を壊したくなくて。なのに、一番大切な
物を壊してしまった」
今、この時未来は明日夢の言葉を思い出していた。
『響ちゃん自身が、望んで嘘をついた訳じゃないって事だけは、
わかってあげて欲しい』
未来『わかってた。響だって、好きで嘘をつくような人間じゃないって。
なのに、私は』
クリス「それって」
と、そんな時不意にクリスが呟き、意識を現実に戻す未来。
「誰かと喧嘩したって事なのか?」
未来「うん」
そして、未来は弱弱しくも頷くのだった。
一方、学園の屋上では……。
未来の無断欠席を心配していた響の元に翼が現れ、彼女の事を
励ました。そして……。
翼「明日夢先生から、あの時保護された少女と立花の関係は
聞いている」
響「そう、ですか」
翼「喧嘩を、してしまったそうだな。……だがな立花。
人間の絆と言うのは、存外固い物だぞ?」
響「え?」
翼「明日夢先生に以前聞いた話なのだが、鬼の修行をやめる過程で、
ヒビキと言う鬼の師匠の元で当時の明日夢先生と共に
修行していた同年齢の男性と、派手な口論になったそうだ。
あの時は、掴み合いになって周りのみんなが止めなければ
殴り合いに発展していただろうと、先生は言っていた」
響「先生も昔、そんな事があったんですね」
翼「そして相手の男性は去り際、明日夢先生に『お前を絶対に
許さない』と、吐き捨てたそうだ」
響「そんな事まで言われたんですか。……あの、それで
今は明日夢先生とその人って、どう、なったんですか?」
翼「それが、今ではよく会って酒を酌み交わす仲らしい」
響「えぇ?そんな事があったのにですか?」
翼「先生によると、1年くらいは本当に絶交状態だったようだが、
戦いを通してお互いを認め合い再び友人となったと、先生は
言って居た。……確かに人とは、ぶつかり合う生き物だ。
正直に告白すれば、初めて立花、ガングニールを纏った
あなたを見た時、私は納得していなかった。それは奏の
ギアだと、そう思って立花を嫌っていた」
響「そう、だったんですか」
と言って、少しばかりしょぼくれる響。
翼「しかしだ」
と、続いた言葉に再び顔を上げる響。
「今の立花は、立花なりにがんばって努力している。
それを私は、知っているつもりだ。そして、今はもう
立花を共に戦う仲間だと認めている」
響「翼さん……!」
そう言って、少しばかり笑みを漏らす響。
翼「だからこそだ。変化とは、常に訪れる物だ。人と人の絆に
してもそう。出会って仲良くなり、一度は壊れかけるかも
しれない。でも、戻せない訳じゃない。いえ、むしろ
絆をより強固な物に出来るかもしれない。そしてそれは、
立花響。あなたの今後次第という訳よ」
響「私、次第」
翼「そう。……頑張りなさい。まだ、何も終わってはいないわよ」
響「翼さん。……はい!わかりました!私も、私なりに未来と
仲直りできるように頑張ってみます!」
と、響は新たなる意気込みを胸に笑みを漏らすのだった。
場所は変わってクリスと未来の方は……。
クリスは乾いた元の服に着替えながらも、未来の話した喧嘩の
事について感想を述べていた。
自分がそれについてよくわからない事。友達も居なく、自分が
過ごしてきた地獄と大人に対する憎しみを吐露していた。
そして、彼女なりの仲直りのやり方を教えた。
その後も、未来を気遣うクリスに対して、お礼を言ったり
友達になりたいという未来。
クリスは戸惑いながらもそれを拒否した。
そして、そんな二人の様子を心配そうに見つめていたディスク達。
と、その時だった。
『ウゥゥゥゥゥゥゥッ!』
不意に、町中に警報が鳴り響いた。
慌ててフラワーの入り口から外、大通りの方へと出るクリス、未来、
おばちゃんの3人とディスクたち。今まさに大通りでは
人々がノイズから逃れようと、人の波が出来ていた。
最初、クリスにはその警報の意味、ノイズ出現の意味が
分からなかった。だが、未来にこれがノイズの警報だと
聞かされ、何かに対して歯噛みするような表情を浮かべると、
未来の制止の声を振り切り、駆け出した。
すると……。
『ピィッ!』
その後を追うように、ディスクアニマル達が各々飛び、駆け出した。
やがて、商店街を抜けたクリスは大通りに抜けた。
その大通りの真ん中で激しく息を切らすクリス。
