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「反応が残念だったな。」
「あぁ…」
先ほどのプレイヤーの反応を見て、時代が変わったとしか思えない。
「まぁ、こんなことで折れるなって。まだゲームは始まったばかりなんだからな。」
「それにしても、今のは酷くないか?もっと、落胆とかしている人がいてもいいと思うんだが…」
「もう、現代の人はそういうのは予想がついて、「ふーん」とか、「ヘェ〜そうなんだー」みたいな反応しか帰ってこないんだな。モニター見てたら逆に喜んでいる人もいたしな。まぁ、これもいい研究結果さ。」
まぁ、本番はこれからだ。
これからさらにいい研究結果が出てくるはずだ。
「もうそろそろ時間じゃないか?落ち込んでないで早く行って来いよ。警察に捕まるぜ。」
「あ、あぁ、そうだな。」
立ち上がり、腕にリストバンドのようなものをつけ、電源をいれる。
「まだ成功かどうかはわからないが…」
「失敗を恐るな。失敗したとしても俺がくっつけてやるからな。」
フッっと鼻で笑い、目を閉じる。
「じゃあな。また、いつか。」
「GOODLUCK」
そのまま彼は光の粉と化して消えていった。
「さて、やるか。」
────────────────────────────
「ハァッ!!!」
飛竜を頭から首へ剣を振り一気に切断する。
弱点への攻撃が成功したエフェクトが発生し、
パーーン
と、光に変わり消滅した。
「おーナイス斬れ味。」
先ほどから経験値上げのために3mほどの飛竜をあの極端に短い剣で狩っていたのだが、先程長剣がドロップしたので、斬れ味の確認のために、振り回している。
この剣の性能は中々のもので、斬れ味、威力は、共にCランク。
リーチは、1.4mぐらいで、序盤のうちは使える業物を拾ったようだ。
リーチが長めなので、空中に飛んでいる敵も軽いジャンプで叩き斬る事ができる。
名前は【飛竜剣】と、将来絶対に強化できそうな名前だ。
そんな飛竜剣を使って、飛竜を黙々と、狩り続けた結果、レベルは、10まで上昇した。
スキルポイントが溜まっているようだったが、放置しておくことにした。
レベル10と、キリがいいので、ここら辺で納刀し、一旦次の街まで進んでみることにした。
綺麗に一本の道が通っており、前には誰も歩いていないようだ。
恐らく、先ほどから飛竜狩りをしている時も、この道に入って行く人は見なかったので、俺が一番最初にこの道を通っているのだろう。
「それにしても…」
サーバーから俺だけ隔離されているのかと思うぐらい周りに誰もいない。
確か、次の街までの道はここ以外に後二つあったけど、この道の10倍の距離はあったし、誰も行く気にはならないだろう。
いや、その2つの道になにかレアアイテムがドロップする場所があったのだろうか。
この道の10倍の距離を歩いてでも欲しいレアアイテム。
序盤のうちにそんなものは、試作版ではなかったはずだ。
と、すると、残ったものは…
「難易度……」
突然高風圧と、砂埃が周りに立ちこみ、足に力をいれ吹き飛ばされないように、体を支える。
風圧が止むと、5m程の黒い影が見えた。
「こいつは…」
周りが見えるようになると、広げると、10m以上ある蒼色の翼に、鋭い棘が先にあり電気を纏った尻尾、鋭い鉤爪がついた脚、そして、口の中に帯電させ、今にも放電しようとしている頭部。
「雷蒼竜…エレアウス…」
エレアウス。アース試作版の時、俺が唯一苦戦した敵だ。
あの時は、レベル24だったのにも関わらず、かなり苦戦した。
「こんな序盤のうちから出てくるモンスターだったのかよ…」
どうするかと、考えていると、雷蒼竜が突然、電撃ブレスを放ってきた。
「クッ…!」
間一髪、武器で電撃ブレスを受け流しながら、回避する。
──────このままだと、いつかはやられる…
手段としては、戦うか、逃げる。
前者は今のレベルで勝てるかわからない。後者も、エレアウスの逃げる途中、遠距離攻撃で吹き飛ばされれば、終わりだ。
「ん?まてよ…」
ステータス画面を表示する。
「これなら行ける…!」
アース試作版の時、ステータスは、STR、DEF、AGL、DEX、CRT=1:1:1:1:1の割合で振られていた。
しかし、今の俺のステータス値は、防御を捨てた完全攻撃型。
あの時のSTR値、AGL値は軽く試作版の時のステータスを上回っている。
──────無理な事ではない。
そう確信した俺は、剣を構え、目標を確認する。
「狙いは右翼の付け根。敵の攻撃は全て回避で避け切る。防御はしない。」
右足から踏み込み、一瞬でエレアウスの右翼付近まで飛び込む。
それに対して、エレアウスも無抵抗なまま攻撃をくらってくれる訳でもない。
翼を器用に動かし、こちらへ風圧を送ってくる。
だが、こちらもそんな事で怯む訳もなく、軽く受け流し、エレアウスの右翼に斬りかかる。
「行け!」
刃が空気を斬りながら右翼に、接触した。
しかし…
『ガンッ!!』
「クッ…!?」
腕が先程とは逆方向に突然押し返された。
弾かれた。肉質に対する斬れ味が低すぎた。
しばらく弾かれた時の反動で宙を舞い、地上へ落下した。
「マズイな…」
エレアウスの弱点部位は、3箇所。
一つは先程攻撃した、翼の付け根。二つ目は、尻尾。三つ目は、頭部である。
