私のもう一人のお兄様がなんか変人   作:杉山杉崎杉田

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並行して魔法

 

 

「深雪、こっちこっち!」

 

観客席に戻ってきた私に手招きするほのかが見えて、そっちに駆け寄った。

ほのかと雫だけではなく、達也お兄様、エリカ、西城くん、美月、吉田くんも一緒だった。

 

「ごめんなさい、いきなりいなくなって」

 

「ううん。それより、そのたこ焼きは何?」

 

「冬也お兄様が焼いていたのよ。試合前だというのに……」

 

「それ知ってる。昨日、私も食べた」

 

「………知ってたの?雫」

 

「うん。美味しいよ」

 

あれ?昨日、私と一緒に行動してたはず……。そりゃ四六時中一緒にいたわけではないけれど。

 

「あ、それ俺も食った」

 

「俺も」

 

「私も」

 

「私もいただきました」

 

「僕も」

 

………ほのかと私以外みんな知ってたのね。何プチ流行してんの?

 

「まぁ、これ食べながら観戦しましょうか」

 

1パック8個入りが3パック、ちょうど1人3個ずつ回る。流石にそこまで読んでたわけじゃないんだろうけど、この偶然も冬也お兄様クオリティなんだろうなぁ。

そんな事を思ってると、アナウンスが流れた。

 

『第一高校、司波冬也選手』

 

短い紹介と共にステージに上がってきたのは、複数の鳩と共に現れた怪盗キッドのコスプレをした冬也お兄様だった。

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

私達は思わず真顔になってしまった。だが、観客はそうでもない。鳩まで出すなんて本気出しすぎでしょう……。というかあの短時間で着替えたんですか?

 

『レディース&ジェントルマァーン!』

 

大声でマイク越しにそう叫ぶと、さらに会場は盛り上がる。

ああ、だからたこ焼き屋が「世紀末の魔術師」なのね。

 

「……うわっ、初めて聞いたわ冬也さんの声」

 

「違うわよエリカ。冬也お兄様は127種類の声音を使い分けることができるの」

 

「………何それ人間?」

 

「私も同感」

 

しかも、地声でも普通にカッコイイし。ほんと、才能の無駄遣いな人なんだから。

そんな事をしてる間に、試合は始まった。冬也お兄様が魔法を発動する。直後、紫色のオーラが冬也お兄様の周りから出現し、地面の魔法陣からは鎖のようなものがジャラジャラと音を立てて出て来て、冬也お兄様をハートのような形で包む。

直後、相手の氷柱が一つ崩れた。

 

「! いきなり本命?」

 

「すごそうな魔法ね」

 

「冬也さん!カッコイイ!」

 

「いや、あれはただの演出だな。見掛け倒し、ハッタリ、虚仮威しだ。実際に使ってるのは簡単な振動魔法だろう」

 

「……………」

 

興奮した吉田くん、エリカ、ほのかの台詞を一発で打ちくだく達也お兄様。気持ちは分かるわよ3人とも。

すると、相手の選手も攻撃を開始した。冬也お兄様は魔法を並行して使用する。直後、今度は冬也お兄様の身体が薄緑に発光した。その後、氷柱の周りに黄色いドーム状の膜が現れる。

 

「! あれはすごいんじゃねぇの?」

 

「そうだね。ロボットアニメでも出てきそうだもん」

 

「冬也お兄様!」

 

「いや、あの薄緑の発光とドームもただの演出だ。実際に使われてるのは簡単な防御魔法だな」

 

「…………」

 

西城くん、雫、ほのかの幻想をぶち殺す達也お兄様。というかほのか、冬也お兄様は私のお兄様よ。

すると、冬也お兄様はさらに並行して魔法を発動。今度はハート型の鎖が出てきた魔法陣から、巨大な魔王っぽい奴の上半身を出しながら、相手の氷柱を砕いていく。

 

「あれも演出だな。攻撃も簡単な振動系魔法……」

 

「達也お兄様、みんなガッカリしてます。やめてあげてください」

 

「えっ?」

 

全員、膝に肘をついて下を向いていた。いや、本当に気持ちは分かるけど……。

落ち込んでるみんなに達也お兄様が真顔で言った。

 

「何を落ち込んでるのか知らないが、これは凄いことだぞ」

 

「そんなフォローはいらねぇよ達也……」

 

「よく考えてみろ。あの鎖も魔法陣も全部、並行して魔法を発動してるんだぞ?」

 

その言葉にハッとする全員。私も同じ反応をした。

 

「あれは一回戦目にのみ使うつもりなのかもしれないけどな、オーラで相手をビビらせて魔法を使いづらくさせると共に観客に魅せる事もしている」

 

それを聞いてからは、落ち込んでいたエリカ達も目を輝かせて観戦するようになった。

その後も、冬也お兄様の魔法は続いた。74層のボスにスターバーストストリームを叩き込むキリトの後、

「俺の最強はちっとばかし響くぞ」のそげぶ。

ルルーシュがゼロに刺され、ナナリーの横に転がり落ち、

お次は終末の谷で少年ナルトとサスケの螺旋丸と千鳥がぶつかり合い、ぶつかり合ったまま、いつの間にか青年になった二人の尾獣玉とインドラの矢がぶつかり合う。

今度は親子かめはめ波とセルの太陽系を消し飛ばす威力のかめはめ波がぶつかり合い、

ルフィのゴムゴムの斧がアーロンパークを堕とし、

次はゴジラが出てきたと思ったらそれを追うようにウルトラ兄弟が夢のコラボレーション、

ア・バオア・クーのMS戦、その中でも一際激しくぶつかり合うガンダムとジオング、その後はアクシズをνガンダムが押し返し、

飛鳥文化アタックが法隆寺の中で暴れ回って、

監獄男子達が副会長と腕相撲をして、

銀さんと土方さんが手錠で繋がれたまま大暴れして、

どういうわけか富士山と鷹とナスが出て来て、鏡餅が出てきた後、鬼に豆をぶつけまくる子供の後に、ひな祭りの映像で、次は桜並木の絵……って、やり過ぎでしょ。ただのMADになってるし、途中でただのカレンダーになってるし。敵選手も勝負そっちのけで次に登場するの楽しみにしてるし。

気が付けば試合は終わっていた。

 

 

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