暗殺教室Another〜大海の様な暗殺者〜   作:コユキ@0324

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今回は、前半水湊パート。後半渚パートで進めていきます。


転校生と暗殺の時間②

「……………に行け」

 

「………でも…」

 

こそこそ、と三人組+渚の後を追った俺が見たのは、寺坂が渚に何かを話してる姿。超生物用ナイフを渚に向けて。

しばらく様子を見ていようかと思っていたが、寺坂は渚に有無を言わさない様な威圧的な喋り方をしている。

 

てか、どこのジャイ〇ンだよあれ…。

よく見れば体型も似てるし…。成長したジャイ〇ンだなもう。

 

ここからじゃ遠いな…。もう少しだけ近づくか。

 

 

「落ちこぼれの俺等が百億円稼ぐチャンスなんて社会に出たってこの先一生回ってこねぇぞ。」

 

ようやく内容が聞こえた。なんだ?暗殺の計画か?

と、その時。寺坂が何かを渚に渡そうとしているのが見えた。

 

「抜け出すんだよ。このクソみてぇな状況から。例え…どんな手を使ってもな」

 

「はい。ストップ〜。おいジャイ〇ン。渚に渡そうとした物の中身をあけて今すぐ見せろ」

 

この中身がただの玩具じゃないと理解した俺は、そこに割り込み、寺坂の腕をつかみ、話しかけていた。

 

「テメっ…。海鳴!ンだよコラ!って誰がジャイ〇ンだ!」

 

「お前以外に誰がいんだよ。あんまの〇太君をいじめてやんなよ。可哀想だろうが」

 

の〇太君って僕のこと…?と、渚のぼやきが聞こえた気がしたが、スルーする。

 

「テメェには関係ねぇだろうが!ほっとけよ!」

 

「俺は一応年上だから、子供の面倒を見る義務があんの。危ねぇもんをクラスメイトに使わせようとしてんじゃねぇよ。大方BB弾グレネードってとこか?火薬入りの」

 

こういうやつの考えはすぐにわかる。何故かって?おれのまわりはこんなのばっかだからだ。

 

「んなっ!?……うるせぇよ。だいたいテメェは入った時からウザかったんだ!どうせだから、今から…」

 

と、寺坂が言い終わらないうちに寺坂の頭を片手で掴み、アイアンクローを食らわせる。

 

「おいおい、いいとこのお坊ちゃん学生は喧嘩のやり方も知らねぇのか?ママから習ったでしょ?ケンカするなら口じゃなくて、手を動かしなさいって」

 

「………ぐっ!……チィ!!行くぞお前ら!!」

 

俺のアイアンクローからなんとかして逃れた寺坂は、取り巻きの2人を連れてさっさと退散してしまった。

 

「うっす。大丈夫か?ナギサ。」

 

「うん…ありがとう。ミナト君」

 

「気にすんな。んで、お前が未だに寺坂から受け取ったBB弾グレネードを手放そうとしない理由を聞きたいんだが?」

 

「………僕なら、殺れるかもしれないから」

 

「はぁ?」

 

「先生は、みんなから暗殺の標的(ターゲット)にされてるよね?それは、裏を返せば皆に実力を認められているって事でしょ?」

 

「……ん?まぁ、そうなのか?」

 

「そんな怪物に、期待も警戒もされなくなった、認識さえされない人間の気持ちなんて分からないよ。だから、殺れるかもしれない。だって、あの怪物に暗殺者(ぼく)の姿は見えていないから」

 

渚は俯きながら、そう言った。

 

俺は、少しばかり甘く考えていたのかもしれない。この『E組』というクラスのことを。

このクラスの生徒達は、勉強に意欲がないとか、そういう次元ではもうない。

 

全てにおいて、諦めてしまっているのだ。

 

期待されなくなり、失望され、馬鹿にされ、嘲笑され。

簡単に言えば、自暴自棄だ。もちろん、全員が全員そういうわけではないだろう。悠馬とかは、この『E組』でも前を向こうも頑張っているし。

ただ、そんな人物は少数派だ。ほとんどの生徒達は、受け入れてしまっている。

自分が劣化生徒だということを。誰にも期待されない、落ちこぼれの存在だということを。

 

だから、俺は言ってやった。渚の目を見て。

 

「確かにお前らはE組で、劣化生徒かもしんねぇけどさぁ。それがどうしたんだよ?この学校でビリってことは、後は上るだけだろ?トップにいるより断然楽じゃねぇか。期待されない?警戒されない?寝言吐かすな。なら、警戒されるほどに上り詰めればいいだけの話じゃねぇか」

