私のもう一人のお兄様がなんか変人   作:杉山杉崎杉田

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喧嘩

 

冬也お兄様が冬也くんになって4日目になった。私はいつものように早起きをして、隣で寝ている冬也くんを起こさないように起き上がり、朝食を作り始めた。

昨日の晩御飯は、とりあえず約束通り唐揚げを作ってあげた。達也お兄様にもお菓子を買ってもらい、ニコニコ笑顔のまま、冬也くんは寝ていた。

…………かわいい。少しいつもより早く目覚めたので、私は冬也くんで遊ぶことにした。

頬をツンツンと突くと、わりと柔らかい。ぷにっぷにっと頬が膨らむ。

 

「んっ……」

 

ヤバっ、起きちゃった?

と、思ったら寝返りを打っただけだった。

ふふ、面白い。しつこく頬を突いた。

 

「んっ……」

 

ゴロン。

ぷにぷに、

 

「んっ………」

 

ゴロン、

ぷにぷに、

 

「んんっ…………」

 

ゴロン、

ぷにぷに、

 

「んんんっ……………」

 

ゴロン

ぷにぷに、

 

「ふふ、可愛……」

 

「おい、何してんだてめー」

 

「へっ?」

 

へっ?

 

「砂にな〜あれ、『石波』」

 

直後、私は砂にされた。

 

 

登校中。私、達也お兄様、冬也くんの並びで歩いていた。

絶賛、喧嘩中である。………今回は正直、私が悪かったと思う。

けど、頬を突いただけで砂にされるのはどう思う?そもそもあれ人間に効かないでしょう。

達也お兄様が来なかったら死んでたわよ。

 

「………おい、深雪」

 

冬也くんを肩車している達也お兄様が声を掛けてきた。

 

「流石に今回はお前が悪いぞ……。ま、まぁ、冬也兄様もやり過ぎだが……」

 

「……………」

 

「いや、お前の気持ちも分かるんだが、な?先にちょっかい掛けたなら、謝るのも先の方がいいんじゃないか?」

 

…………確かに、ずっとこうしてても埒があかないけど。

…………確かに、冬也くんと喧嘩なんてしたかないけど。

…………確かに、今日から一緒に寝れないとツライけど。

 

「はぁ………」

 

私はため息をつくと、冬也くんを見た。

 

「冬也お兄様、ごめんなさい。言い過ぎました」

 

「うるせーバーカくたばれチンカスたぬき」

 

ち、ちちちチンカスたぬき?

プシュッと私の額の血管が切れて血が吹き出た音がした。

 

 

「あれ?深雪、今日は刀夜たんは?ハァハァ……」

 

雫がよだれを垂らしながら聞いてきた。

 

「………知らない。死んだんじゃない?」

 

雫が砂になってさらさらと流れていくのを無視してると、ほのかがキョトンと尋ねてきた。

 

「何かあったの?」

 

「何もないわ。なんかいきなり凍ってあそこの氷柱の中に放置しただけ」

 

私は窓から見える、そびえ立つ氷柱を指差した。

直後、雫が絶叫しながら窓から飛び降りて氷柱にBダッシュし始めるけど、無視した。

 

「本当に何かあったの?」

 

「何でもないわよ。チンカスたぬきって呼ばれただけ」

 

「ち、ちんか……?」

 

………まぁ、ほのかにはある程度話してもいいかもしれないわね。

 

「………と、いうわけで喧嘩しました」

 

刀夜くんの正体は伏せて、今日あった出来事だけを話した。

 

「あー……それは何とも……」

 

「私は謝ったわよ。でも、チンカスたぬきはないわよ。仮にも女の子に向かって……」

 

「あの、仮にも女の子がチ○カスって連呼しないほうが……」

 

む、それもそうね。

 

「でも、凍らせて放置は可哀想だよ。まだ小学一年生なんでしょう?」

 

「ふん、いい薬よ。たまには年上を怒らせたらどうなるか考えたほうがいいわ」

 

「そ、そんな大人げない……。刀夜くんも反省してるかもしれないよ?」

 

「ないわよ。あのクソガキに反省なんて人間しかできないこと、出来るわけないじゃない」

 

「ダメだよ、そんなこと言ったら。だって、親戚の子なんでしょ?達也さんが深雪を信じて深雪に任せた子だよ?」

 

「……………」

 

「ちゃんと叱って、ちゃんと仲直りしないと」

 

「……………」

 

正直、この小説でそんなまともな事言われるとは思わなかった。どうせ、この作者のことだから、解決方法なんて何も考えてなくて、気が付いたら仲直りでいいやとか考えてると思ったのに。

 

「………はぁ、分かったわよ」

 

「うん、いい子いい子」

 

「あ、頭をナデナデしないでよ!子供じゃないって言ってるでしょ!?」

 

「最近、深雪のテンションもおかしいような……」

 

そんな話をしてると窓からガシャアアアアアンという音が響いた。

雫が頭から血を流しながら、窓から飛び込んで来た。

 

「深雪いいいいいいいいいいい!!」

 

「きゃあああああああああああ!?」

 

「刀夜くんがいないいいいいい!!」

 

とりあえず、おしっこ漏らすかと思いました。

 

 

とある廃工場。

 

「ふふ、あと少し……あと少しだ……!」

 

そこで、一人のメガネをかけたいかにも三下臭い博士が微笑みを漏らした。

 

「あと少しで、『第一高校の中から一人人質にとって、なんか、こう……良い感じに世界を征服する作戦』を実行できる!そのためには、最近になって急に第一高校に出入りしているあのガキを捕らえれば、すべてが上手くいくはずだ!フハハハハ!!」

 

誰に説明してるのか知らないけど、そういうことである。

その時だ。部下の一人が入って来た。

 

「ボス!失礼します!」

 

「違う!町長と呼べ!」

 

「蝶々!我々の仲間に入りたいという男の子が来ております!」

 

「ふむ、通したまえ!」

 

ここに来て戦力増強、男の子という部分が少し引っかかるがまぁいいだろう、そう思って、部下の連れてきた男の子を見た。

最近、第一高校を出入りしている子供だった。

 

「よっ」

 

「えっ?」

 

「世界の征服に手を貸すぜ」

 

「……………えっ?」

 

 

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