私のもう一人のお兄様がなんか変人   作:杉山杉崎杉田

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冬也お兄様アホナンバー1記念
ちなみに、ちゃんと物語も進んでるので、この話の今頃は達也、元委員長、元会長の3人がトラさんを狩ってます。


冬也とほのかと深雪

学校。スケット部部室に今日は冬也はいない。よって、今は十文字、服部、桐原、壬生、幹比古の五人が暇そうにしていた。

 

「そういや吉田。最近、彼女とはどうなんだ?」

 

服部が聞くと、幹比古は少し疲れたような顔をする。

 

「それが……その、なんというか……」

 

「?」

 

「柴田さん、結構束縛の強い人で……。アレからあんま柴田さん以外の女子と話させてもらえないんですよね……。いや別に話したいというわけではないんですが……」

 

「ふむ……そうなのか?」

 

「他の子と話すとすぐに柴田さんも会話に参加してくるし、エリカと話す時なんて名前を呼んだだけで少し不機嫌そうな顔をするんですよ」

 

「………エリカ?」

 

壬生がピクッと反応する。

 

「あ、はい。ちばエリカっていうクラスメイトです」

 

「そりゃ怒るわよあんた」

 

「へっ?な、なんでですか?」

 

「だって、彼女の柴田さんは名字でさん付けで呼んでるのに、幼馴染の女の子には下の名前で呼び捨てだもの。そりゃ私でも嫌な気分にはなるわよ」

 

「安心しろ壬生。俺はお前にそんな思いさせねーよ」

 

「桐原くん……」

 

お互いに今にもキスしそうな雰囲気になったので、十文字が桐原をファランクス。

 

「あだっ⁉︎ ちょっ、会頭!なんでファラる(ファランクスする)んすか!」

 

桐原にそう言われても無視。幹比古が深くため息をついた。

 

「なるほど……そういうもんなのか……」

 

そんな事を話してると、コンコンとノックの音がした。

 

「し、失礼しまぁす……」

 

入って来たのはほのかだ。

 

「ん、光井さん。どうしたの?」

 

一応、知り合いの幹比古が立ち上がり、椅子を用意しながらカップにコーヒーを注いで前に置いた。随分と手慣れた動きだ。

 

「あ、ありがとう。吉田くん……」

 

用意された椅子に座り、コーヒーを一口飲んで、はふぅ…と、落ち着くと、口を開いた。

 

「あ、あのっ……生徒会室を抜け出して来たのでっ、あんま、時間ないんですけど……冬也さんのいないうちにって思って……」

 

顔を赤くして、途切れ途切れに言うほのかの様子を見て、5人とも依頼の内容を大体把握できた。

 

「と、冬也さんと……お付き合い、したいんですが……」

 

『詳しい話を』

 

全員口を揃えて聞き返した。それに若干ビクつきながらもほのかは語り出した。

 

「その……前から、冬也さんのことは気になってて……それでいて、スケット部の事とか、九校戦の時とか、カッコいい活躍してて……それで……」

 

純粋な恋に、壬生は手で顔を覆いながら、可愛いと思った。同時に、昨日桐原に初めてを捧げた時に「もうこんなに硬くしてるの?」と言ってしまった自分に今更後悔していた。

 

「まぁ、大体わかった。少し我々だけで話がしたい。生徒会室を抜け出して来たんだろ?だったら早めに戻った方がいい」

 

十文字に言われ、ほのかは急ぎ足で戻った。再び五人だけとなった教室で、服部が口を開いた。

 

「さて、どうするか。いや、その前に聞くけどさ、この中に冬也のこと知ってる奴、どのくらいいる?」

 

誰も手を上げない。冬也がどんな人間なのか、変人ということと仕事熱心ということ以外誰も分かっていないのだ。

 

「………正直、あいつの事はよう分からん」

 

「俺も」

 

「僕も」

 

「私も」

 

全員答えると、沈黙が教室を包み込んだ。

 

「……この依頼、無理くね?」

 

「いや、引き受けた以上はスケット部の名折れだ。まずは冬也を知ることから始めるしかないな」

 

「と、言っても……どうしましょうか」

 

「とりあえず、今日晩飯誘ってみようぜ。たまにはっつーことで」

 

「そうですね。食事は人間関係を円満にしますし」

 

「初めて聞いたわよそんな言葉……」

 

そのまま方針が決まりかけたとき、またコンコンとノックの音がした。

 

「失礼します」

 

入ってきたのは深雪だ。

 

「? どうしたの?司波さん」

 

同じように幹比古は椅子とコーヒーを用意する。それに「ありがとう」と、短く答えて深雪は言った。

 

「私の友達がクソバカアホチンカスお兄様に告白しようとしているんです。その、止めていただけませんか?」

 

正反対の依頼が来たことより、深雪の口から「チンカス」という言葉が出たことに、5人とも驚きを隠せなかった。

 

「え、えと……つまりどういう事?」

 

「つまり、私の友達がアホに告白して、仮に上手くいったとしても後悔する前に止めてあげて欲しいんです」

 

「何で後悔するんだ?」

 

服部が聞くと、深雪は勢い良く立ち上がった。

 

「決まってるじゃないですか!あの奇行!何がしたいのか、何を考えてるのか、何をどうしたらあんな子に育つのか、黒の組織のボスより謎に包まれてるあの人に告白しようとしてる人がいるんです!しかも私の友達に!そんなの止めるっきゃないでしょう‼︎」

 

力説する深雪に5人ともドン引きしていた。

 

「……申し訳有りません。取り乱しました。とにかく、よろしくお願いします。私は生徒会の仕事があるので、これで失礼します。詳細はまた後日」

 

深雪は教室を出て行った。

 

「………どうしようか」

 

「………どうしような」

 

五人はため息をついた。

 

 

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