暗殺教室Another〜大海の様な暗殺者〜 作:コユキ@0324
1日1回更新を維持したかったんですが…。新しい生活も始まったこともあって、無理でした…。
なるべく、1日1回更新を目標にしていきます!なので、応援よろしくお願いします!
今回は、前半烏間先生パート。後半水湊パートです。そして、最後の方には、ついに『あの子』が登場します…。
side烏間
いっちに〜さ〜んしー!
「晴れた午後の運動場に響くかけ声…平和ですねぇ」
ご〜ろ〜くしっちはっち!
「生徒の武器が無ければですが…」
「八方向からナイフを正しく振れるように!どんな体勢でもバランスを崩さない!」
「今日からこの時間は俺の担当だ。お前はどこかへ行っていろと言っただろう」
そう。今日から俺、烏間惟臣は、この超生物を殺すため、E組の生徒達に体育という名の暗殺訓練を教えることになった。
正直、中学生にこのようなことを教えるのは、心が痛む。
しかし、来年の三月までに超生物を殺さなければ地球は終わってしまう。そうなれば、何もかもが終わりだ。
流石に軍にいた頃とは違い、易しい基礎から教えているが…。実際、どれだけ伸びるかは分からない。
そして、俺が担当を受け持つということは、俺もこの教室に在籍するということだ。
なるべく、生徒達の手を汚さず、俺が仕留められればそれが一番いいのだろうが…それはおそらく不可能だろう。
だから、なるべく生徒達に負担をかけさせないよう、俺も技術面でも精神面でもサポートすべき。だと上から通達された。あわよくば、あの超生物を殺せるように、と。
◆ ◇ ◆ ◇
〜以下、烏間惟臣の回想〜
『防衛省から通達済みと思いますが…明日から私も体育教師でE組の副担任をさせて頂きます』
『そうですか』
『奴の監視はもちろんですが…生徒達には技術面精神面でサポートが必要です。教員免許は持ってますのでご案心を』
『ご自由に。生徒達の学業と安全を第一にね』
『………失礼します』
ガチャ!
『ものわかりのいい理事長ですねぇ』
『フン、見返りとして国が大金を積んでいるしな。だが……』
『都合がいいのは確かだ。地球を壊せる怪物がいて、しかもそいつは軍隊でも殺せない上に教師をやっている。こんな秘密を知っているのは我々国と、ここの理事長と…』
一息ついて、俺は続ける。
『あの校舎のE組の生徒だけでいい』
と、その時。
『やっば、これ以上成績落ちたらE組行きかも』
『マジか!?あそこ落ちたらほとんど絶望だぞ』
本校舎の生徒達が喋っているのが耳に届いた。
『学食もない。便所も汚い。しかも隔離校舎で、俺等からも先生からもクズ扱い。超いい成績出さないと戻ってこれない。まさにエンドのE組!あそこ落ちるくらいなら死ぬな 俺』
『だよな…E組みたくならないよう頑張らなきゃ!』
………なるほど。極小数の生徒を激しく差別することで…、大半の生徒が緊張感と優越感を持ち頑張るわけか。
合理的な仕組みの学校だし、我々としてもあの隔離校舎は極秘暗殺任務にうってつけだが…。
切り離された
俺は、報告も兼ねて、あの隔離校舎に出向くことにした。
ザッザッ。
『あっ烏間さん!こんにちわ!』
『こんにちは。明日から俺も教師として君らを手伝う。よろしく頼む』
『そーなんだ!じゃあこれからは烏間先生だ!』
予想と反して、ここの生徒達は意外にも明るい。これも、あの
『……ところで、奴はどこだ?』
『……それがさ、殺せんせークラスの花壇荒らしちゃったんだけど、そのおわびとして…』
そこで俺が見たのは……
『おーーーい!棒とヒモ持ってきたぞー!!』
『ハンディキャップ暗殺大会を開催してるの…』
シャッ!シャッ!!
ぬるん。ぬるん。
『そこだ!刺せ!!』
パンッ!パンッ!