この3箇所の弱点の中で一番狙ってもリスクが低い翼の付け根を攻撃したが、肉質が高く、弾かれた。
恐らく、肉質が低い順に、頭部、尻尾、翼の付け根だろう。
これだけをみるのであれば、頭部を攻撃すればいい話なのだが、リスクの話になると、また別の話だ。
尻尾には毒針がついており、攻撃時に本当に少しのかすり傷を負ったでも致命傷になる。
頭部は常に放電される危険性がるため、近づくことができない
「まぁ、仕方ないか。」
多少のリスクをどうのこうの言って時間を無駄にしていたら、敵が攻撃してくる。
「部位破壊狙ってみるか…」
再び前方に走り出す。
しかし、エレアウスも反撃に、電撃波を放ってくる。
「よっと…」
軽くジャンプして、電撃波を回避する。
その程度の攻撃が俺に当たる訳もない。
だが、エレアウスは新しい動きを見せてきた。
一度咆哮をし、突然体を上向きに大きく反らしはじめた。
「なんだ…?」
対してそのことは気にせず尻尾に突っ込む。
その時…
『パーーーーーン!!!』
大きな破裂音がし、思わず怯む。
音がした方向を見上げる。
すると、空に蒼い光の筋が上っていた。
その光は空でもう一度破裂し、次はこちらに向かって急降下してきた。
危険を察し、バックステップで、一気にエレアウスから離れ、岩の影に隠れる。
そして、3秒後。
『バーーン!!』
爆発音の連鎖が始まり、エレアウスの方を覗くと、エレアウスの周りで激しい光量と高熱を持った爆発が繰り返されていた。
爆発が収まると、エレアウス周辺の地形が穴だらけになっており、植物も全て焼き払われていた。
─────────────────────
休憩中、遠くのけしきを眺めていると、突然蒼光の筋が高く上った。
「あれは…?」
「エレアウスの
突然後ろから声がし、「キャッ!」と、変な声が出そうになったが、その瞬間光の方から爆発音と共に、凄まじい熱気が来た。
「熱っ…!?」
「凄いな…」
これの発生源があの光の根元だとしたら、凄まじい威力の攻撃だったのだろう。
ここからあそこまではだいたい軽く5、60kmは離れているだろう。
というか…
「貴方誰ですか?」
「俺は通りすがりの狩人だ。」
「あ、そういうの結構です。」
バッサリと切り捨てる。
「そんなこと言わな…「早くして下さい。嫌だったら別にいいので。」…あー分かりましたすみませんシドウです学生やってますこっちでは狩人やってます」
随分早口で自己紹介を済ませられたが、特に用はなさそうだったので立ち去ることにした。
「ちょ、ちょっと待てよ」
「まだ何か?」
「名前を…「ユウキ」…」
即答され何故か空気が哀しくなってきた。
人の名前聞いといて失礼だが、名前とふんいきが全くもって合ってない…
「今なんか言った?」
「え、いやなんでもないっす。」
「もう用はない?」
「え…あ、はい。」
彼女はそのまま立ち去っていった。
暇だったからパーティーメンバーが欲しかっただなんて今頃言えない。
「他を、当たるか…」
その時、再び光の柱が天に上った。
「全く。こんな序盤からエレアウスと闘う馬鹿はどこのどいつだ。」
メニュー画面を開き、全体プレイヤー情報を見る。
只今のプレイヤー最高レベルは12。
今エレアウスと闘っているのは、レベル12以下。
まず、勝ち目なんてないだろう。
生きて帰ってくる確率は0に等しい。
「御愁傷様です」
と、呟いて次の街へ向かって歩きはじめた。
─────────────────────
「前ぶれから発射まで10秒。発射後攻撃開始まで3秒。つまり隙は13秒。」
もう、部位破壊なんてことをする暇はなさそうだ。試作版の時と明らかに威力が違う。
勝ちにいかなければここで終わりになる確率が急激に高くなった。
13秒あれば、2、3発攻撃を頭部にいれることができる。
すると、エレアウスが、歯軋りのようなものを始めた。
レールガンの前ぶれだ。
地面を蹴り飛ばし、一気にエレアウスに接近する。
エレアウスは無抵抗だ。
剣を振り上げ、目標の頭部を確認する。
すると、剣が黒く発光した。
しかし、今はそんなものを気にしている時間は無い。
「いけ…!」
そして剣を振り下ろした時、激しく光が舞い、クリティカルエフェクトが発動した。
さらに、黒く煌めく光の斬撃が1kmほど先までのびていった。エレアウスも見事に一刀両断され、光の粉となり消えていった。
その時エレアウスがいた場所に一つの剣が落ちていた。
「ドロップしたのか…?」
剣を手に取り、剣のステータスを開いてみる。
「これは…」
この時俺はゲームバランスを崩す、やってはいけないことをやってしまった。
「この道は、本来ゲーム上では終盤に開拓されるべき道…」
よく分かった。
今、俺がこのエレアウスに勝てたのは、3億分の1の確率で発動するかしないかのクリティカル攻撃を行ったようだ。
威力はあるが、ただでさえ会心率が低い飛竜剣の会心攻撃。オートスキル発動。オートスキル発動時のクリティカル発動。エレアウスの攻撃直前の肉質低下。さらにエレアウスの弱点部位補正。
全ての、攻撃力補正を重ねれば、恐らく、500倍以上の攻撃力補正は軽くかかっていただろう。
───────俺はエレアウスを偶然にも倒してしまった
正直、素直に喜べない。
周りの奴らはこれを見てどう思うのだろうか。
いや、外見ではステータスの確認は出来ないから、誤魔化せるか…?
