私のもう一人のお兄様がなんか変人   作:杉山杉崎杉田

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エンジニア問題

 

 

翌日のお昼休み。私は生徒会の皆さんとお昼を食べていた。だが、会長はなんだか箸が進んでいないご様子。どうしたのかしら、と思っていたら丁度いいタイミングで会長が呟いた。

 

「……エンジニアは本当にどうしましょう」

 

「まだ数が揃わないのか?」

 

その呟きに渡辺先輩が反応する。

 

「ウチは魔法師の志望者が多いから、どうしても実技方面に優秀な人材が偏っちゃってて……。今年の三年生は、特にそう。魔法工学関係の人材不足は危機的状況よ。二年生はあーちゃんとか五十里くんとか、それなりに人材がいるんだけど、まだまだ頭数が足りないわ……」

 

「冬也お兄様はどうですか?」

 

思わず聞かれてもいないのに口を挟んでしまった。だが、これと言って気にした様子もなく七草先輩は返答した。

 

「それが微妙なのよね……。あの子、意外とCADの調整苦手みたいなのよ……」

 

「嘘だ!」

 

「へっ?」

 

「も、申し訳有りません……取り乱しました……」

 

あの人がそんなはずない!性転換魔法なんて開発出来て椅子を変形させることのできる人にエンジニアの仕事ができないわけない!

 

「とにかく、私と十文字くんがカバーするっていっても限度があるし……」

 

「お前達は主力選手じゃないか。他人のCADの面倒を見ていて、自分の試合が疎かになるようでは笑えんぞ」

 

「………せめて摩利が、自分のCADくらい自分で調整できるようになっててくれれば楽なんだけど」

 

「……いや本当に深刻な事態だな」

 

どうやら渡辺先輩は見た目通りノーキンさんのようだ。しかし、エンジニアか……三年生にとっては三連覇の掛かった大事な九校戦だし……。

色々な意味で自分の身を犠牲にして冬也お兄様に頼もうかしら、と私が思った時、どういうわけか、天井からシュタッと現れたエゥーゴの制服を着た冬也お兄様がホワイトボードで会話に参加した。

 

『そこで名案があります』

 

「! とーやくん」

 

「おい、キチンと制服を着ろ」

 

『ずばり、そこで自分に白羽の矢が突き刺さらないように顔を俯かせている我が弟です』

 

渡辺先輩の注意を鮮やかに無視した冬也お兄様の台詞、というかホワイトボードを見て、全員の視線が達也お兄様に向いた。

 

『深雪のCADや風紀委員のCADの調整もあいつがやってます。適任かと思われますが』

 

「盲点だったわ……!」

 

獲物を見つけたような目で七草会長が達也お兄様を見る。というか睨む?

でも、私は何となく賛成できなかった。それは、冬也お兄様が推薦したからだ。入学式の時には、達也お兄様を風紀委員に推薦することで危険から遠ざけ、自分だけでブランシュの掃除をしていたからだ。

あの人がお兄様を推薦するのは、何か裏があるからではないかと思ってしまう。

達也お兄様も同じ事を思ったのか、反論した。

 

「CADエンジニアの重要性は先日委員長からお聞きしましたが、一年生がチームに加わるのは過去に例がないのでは?」

 

「何でも最初は初めてよ」

 

「前例は覆すためにあるんだ」

 

間髪入れずに会長さんと委員長さんから過激な反論が返ってきた。それでも負けじと反論する達也お兄様。

 

「進歩的なお二人はそうお考えかもしれませんが、他の選手は嫌がるんじゃないですか?CADの調整は、魔法師との信頼関係が重要です。一年生の、それも二科生の俺を選んでは、選手の反発を買うと……」

 

『信頼関係なら俺は妹と弟の間の信頼関係ほど硬い信頼は知らないんだけどなぁ』

 

「しかし、兄様。他の選手がですね」

 

『あと俺の分のCADの調整で二人。一人のエンジニアが担当するCADなんて多くて五人か六人だろ?で、そこの生徒会長と風紀委員長で四人、あとは俺が有る事無い事校内にばら撒けば大丈夫でしょ』

 

「………一応お聞きしますが、有る事無い事というのは?」

 

『俺の弟のCAD調整は、ザクがガンダムになるレベルで素晴らしい、みたいな?』

 

「それは調整ではなく魔改造です」

 

それでも嫌がる達也お兄様に、冬也お兄様は肩を組んだ。

 

 

「………実は深雪が入浴中に疲れによって寝てしまった時のレア写真があるんだけど」

 

「ヤェス、マムッ」

 

 

何を交渉したのか分からないけれど、とにかく了承した。

 

 

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