ルクスさんの《ワイバーン》、
クルル先輩の《ファフニール》、
そして俺の《ドレイク》をそれぞれ飛翔、または滑走させる。
途中、撤退する騎士団のメンバーとすれ違いながら戦場へと向かっていると、だんだん様子が見えてきた。
鳥人型幻神獣、ガーゴイルが十数体。
そして《ワイバーン》、《ワイアーム》、《ドレイク》が合わせて百機以上。
そのすべてが旧帝国軍の塗装と同じ灰色、反乱軍だ。
「うわぁ……めっちゃ数多いし」
俺がそう呟いた直後、敵の機竜約三十機がこちらに向かってくる。
その向こうに、大地に落ちたリーシャ様の神装機竜《ティアマト》と
灰色に塗装された強化型飛翔機竜《エクス・ワイバーン》が見えた。
(あいつが例の警備部隊長か)
「近づいてくる奴らは俺が相手するんで、お二人はリーシャ様の救助をお願いします。」
「うん、わかった」
「わかったわ」
二人の返事を聞いて、俺は《ドレイク》を解除し、
緑の装飾が施された黒い刀型の
現れたのは黒い機竜。
一部が緑の装甲に覆われており、右手には大刀が握られている。
「さてと、サクッと片付けますか」
そう言って地面を強く蹴って飛び上がる。
《ワイバーン》と《ファフニール》の間を疾風の如く高速で飛翔し、一瞬で追い抜く。
ババッ! バババッ!
まず、正面の二機の《ワイバーン》を二連撃で破壊し、その周りにいた三機を次々と斬り裂いていく。
「なっ、なんだ!?」
「速すぎて追いつけん!?」
敵が混乱してるうちに、さらに三機を破壊し、ルクスさんとクルル先輩が通れるよう道をつくる。
「行かせんぞ!!」
声をした方を見ると、地上から《ワイアーム》が二人を行かせまいとキャノンで狙っている。
俺は機竜息銃を左手に持ち、『
俺が相手していた三十機のうち、今ので《ワイバーン》は全滅し、
後は地上の《ワイアーム》と《ドレイク》だけになった。
そのとき、
「………?」
突然、何か異様な気配を感じ、そちらを見ると
禍々しい漆黒の神装機竜がいた。
よく見るとそれを纏っているのはルクスさんだとわかる。
三機の機竜が、黒い機竜の左右と正面から同時に攻撃するが、
次の瞬間、で三機の腕、
三機同時に。
「なんだ……今の?」
全く見えなかった。
三機同時に、それぞれ三カ所“だけ”を粉砕するなんて……。
敵の機竜がルクスさんに襲いかかるが、ルクスさんはそれを次々と破壊していく。
だがよく見ると、ルクスさんが攻撃した直後は、必ず動きが遅くなっている。
神装の効果か?
敵もそれに気付いたらしく、隙を突くように同時攻撃を仕掛けるが、
間合いに入った七機の機竜が同時に粉砕した。
むこうの戦闘を見つつ、こちらも敵を撃破していき、三十機を片付け終えたとき、
──ィイイィィイイイイ!
突然、耳障りな音がした。
(音の発生源は………あれか)
敵の隊長が手に持っているあれは笛……?
直後、どこからか現れた十数体のガーゴイルがルクスさんに突撃する。
だが先程と同じように幻神獣は一瞬で撃破された。
その後、敵隊長ベルベットがルクスさんの隙をついて襲いかかるが、
ルクスさんの策にはまり奴の機竜は破壊され、落ちていく。
旧帝国の機竜使いたちは、全ての機竜を破壊され、決着はついた
──が、
──ィイイィィイイイイ!
再び、耳障りな笛の音が響く。
「ふっ、くっくっく……!はっはっはっは!」
まだ意識が残っていたらしいベルベットが笛を片手にわらっている。
(………?)
おかしい、笛の音が鳴ったのに、幻神獣が現れない。
「おいお前、何をした!?」
「別働隊のところにいる幻神獣に竜声を介して命令してやったんだよ、城塞都市を殲滅しろとな!」
「……ッ」
「今から行っても間に合わんだろう! 俺の勝ちだ……! はっはっはっは!」
ベルベットの言葉にリーシャ様の顔が真っ青になっていく。
「俺の機竜なら飛んで行けばギリギリ間に合うと思います。ルクスさんとクルル先輩はあとから──」
「お、おい!? 大丈夫か? ルクス!」
突然ルクスさんの身体がふっと傾き、リーシャ様がルクスさんを支える。
「だ、大丈夫です。少し、疲れた……だけですから」
そして、ルクスさんは気を失う。
神装をあれだけ連発して、身体にはかなりの負担がかかっていたはずだ。
倒れるのも無理はない。
「ではクルル先輩。俺は先に行ってます」
「ええ、すぐに追い付くわ」
再び大地を蹴り、飛翔する。
少しずつ加速し、すぐに最高速に至る。
「………ぐッ」
速すぎて身体への負担が半端ないが、今はそれどころではない。
やがて、城塞都市の壁が小さく見えてきたかと思えば、すごい速さで壁が近付いてくる。
そして、
(見えた!)
