私のもう一人のお兄様がなんか変人   作:杉山杉崎杉田

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来訪者編
ペット


 

真冬。期末試験を間近に控え、それが終われば冬休みである。誰もが必死に勉強していて、生徒会室も真剣な空気に包まれている。

そんな中、我らが生徒会長は、

 

「………ッ‼︎」

 

ラーメンの湯切りをしていた。

ミニ屋台のようになっていて、真冬なのに半袖の真っ白いシャツを着て、無駄に本格的にラーメンを作っていた。

モワモワと湯気が生徒会室に充満し、真冬の中の暖房代わりにはなっているが、それ以上に勉強の邪魔だった。

 

「………あの、冬也お兄様」

 

『ゴメンね、順番で伺ってるから』

 

ホワイトボードでそう返してきた。売れてるラーメン屋みたいな台詞を何とかムカつかずに堪えた。というかそのホワイトボード久しぶりに見たわね……。

 

『はぁい、一番でお待ちのお客様、濃厚バリ黒豚骨と餃子のセット、お待ちどうさま』

 

「わぁい!」

 

「って、中条先輩⁉︎頼んでたんですか⁉︎てか、いつ注文取ったんですか⁉︎」

 

『はい、次のご注文は?』

 

「あ、じゃあ僕は焦がし醤油大盛りと炒飯セットで」

 

『はいよー。ちょっと待っててね』

 

「ていうか冬也お兄様‼︎勉強に集中できないのでやるなら外でやって下さい‼︎」

 

『ゴメンね、順番で伺ってるから』

 

こ、こいつ……‼︎いえ、ここで怒ってはダメよ私。それこそ冬也お兄様の思う壺。

 

「あの、勉強中ですのでもう少し静かに……」

 

『ゴメンね、順番で伺ってるから』

 

「もう少し他の方に気を使ってくださると……」

 

『ゴメンね、順番で伺ってるから』

 

「これでも私達勉強してるわけで……」

 

『ゴメンね、順番で伺ってるから』

 

「いえ、ですから少しは気を使っていただけると……」

 

直後、冬也お兄様は私にCADを向けた。

私がリアクションをする間もなく引き金を引き、銃口から何か白いばつ印のようなものが飛んできて、私の口を塞いだ。

 

「⁉︎」

 

な、何これ⁉︎息はできるけど言葉は発せない⁉︎ホンッッットに技術の無駄遣いね、あのダメ兄貴‼︎

ぐぬぬっ、と唸ってると、冬也お兄様はホワイトボードを向けて来た。

 

『ゴメンね、順番で伺ってるから』

 

「〜〜〜ッ‼︎」

 

ムカつく!ムカつくムカつくムカつく‼︎

結局、私は勉強に集中することはできなかった。

 

 

その日の夜。私は分からない箇所があったので、冬也お兄様の部屋に行った。本来なら、達也お兄様に聞きたいところだけど、おそらく私と一緒で勉強しているはず、邪魔するわけにはいかない。その点、冬也お兄様の邪魔なら全然心は痛まない。

 

「あの、冬也お兄様」

 

「………………」

 

無反応。寝てるのかな。

 

「失礼しまぁす……」

 

扉を開けると、中で冬也お兄様は勉強することなく、何か別の事をしていた。両手の汎用型CADを手に、何かこう……ハンドパワー的な事をしていた。この人の場合、本当にハンドパワーが使えるので困る。その証拠に、冬也お兄様の両手からは青白いオーラが出ていて、その中心で卵が浮いている。

 

「あのっ、冬也お兄様?」

 

「だーってろ。今忙しい」

 

「アッハイ」

 

怒られちゃった。いやそんな怒らなくても……。

そのまあ見守ること数分、卵がカタカタと揺れ出した。何か生まれるのかしら……?

 

「うしっ、終わったー」

 

直後、冬也お兄様は急に力を抜いた。青白い光も何もかも消えて無くなり、卵はそのまま落下、パッカァーンと割れた。

 

「いやちょっと!もう少し穏やかに置いてあげなさいよ‼︎」

 

「ヤダよ。卵が割れるまでって要は演出だろ?少なくとも俺の今作ってた卵はそう」

 

「そもそも、なんの卵を作っていたんですか?」

 

「これ」

 

何かしら、卵から生まれるということは哺乳類ということはないと思うけど……と、思いながら卵を見ると、耳が大きくて二本足で立っている薄緑と薄黄色の見た事もない生命体が立っていた。

 

「いや、何ですかこれ⁉︎」

 

「見りゃわかんだろ。謎の生命体だよ」

 

「だからその名称を聞いてるんですよ‼︎」

 

「んー……国分寺」

 

「嘘だね‼︎絶対に今命名したねそれ‼︎」

 

『ピピュウ……』

 

「ほら、ミドリちゃんも嫌がってますよ」

 

「おい、何さりげなく命名してんだお前は」

 

冬也お兄様は顎に手を当てた。少し考え込んだ後、人差し指を立てた。

 

「よし、ミカヅキにしよう」

 

「いや名前考えてたんですか⁉︎というか、何なんですかこの子は⁉︎」

 

「俺の助手」

 

「は、はい?」

 

「可愛いでしょ」

 

「は、はぁ……」

 

確かにかわいい。というか、ポケモンに出て来そう。

 

「気を付けろよ。そいつ超強いから」

 

「へ?」

 

「そいつの出す星の形した泡みたいなのに触れると拘束されるよ、泡の中に。色々と種類はあるけど、オーソドックスなのは星の形した泡の中で1日飲まず食わずで放置される上にアメリカに飛ばされるから気を付けて」

 

「……………」

 

「そんなビビるなよ。普段は良い子だから」

 

なんで、そんな恐ろしい物を作って……。

というか、この人の技術は相変わらずどうなってんの?

 

「よし、じゃあ俺はミカヅキと散歩してくるわ。じゃな」

 

「は、はぁ」

 

冬也お兄様は出て行ってしまった。

………あっ、勉強教わるの忘れた。

 

 

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