私のもう一人のお兄様がなんか変人   作:杉山杉崎杉田

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冬也お兄様vs十文字会頭

 

 

「………な、なんで、冬也……おまっ、どうやって……」

 

『今の魔法、内緒ですよ。まぁ、内緒もクソもないでしょうけど』

 

「あ、あわっあわわわっ……」

 

顔を真っ赤にしてる渡辺先輩と冬也お兄様が何か話してる。そこに私と達也お兄様、七草会長が慌てて駆け寄った。

 

「摩利!大丈夫⁉︎」

 

「! ま、真由美⁉︎オイ、降ろせ冬也!」

 

言われてパッと手を離す冬也お兄様。渡辺先輩はペタンと尻もちをついた。

 

「き、急に手を離すな!」

 

『いや離せって言うから』

 

「ちょっと摩利!大丈夫なの?」

 

「あ、ああ……。それより、七高の選手は……?」

 

達也お兄様が七高の選手を見た。

 

「目立った外傷は無さそうですね。気絶してるだけのようです」

 

「良かった……」

 

ホッとする渡辺先輩。レース再開の準備をするため、私たちは一度その場から移動した。

 

 

再レースで、渡辺先輩は危なっかしいながらも決勝に進み、優勝した。でも終始顔を真っ赤にしていた。

ちなみに服部先輩も優勝。流石三馬鹿、と言わざるをえない。

そして、アイス・ピラーズ・ブレイクの決勝。千代田先輩は優勝し、男子は今大会一番の注目カードとなった。

暇な一高生は、ほぼ全員この試合を見に来ていた。当然、私もいつものメンバーと観戦に来ている。

 

「冬也さん対十文字先輩……」

 

「どっちが勝つと思う?」

 

「そりゃ十文字会頭じゃねぇの。なんたって十師族だぜ?」

 

「でも、冬也さんだってとんでもないわよ」

 

と、それぞれが感想を漏らす中、私も同じことを達也お兄様に尋ねた。

 

「達也お兄様はどちらが勝つと思われますか?」

 

「どちらが克人?そりゃ、十文字会頭だろう」

 

「達也お兄様、バカが移ってます」

 

「どちらが勝つか、と言われても俺には分からない。けど、もしかしたら冬也兄様は負けるかもしれないな」

 

「何故、ですか?」

 

「簡単な話だ。冬也兄様は去年、実力を隠していた。それを九校戦で曝け出す理由はないだろう」

 

「つまり、わざと負けると?」

 

「可能性はある」

 

確かにあり得る。そんな話をしていると、アナウンスが流れる。

 

『第一高校、十文字克人選手』

 

ワァッと盛り上がる会場。流石と言わざるをえない人気だ。

 

『第一高校、司波冬也選手』

 

ヤェス、マムッと盛り上がる会場。他の高校の方々は頭の上に「?」を浮かべていた。そりゃそうだろうね。

二人の選手が会場に上がってきた。直後、会場がシンッと静かになる。

理由は、二人の服装だ。ゼロとナイトオブセブンの格好をしていた。

 

「………なんでそのチョイス」

 

特に十文字先輩。スザクが完全にただのゴリラになってる。全員がボーッとしてる間に、試合は開始した。

冬也お兄様が早速魔法を発動する。今までとは違い、演出はしないで、効果のある魔法のみを発動するんだろう。相手は十文字先輩だ。

直後、キュウィィンッという、甲高い音が上空から鳴り響いた。見上げると、真っ白な玉がドックン、ドックンと成長していくように大きくなる。

 

「えっ、ちょっ……」

 

「嘘だろオイ……」

 

誰かがそう呟いた。直後、その光が照射された。カッと大きく光を放ち、会場を包み込むように迫って来る。そして、十文字会頭の氷柱どころか、会場を大きく巻き込んだ。

 

「これは……」

 

達也お兄様がそう呟くと同時に、十文字先輩も冬也お兄様も防御魔法を慌てて張った。

全員、あまりの眩しさに目を隠した。会場が光に飲み込まれた。

数秒後、薄っすらと目を開くと、シュウゥゥウ……ッと音を立てて会場から煙が上がっていた。

私は目を疑った。フィールドにはすべての本数の氷柱が残っていた。

 

「! しまった……!」

 

遠くからでも十文字先輩がそう言ったのが分かった。その隙に冬也お兄様は魔法を発動した。

 

「火の鳥」

 

その通り、全身から炎の鳥が10匹出現し、不規則な動きで十文字先輩の氷柱に飛んで行く。

 

「グッ……‼︎」

 

対物障壁を連続で発動し、6匹弾いたものの氷柱は4つ破壊された。

 

「………なるほど。さっきのは『俺をニートにする世界など滅んだ方がマシビーム』ではなくただの閃光魔法だったのか。その隙を突いて十文字会頭の氷柱を砕くのが目的だった、と」

 

冷静に分析する達也お兄様。でも待って、今恐ろしい言葉聞こえたわよ?

 

「あの、達也お兄様?その俺をニート……ナントカビームとは?」

 

「ああ、万が一にも自分がニートになって五年以上経過してしまった時の最終手段らしい。試した事はないらしいが、冗談抜きで地球が滅ぶレベルのビームらしいぞ」

 

「試されてたまりますかそんなビーム!」

 

あの兄貴って……本当はかなり危ない人なんじゃないのかしら……?

 

「まぁ、とにかく主導権は完全に冬也兄様が握った。ここからどうなるか、見ものだな」

 

私は色んな意味でハラハラしながら試合を見守った。

 

 

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