私のもう一人のお兄様がなんか変人   作:杉山杉崎杉田

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九校戦編(もしくは「士気の高め方」)
自作映画


 

 

冬也お兄様を兄と呼んでもいい、そう思っていた時期が私にもありました!

あれから2ヶ月くらい経ち、少し見直したので、お昼くらいは一緒に食べようとして、私はほのかと雫と一緒にお昼休みにスケット部の部室に行きました。

ですが、そこで見たのは、部室の天井からスクリーンを吊るし、自作映画を見ながらポップコーンを食べている冬也お兄様だった。

呆れを通り越して恥ずかしさすら芽生えたので、私はすぐにでも教室に引き返したかったのだけれど、ほのかと雫が見たいというものだから仕方なくそこでお昼を食べた。

映画の内容はこれまた無駄にクオリティが高く、スパイ映画アクションモノだった。登場人物は基本的に全て冬也お兄様の変装した姿なり性転換した姿なのだが、いつの間に撮られたのかヒロイン役に私が出て来ていた。しかもベッドシーンで。

本来なら、いつ盗撮したのかを吐かせた上でボコボコにしたかったのだけど、内容があまりにも面白いものだからつい見入ってしまい、気が付けば昼休みどころか午後の授業は終わって放課後になっていた。

 

「………というわけで、あの人をお兄様とお呼びするわけにはいきません」

 

その愚痴を生徒会でぶちまけた。流石に達也お兄様に愚痴をこぼすわけにはいかないわ。

 

「……それって、深雪さんの自業自得な気が……」

 

引きつった笑みで七草会長がそう言った。

 

「違います!あの人があんな長編映画作ってた上に私のことを盗撮して、べ……ベッドシーンに使ってたあの人が悪いんです!」

 

「それは……うん、まぁ……」

 

頬を膨らませて腕を組む。あーまったく!思い出しただけでも腹が立つわ!

 

「でも、面白くて見入っちゃったんでしょう?」

 

「うっ……それはっ、」

 

そうなのよね……本物の戦場を知ってたり、そういう経験があるから、ヤケにリアリティがあって面白かったのよね……。そういう所もムカつくのよ。悔しくて。

 

「……面白かった、ですけど……!でもムカつくんですよ!」

 

「そんなに面白かったのなら、私も一枚焼いてもらおうかな〜」

 

「会長⁉︎」

 

「うん、そうしましょう。リンちゃん、私ちょーっと出て来るわね」

 

「待って下さい。私も行きます」

 

「あっ、わ、私も行きます〜」

 

「俺も行きます」

 

「……………」

 

全員行きやがった。この学校はもうダメかもしれないわね。

 

 

それからさらに数日後、学校では『スパーク』の話題で持ちきりになった。スパークとは、冬也お兄様の自作映画が生徒会を通してバカ流行りしたからだ。

中でも、主人公の柴咲冬馬(役:司波冬也)と敵のボスの大芝ウィンター(役:司波冬也付け髭装備)が黙々と廃ビルの中で戦うシーンはすごく盛り上がり、中には真似をして骨折する学生も現れた。

あと、任務を受けた時のおきまりの台詞「ヤェス、マムッ」と、言いながら、右手親指を立てて左胸に刺す流れは流行語大賞レベルで流行っている。冬也お兄様曰く、「ヤェス」という発音が重要らしい。

他にも色々と流行っている台詞はあるらしいのだが、私はなんかこの流行に乗るのは負けた気になってしまうので、あまりしないようにしている。

で、今は学校。放課後。

 

「どうしてくれるんですか!」

 

私はスケット部部室にいた。

 

『何が?』

 

「あなたの超大作のお陰で学校に変な言葉が流行ってしまったじゃないですか!」

 

『知らん。そもそも俺こんな売るつもりなかったんだけど』

 

おそらく予約がたくさん入って来ていたのだろう。昨日は徹夜だったようで、目の下にクマが見えている。

 

「まぁ、確かにそうかもしれないですけど……」

 

『大変だったんだよお前あれ作んの。俺しばらく寝て過ごすわ。というわけで、おやすみz〜……』

 

「ホワイトボードでいびき掻かない下さい。フラストレーション大暴発します」

 

『……それでなんだよ。俺に何の用だよ。今日は依頼が入ってんだから邪魔すんなよ』

 

「依頼?」

 

『ああ、そろそろ……』

 

と、冬也お兄様が言った直後、ガラッと部室のドアが開いた。

 

「し、失礼します……」

 

『ほら、アレ』

 

立っていたのは二科生の男子生徒。大人しそうな外見で、片目の下にホクロがある。

 

「って、司波さん……?」

 

『これ、俺の妹の司波深雪。で、あっちが依頼者の吉田幹比古』

 

言われて、私と吉田くんはなんとなくお互いに会釈した。私の名前を知っていたのは、新入生総代を見ていたからだろう。

 

「よろしくお願いします、司波さん」

 

「こちらこそよろしくね、吉田くん」

 

『ちなみにヨッシーは達也と同じクラスだから』

 

「ものすごくよろしくね吉田くん!」

 

「え?う、うん?」

 

俄然、友達になる気上がってきた。

 

「それで、どうして司波さんがここに?あ、もしかして、何か相談中だったのかな」

 

「いえ、私はお兄様に苦情を言いに来ただけだから、気にしないで」

 

『で、ヨッシー。前と同じ相談か?』

 

「はい。でもヨッシーはやめて下さい」

 

『どうも前みたいに魔法が使えなくなってるんだよな?ヨシヨシ』

 

「ヨシヨシもダメです」

 

『ヨシヒコ』

 

「略さないでください」

 

『勇者ヨシヒコ』

 

「誰が勇者⁉︎てか懐かしいですね!」

 

『勇者エミリア』

 

「連想ゲーム⁉︎性別変わってるし吉田幹比古の『み』しか被ってない!」

 

『太郎』

 

「結局何一つ関係ないところで落ち着いてるし!」

 

「いい加減にしなさい冬也お兄様」

 

静かに私が終止符を打たせ、相談に入る。というか、私ここにいていいのかしら?

 

「前に冬也先輩に教えてもらった方法も試してみたのですが、全部ダメでした……」

 

「一応聞くけど、前に試した方法って?」

 

「頭の中で『自分は出来る!』って思い込みながらやってみるんです」

 

「子供へのアドバイス⁉︎」

 

『バッカ深雪お前そういうことよくあるだろ。何事もまずモチベーションの回復からだ』

 

まぁ、確かにそういう部分もあるかもしれない。まぁ、吉田くんがどれくらい魔法が使えなくなっているのかを知らない私には、なんとも言えない部分もあるけれど。

 

『それより深雪、お前生徒会の方はいいのか?』

 

そうだった。少し文句を言うだけのつもりが長居してしまったわね。

 

「では、失礼します。吉田くん、頑張ってね」

 

「うん、ありがとう」

 

魔法の事と、兄へのツッコミ役、二つの意味で「頑張ってね」と言って、私は生徒会室に向かった。

 

 

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