「あーもういいや!」
考えるのが面倒になったので、小走りで、次の街へ向かうことにした。
─────────────────────
「パーティー組んでくれない?」
「うーん、この後もう2人合流する予定だからな。今は無理だ。すまない。」
男は、この場をすぐに立ち去って行った。
「なぜだー!何故、俺はパーティーを組めない!別にいいじゃないか!たかが一人メンバーが増えるぐらい!」
申し込みを繰り返して1時間。
未だに誰もパーティーを組んでくれる人はいなかった。
ある人は、ソロ専門だから。ある人はすでにパーティーメンバーの上限に達しているから。ある人は男性はこれ以上受け付けていないから。
「誰か…俺とパーティーを組んでくれ…孤独死する…」
まぁ、孤独死なんてことはないだろうが、暇だから適当に話し相手がほしい。
「いい加減諦めるべきなのかなぁ…」
ブツブツいいながら歩いていると、前方に3人程の人影が見えた。
「あの人たちで最後にするか…」
少しずつ近づいて行き、声を掛ける。
「あ、あのーすみませんー」
「なんだ?」
「良かったら、パーティーいれてもらえない?」
「おぉ!ちょうど良かった。大歓迎だ!ちょうどあと一人探してたところなんだ。」
キターー!やっとパーティーを組んでくれる人がいた!この人たちが神に見える!
「あ、ありがとう!」
「俺はフラスト。こっちがサクヤで、こっちがジン。名前は?」
「えーっと、俺の名前はシド」
「じゃあ、よろしくな。」
「こちらこそ!」
そして、後ろに相変わらず無口な2人。テレパシーでも使って会話をしているのだろうか。
「ちょっとちゃらけたやつが来たわね。」
「あぁ。まぁ、実力は意外とありそうだ。」
本人には聞こえない声でボソッと呟いた。
─────────────────────
「到着!そして、誰もいなーい!」
到着した時は、すでに夜になっていた。
明かりは、電灯と店の看板ぐらいで、物音は噴水から流れる水の音以外なにも聞こえず、少々不気味だった。
「そういえば、この世界のNPCってかなり高度な人工知能が使われているんだよな…」
近くにあった家に近づいてみる。
家のドアに手を近づけ、ノックする。
「なんでしょうか?」
人が出てきた。
少し訪ねて見ることにした。
「夜遅くに、すみません。ここの近くに旅館ないし、民宿みたいなところはありませんか?¥
「旅の方ね。旅館なら、あそこの噴水からきたの方に歩いて行ったところに時計台が立っているからそこの奥の建物に入ってみなさい。そうすれば、旅館があるわよ。」
「ありがとうございます!」
なんていい人…じゃなかった。なんていい人工知能のキャラなんだ!
しかし、人工知能の能力はこれだけでは留まらなかった。
「もう夕飯は食べた?」
「いえ、まだです。」
「良かったら、うちで食べていかない?今日は夫が遠出していて、余っているんだけど。」
「いいんですか!?」
「勿論よ。さ、早くあがって。」
「本当にありがとうございます!」
夕食に頂いたハンバーグはとても美味しかった。
久しぶりに食べたような気がする。これが、ゲーム内ではなく、現実世界だったらもっと嬉しかったなぁ。
「どうしたの?」
「何がですか?」
「いや、やっぱりなんでもないわ。」
「あ、もうこんな時間だ。もうそろそろ帰らないと。」
「あら、そう。また、いつでもきてね。」
「はい!」
やはり最後までしっかりしている。この人工知能は誰が作ったのだろうか。
あまりにもできすぎている。
これこそが、完璧というものだろう。
いろいろと考えていた俺は、いつの間にか旅館に到着した。
「泊まりたいのですが…」
「1泊200アースとなります。」
「はい。」
「それではごゆっくりどうぞ。」
そして、俺は驚愕した。
もっと早く投稿しないとなぁ…