大喜利大会
生徒会室。新学期も始まって数日。私は気が重いながらも生徒会室に足を運んだ。
なぜ足が重いか。それは、現・生徒会長だ。
「………遅れました」
私はテンションだだ下がりで生徒会室に入った。
「あ、司波さんが来たよ」
生徒会会計:五十里啓さん
「お疲れ様、司波さん」
生徒会書記:中条あずささん
「深雪、遅かったけど、どうしたの?」
生徒会書記:光井ほのか
『お前新生徒会が決まってまだ数日なのに遅刻とかいい度胸してんなこの野郎。罰として廊下でスクワット200回』
生徒会長:バカ
『おい、一人だけ紹介おかしいだろ』
「遅れて申し訳ありません。何せ会長の顔を見たくなかったもので」
『目の前で言っちゃうんだ』
「では、始めましょうか」
『なんでお前が仕切ってんの。生徒会長俺。じゃ、五十里、会議進めろ』
「今日は光井さんの日だよ。お願いね、光井さん」
「分かりました。でも今日ちょっと喉の調子が悪くて……深雪、お願い」
「結局私⁉︎」
ああ、疲れる……。つーか、「光井さんの日」って何?会議って当番制?
『じゃ、会議始めんぞー』
しかも結局あんたが仕切るのか、まぁいいや。
『えーっと、今日はなんだっけ。10月の球技大会の話だっけ?』
「そんな行事ありません」
『じゃあ写生大会?』
「大会から頭離してください」
「論文コンペについてだよ、冬也くん」
五十里先輩が私の援護をしてくれる。
『はいはい、わーってるよ。じゃあ、その糖分ローテについて、お話ししまーす』
そもそも、何故うちの兄のダメな方が生徒会長になったのか分からない。どーせおもしろがってるんだろうけど。学校はどうなってしまうんだろうか。
『えーっと、確認するけど出場するのはリンちゃん先輩だよね』
「そうです。それと、五十里先輩です」
ほのかが五十里先輩を見ながら言った。
『磯野と……』
「誰が波平?」
『あと3-Cの平河先輩が退学したんだよね?』
「うん、そうだね。なんでか知らないけど、急に……」
『と、いうわけで今回の議題は代わりの人を探します。題して!』
言いながら冬也お兄様はホワイトボードに文字を書き始める。
『平河の代わりに論文コンペ出たい人選手権』
「いやなんの選手権ですか⁉︎というか、ここどこ⁉︎」
しかも、いつの間にか場所は講堂に変わっていて、冬也お兄様はスーツに着替えてほのかと司会のように立っていた。
『と、いうわけでやってまいりました。平河の代わりに論文コンペ出たい人選手権、通称平井堅』
「とんでもないところ略した!」
『司会進行役を務めさせていただきます、シバ冬樹です』
「モト冬樹みたいに言うな!」
「同じく司会進行の、光井ほのかです!」
「ほのかも俄然ノリ気⁉︎」
『審査員の方のご紹介をします』
すると、ステージの離れた場所にスポットライトが上がる。
『今回、論文コンペに参加していただく、リン・チャンナウさん』
「市原鈴音です。宜しくお願いします」
『同じく、先日千代田花音の全裸フィギュアを買った磯野カツオさん』
「いやそれバラす必要ある⁉︎」
『そして、2年生主席の小学生、赤毛のあーちゃん』
「あーちゃんって呼ばないで〜!」
「いやそこじゃないでしょ!」
『そして、ツッコミ役の司波深雪さんです』
「ツッコミ役って何⁉︎ていうか、それわたし⁉︎」
『今回の平井堅で一番重要な役をしていただきます。深雪さんには思う存分、手腕を発揮していただきたいですね』
「それツッコミなしじゃ成立しないってこと⁉︎ボケ倒すつもり満々ですか!ていうかそもそもいつ募集したんですかこれ!私聞いてませんよ⁉︎」
『おっ、早速ツッコミを連発しますね〜深雪さん1ポイント』
「ポイント制⁉︎あと私も参加者なの⁉︎」
『では、エントリーナンバー1。服部刑部さん!』
「もう始めるの⁉︎」
舞台に上がってくる服部先輩。というか、これを見に来てる観客の皆さんは一体何なんだろうか……。
「服部刑部です。一発芸やります」
「忘年会⁉︎」
すると、服部先輩は手をすっと控えめに挙げた。
「ミュージック、スタート」
だが、何も流れない。すると、放送が入った。
『すみません、音楽機器の故障です』
「いやグダグダァッ‼︎」
何だこれ!とても論文コンペに出る参加者を募るためのものとは思えない。
「冬也さん、どうなさいますか?」
『服部、アウトー』
直後、冬也お兄様はボタンを押した。服部先輩はステージの穴に落ちて消えた。
「いやどんな仕掛けですか⁉︎」
………結論を言おう。これはダメだ。あの人が生徒会長になると、学園が崩壊する。
*
結局、本日の大喜利大会は、出場者が服部先輩、桐原先輩、十文字先輩、吉田くんの冬也お兄様の率いる最強バカ軍団の茶番であることが判明し、終わった。
その分、見に来ていた生徒達のウケは良かったようだが、正直冬也お兄様が生徒会長でいいのかは疑問だ。仕事そっちのけでこんな下らない行事ばかりしている。一度、生徒会選挙をやり直したほうがいい気もする。
その事を、私は達也お兄様に話そうと、家で達也お兄様の部屋に入った。
「失礼します」
「? 深雪、どうした?」
「あの、達也お兄様……」
「ああ。もしかして、論文コンペのメンバーに俺が選ばれたってことか?」
「………へっ?」
「………もしかして、違った?」
「その話、聞かせてください」
「ああ、今日の放課後の講堂での出来事の後に、市原先輩と五十里先輩と冬也兄様と廿楽先生に頼まれたんだ。論文コンペのプレゼンに出てくれって」
「そう、だったんですか?」
「ああ。俺にもメリットのある話だったし、協力させてもらうことにしたよ」
………冬也お兄様は、キチンと仕事していた。
「でも、冬也お兄様が達也お兄様を何かに巻き込む時は大抵……」
「いや、どちらにせよ論文コンペはよく狙われる行事だからね。冬也兄様一人が避けさせようとした所で避けられるものでもないだろうから、心配いらないよ」
「そうですか……」
「しかし、あれだな。冬也兄様が生徒会長になってから行事が増えたな」
その通りだった。球技大会やらマラソン大会やら文化祭やらと先生方に話を掛け合っている。
「なんか、意外とやる気満々ですよね、冬也お兄様」
「ああ見えて責任感の強い方だからね。なるべく、魔法と関係ない行事を増やして、二科生と一科生の交流を図っているんだろう」
「………そういえば、入学式直後にいきなり差別用語を撤廃させていましたね」
「ああ。それに、風紀委員長のちよちゃんに取り締まりの強化を頼んでた」
あれ?今ちよちゃんって言った?
「お陰で、俺は忙しくなりそうだよ」
「そうですか……。頑張って下さいね。深雪は達也お兄様の味方ですから」
「頑張るのは深雪もだろ?ツッコミ頑張れよ」
「それはあんまり頑張りたくないんですけど……」
でも、私がやらなきゃいけないんだろうなぁ。