 

それに、と俺は続ける。

 

「例えこの学校の皆がお前らのことを見てないとしても。俺は見てる。ついでにあのタコもな。なら、それだけでいいじゃねぇか。皆に認められる必要なんて、どこにもねぇよ。そんなの、息が詰まって死にたくなるっての」

 

渚は、唖然としていた。まるでそんなこと言われたことがない、という風に。

 

「そんな事言われたことないってか?なら、俺が何度でも言ってやる。お前はここにいる。そんで、俺の大事なクラスメイトだ。そして、俺はお前らが俺の学力を上回るんじゃねぇかと警戒してる。それと同時に、お前らが頭良くなって本校舎のやつらを見返せるっていう期待もしてる。これだけじゃ、不満か?」

 

「……ハハッ。小テスト2点の人に警戒されてもねぇ…」

 

「おまっ!今それ言うか!?」

 

「冗談だよ。ありがとうミナト。僕、今までそんなこと言われたことなかったから、とても嬉しい」

 

「なら……」

 

「けど、これは殺らせてほしい。別に自分の事を卑下してるわけじゃないよ?ただ、本当に殺れそうだから、言ってるんだ」

 

そんな風に言われたら、何も言えなくなってしまう。

 

「………わかった。けど、危ないと思ったらすぐに逃げろよ?アイツを殺すより、お前の安全の方がはるかに大事だってこと、忘れんなよ」

 

「うん!ほら、もう5時間目始まっちゃうよ!行こっミナト!」

 

「わかったわかった。だから急かすな!」

 

本当に、無事にすめばいいんだが…。俺の頭の中は、悪い予感がずっとしていた。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

side渚

 

「お題にそって短歌を作ってみましょう。ラスト七文字を『触手なりけり』で締めてください。書けた人は先生のところへ持ってきなさい。チェックするのは、文法の正しさと、触手を美しく表現できたか。出来た者から、帰ってよし!」

 

「触手って季語?」

 

「さぁ?」

 

5時間目。いつものような先生の無茶難題に頭を悩ませていた茅野が、不意に手を挙げて先生に質問した。

 

「先生しつもーん」

 

「………?なんですか?茅野さん」

 

「今更なんだけどさぁ、先生の名前ってなんていうの?ほかの先生と区別する時不便だよ」

 

「名前……ですか。名乗るような名前はありませんねぇ。なんなら皆さんでつけてください。それより、今は課題に集中ですよ」

 

「はーーい」

 

きた。今だ。

 

僕は席を立ち、短歌を書いた紙にナイフを忍ばせ、先生の元へと向かった。

 

「おや、もうできましたか渚くん。早いですねぇ」

 

昼飯の後、僕らが眠くなる時に、先生の顔が薄いピンクになる時がある。茅野への質問も少し遅れた。多分、先生が一番油断する時間帯なんだ。

 

(渚……)

 

(殺る気か…!)

 

この進学校で落ちこぼれた僕らは思う。

どこかで見返さなきゃ。やれば出来るということを、親や友達や先生達に。

 

゛殺れば出来る゛と!!

 

(ごめんね…ミナト。けど、やっぱり思うんだ。皆を見返したいって。でも、ミナトの言葉が嬉しかったのはほんとだよ)

 

僕は短歌で隠していたナイフを、先生の真近まで来たところで振り上げた。

 

「……言ったでしょう。もっと工夫を…」

 

ふわり。と、僕は自然に先生に抱きついた。

 

「……BB弾グレネード!?」

 

「もらった!」

 

「伏せろ!みんな!」

 

ドォォォォォォン!!!!

 

火薬を増して威力を増大させたBB弾グレネードは、爆発と共に、教室内に大音量の衝撃を響かせた。

 

「っしゃあ!百億円ゲット!」

 

「まさかタコも自爆テロは想像していなかったろ!」

 

「ちょっと!渚に何持たせたのよ!!」

 

「あぁ?玩具の手榴弾だよ。ただ、火薬を使って威力を増大させた(・・・・・・・・・・・・・・)、な」

 

「………チッ!!おいナギサ!大丈夫か!?」

 

「んっ……うん。なんとか」

 

あれ?なんで僕無傷なんだ(・・・・・・)

ミナトに支えてもらいながら、立ち上がる。

 

「なんだこれ…膜か?タコの身体につながってるようだが…」

 

「実は先生。月に1回ほど脱皮をします。脱いだ皮を爆弾に被せて、威力を殺した。つまりは月一で使える奥の手です」

 

先生の顔色は、顔色を見るまでもなく。

 

真っ黒。ド怒りだ。

 

「寺坂、吉田、村松。首謀者は君らだな。」

 

「えっいや…、渚が勝手に…」

 

と、その時。先生の姿が一瞬消えた。と思ったら、教卓の前に移動していた。たくさんの表札を持って。

 

ゴトッ!ゴトッ!ゴトッ!

