決勝戦。一高対三高。私は、というより全員がその試合を見に来ていた。私はほのか、雫と一緒に見に来ていた。
ちなみに、観客席の後ろの方には、藤林さんと山中さんと冬也お兄様が3人で並んで座っている。何の話をしているのかは分からないけど、おそらく真面目な話をしているのだろう。冬也お兄様がホワイトボードを使ってないのが証拠だ。………いや、証拠にならねーなそれ。
ぼんやりと冬也お兄様を見てると、「じゃっ」みたいな事を言って冬也お兄様はその場を離れた。まぁ、軍の人といつまでも一緒にいるのはマズイだろう。
少し離れて、冬也お兄様は一人で見ていると、その隣に誰かが座った。
「ブフォッ!」
おもわず吹き出してしまった。
「どうしたの?深雪」
「な、なんでもないわよ」
な、なんで……なんで冬也お兄様の隣に、九島老師が……。
しかも、かなりフランクに二人は話してる。何を話してるか俄然気になるが、そこにはあまり行きたくない。なんとなく。
マジマジ見てると、今度はお互いにジャンケンを始めた。えっ、ちょっ、何やって……。
今度はあっち向いてホイをした。ほんとに何やってんの!? 相手が誰だか分かってんの!?
その直後、九島老師にシッペ、デコピン、ババチョッ……そこで私の身体は自動で動き出す。
そこで、試合が始まった。ババチョップが直撃する直前で止まり、二人は試合を見始めた。私はホッと胸を撫で下ろして、とりあえず自分の兄貴を後で殴り飛ばすことに決めた。
試合のステージは草原。一条のプリンスが相手なら、まず間違いなく不利なステージだろう。
達也お兄様と一条選手は、お互いにCADを向けて、引き金を引きながら近づいて行く。
始まった。おそらくこの大会で一番ハイレベルな戦闘が。
*
試合が終わった。いや早くね? とか思わないように。だが、もちろんただでは済んでいない。達也お兄様は「再生」を使うハメになっていた。
もちろん、活躍したのは達也お兄様だけではない。あのカーディナルジョージは吉田くんが倒したし、最後の一人は西城くんが小通連で仕留めていた。
今は夕方。七草会長の部屋。新人戦もモロに優勝し、またまた作戦会議という名のお菓子パーティだ。
「いやー良かったわね。新人戦も優勝できて」
「そうですね。流石に決勝戦はヒヤッとしましたが」
「というか、アレだな。今年の一年の男子は二科生の方が強いかもしれないな」
「確かにね。西城くんと吉田くんも随分と実戦慣れしてるみたいだったし……というか、吉田くんはどうして二科生なのかしら……」
「試験で緊張し過ぎたんじゃないか?」
「摩利」
「冗談だよ」
そんな話をしていると、ガチャッと扉が開いた。現れたのは達也お兄様だ。達也お兄様はズンズンと中へ入って来て、私の顎をクイッと摘んだ。
「? 達也くん?」
お兄様……。まさか……!?
「やぁ、愛しのハニー」
「ーーーーッッ!!!?」
その後、どうなったかは私は覚えていない。
*
翌日。ミラージ・バットの決勝とモノリス・コードの予選だ。モノリス・コードの出場選手は、十文字会頭、冬也お兄様、服部副会長と三馬鹿最強の3人。これはもうね、負けようがないというね。
ミラージ・バットの方も、渡辺先輩だから負けようがないだろう。
そんなこんなで、モノリス・コード。私は冬也お兄様達の試合をもはや無気力に見ていた。だって勝ちが約束されてるようなものだし。
ステージは市街地。
『じゃ、いってらっしゃい』
ホワイトボードで冬也お兄様は言うと、モノリスの前で座り込んだ。どうやら、ディフェンスのようだ。続いて、十文字先輩と服部先輩が行動開始。
モノリスを探し回る中、冬也お兄様だけ一人で盆踊りの練習をしてる。嗚呼……お願いします。身内の恥をそれ以上晒さないで……。
すると、敵の選手が冬也お兄様の前に現れた。それでも、未だ盆踊りに夢中である。
「! もらった!」
敵選手は何か叫ぶと、魔法を使おうとした。だが、一瞬目を見開くと、すごく目を輝かせて盆踊りに参加した。
「…………は?」
私の隣のエリカが声を漏らした。私もそう思う。反対側の達也お兄様が口を開いた。
「……なるほど、幻覚魔法か」
「へっ?」
「あれは一定以内の範囲に入った人に幻覚を見せているんだ。今頃、あの選手の目には縁日が見えていて、ドラえもん音頭が聞こえていることだろう」
「……………」
驚けばいいのか笑えばいいのか分からないんだけど……。そんな事をしている間に、十文字先輩が残り二人を倒し、服部先輩がモノリスを開けコードを打ち込んで勝ち上がった。