「十文字克人。三年だ」
「服部刑部。二年だ」
「桐原武明。同じく二年」
「吉田幹比古。一年だよ」
「壬生紗耶香。二科生の二年よ」
「市原鈴音。三年生です」
全員の自己紹介が終わった。そんな中、冬也はどこから持ってきたのか、ジェンガを組み立てていた。
「……………」
「あの、何してるのかな?」
「ジェンガ」
壬生に尋ねられ、しれっと答えて作業を続ける。その直後、「ああ、この子冬也だわ」と全員が察した。
まぁ、このまま大人しくしていてくれるなら、スケット部部員としては助かる。
全員、ホッとして息をついた時だ。バキューンとオモチャの銃のような音がした。その音の方を見ると、冬也が指からレーザーを出して、天井に穴を開けていた。
「」
「」
「」
全員が唖然とする中、冬也は休まずにジェンガを天井の裏まで続けた。いつの間にか脚立を取り出して。
全員、どういう事なのか説明書を見た。
『1、ものすっごいカマちょです。何か声をかけてきたりちょっかいをかけてきた時は、なるべく遊んであげましょう。
2、頭は松田桃太のくせにプライドだけは夜神月です。なるべく、慎重に扱いましょう。
3、戦闘力はそこらの人喰い虎とタメ張るかそれ以上です。喧嘩させるのはなるべく避けましょう。
4、目を離すと何をするのか分からないので、とにかく目を離さないようにしましょう。
5、万が一、見失ったときは騒ぎの起きた方へ行きましょう。
6、柔らかいものが好きです。俺が怒りそうになった時は、クッションでも枕でも構いません。もふもふさせてあげましょう。
7、さみしがり屋です。一緒に寝てあげましょう』
深雪によって改正されたその説明書を眺めた。
「多分、遊んでるだけ、なんだろうな……」
「というか、すごい集中力……」
「何このジェンガ。一個抜いたら終わりだろ」
服部、壬生、十文字と呟いたが、それらに一切目を向けずに冬也は続けた。
「じゃない!天井に穴空いてるんですよ!?早く止めないと……!」
「そうですね。上の階の天井も空けられたら迷惑ですし……」
「おい、冬也。もうその辺でいいだろ。つーか天井に穴空けんなよ」
桐原に言われるも、冬也は一瞬下を見た後、フンッと鼻を鳴らして無視した。
「なぁ、あのクソガキ殺していいか?」
「落ち着いて桐原くん!」
高周波ブレードを構えた桐原を止める壬生。
「そうだぞ桐原。お前じゃ勝てない。なにせ、あの人喰い虎より強いらしいからな」
服部が止めに入ったが、プライドの高い男子高校生には逆効果だった。
「はんっ、7歳のガキに負けてたまるかってんだよ!男子高校生をなめたらどうなるか教えてやるぜ」
「やだ私の彼氏小さい」
「うおら冬也ああああ!!死ねやああああああ!!」
斬りかかる桐原。それを視界に捉えると、冬也は呟いた。
「凍てつけ、『冬帝』」
直後、冬也の手元から白銀の刀が出てきた。
それと共に、外の天気が悪くなって来た。
「………えっ?雪?」
壬生が外の空を見て呟いた。その外の雪が集まり、冬也の「冬帝」に集まって行く。
カタカタと窓が揺れ出した。
「うおっ……なんだ、こりゃ……つーか魔法?魔法なのこれ?あいつほんと何者?」
「冬帝は、今がたとえ真夏だろうが強制的に真冬にする能力。………だが、まぁこれじゃあ俺にも『冬帝』にも大した能力は追加されない。精々、雪によって斬魄刀のリーチを自由に伸ばせるだけだ」
「何だその本当にありそうな能力!」
「そして、これが冬帝の真の力」
「え、ま、まさか……おいバカやめろ!」
「卍、か……」
直後、ゴチン!とゲンコツの音が響いた。
脚立の上の冬也に深雪がゲンコツした音だ。
「いっっってえ!?」
「何やってるんですか!!外が冬になったと思ってみれば!」
斬魄刀を慌ててしまう冬也。だが、深雪に見つかってしまった。
「まったく……また魔法でこんな他所の作品の真似して……」
「い、いーだろー!カッコいいんだから!」
「しかもオリジナルの斬魄刀まで作って……」
「袖の白雪作ってた深雪に言われたかない!!」
「とにかく、お説教です。生徒会室に来なさい」
「すいませんでした!ごめんなさい!」
「ダメ!今日はしばく」
連行される二人の姿を見て、全員思った。冬也ってほんとにどういう子なんだろう、と。