走る、ただ、逃げるために。少年ーーー衛宮士郎は逃げていた。学校から帰ろうとして校庭を見たら、槍を持った少女と、二刀を扱う男が戦っていた。そして、少女に気付かれた。
「くそっ、何がどうなってるんだよ!」
もうそろそろ平気か、と振り向く。誰も居ない。しかし、
「そう簡単に逃げ切れると思ったか?人間」
衝撃。腹を見ると、槍の穂先が飛び出していた。少年は、自らの死を実感しながら、意識を手放した。
☆
「うわっ、びっくりした。何が起こったんだ?」
「そんな事も解らないのですか、ヒューイ。これは幻書の効果に決まっているのです」
「幻書?誰が使ったんだ?」
「紅の読姫なのです」
「……まさか教授が僕らを見ていたのか?」
「
「僕は解らないけど、幻書なら異世界って事もあり得るね」
「……それよりも、コレはどうにかしなくて良いのですか?」
「ん?コレ?……って、人じゃないか!……よし、まだ生きてる。ダリアン、貸してくれるかい?」
「仕方ないのです」
☆
「……あれ?生きてる?」
目を覚ました少年は驚愕した。あの時、確かに自分は致命傷を負っていた筈なのに。
「……とりあえず、家に帰ろう。まだこの辺に居るのかも知れないし」
「……ねぇ、アーチャー。さっきのランサー、確かに衛宮くんを追いかけたわよね」
「ああ。本来なら殺されている筈だが……奇跡でも起こったのか?」
「ま、無事なら良いわ。衛宮くんの護衛……もとい、監視を続けましょう」
「心得た。(しかし、何が起こったんだ?ランサーに殺されかけるのは確定した歴史の筈だ。……一体、この戦争で何が起ころうとしている?)」
☆
「……あの人間は殺した筈だ。何故生きてる?……いや、刺した位置が悪かったか、五十%の可能性が、彼奴が生き残る方を選択したか……。まぁ、もう一度殺せば良いだけだ」
☆
「……ふぅ」
衛宮邸、土蔵。衛宮士郎が魔術工房として使っている場所だ。彼は逃げ延びた後、ここで精神を落ち着かせていた。
「しっかし何だったんだ、一体。まさか、魔術関係か……?」
……確かに、彼、衛宮士郎は魔術師である。しかし、彼が使う魔術は、否、使える魔術はほとんど無い。
「
手に持つものは鉄パイプ。これを強化しようとしている。が、そんな暇は、彼には与えられなかった。
ギィ
「ん?誰だ?……っ!!」
「先程ぶりだな。もう一度殺しに来たぞ、人間」
土蔵の入り口に立つ、槍を持った少女。無機質な目でこちらを見つめ、槍を振り被る。しかし、事態は一変する。
ゴゥッ!
「っ!ちっ、土壇場でサーヴァントを召喚したか」
「な、何だ!?」
強風が土蔵の中に吹き荒れ、目を瞑ってしまう。風が止み、目を開けると、今まで其処に居なかった筈の人影があった。
「問おう、汝が私のマスターか」
青いドレスのような鎧を着けた少女ーーー第五次聖杯戦争、最後のサーヴァントが召喚された瞬間だった。
……次回辺りに、主人公出さないと…。