クリス「ハァ、ハァ。私のせいで、関係の無い奴らまで……。
うあぁぁぁぁぁ………!」
慟哭するように叫んだ彼女の足元に水滴が落ちる。そして、
その場に崩れるように膝を折るクリス。そして、彼女は泣きながら
天を仰いだ。
「私がしたかったのはこんな事じゃない。けど、いつだって
私のやる事は……。いつもいつもいつもぉ!!」
クリスは泣きながら、地面に手を突く。
と、その時、彼女を見つけたノイズが背後からゆっくりと近づいてくる。
その独特な足音がクリスの耳元に響く。ギリッと彼女は奥歯を
噛みしめる。
だが、その時。
『ピィッ!』
『ワウッ!』
追い付いてきたディスクたちが果敢にノイズたちに立ち向かっていった。
それに気づいて振り返るクリス。
彼女の元に行かせまいと、果敢に戦うアカネタカやルリオオカミ達。
その時、彼女の近くにリョクオオザル達が現れ、逃げるように促すと
自分達もノイズに向かって行った。
「お前ら、どうして……」
と、問いかけるが生憎とディスクたちに人間と対話するほどの
機能はない。あるのは、人間を守るという使命のみ。
やがて、ディスクたちが戦う姿を見てクリスは立ち上がった。
そして……。
『killter Ichavial tron』
聖詠を口ずさむクリス。そして、光のリングが彼女の体を覆い、
瞬く間にイチイバルを纏った。
次の瞬間。
クリス「お前ら!どけっ!!」
両手のアームドギアをBILLION・MAIDENへと変形させ、
構えつつもディスクたちに向かって叫ぶクリス。
すると、彼女の命令に従うかのようにディスクたちが
サッと左右に分かれ、彼女の前を開けた。
「おらぁぁぁぁぁぁっ!!!」
それに合わせ、怒号と共にガトリングを撃ちまくるクリス。
と、その時、彼女の背後から飛行型かドリルのように
体を細くして突進してくる。更に別方向からは人型の
ノイズも向かってきていた。
「ッ!?しまっ!」
咄嗟に気付いたクリスだが、元より重量のあるMAIDEN
では対応はどうしても遅くなってしまう。だが……。
『ピイッ!!』
その飛行型ノイズをアカネタカたちが翼のカッターで
切り裂き、更にルリオオカミ達に向かってノイズの足を
攻撃するように指示を飛ばすリョクオオザル達。
空をアカネタカたちが抑え、オオザルたちはクリスの
イチイバルが遠、中距離の戦いに特化している事を
察し、ルリオオカミ達はノイズの足を執拗に狙い食い千切り
その移動能力を奪う。更に、クリスに近づけまいと向かって来る
ノイズを殴り、体当たりし少しでも態勢を崩させようと奮戦する
リョクオオザル達。
その様子を、クリスは半ば呆然と見つめていた。それから数秒後、
ハッとなった彼女は頭を振って集中力を戻すと、目の前の
動けないノイズたちに向かって、集中砲火を浴びせた。
奇しくも、彼女が初めて共に戦った『仲間』は、人ならざる、
人に仕える鋼の獣たちだった。だが……。
クリス『何でだ。……何で、こいつらが一緒だと、こんなに、
胸の奥が熱いんだよ』
そんな疑問を心の片隅に置きながらも、彼女はディスクたちと共に、
ノイズを倒し続けた。
一方、戦闘で破壊された町の中を響と明日夢が共に走っていた。
街の各地に散在していたノイズたちは、クリスの放つ砲火の音を
聞きつけると、脇目も降らずそちらに向かって行った。
そんな様子を確認しながら人のいない市街地を走る響と明日夢。
と、その時。
未来「きゃぁぁぁぁぁっ!!」
どこからか未来の悲鳴が聞こえて来た。
響「未来っ!」
明日夢「あっちだ!」
咄嗟に声のした方へと走りだす響と明日夢。やがて二人は、解体中の
古いビルへと入って行った。
入り口から入り、その前にあった階段を下りて、踊り場から更に下の
フロアに向かって声をかける響。
響「誰か!誰かいま——」
と、その時。
『ブォォォンッ!』
響「ッ!」
明日夢「危ないっ!」
突如として真上からオレンジ色の象の鼻のような触手が二人めがけて
落ちて来た。
咄嗟に鉄柵を乗り越えて下のフロアに飛び降りる響と明日夢。
そして上を見上げると、そこにはオレンジ色の壺を被ったタコの
ようなノイズが居て、触手を鉄骨に絡ませながら体を宙に
浮かせていた。
咄嗟に音叉を取り出す明日夢と、聖詠を歌おうとした響。
しかし、その時響の横に現れた未来が響の口を手でふさぎ、