 

寺坂君、吉田君、村松君の家の表札を床に落とし、超生物は喋り始めた。

 

「政府との契約ですから、先生は決して君たちに危害は加えませんが…。次、また今の方法で暗殺にきたら…」

 

ピカ!と、先生の目が激しく光る。

 

「君達以外には何をするかわかりませんよ?」

 

ガバァ。と、無駄にでかい口を開け、恐ろしげに先生は、こう言った。

 

「家族や友人…いや、君達以外を地球ごと消しますかねぇ(・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

五秒間で皆悟った。"地球の裏でも逃げられない"と。

 

どうしても逃げたければ…この先生を殺すしか!!

 

「な、何なんだよテメェ!!迷惑なんだよぉ!」

 

先生に叱られた寺坂君が、半泣き状態で先生に講義する。

 

「いきなり来て地球爆破とか暗殺しろとか…!迷惑なやつに迷惑な殺し方して何が悪いんだよ!!」

「迷惑?とんでもない。君たちのアイデアはとてもよかった。特に渚君…」

 

顔色を穏やかな色にし、顔に丸を描いた先生が、触手で僕の頭を撫でる。

 

「君の肉迫までの自然な体運びは百点です。先生は見事に隙を突かれました」

 

「…………………!!」

 

「ただし!寺坂君達は渚君を。渚君は自分を大切にしなかった。そんな生徒に暗殺する資格はありません!」

 

先生は身体を皆の方に向け、いつもの顔でこう言った。

 

「人に笑顔で、胸を張れる暗殺をしましょう。君達全員、それが出来る力を秘めた有能な暗殺者(アサシン)だ」

 

これが、と先生は続ける。

 

標的(ターゲット)である先生からのアドバイスです」

 

「どんな暗殺だよ……」

 

ミナトがそうぼやく。でも、僕はマッハ20で怒られて、うねる触手で褒められた。異常な教育が、僕は普通に嬉しかった。

 

だってこの異常な先生は、僕らのことを正面から見て入れてくれてたから。

 

(ミナトの言う通りだったよ……。この先生は見ていてくれてた。そしてミナトも。2人もいるんだ。僕は充分だよ)

 

「さて、問題です渚君。先生は殺される気など微塵もない。3月までエンジョイしてから地球を爆破です。それが嫌なら、君たちはどうしますか?」

 

暗殺なんてしたことないし、僕達に他にやることがたくさんある。

 

けど、思った。

 

「その前に……殺します」

 

この先生なら、殺意すらも受け止めてくれるって。

 

先生の顔が緑のしましまに変わる。

 

「よろしい。ならば今殺ってみなさい。殺せた者から今日は帰ってよし!」

 

僕らは殺し屋。標的は先生。

 

と、その時。ゴンッ!と、頭を殴られた。

 

「痛ぁ!」

 

「痛ぁ!じゃねぇよドアホ。危ないと思ったらすぐに逃げろってつったろうが。ヒヤヒヤさせやがって。ったく」

 

「うぅ…ごめん…」

 

「まっでも、お前の動きはスゴかったぜ。あんなに自然にさっきを消して近づけるやつなんてそうそういねぇよ。」

 

「やるな!ナギサ!!」

 

ニカッ!と、ミナトは笑顔でそんなことを言ってくれる。

 

「うん……!!ありがとう!」

 

新任担任と転校生。この2人が、E組に新たな風を運んでくるって、僕はそう思った。

 

「殺せない先生…あっ…名前、殺せんせーは?」

 

茅野がそう、呟く。殺せんせー。呼びやすくて、いい名前だ。

 

殺せんせーと僕らの暗殺教室。新たな年上の転校生と共に、始業のベルは今日もなる。





E組の闇とか、そこらへんを少し出しました。
ついでに、水湊君はみんなのことを下の名前でカタカナで呼びます。中々にフレンドリーです。
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