最弱無敗の弟子   作:雨夜狐

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EpilogueⅠ これから

 

俺は今、医務室に向かっている。

先程部屋にきたアイリによるとルクスさんが目を覚ましたらしい。

 

 

医務室につくと、ちょうどクルル先輩とフィルフィ先輩が出てきたところだった。

 

 

静かに扉を開け、中に入る。

 

 

「調子はどうですか?」

 

 

「まぁ、ぼちぼちかな」

 

 

「驚きましたよ。ルクスさんが『黒き英雄』だったなんて。」

 

 

「あはは」

 

 

「それで、これからどうするんですか?」

 

 

「たぶん、学園を去ることになると思う」

 

 

「ま、そうですよね」

 

予想通りの答えが返ってきた。

 

旧帝国の皇族が、帝国を滅ぼしたとなれば、それは革命ではなく覇権争いの一端と国民たちに認識され、新王国の求心力が弱まってしまう。

 

数人とはいえ、『黒き英雄』の正体がバレてしまった以上、ルクスさんが学園に残るのはマズいだろう。

 

 

その後、少しだけ話して、俺は医務室を後にする。

 

 

   †

 

 

女子寮の廊下を曲がると、俺の部屋の扉をノックしているノクトがいた。

 

 

「俺に何か用?」

 

 

「外出中だったのですね。ヨシノの神装機竜《八岐大蛇》について質問がありましたので」

 

 

「ん、いいよ」

 

部屋の扉を開け、二人で中に入る。

 

俺がベッドに腰をおろすと、俺のすぐ隣にノクトが座る。

 

「ノクト、なんか近くないか?」

 

「No. そんなことはありません」

 

「いや、でもーー」

 

「仮に近かったとして、ヨシノは私に近くに座られると嫌なのですか?」

 

 

「の、ノー」

 

その言い方はちょっとズルいだろ。

 

 

「ではこのままで構いませんね」

 

……まぁいいや。

 

「で、何から聞きたい?」

 

 

「では、《八岐大蛇》の色が変わっていましたが、あれはなんなのですか?」

 

 

「あれは、特殊武装の《八塩折(やしおり)》によるものだ。《八塩折》は八つの武器に姿を変えるんだが、その武器によって機体の色と能力がかわるんだ。あと機攻殻剣(ソード・デバイス)の色もな」

 

 

「つまり、八つの能力があると?」

 

 

「そういうこと。陸戦型の《八岐大蛇》が飛べていたのも、《八塩折》が翼に変形したからなんだよ」

 

 

「なるほど、では神装について教えてください」

 

 

「《八岐大蛇》の神装は《(ディザスター)》。《八塩折》の能力を機体ともう一つの特殊武装《叢雲(ムラクモ)》に宿らせて、強化するんだ。融合って行った方がわかりやすいかな?」

 

 

「ということは、《八塩折》と同様に、八つの能力があると言うことですね」

 

 

「結果的にはそうなるが、神装の能力自体は『《八塩折》と融合する』だけなんだ。あとは、制限時間は一分、同じ能力の連続使用は出来ない、そして身体への負担が半端ないっていう欠点もあるな」

 

 

「なるほど、それでは次が最後の質問なのですが……」

 

 

 

機竜の能力については大体教えたと思うんだが、まだ何かあるのか

 

 

 

 

「………王立士官学園(アカデミー)を去るつもりなのですか?」

 

ノクトが部屋の隅にまとめてあった俺の荷物を見ながらそう聞いてくる。

 

 

「……ああ、王都に戻る。元々、学園に出現した幻神獣の調査が目的だったからな。学園長にはこの後話にいく。」

 

 

学園長のことだ、「別に残ってくれても構わないのよ?」なんて言いそうだが、

ベルベットが角笛を使って幻神獣を操っていたことが原因とわかった以上、学園に残る理由もないし、そもそもここは女学園だ。

男の俺がいるべきではないだろう。

 

 

ちょっと寂しいけどな。

 

 

「結構楽しかったよ、ありがとな」

 

 

「Yes. 私も楽しかったです」

 

 

「それじゃ、そろそろ行くよ」

 

 

そう言って荷物をとりに立ち上がろうとするが、

ノクトが服の袖を引っ張って離してくれない。

まだ何かあんの?

