最弱無敗の弟子   作:雨夜狐

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EpisodeⅡ‐2 漆黒の争奪戦

 

争奪戦終了から三十分後、

 

赤い特別依頼書はクルル先輩が手に入れたらしい。

なんでもルクスさんに恋人になってほしいとか。

 

リーシャ様がルクスさんを捕まえるため工房(アトリエ)を出て行ってから、

暇になった俺は中庭のベンチで休んでいた。

 

周りには争奪戦で疲れて休んでいる女子生徒がたくさんいた。

 

(ちょっと、多すぎないか……?)

 

中庭にあるベンチは、俺が座っているコレ以外、

全て少女たちで埋まっている。

それに、ときどき観察するようにこちらを見ている……ような気がする。

 

「ヨシノ君、ここにいたのね。探したわ」

 

突然学園長が俺の隣に座ってきた。

 

「学園長、俺に何か用ですか……?」

 

学園長は怪しい笑みを浮かべている。

なんだ……この嫌な感じ。

 

「実はルクス君の特別依頼書とは別に、ヨシノ君の特別依頼書も作ったのよ」

 

そう言って学園長は青い依頼書を俺に渡してくる。

 

「俺は雑用係じゃないんですけど!?」

 

「ついでよついで。それに面白そうじゃない?」

 

「全然面白そうじゃないです!」

 

何やってんのこの人!?

 

「早く逃げないと、捕まっちゃうわよ?」

 

そう言われて俺はその場から走って逃げる。

後ろからは女子生徒の大群が追いかけて来る。

 

(くそっ、そういうことか!)

 

俺の近くにいたたくさんの女子生徒は、ルクスさんの次に俺の争奪戦があることを知っていたようだ。

では、いつ知ったのか。

ルクスさんの争奪戦が始まってから次は俺のがあるなんて話俺は聞いていない。

つまり、最初から、ルクスさん争奪戦が始まったときから知っていたのだ。

 

今思い出したが、あのとき教室に来た教官は大量の紙を抱えていた。

あれにはおそらく、争奪戦の細かいルールについて書かれていたのだろう。

そしてそこには『ルクス争奪戦』の他に、『ヨシノ争奪戦』についても書かれていたはずだ。

開始の合図は学園長が俺に依頼書を渡した瞬間。

 

 

こうなったら、工房で一時間やり過ごしてやる。

リーシャ様なら俺の依頼書を欲しがったりしないだろう。

 

 

   †

 

 

くそっ、まずい……。

どこに逃げればいい……?

 

 

さっき工房に行ったらリーシャ様が俺を捕まえようとして来たのだ。

どうやらクルル先輩と交渉して、赤い依頼書と交換しようとしているらしい。

なんとか工房からは逃げ出したが、

すぐに見つかり、逃げ回ることになった。

 

助手を取引の材料にするとか、ひでえな。

 

 

 

 

その後も女子寮、校舎、演習場など、

学園の敷地内のあらゆる場所を走りまわり、今は茂みに隠れている。

終了時間まであと二分。

 

「なんとか逃げ切れそうだな」

 

「No. それはどうでしょう?」

 

「――!?」

 

後ろから腰を掴まれ、振り返るとノクトがいた。

 

(ヤバっ!)

 

「ぐっ、離せノクト!」

 

「No. 逃がしません」

 

暴れる俺を逃がすまいと、

ノクトは更に強く抱きついてくる。

 

(こ、これは――!)

 

密着していることで、ノクトのあまり大きくはないが、

柔らかい胸が押しつけられている。

更に、ノクトからいい匂いがしていろいろとヤバい……

これ以上は理性が保てそうにない。

 

「わかったわかった、降参だ」

 

俺が抵抗をやめると、ノクトは俺の身体から腕を離し懐を弄り始める。

 

ちょっとくすぐったいが、何だろう、このヘンな感じ

 

(ちょっと気持ちイイかも……)

 

俺が何かに目覚めそうになっていると、

ノクトの指が上着の内ポケットに入っている紙を探し当てた。

 

「Yes. 私の勝ちですね」

 

勝ち誇った表情でそう宣言する。

だが――

 

「――これは……!?」

 

ノクトがつかみとったのは、白い紙。

さっきノクトやアイリと一緒にやった宿題の紙だった。

 

「終了時刻です! 今、青い依頼書を手にしている生徒が、ヨシノ君を一週間、自由にする権利が手に入ります!」

 

係の女生徒の声とともに、争奪戦終了を告げる鐘がなる。

よし、逃げ切ったぞ!

 

「俺の勝ちだな、ノクト」

 

「いいえ、私の勝ちですよ。ヨシノさん」

 

突然した声に振り向くと、

青い依頼書を手にしたアイリが立っていた。

 

「何故アイリがそれを?」

 

「ヨシノさんが女子寮の談話室から出てくるのをたまたま見かけたので、もしかしたらと思って探してみたんです。」

 

「見られてたのか……」

 

依頼書は女子寮の談話室のソファーの下に隠して、

そのカモフラージュの為に、俺は学園内を走り回っていたのだが、

とられてしまったものは仕方がない。

 

「で、依頼の内容は?」

 

「そうですね……いろいろ考えておくので、楽しみにしておいてくださいね」

 

アイリがかわいらしい笑顔でそう言ってきた。

どんな依頼されるかわからないのが逆にコワい。

 

(全然楽しみじゃないんだけど……)

 

これから一週間、大変そうだ……。

 




大学の授業が始まって、少しバタバタしていて
なかなか投稿できませんでした。
すいません。

これからも投稿が遅くなってしまうかもしれませんが、
遅くても二週間に一回は投稿するつもりです。
どうかこれからも宜しくお願いします。
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