響と明日夢に向かってしー、と口の前に人差し指を当てて静かに
するようにジェスチャーで伝えた。
やがて、未来はスマホを取り出して、そのメール画面に文字を打って
響達と会話を始めた。
『静かに。あれは大きな音に反応するみたい』
という言葉を綴ってから、更にまた文字を打ち込む未来。
『あれに追いかけられて、フラワーのおばちゃんとここに
逃げ込んだの』
と、言いつつ視線を動かす未来とそれに続く響と明日夢。
見ると、3人からあまり離れていない場所でフラワーのおばちゃんが
倒れていた。
幸い気絶しているようだが、何処か苦しそうだ。
響『シンフォギアを纏うためには、歌を歌わないと。
でもそしたら、未来やおばちゃんが……』
その時、未来は自分が囮となってノイズを引き付けると言い出した。
しかし……。
『ストップ』
と、その時、明日夢が二人の会話にケータイの文字で割って入った。
『そこから先は、僕の、大人の仕事だ。囮は僕がやる』
『そんな!明日夢先生にそんな事!』
囮になる旨を伝える明日夢と反論する響。
『時間が無い。あの人の容体が分からない今、時間をかけてる暇は
無いよ。それに、僕は鬼にだってなれる。ある程度引き離せば、
後は自分で何とかできるから』
というと、明日夢は最後の一文を打った。
『響ちゃんと小日向ちゃん、あの人の事を頼んだよ』
そう書くと、明日夢は立ち上がってスマホをポケットに突っ込むと、
明日夢「お前の相手は僕だ!」
二人とある程度距離を取ってから、叫ぶ明日夢。案の定ノイズは
明日夢の方へ触手を打ち出してきた。
「さぁ!こっちだ!……今の内に二人はその人を!
早く!」
というと、建物を出て行く明日夢とそれを追って同じく出て行くノイズ。
そして、ノイズが出て行ったのを確認すると、おばちゃんの元に
駆け寄る響と未来。そんな時だった。
未来「響、ごめんね」
不意に、二人でおばちゃんの左右の肩に手を貸しながら歩き出そうとして
立ち上がった時、未来がそんな事を言って来た。
「私、響に酷い事言っちゃった」
響「未来」
未来「……分かってたはずなのに。先生に言われたんだ。
響が望んで嘘をついた訳じゃないって事。でも、私は……」
響「未来。私ね、ある人に言われたんだ」
と、響は未来と共におばちゃんを運びながらそう言いだした。
「過去は変えられなくても、これからは変えていけるって。
だから私、未来と仲直りしたかったんだ。……嘘ついて、
ホントゴメン」
僅かに俯きながらもそう言う響。
未来「ううん。謝らなきゃいけないのは、私の方だよ。
私も、響に酷い事言ったから。ごめんね、響」
響「じゃあ、仲直りで良いかな?」
未来「え?」
響「もう、未来と喧嘩したままなんて、私やだよ」
未来「……うん。私も、響と仲直りしたい」
弱々しく呟かれた響の言葉に、未来は頷くのだった。
その後、響と未来は車でやってきた緒川におばちゃんを託した。
響「後、未来の事もお願いします。私は、ノイズと戦ってる
明日夢先生の援護に行きます」
緒川「わかりました。お気をつけて」
と言う言葉に送り出され、走り出そうとした響。その時。
未来「響!」
不意に未来の声に足を止めて振り返る響。
「絶対、絶対に勝って、帰ってきてね!私、待ってるから!
響の事、信じて待ってるから!」
その言葉に、響は泣きそうになりながらも笑みを浮かべ……。
響「うん!約束だよ!絶対、絶対帰ってくるから、
待っててね!未来!」
元気よくそう言うと、走り出す響。
『そうだ!私は、あの惨劇を生き残ったから、ガングニールを
持っているから戦う訳じゃない!
未来と、誰かと手を繋ぎ笑っていられる日常を守りたい!
誰かと一緒に居られる毎日を守りたい!
だからあの日、受け取った、この力で!!』
その時、前方の路地裏からノイズが現れた。
「私は、戦うんだっ!!」
叫びと共に、大きく跳躍する響。
『Balwisyall Nescell Gungnir tron』
彼女の聖詠が響き渡り、生まれた光が響の体を覆う。
そして、シンフォギアを纏った響は駆け出し、腰元のバーニアを
使って突進。体当たりの要領でノイズをまとめて吹き飛ばした。
「♪~~♪♪~~」
響『私は戦う!翼さんや、明日夢先生、師匠たちと一緒に!
