私のもう一人のお兄様がなんか変人   作:杉山杉崎杉田

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味見

 

 

「……………」

 

十文字、桐原、服部、幹比古、壬生の五人は黙り込んだ。どうするべきか悩んでいるのだ。どっちの依頼を優先すべきか。

 

「………どうする?」

 

年長者なだけあって、十文字が最初に切り出した。

 

「どうしましょうか……」

 

「やっぱり、無難に二手に分かれた方がいいんじゃないすかね」

 

「となると、光井の方に桐原、壬生、吉田に行ってもらうことになるが」

 

「? どうしてですか?服部先輩」

 

「だって、お前らはスケット部の助けによって付き合えたわけだろ?」

 

「まったく役に立たないサポートばかりだったけどな」

 

「なら、俺と服部が司波妹の依頼ということになるが……」

 

「そうですね。せっかく人数いますし、ばらけたほうがいいでしょう」

 

「けど、もう一週間もないうちに論文コンペよ?」

 

「それな。まぁ、本格的なサポートはその後からって事で」

 

『はーい』

 

方針が決まった。ちょうどその時だ。またまたスケット部のドアが開かれた。

 

『ちーっす、いやーめんごめんご。生徒会がちと長引いて……』

 

「「「「「お前しばらく出禁」」」」」

 

『なんでっ⁉︎』

 

 

いよいよ、論文コンペまで2日というところまできた。にも関わらず、スケット部の面々はそれぞれの仕事に夢中で、論文コンペなどどこ吹く風という状態だった。

スケット部部長である冬也は、スケット部から弾かれているため、しばらくは生徒会室でずっと仕事をしている。

論文コンペ会場で開く屋台のたい焼きを研究中だ。まぁ、大体出来上がっているため、あとは試食のみなのだが。

その試食をしてもらう為に、冬也は学校をサボってとある公園にいた。

 

「お待たせ、特尉」

 

その声で現れたのは、独立魔装大隊の風間、真田、柳、藤林の四人だ。

 

「すいません、わざわざ付き合ってもらって」

 

「本当だぞ、冬也。こっちは休み取ってまでお前に付き合ってるんだ」

 

「まぁまぁ、柳くん。冬也くんの料理は絶品なんだからいいじゃないか」

 

「とはいえ、こっちは九校戦のたこ焼きの時も付き合ってるんだぞ」

 

「すいませんね」

 

言いながら、冬也は紙袋からたい焼きを取り出した。

 

「どうぞ」

 

「あら、美味しそうね」

 

「いただきます」

 

礼儀よく四人は手を合わせて食べ始めた。直後、目を見開く四人。

 

「表面はカリカリで生地はモッチリ!」

 

「クセになる食感なのにそれでいてしつこくない!」

 

「中のカスタードクリームはまろやかな味わい!」

 

「生地とクリームの割合がうまい具合にバランスが取れてる!」

 

「「「「味の三千世界や〜‼︎」」」」

 

「あれ?まろやかなんじゃないの?」

 

全員が幸せそうな顔をし、冬也は当然のツッコミをした。

 

「ふむ、これなら毎日食べたいくらいだ。学校の部活帰りとかに」

 

「あーわかりますそれ。仲良い友達とジャンケン負けた奴奢りで」

 

「もしくは恋人と一緒に」

 

「「「リア充は死ね」」」

 

「酷くないですか⁉︎」

 

藤林がガビーンとした声を上げた。

 

「まぁ、満足してくれたようで何よりです。他にチョコ、あんこ、抹茶、それぞれの薄生地、もしくは黒糖生地などを用意してますが」

 

「無駄に本格的ね……」

 

「ご馳走様」

 

「お粗末!」

 

冬也はそう言うと、いつの間に服装をお食事処幸平の服に変えていたのか、頭の鉢巻を取った。

 

「ふぅ……いやー、いいものを食べさせてもらったよ。ありがとう、冬也くん」

 

「いえいえ、真田さん。俺の試食に付き合ってもらってるんですから、お礼はいいですよ」

 

「ふむ、ではまたな」

 

「藤林くん、先に行ってるよ」

 

「あ、はい」

 

真田、柳、風間は先にその場から立ち去った。残されたのは冬也と藤林の二人だ。

 

「しかし、バレないものね。私達の関係」

 

「あの3人にはバレてますけどね」

 

「もう、二人の時は敬語なんてやめてよ」

 

「そう?じゃあそうするけど」

 

「それより、論文コンペ近いのにこんな所にいて大丈夫なの?」

 

「平気だよ。どうせ俺何もしないし」

 

「そっちじゃなくて、いいの?なんか邪魔されそうな動きが見えるけど」

 

「いいよ。相手は大亜連合だっけ?そのくらいならなんとかなるでしょう」

 

「あなたがそう言うならいいけど……。でも、油断してると深雪さんとかが……」

 

「あの辺には戦わせませんから」

 

「言うねぇ、さすがお兄ちゃん」

 

「うるせっ。じゃ、そろそろ帰るわ」

 

「はーい。またね」

 

「んっ」

 

テキトーに挨拶すると、冬也と藤林は別れた。

 

 

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