 

 

振り向くと、ノクトがこちらを見つめていた。

 

 

 

目が…………離せない。

 

 

 

俺が動けないでいると、ノクトが目を閉じて顔をゆっくりと近づけてくる。

それにつられるように俺も顔を近づける。

 

 

二人の顔がだんだん近づき、そして――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヨシノ君、失礼するよ。学園長が君に話があると………!」

 

「ッ!!!」

 

 

シャリス先輩が部屋に入ってきた。

いろんな意味で心臓がバクバクいってる。

超ビックリした。

ヤバい。

 

ビックリしすぎてボキャブラリーがヤバい事になってる。

 

 

「あ~えっと、十分後くらいに出直そうか?」

 

「Yes. 十分と言わず三十分後くらいで構いませんよ」

 

「えっいや、すぐに行きます!」

 

 

   †

 

 

あの後すぐに部屋を出て、三人で学園長室へ向かっているのだが……

 

 

気まずい。

とても気まずい。

 

 

「いやぁ、驚いたよ。ヨシノ君を呼びにいったら、ノクトとキ、キスをしているとは……邪魔をしてすまなかったね」

 

シャリス先輩が俺の隣に並んで、前を歩いているノクトに聞こえないような声量で話しかけてきた。

驚いたのはこちらのほうだ。

 

「いや、その……まだしてないです」

 

 

「そ、そうだったのか、それはすまないことをした」

 

 

「い、いえ」

 

 

「それにしてもノクトが男に興味を持つとはね。幼馴染として嬉しい限りだ。ヨシノ君、ノクトをよろしく頼むよ」

 

 

「は、はい」

 

はいって言っちゃったよ。

というかノクトの親みたいになってるぞ、シャリス先輩。

 

 

「よし! 近いうちに二人のデートをセッティングしてあげよう!」

 

 

「恥ずかしいんで今はそっとしておいてください……」

 

 

   †

 

 

「いらっしゃいヨシノ君、ルクス君が来るまでもう少し待っててね」

 

学園長室についたのだが、中にいたのは学園長だけではなく、

顔見知りの少女たちや俺とルクスさんそれぞれのクラスメイトたちが集まっていた。

 

 

しばらくすると、バン!

と扉を押し開き、

 

「どういうことですか、レリィさん!?」

 

ルクスさんが慌てて入ってきた。

すると、

 

「正式入学おめでとう! ルクス君、ヨシノ君!」

 

 

突然の事に俺とルクスさんが固まっていると、

最後にリーシャ様が入ってきた。

 

 

「こほん。では、学園長の代わりに、わたしが挨拶をさせてもらおう。雑用王子ルクス アーカディア、そして六竜鱗副隊長ヨシノ クラウディウスよ。新王国の王女であるわたしから、貴公らに君命を授けよう」

 

リーシャ様はそう言って、俺たちの前に歩いてくる。

 

「貴公らの協力で、わたしは命を救われた。この城塞都市と、ひいては我が国を守ることができた。貴公らの身に、確かな力と正義があることを、このわたしが認め、称えよう。そして、わたしからの命令だ。お前たちはここに残ってくれ。初めての男の生徒として、わたしたちの力になってくれ。本来ここにいることは許されないお前たちの存在を、わたしたちが認めよう。異論はないな、英雄たちよ」

 

 

「え~っと、リーシャ様あのですね?」

 

 

「ヨシノ、お前の言いたいことは予想がついているぞ。どうせ、仕事が終わったから王都へ変えるとか言うつもりだろう?」

 

当たってるし……

 

「……ええ、まぁ、そうです」

 

 

「そう思ってな、お前にはわたしの助手になってもらうことにした」

 

 

「……助手?」

 

 

「ああ、正確には機竜研究開発所長補佐だな。お前のところの隊長にも既に報告してある」

 

 

「そんな滅茶苦茶な……」

 

 

「そんなことないぞ。お前には昔、少しだけだが機竜の整備や調整について教えただろ? それにわたしだって王女なんだ、騎士隊は六人もいるんだし一人くらい傍に置いても構わんだろ?」

 

 

……仕方ないか、王女様の命令だし、

ここまでされて断るほど俺も野暮じゃない。

それに、帰りたくない理由もできたしな。

 

 

そう思いながら俺はリーシャ様の前に跪く。

「仰せのままに、我が主よ」

 




これで原作一巻の話が終わりましたね。


どうでもいいと思いますが、
これを書いていた時の私の顔は間違いなく気持ち悪かったと思います。
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