私のもう一人のお兄様がなんか変人   作:杉山杉崎杉田

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えー、今回で分かるように、私がオリジナルをやるとダメダメになることがわかりました。
次の話が終わったら、原作沿いに戻ります。


冬也お兄様の夏休み2

 

夏祭りの日。駅前で桐原はヤケに落ち着かない表情で貧乏ゆすりをしていた。

 

「うーわ……」

 

「あいつガッチガチだよ。初めてエロ本読んだ小学生の股間並にガッチガチだよ」

 

「これ壬生先輩来たら白いの出るんじゃないんですか?」

 

「おい、壬生が来たぞ」

 

十文字の言う通り、壬生が浴衣を着て小走りで桐原のもとに来た。

 

「ごめんなさい! 待った?」

 

「いや、今生まれたところだ」

 

((((何言ってんのあいつ))))

 

全員で呆れる中、壬生はあははっと笑った。

 

「何それ〜。ほら、早く行こ?」

 

「お、おう」

 

二人は出発した。

 

 

桐原は壬生と二人で出店が並ぶ通りを歩いていた。

 

「ね、桐原くん。何食べよっか」

 

「え、えっと……壬生の好きなものでいいぞ。奢るよ」

 

「本当? やったね。じゃああれ食べたい!」

 

壬生の指差す先にはりんご飴の屋台がある。

 

「オーケー。確か、ピンボールで当たりに入れれば二つだったよな」

 

「うん。頑張ってね」

 

てなわけで、桐原は金を出した。

 

「おっちゃん、二回」

 

「誰がおっちゃんだクソガキテメェこの野郎」

 

服部がホワイトボードを持って立っていた。直後、殴り飛ばした。

 

「どうしたの?桐原くん」

 

「何でもない。店変えようぜ。りんご飴ならなんでもいいんだろ?」

 

「ええ……?」

 

「おいおい待てよ。ここのりんご飴屋はただのりんご飴じゃないぜ?カップル専用イベントってことで、彼氏にスペシャルメニューがあるんだ」

 

言いながら服部はホワイトボードを出した。

 

『カップルメニュー 一回500円

・当たりに入れればりんご飴が5個の上、料金を丸々キャッシュバック』

 

「おいおい、マジかよ!? そんなんやっていいの!?」

 

「当たり前だろ。そもそも誰のために協力してやってると思ってんだ」

 

「服部……」

 

感動して涙を流しそうになる桐原。

 

「やるか?」

 

「あ、ああ。やらせてもらうぜ」

 

冬也に500円渡すと、桐原はポキポキと鳴らす。

 

「よっしゃ、見てろよ壬生。5個手に入れてやるからな」

 

「うん」

 

「じゃ、これカップル専用のピンボール」

 

服部に出されたピンボールのボードは、いかにもオーソドックスな、右端からスーパーボールくらいの球を打って一番上まで飛ばした後、途中にある杭に打たれながら、下の十ヶ所の穴の中から、当たりと書かれた穴に入れる感じだ。ただし、当たりの穴は一つ。

 

「いや確率ゲー過ぎるだろ!! 500円払わせといて10分の1!?」

 

「それを乗り越えるからこそ、愛があるんだろうが」

 

「愛は運で決まっちゃうのかよ!!」

 

「でももう金払っちゃったから。頑張れよ」

 

心底イラつきながら、桐原はスーパーボールを受け取って、セット。

 

「桐原くん、頑張って!」

 

壬生に応援され、仕方なさそうに玉をセットした。

 

「行けッ!!」

 

桐原がボールを射出。直後、ボールはピンボールの壁を突き抜け、思いっきり屋台も突き抜けて空へ舞い上がり、パァンッと花火になった。

 

「た〜まや〜」

 

「いやどんな仕掛け!? ふざけんな! 500円返せ!」

 

「落ち着けよ。今のは当たりだ。セカンドステージへ以降する」

 

「セカンドステージ?」

 

言われて冬也が出したのは、高さ20メートルにも及ぶ巨大なピンボールだった。

 

「いや難易度上がり過ぎだろ‼︎」

 

「まぁまずはボールを20メートルまで上げることだな」

 

「出来るわけねぇだろ‼︎」

 

「安心しろ、これで当たりに入れたらあんず飴10個の上、250円キャッシュバックだ」

 

「あんず飴10個もいらねーしキャッシュバック減ってんじゃねぇか!!」

 

「桐原くん頑張って!」

 

「頑張るの!? これでも頑張らなきゃいけないの!?」

 

だが、頑張れと言われた以上はやらなきゃならない。桐原は自分の全身全霊の力を振り絞って玉を打った。突き抜けて花火が出た。

 

「サードステェェェジッ!!」

 

「もういいわ!」

 

 

結局、外したものの、オマケでりんご飴を二つもらった。

 