黒と灰色の集団が見えてくる。
敵の数はガーゴイルが約二十体、機竜が約三十機。
それに追われて逃げるオレンジ色の《ドレイク》の姿が確認出来た。
敵軍の後ろから突っ込み、幻神獣と機竜を数体ずつ撃破しながら敵の間を抜け、
《ドレイク》に向けて撃たれたキャノンを障壁を使って受け止めながら庇うように着地する。
「大丈夫?」
怪我がないか確認するために声をかけると、
「Yes. 助かりました」
「ありがとうございます。ヨシノさん」
ノクトだったのか。《ドレイク》の背面からじゃわからなかったわ。アイリもいるし
「いや、まだ終わってない。お礼は後でな」
おそらく戦場の様子を見にきたら、突然敵の別働隊が現れたので、急いでここまで逃げてきたのだろう。
「なんだお前、ナイト気取りか? てめぇ一人でこの数が倒せるとおもってんのか?」
敵の一人が話しかけてきた。
アイツが別働隊の隊長らしい。
台詞が小者っぽいなー。
(気取りじゃなくて、本物の
「ああ、余裕だね」
「はっ、女の前だからって調子に乗りやがって! お前ら、叩きのめしてやれ!」
隊長の合図と共に四機の機竜が左右、上、正面から向かってくる。
「《
そう言った直後、俺は正面にいる《ワイアーム》に向かって跳躍する。
右手の大刀で《ワイアーム》の腕を斬り落とし、そいつを踏んで更に跳躍、
“左手”に持った大剣で上の《ワイバーン》を攻撃する。
着地と同時に踏み込み大刀で右の《ワイアーム》を破壊……
しながら大剣で真後ろから来た攻撃を防ぐ。
たった今破壊した《ワイアーム》を足場に後方へ跳躍し
後ろから攻撃してきた《ドレイク》の真後ろに着地し、幻創機核を粉砕する。
入団試験で咄嗟にやった超回避を今回は狙ってやったのだ。
「ヨシノ、その機竜は!?」
ノクトが俺の“全身黒一色”の機竜を見て驚きの声を上げる。
さっきまで装甲の一部が緑だったのに、突然色が変わったこと。
更に先程まであったはずの翼がどこかへ消え、知らぬ間に大剣を握っていたこと。
それらに対して困惑しているらしい。
「ああ、紹介するよ。《
次々と襲ってくる幻神獣や装甲機竜を倒しながら、神装機竜の紹介をする。
敵の数がいい感じに減ってきたな。
(そろそろいけるかな)
俺は特殊武装の《八塩折》をもう一度変形させる。
神装も使って一気にたたくか。
「《八塩折》、第八形態:
装甲の一部が白金色に変わり、大剣が消えて頭上には大きな環が現れる。
しかしその環はすぐに《八岐大蛇》と重なり、吸収されるように消える。
そして右手の大刀、《
「また姿が変わったぞ! 気をつけろ!」
反乱軍の一人がそう叫ぶが
(もう遅い!)
機竜の掌から光線を発射し、敵を撃墜する。
次々と機竜とガーゴイルを撃破しながら、今度は正面に浮いている環剣を少しずつ回転させる。
すると小さな光の粒がひとつ、またひとつと環剣の周りに現れ、
加速する環剣の速度に合わせて回転していき、やがて
「『
次の瞬間、光環から八匹の光の蛇が出現し、敵を追尾し撃ち落とす。
そしてまた次の敵を追いかけて数を一気に減らしていく。
「このっ、くそガキィィ!」
別働隊隊長の《ワイバーン》が蛇光穿をうまくかわしながら俺に襲いかかる。
「これで終わりだ!」
蛇光穿の制御で対処できない俺に、剣を振り下ろす。
「……ッ!!」
バキンッ!
切断された《ワイバーン》の腕が地面に落ちた。
《八岐大蛇》の右手には環剣が握られており、蛇光穿の光は既に消えている。
「そんなっ、何故だ!? 攻撃したのは俺のはず!!」
は何が起きたか理解できない、という顔で喚いている。
うるさいなー。
神装の効果が切れ、元の大刀にもどった《叢雲》で《ワイバーン》の幻創機核と機攻殻剣を破壊する。
†
敵が全滅したのを確認し、機竜の接続を解除すると、
ノクトとアイリがこちらにやってきた。
「『
ルクスさんがベルベットを倒したときも使ってたな。
『神速制御』……肉体操作と精神操作の二系統の操作を完璧に重ねることで、ワンアクションのみ、目にも止まらぬ攻撃を繰り出す絶技。
この技により、《ワイバーン》の剣が振り下ろされた瞬間、
俺は蛇光穿を止めた環剣で、斬られるより前に斬ったのだ。
「まぁな、教わったんだよ、ルクスさんに」
「兄さんに……?」
「ああ、ルクス アーカディアは俺の師匠なんだ」
やっとタイトル回収できた……
八岐大蛇の特殊武装や神装について、
まだよくわからないかと思いますがそれはまた次回ということで。