「……………」
十文字、桐原、服部、幹比古、壬生の五人は黙り込んだ。どうするべきか悩んでいるのだ。どっちの依頼を優先すべきか。
「………どうする?」
年長者なだけあって、十文字が最初に切り出した。
「どうしましょうか……」
「やっぱり、無難に二手に分かれた方がいいんじゃないすかね」
「となると、光井の方に桐原、壬生、吉田に行ってもらうことになるが」
「? どうしてですか?服部先輩」
「だって、お前らはスケット部の助けによって付き合えたわけだろ?」
「まったく役に立たないサポートばかりだったけどな」
「なら、俺と服部が司波妹の依頼ということになるが……」
「そうですね。せっかく人数いますし、ばらけたほうがいいでしょう」
「けど、もう一週間もないうちに論文コンペよ?」
「それな。まぁ、本格的なサポートはその後からって事で」
『はーい』
方針が決まった。ちょうどその時だ。またまたスケット部のドアが開かれた。
『ちーっす、いやーめんごめんご。生徒会がちと長引いて……』
「「「「「お前しばらく出禁」」」」」
『なんでっ⁉︎』
*
いよいよ、論文コンペまで2日というところまできた。にも関わらず、スケット部の面々はそれぞれの仕事に夢中で、論文コンペなどどこ吹く風という状態だった。
スケット部部長である冬也は、スケット部から弾かれているため、しばらくは生徒会室でずっと仕事をしている。
論文コンペ会場で開く屋台のたい焼きを研究中だ。まぁ、大体出来上がっているため、あとは試食のみなのだが。
その試食をしてもらう為に、冬也は学校をサボってとある公園にいた。
「お待たせ、特尉」
その声で現れたのは、独立魔装大隊の風間、真田、柳、藤林の四人だ。
「すいません、わざわざ付き合ってもらって」
「本当だぞ、冬也。こっちは休み取ってまでお前に付き合ってるんだ」
「まぁまぁ、柳くん。冬也くんの料理は絶品なんだからいいじゃないか」
「とはいえ、こっちは九校戦のたこ焼きの時も付き合ってるんだぞ」
「すいませんね」
言いながら、冬也は紙袋からたい焼きを取り出した。
「どうぞ」
「あら、美味しそうね」
「いただきます」
礼儀よく四人は手を合わせて食べ始めた。直後、目を見開く四人。
「表面はカリカリで生地はモッチリ!」
「クセになる食感なのにそれでいてしつこくない!」
「中のカスタードクリームはまろやかな味わい!」
「生地とクリームの割合がうまい具合にバランスが取れてる!」
「「「「味の三千世界や〜‼︎」」」」
「あれ?まろやかなんじゃないの?」
全員が幸せそうな顔をし、冬也は当然のツッコミをした。
「ふむ、これなら毎日食べたいくらいだ。学校の部活帰りとかに」
「あーわかりますそれ。仲良い友達とジャンケン負けた奴奢りで」
「もしくは恋人と一緒に」
「「「リア充は死ね」」」
「酷くないですか⁉︎」
藤林がガビーンとした声を上げた。
「まぁ、満足してくれたようで何よりです。他にチョコ、あんこ、抹茶、それぞれの薄生地、もしくは黒糖生地などを用意してますが」
「無駄に本格的ね……」
「ご馳走様」
「お粗末!」
冬也はそう言うと、いつの間に服装をお食事処幸平の服に変えていたのか、頭の鉢巻を取った。
「ふぅ……いやー、いいものを食べさせてもらったよ。ありがとう、冬也くん」
「いえいえ、真田さん。俺の試食に付き合ってもらってるんですから、お礼はいいですよ」
「ふむ、ではまたな」
「藤林くん、先に行ってるよ」
「あ、はい」
真田、柳、風間は先にその場から立ち去った。残されたのは冬也と藤林の二人だ。
「しかし、バレないものね。私達の関係」
「あの3人にはバレてますけどね」
「もう、二人の時は敬語なんてやめてよ」
「そう?じゃあそうするけど」
「それより、論文コンペ近いのにこんな所にいて大丈夫なの?」
「平気だよ。どうせ俺何もしないし」
「そっちじゃなくて、いいの?なんか邪魔されそうな動きが見えるけど」
「いいよ。相手は大亜連合だっけ?そのくらいならなんとかなるでしょう」
「あなたがそう言うならいいけど……。でも、油断してると深雪さんとかが……」
「あの辺には戦わせませんから」
「言うねぇ、さすがお兄ちゃん」
「うるせっ。じゃ、そろそろ帰るわ」
「はーい。またね」
「んっ」
テキトーに挨拶すると、冬也と藤林は別れた。