とんでもないことを平然とブチまけた冬也さん。僕がおでこに手を当てる中、柴田さんはキョトンと首を捻った。
「あの、仰ってる意味がよく分からないんですが……」
僕は大きく息を吐いた。良かった、柴田さんはあの馬鹿どもに染まるべきじゃない。
『だーかーらー、要するに同じ布団の中に入ってアレをああしてああする仲にってこと』
それでも負けじと爆弾を放り投げる冬也さん。この人、今からでも殴って止めようかな。いやでも、ここで出て行ったら、柴田さんの胸を僕が揉んだ事がバレて柴田さんに恥ずかしい思いをさせてしまうんじゃ……。
「同じ、布団に……?」
しばらく考え込む柴田さん。すると、ボンッと顔を赤くする。
「あうう……」
『実はうちの吉田くんが君に好意を持ってるみたいで』
うおいっ!何をバラしてるんですか!
「えっ?吉田くんが……?」
『ああ。家だと毎日シコシコしてるし、学校でもたまにシコシコしてるし』
してねぇよっ!!
『この前なんて自分の二の腕でキスの練習してたからね』
してねぇってば!!マキマキか僕は!
『まぁ、俺としては自分の部員に恋人が出来るのも面白…いいと思ってるわけだから、お前さんと成功して性交して欲しいわけよ』
「は、はぁ……」
『だが、あいつはケンタッキーよりチキン野郎で魔人ブウより純粋なわけだから、柴田さんをデートに誘うなんて出来ないと思うんだ』
いやチキンも純粋もベクトル違いますよねそれ。
『それでここに二枚のチケットがある』
冬也さんはポケットから二枚の紙を出した。深雪さんのお風呂写真だった。
『あ、間違えた。こっちだ』
いや、見過ごせないんだけど今の……。この人、実の妹になんてことしてるわけ?
『これは遊園地のチケットだ。これで幹比古を誘ってやって欲しい。いけるか?』
「わ、分かりました……!頑張ります!」
いや頑張るの僕だと思うんだけど……。
『と、いうわけで、頼むわ。じゃあ俺はここで』
そう言うと、冬也さんは僕の方に歩いて来る。すれ違いざまにこう言った。
「と、いうわけだから、バッチリ決めろよ」
「………………」
「安心しろ。スケット部総出で手伝ってやる」
「いやそれ全然安心できないんですけど……」
デートする事になりました。
*
デートの日。僕は駅前で柴田さんを待っていた。……ダメだ、落ち着かない。つーか、総出でサポートするって言ってたけど全員そんなことしてていいのか。
冬也さんは生徒会長だし、桐原先輩と服部先輩は市原先輩の護衛のはずだ。十文字先輩に至っては会場警備隊の総隊長のはずだ。
………あれ、これつまりサポート無理なんじゃね?この前言ってたのはハッタリの可能性も……。
「あの、吉田くん?」
「ヒィンヤッホゥウッ!」
しまった!ビックリして驚いた声を上げてしまった。
「よ、吉田くん?」
「あ、ああ……ごめん。柴田さん……」
「じゃあ、行きましょうか」
出掛けた。
*
遊園地に到着した。電車の中では冬也さん達の姿はなかった。
「じゃあ、入りましょうか」
「あ、うんっ」
チケットはあるから券を買う必要はない。僕は柴田さんと入場門に並んだ。
「楽しみですね〜」
「そ、そうだね。まずは何に乗る?」
「うーん…実は私、ジェットコースターって苦手で……」
「苦手なものに無理して乗ることないよ」
「はい。ありがとうございます」
良い感じで僕達は中へ入る。うん、良い感じだぞ。イケる……星座占いも今日はトップだったし、ラッキーアイテムも持ってきた。俺のシュートは落ちん!
そんな事を思いながら、二人で入園し、まずは何に乗ろうかキョロキョロと探す。その直後だ。なんか見たことある奴らが従業員専用の所に入って行くのが見えた。
前から、冬也さん、十文字先輩、桐原先輩、壬生先輩、服部先輩、そして市原先輩だ。
護衛対象を連れて来てまでここに来たよ……。
「柴田さん、なるべくあっちの方行こうか」
「へ?何でですか?」
「ちょっとね。ショッカーが現れる前に場所を移動しよう」
「は、はぁ……。じゃあ、とりあえずあっちに行きましょうか」
逃げた。………いやまぁ、逃げ切れるなんて思ってないけど。