暗殺教室Another〜大海の様な暗殺者〜   作:コユキ@0324

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転校生と暗殺の時間①

「なら、ミナト君はホントは大学生なんだ!」

 

「あぁ、あのタコに会うことがなかったら今頃楽しいキャンパスライフを送れたはずなんだけどな…」

 

時は進み、数日後の昼休み。俺の机のまわりは未だクラスメイトに囲まれていた。そんなに転校生が珍しいのだろうか。

肝心の担任のタコとは言うと…。

 

『昼休みですね。先生ちょっと中国行って麻婆豆腐(マーボードウフ)食べてきます。暗殺希望者がもしいれば携帯で呼んで下さい』

 

とか吐かして、窓から飛んでいきやがった。

マッハ20だから…ええと、四川省まで10分くらいか?確かにあんなんミサイルでも落とせねぇわ…。

 

「じゃあさ!じゃあさ!やっぱりミナト君って頭いいの?」

 

挙手をして聞いてきたのは、ふわふわな髪型をした出席番号…確か10番の倉橋陽菜乃…だったか。

 

「当たり前だろ?中学のテストだぜ?解けない問題なんかないに決まってるだろ」

 

「ミナト。ミナト。机の中から2点の小テスト見えてるぞ」

 

「マジかよ!?」

 

小テストが見えてることを指摘したのは、出席番号2番の磯貝悠馬だ。

クラスの委員長なだけあって、俺にも気軽に話しかけてきてくれる。ついでにイケメンだ。

 

「うわぁ…大学生が中学生のテストで2点って…」

 

「う、うるせぇよ!ここの問題難しすぎるんだよ!」

 

実際、ここの学力を舐めていた。どんなに偏差値が高いとしても、所詮中学生レベル。大学に受かった俺なら余裕だろう、とタカをくくっていた。

 

結果、初めての小テストで惨敗。50点満点中2点という、クラス最低点を叩き出してしまった。

 

恥ずかしすぎる。まさか中学校のテストで2点を取ったなんて同い年の友達には死んでも言えない。美月に知られた日には、『お兄ちゃんが馬鹿すぎて美月悲しい…』とか泣かれそうだ。

 

「てかさ、未だに納得出来ないんだけど、本当に大学生なわけ?どうやって中学生まで若返ったのよ」

 

そんな疑問をぶつけてくるのは、出席番号19番、速水凛香だ。

 

「だから、薬飲んで若返ったんだって。あの時のことはあんま思い出したくないんだから、あんま聞くな」

 

「何があったのよ…」

 

そう、あれは思い出したくもない。あんな苦痛にあうくらいなら、飲まなきゃよかったと後悔してるくらいだ。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

〜以下、回想〜

 

「待たせたな。これが身体を退行させる薬だ」

 

そう言って烏間さんが持ってきたのは、カプセル状の薬だった。

 

「これを飲めば君の身体は中学3年生。つまり、15歳まで若返ることになるがいいか?」

 

「まぁ百億円の為ならそれくらいは我慢しますよ。」

 

「そう言えば、親御さんには連絡しなくていいのか?心配しているだろう」

 

「いや、今世話になっている人には、1年間だけ帰れない。と伝えました。どうせ中学3年生になったら、自宅には帰らせてくれないんでしょう?」

 

「あぁ。すまないがその場合は『ヤツ』と同じく国家機密になるからな。君には、我々の用意した場所に住んでもらうことになる」

 

「まぁそれくらいの覚悟はできてますよ。妹には、『お兄ちゃんが不良になった…。もう知らない!』って言われましたけどね…」

 

「ほう。君には妹がいるのか。いくつなんだ?」

 

「今年で中3です。そういや、若返ったら同い年ですね」

 

シャレになんねぇ…。妹と同い年とか兄の尊厳皆無じゃねぇかよ。ただの双子になっちまうよ…。

なんだかいきなり怖くなったので、もう一度確認することにした。

 

「あのーーもし『アイツ』を殺すことができたら、ちゃんと戻れるんですよね?キチンと今の状態に戻れるんですよね?」

 

「あぁ。その点は先ほども言ったが、心配ない。ちゃんと元通りになるはずだ」

 

よかった。美月と同い年になるとかマジ勘弁だからな。しかも、月的にはアイツの方が早いから、弟になっちゃうからな。『お兄ちゃんじゃなくて、これからは弟君だね!アハハ!』とか、妹に言われた日には立ち直れない。……でも、少し言われてみたい。

 

「では、準備が出来たら飲んでくれ。先日も言ったとおり、人体実験はまだ行っていない。つまり、人体にどんな悪影響が出るかは分からない。止めるなら今だぞ」

 

「ここまできて、ビビって止めるとかそんなの有り得ないですよ。覚悟ならもう充分決まっています」

 

そう。美月を裕福にしてやる覚悟。俺達を育ててくれた老夫婦に恩返しする覚悟。そして、そのためにあの超生物(タコ)を殺す覚悟。

 

俺は覚悟を決め、グイッと一気に薬を飲んだ!

