ダンまち世界の転移者   作:慧春

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仮名

 

 

 

 

 

 

 

「やはり気持ちの良い物ではないな――」

 

【ガァアああア!!】

 

 それは、苦しみを訴える声なのか――、或いは二度目の生を与えられたにも関わらず、それを情け容赦なく奪われた者達の悲哀の声だったのかもしれない。

 獣の様な雄叫びを上げながら崩れ落ちていく、腐った嘗て英雄であった骸達――それらを見ながらシュラの口から漏れたのはそんな言葉だった。

 

 だが、この光景から目を離すことはできない。

 彼等に二度目の死を与えた自分達がそれから目を背けることなど赦される筈がないのだ。

 

「――で? 死体(おともだち)は団体で逝っちまった訳だが……まだやんのか?」

 

 墓場が燃える――燃え上がる。

 まるで『死』を、或いは『生』すらも否定するように――夕刻を過ぎ、夜の闇に包まれたオラリオの中で、墓場(そこ)だけは闇を拒絶していた。

 

 全ての亡者達を包み込むように墓場全体に拡がる蒼い炎――積尸気鬼蒼炎。

 夜の闇すらも燃やしているかのように、鬼蒼炎の蒼い炎は墓場を照らしていたのだ。

 

「ぐッ」

 

 既に蒼い炎に包まれ、足の踏み場もない筈の場所から、ザッと足音が聞こえてくる。

 男――モンスターと人の異種混合(ハイブリット)である怪人(クリーチャー)は、目の前で燃え盛る炎の中を悠然と歩く男を観て歯噛みする。

 

 ――強すぎる。

 

 魂を、或いは怨念を燃料にして燃え上がる蒼い焔――それを弄ぶかのように操る青年に対して、怪人(クリーチャー)は内心で呟いた。

 

 侮っていたつもりはなかった――だが、彼も、そして彼の同胞たる怪人(クリーチャー)達も、何処かで慢心していた。

 

 魔石を喰らえば喰らうほどより強くなれるモンスターと回復能力、人としての思考と知識――それぞれの力を良いとこ取りで併せ持ち、尚且つ『彼』から与えられた小宇宙(コスモ)の力に、モンスターの魔石を核にして造られた小宇宙(コスモ)を増幅させる鎧――

 

「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」

 

  

 

 アイズ・ヴァレンシュタインは消沈していた――

 

「ハァ……」

 

 どよーん、という擬音が聞こえてきそうな

 

「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」

 


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