みんなを守るために!』
歌を歌い、心の思いを拳に乗せて放つ。
そして、ノイズの集団を見つけた時、響はあのタコ型ノイズと、更に
複数のノイズに囲まれている鬼に変身した明日夢を見つけた。
その時、タコ型ノイズの触手が振り上げられ、明日夢の体を撫でる
ように叩きつけて弾き飛ばした。
明日夢「ぐぁぁぁぁっ!」
胸から火花を散らしつつ吹き飛ぶ明日夢。だが……。
響「明日夢先生!」
飛び込んできた響が明日夢を抱えて跳躍。ノイズの包囲の輪の外に
着地した。
明日夢「ッ!響ちゃん!小日向ちゃんは?」
響「緒川さんにおばちゃんと一緒に預けてきました!」
そう言いつつ、受け止めた明日夢を離して下ろす響。
その時だった。
「明日夢先生!」
不意に、響が大きな声を出した。
「私、守りたい人や、守りたい場所があるんです!だから、
力を貸してください!」
その言葉に、明日夢は……。
明日夢「わかった!!行くよ、響ちゃん!」
そう言って右手の拳を差し出す明日夢。それを見た響は……。
『ガツンッ』
自身の左拳を合わせ、拳と拳を突き合わせた。
そして……。
響「はぁぁぁぁぁぁぁっ!」
明日夢「うおぉぉぉぉぉぉっ!」
拳と音撃棒を構えた二人が駆け出す。
一撃、響の拳が人型ノイズを殴り倒す。
その時彼女の背後を4足の丸いノイズが襲い掛かるが……。
「はぁっ!」
それを、炎を纏った音撃棒の一撃が迎撃する。更に……。
「烈火弾!」
音撃棒の先端に炎の気を集め、火炎弾として放つ。
放たれた火炎弾が集団に命中し、ノイズ数体をまとめて焼き払った。
と、その時、背中合わせで戦っていた明日夢と響の頭上に、
あのタコ型ノイズがジャンプしてプレス攻撃を仕掛けて来た。
それに気づいて前に飛び、タコ型ノイズを前後から挟む形となる
明日夢と響。
既に雑魚は倒した。残るはこいつのみ。
「響ちゃん!僕が隙を作るから、トドメはよろしく!」
響「任せてください!」
明日夢「よしっ!こっちだ!タコノイズ!」
短い意思疎通をした明日夢は、声を出してタコ型ノイズの注意を惹き、
音撃鼓を取り外しながら駆け出した。
迫りくる触手を回避して、懐に飛び込んだ明日夢はノイズの体に
音撃鼓を叩きつけた。
回転しながら巨大化した音撃鼓がノイズの動きを阻害する。
そして……。
「はぁっ!」
『ドドンッ!』
ノイズに対し、左肩を見せるようにしながら、斜め後ろ振り上げた
音撃棒を連続して叩きつけた。
その一撃でタコ型ノイズはヨロヨロと後ろに下がった。
その時。
響「これでっ!」
彼女の声に反応し、振り返ったタコ型ノイズ。
見ると、響は右手の装甲を伸長し力を溜めていた。
そして、脚部にあるパワージャッキ状のパーツを伸長させ、次の瞬間
それを解放。弾性を利用した加速力で瞬く間にノイズに接近。
「最後ッ!」
そして、未だに展開している音撃鼓にその拳を叩きつけた。
あの時のクリス戦のように、打撃の衝撃が音撃鼓の中で増幅され、
瞬く間にノイズを爆発させるのだった。
やがて、爆発で出来た砂煙が晴れると、明日夢と響は変身を解除した。
明日夢「終わったね」
響「はいっ」
そして、二人は何を思ったのか、笑い出すのだった。
その後、未来は弦十郎達からフラワーに忘れていた荷物を受け取り、
響と未来は、不可抗力でお咎めなしとなった。
一方、戦いを終えたクリスは、足元に居るアニマル達を見つめると……。
クリス「ハァ。付いて来てもいいけど、知らねえかんな」
とだけ言って、アニマル達を引き連れる形となったのだった。
そして、寮に戻った響と未来は、仲直りをした事もあって、
同じベッドで眠りに付くのだった。
第8話 END
原作がどんどん進んでいく中こっちはこの体たらく。
次回はもっと早くに投稿できるよう努力してみます。