 

「…………うっ」

 

「どうした!?どっか痛むのか!?」

 

「………ぐああああ!!!!」

 

なんだこれ。痛い。痛いというか熱い。身体中の骨が、まるで溶けるようだ。

皮膚が縮んでいく感覚。身体中が燃えるように痛い。いっそ死んでしまった方が楽なくらいに。

若返ることが、ノーリスクだとは思っていない。何かしらのリスクはあると思っていた。しかし、まさかこんなに痛いとは!

いっそ死んでしまった方が楽なくらいの、地獄の痛みは中々終わらない。

 

「ぐっ!!うわぁぁぁぁぁ!!」

 

たまらず俺は、ベッドから転げ落ちた。苦しい。痛い。辛い。

 

「おいっ!!大丈夫か!待ってろ!今医者を……」

 

「ぐっ……大…丈夫です…少し…苦しいだけですから……!」

 

「その苦しみ方は少しのレベルを超えているぞ!すぐに医者を手配する!」

 

「本当に……大丈夫ですから…!」

 

冗談じゃない。今更止めるなんてできるか。それに。

 

 

 

もう手遅れだ。(・・・・・・・)

 

俺の身体は煙を上げ、ジューーッと嫌な音があたりに鳴り響く。

そして、俺の記憶はそこまでだった。

俺はあまりの痛さに、気を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………なんとか成功したみたいだな。」

 

意識を取り戻し最初に見た風景は、冷や汗を垂らしながら俺の顔を心配そうに伺う烏間さんの姿だった。

 

「………ん…成功…したんですか?」

 

「あぁ。鏡を見て確認するといい」

 

と言い、鏡を取り出した烏間さんが持っている鏡を覗くと。

 

「うっわ…マジかよ…。マジで戻ってやがる…」

 

 

 

 

そこには、中学時代の俺の顔が写っていた。

 

 

 

 

「おめでとう。よく頑張ったな。崖から落ちた際の君の怪我も、ほとんど完治しているようだ。後で確認するといい」

 

「はい……これで俺は…」

 

「あぁ。来週から『ヤツ』が教える椚ヶ丘中学校3年E組の生徒になってもらうことになる」

 

「………うす」

 

元に戻る時もこんな苦しみを味わうのだろうか。もういっそのこと、一生この姿でいい、と思ってしまった自分がいた。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ってなことがあってだな…」

 

「うわぁ…辛そう。私は絶対に飲みたくないなぁ」

 

「なんか…海鳴の声のトーンを聞くだけで、本当のことだったんだなってことが分かったわ…」

 

「マジで死ぬかと思ったね。うん。殺す前に死ぬとか、シャレになんねぇからな…」

 

「ほんとだよ…生きててよかったな。ミナト」

 

「あぁ、サンキュなユウマ。つーか、もう昼休みも終わりそうだな。あのタコはまだ帰ってこないのか?」

 

「マッハ20の音速飛行なら、すぐに帰ってこれそうだけどね〜」

 

「あのタコ、音速飛行中にテストの採点までしてるんだぜ?俺なんかイラスト付きで褒められた」

 

マジかよ…

 

「てかあいつ、何気教えるの上手くない?」

 

「わかるー。私放課後に暗殺行った時ついでに数学教わってさぁ、次のテスト良かったもん」

 

「ま、でもさ。所詮俺らE組だしな(・・・・・・・・・)。頑張っても仕方ないけど」

 

ヒロトが諦めた風にそんな事を言う。その発言を聞いた瞬間、クラスの雰囲気が変わった。

 

そうだ。このクラスは『エンドのE組』。少しだけ、普通と違う。

クラスの皆がいい奴過ぎて忘れていたが、こいつらE組は、劣化生徒の烙印を押された生徒達なのだ。

いくらあの超生物(タコ)が教えるのが上手かろうと、一人一人が勉強に対して意欲を持たなければ意味はなさないだろう。

 

まぁ当然あの超生物(タコ)はそのことを理解しているだろうが。

俺がでしゃばる場面じゃない。これはあの超生物(タコ)がみんなに教えることだ。

しかし、少し。ほんの少しだけ、あの超生物(タコ)に借りを作ってやるのもいいだろう。もしかしたら、お返しに殺させてくれるかもしれないし。

 

それに、クラスの雰囲気がこうなるのはあまり好きじゃない。年上の目線から言わせてもらえば、年下の子供たちにはなるべく笑顔でいてもらいたい。 だから、少しだけ行動してみようと思う。

 

と、みんなにむけて話そうとしたその時。

 

「……おい渚。ちょっと来いよ。暗殺の計画進めようぜ」

 

「………うん」

 

教室の端で、デカイ図体の男子が、小柄な男の子を呼び出すのが目に止まった。

呼び出した三人組は、確か…寺坂、村松、吉田…だっけか?

呼び出された方は、出席番号11番、潮田渚だ。

 

なーんか面倒なことやってんなぁ。

この教室の雰囲気を変えるより、先にやるべきことがあると思い、俺は渚を連れ出した三人組の後を追った。

 

 

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