「悪かったな壬生……。いきなり変なとこ連れて来ちまって」

 

「ううん。りんご飴美味しいし、いいよ」

 

「そっか、次は何する?」

 

「うーん……あれ! 金魚すくい!」

 

壬生の指差す先には金魚の絵の後に「すくい」と書かれた旗が見えた。

 

「おお、いいぜ」

 

「やった! 行こう」

 

二人はその屋台の列へ。

 

「いらっしゃい」

 

幹比古がいた。

 

「今度はお前か……」

 

「あ、桐原先輩。あと、壬生先輩。いらっしゃい」

 

「………? 君は?」

 

「初めまして。吉田幹比古です」

 

「あ、うん……」

 

今のやり取り的に、まともだと思った桐原は金を出した。

 

「ほら、二人分」

 

また500円玉を差し出した。

 

「毎度あり。じゃ、これ」

 

幹比古に渡されたのはお札のようなものだ。

 

「? 何これ」

 

「はい、頑張ってください」

 

さらに不可解なことに、水の中に金魚の姿はない。

 

「おい、金魚はどこだよ」

 

「? なんでうちに金魚が?」

 

「決まってんだろ! 金魚すくいだからだよ!」

 

「何言ってるんですか。うちは『精霊すくい』ですよ」

 

固まる桐原と壬生。

 

「いや、見えるわけねぇだろッ!!」

 

「え? 見えない? おっかしいなぁ……。でも、そこのお客さんは……」

 

幹比古の指差す先には美月が高速でお札を動かしていた。

 

「見えてるみたいですよ?」

 

「いや知らねぇよ! 付き合ってられるか! 行くぞ壬生!」

 

「待って、桐原くん。ここ、普通の金魚すくいもやってるみたいよ?」

 

「え?」

 

壬生の視線の先には、高速で金魚をすくう冬也の姿があった。

 

「こっちは一回200円ですよ」

 

「なんだよ、あるなら先に言えって」

 

言いながら桐原は二人分の値段を払った。

 

「壬生、どうせならどっちが沢山掬えるか競争しないか?」

 

「いいね! 負けないわよー!」

 

で、二人して金魚を見た。直後、固まった。水の中で渦潮が出来ていた。

 

「だから難易度高過ぎるだろ!こんなん掬えるか!」

 

「掬う? 何言ってるんですか? ここは『金魚救い』ですよ?」

 

「分かりにくいわ‼︎」

 

「でも出来ないことないでしょう。冬也さんは何匹も救ってますし」

 

そう言う通り、冬也のお椀は金魚が大漁で溢れていた。

 

「いやあれ別の意味で死に掛けてるからな⁉︎」

 

「桐原くん! 頑張って!」

 

「えっ、壬生? やれって言ってる?」

 

「頑張って!」

 

「いや、こんなんあのアホしか出来な」

 

「頑張って!」

 

「頑張ります……」

 

ポイを渡され、仕方なく桐原は金魚を救う。

 

(めげるな、俺。やる以上は全力を出せ。水の流れを読むんだ。かならず付け入る隙があるはずだ)

 

必死に水の流れを見た。直後、カッと目を見開く。

 

「そこだ!」

 

ポイを入れた。直後、折れた。

 

「いや水強すぎるだろ! こんなん出来るか!」

 

折れたポイを叩き付け、桐原は壬生を連れて出て行った。

 

 

その後も、邪魔してるとしか思えないアシストによって、桐原はツッコミまくりながらも、なんとか壬生と祭りを楽しんだ。

 

「ちょっと、休憩するか」

 

「そだね」

 

二人は祭りから離れて、森の中を進んだ。

 

「ったく、あいつら……余計なことばっかしやがって……」

 

「そんな事ないよ。みんなの屋台、楽しかったわよ?」

 

「気を使わなくてもいいんだぜ、壬生」

 

「…………」

 

「それより、花火って何時からだ?」

 

「あ、えっと……確か9時から、だったかな?」

 

「あと30分か……今のうちに場所取りするか」

 

「そうだね」

 

そんな事を話しながら歩いてると、ザンッと四人が目の前に現れた。

冬也の魔法によって完璧な偽装にも関わらず、何故かバレバレの冬也、服部、十文字、幹比古だ。

 

「二人とも、随分とアツアツじゃねぇの?」

 

「俺たち祭りで金使い過ぎちまってよぉ」

 

「だから金貸してくれや?」

 

「断りゃしねぇよなブフォッ⁉︎」

 

最後の台詞の幹比古の顔面に飛び膝蹴りが炸裂。

 

「テメェらァ! いい加減にしとけよクソッタレがぁっ!!」

 

と、バトルロワイヤルが始まる。この時、桐原は気付かなかった。壬生がこの時、本当に攫われてしまっていることに。

 

 

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