私のもう一人のお兄様がなんか変人   作:杉山杉崎杉田

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テロリスト

 

「はぁ………」

 

下校中、私はため息をもらした。

結局、今日はかなり目立ってしまった。というか、冬也くんの自由っぷりが半端ではなかった。授業中だろうとなんだろうと、御構い無しにトランプタワーをトランプ10個分使って作り上げたり、校庭に魔法陣を書いたり、校長の髪の毛をゴッドフィンガーしたりするとは……。

 

「どーした?深雪」

 

「誰の所為のため息だと思ってるんですか、冬也お兄様……」

 

「………へっ?」

 

この人は……。人が胃に穴が開く思いだったことも知らないで……。

 

「俺なんかした?」

 

「卍解しようとしていたでしょう……」

 

「あー……それは怒られたじゃん……」

 

そうよね。一度怒ったことをむし返すのは良くないわよね。

 

「ねぇ、それよりお菓子買って帰ろうよ!」

 

「だーめ。帰ったらすぐご飯なんだし、我慢なさい?」

 

「えー!……あっ、じゃあ今日の晩ご飯唐揚げがいい!」

 

「ダメです。大人しくしていなさいと言ったのに大人しくできない子の言うことは聞けません」

 

「なんだよそれ!」

 

「明日、大人しくできたら唐揚げにしてあげます」

 

「むー」

 

「そうだな、冬也兄様。明日大人しくできたら、俺もお菓子買ってやるよ」

 

「マジで!?達也がそう言うならそうする!」

 

ちょっ、今のどういう意味?私の言うことは聞けないっての?

 

「明日は大人しくすればいいんだよね?」

 

「ああ」

 

………まぁ、釈然としないけどそれで大人しくしてくれるっていうなら……それでいいか。

 

 

晩御飯を終えて、私は食器を洗い始めた。すると、とてとてと冬也くんが歩いて来た。

 

「手伝う!」

 

「あら、ありがとう」

 

すると、冬也くんは背中から羽を生やして私と同じ高さまで飛んで、私の洗ったお皿を拭き始めた。

 

「ふふ、上手ね」

 

「ガキ扱いすんじゃねーよクソ妹」

 

こ、このガキ……!

 

「………んっ、これも」

 

「はーい」

 

あのっ、声を発するためにキャラ変わるのやめてくれませんかね?ギャップ萌えがすごいんで。

キュッキュッとお皿を拭いて、食器を置く籠の中に重ねていった。

冬也くんが手伝ってくれた為、すぐに終わった。

 

「ふふ、ありがとう」

 

「お礼はいいからお駄賃くれ!」

 

「………あげるわけないでしょう」

 

「ええー!」

 

「当たり前でしょう……?」

 

どこまで現金なのよこの子……。

お母様はこの子をどう育てたのかしら……。

 

 

今日も一緒に寝て、翌朝。登校中、達也お兄様が電車の中で携帯を見た後、ピクッと反応した。

 

「? お兄様?」

 

「どったの?達也」

 

「いや、何でもないよ」

 

電車を降りて、私達は第一高校の通学路に入った。

しばらく険しい顔をしていた達也お兄様だったが、すぐにいつもの表情に戻った。

 

「深雪、今日は冬也兄様から目を離すなよ」

 

「へっ?」

 

「ちょっと、連絡が入ってな。あとで話す」

 

「分かりました」

 

………何だろう。冬也くんを狙う奴だとしたら……あ、ダメだ。私が手を下さなくても冬也くんが仕留めてしまう未来しか見えない。

 

 

昼休み。私は達也お兄様と冬也くんと3人でスケット部部室でお昼を食べていた。

冬也くんは部屋の中の動く椅子などに興味津々だ。

 

「……深雪、電車の中で風間少佐から連絡があったんだが、なんか小さいテロリストがこの街に潜伏しているそうだ」

 

「! それは……」

 

「ああ。現段階では相手が何処にいるかも目的かも分からないが、冬也兄様を狙っている可能性もある。用心しておいたほうがいいだろう」

 

「………わかりました」

 

……冬也お兄様を狙う、か。もしその狙いがほんとに冬也くんなら、バカなことをする相手もいたものだ。

伝説のデュエリストの切り札を勢揃いで召喚できて、あのアベンジャーズの代表とも言えるスターク社のスーツを開発し、斬魄刀を入手した冬也お兄様に喧嘩を売るのは、冗談抜きで国1個以上の戦力に喧嘩を売るようなものだ。

今は子供だけど。

 

「そう、今は子供だ。だから、冬也兄様よりも強い魔法師は存在する」

 

「…………」

 

確かにそうかもしれない。

いつもの冬也お兄様なら、ぶっちゃけ3日で人類壊滅して、世界の中心に魔王城を建てられるかもしれないが、今は子供だ。勝てないかもしれない。

 

「そうなった時のために、俺たちが守るぞ」

 

「はい」

 

私は決心するように頷き、冬也くんを見た。冬也くんは、拳銃の薬莢に火をつけて爆発させ、大量のポップコーンを作り出していた。

………や、それでもそこらの魔術師よりは強い気がするんだけどね。

 

 

廊下。昼休みが終わりそうだったので、教室に戻った。

 

「あ、刀夜くん!」

 

クラスの女子が冬也くんに気付いた。ちなみに、「刀夜」というのはうっかり私が「冬也くん」と呼んでしまって、バレるのを回避するためについた言い訳した方法がこれだ。親戚の子、という設定になっている。

クラスの女子が冬也くんに気付いた直後、慌てて私の背中に隠れた。理由は一つ、いじりが尋常ではないからだ。

 

「おいで!とーやくーん!」

 

「かわいいー!」

 

「遊んであげるよー!」

 

「チッチッチッ」

 

完全にペット扱いであった。そりゃ冬也くんも恐れるわけだ。

正直、昨日授業中に遊び倒す理由はわからないでもなかった。まぁ、それでも恥ずかしいからやめて欲しいんですけどね。

すると、魔王が来た。

 

「ふわあああ!刀夜くんだああああ!!」

 

ほのか、だと思ったあなたは甘い。雫です。

ダッシュで雫が刀夜くんを抱き上げた。

 

「ひぃっ!?」

 

「ふっはー!刀夜くんペロペロペロペロペロ!!」

 

「な、舐めないで……!汚い……!」

 

「くんかくんかスーハースーハー!」

 

「吸わないで!」

 

「はああああああああああ!!」

 

「凍てつけ、『冬帝』!!」

 

「あっ」←雪だるまになった。

 

ちなみに、ほのかは冬也お兄様以外に興味はないのか、然程興奮することはなかった。

 

 

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