ぬるん。ぬるん。
『くそっ。こんな状態でヌルヌルかわしやがって!』
木の枝に縄で縛られ、吊るされた、しかし攻撃をヌルヌルかわす、
『ほら、おわびのサービスですよ?こんな身動きできない先生そう滅多にいませんよぉ』
しかも、
くっ……これはもはや暗殺と呼べるのか!!
おもわず握りこぶしを作り、青筋を立ててしまう。
『でも待てよ?殺せんせーの弱点からすると…』
『ヌルフフフ。無駄ですねぇE組の諸君。このハンデをものともしないスピードの差。君たちが私を殺すなど夢のまた…』
バキッ!と、その時。
ボトッ……。
縄で縛られていた
『今だ殺れーーーッ!!』
『にゅゃーーーーッ!しッ、しまったー!!』
『ちょっ……待って!な…縄と触手が絡まって……』
あまりにもわかりやすくテンパっている奴の姿は、これ以上なく情けなく、また殺しやすそうでもあった。
というか…。
なんでこの情けない奴を、俺達は未だに殺せないんだ……!!
と、なんとか縄から抜け出した奴は、シュッ!と、校舎の上に逃げ出した。
『ちッくしょ!抜けやがった!』
『ここまでは来れないでしょう!基本性能が違うんですよ!バーカバーカ!』
『ぬーーー…あと少しだったのに…』
ハァハァ、と息を整えた奴は、こう言った。
『………明日出す宿題を、2倍にします』
『『『『小せぇ!!!!』』』』
なんと器の小さい奴だ…。あんな奴を殺せない自分が、なんだか情けなくなってくる。
『逃げた…』
『でも、今までで一番惜しかったよね』
『この調子なら、必ず殺すチャンスくるぜ!!』
『やーーん!殺せたら百億円何に使おー♪』
中学生が嬉々として暗殺のことを語ってる。どう見ても、異常な空間だ。
『渚。どう?殺せんせーは殺せそう?』
『……殺すよ。殺す気じゃなきゃあの先生とは付き合えない』
だが、不思議だ。
『皆、暗殺のことになると顔が活き活きとしますよね。それこそ、本校舎の生徒達とは、段違いに』
『ッ!?』
『やっ、烏間さん。久しぶり』
思考を読まれたのかと思った。
というか、いつの間に背後に回られていたのだろうか。全く気づかなかった。
そう、俺に声をかけてきたのは、ある意味
『そうだな…。水湊君は、あの暗殺には参加しなかったのか?』
『や、だって無理ゲーでしょ。あれ。完全にナメきっていたもん。あれは、自分が絶対殺されない自信があるから提案したようなもんですよ』
『まぁ我々としては、こんな情けない殺し方でも殺せるならそれでいいが…。それより、さっきの発言。君は彼らのことをよく見ているのだな』
『まぁ、もうここに来てから結構経ちますからね。少しくらいは、馴染んだつもりですよ。それより、明日からここで体育教えるんですって?なら、これからは先生ですね』
『あ、あぁ。君たちに暗殺の大事な基礎から教えるつもりだ。厳しくいくつもりだから、よろしくな』
『ははっ。まぁ、お手柔らかに』
『おーーい!ミナト!こっちきて片付け手伝ってくれよ!』
『おっけーユウマ!今行く!』
そうクラスのメンバーに返事をし、水湊君は『じゃあ、また』と言い残し、向こうへ行く。
海鳴 水湊。経歴を調べさせてもらったが、
あの、超生物も中々に特殊だが、同じ国家機密である彼も、また特殊だ。
彼が、この教室に来たのもなにかの運命なのかもしれない。俺はそう思った。
◆ ◇ ◆ ◇
「でも烏間先生。こんな訓練意味あんスか?しかも当の
「………勉強も暗殺も同じことだ。基礎は身につけるほど役に立つ」
「………?」
いけない。昨日のことを思い出していたからか、生徒の反応に少し遅れてしまった。
「例えば……そうだな。磯貝君。前原君。そのナイフを俺に当ててみろ。」
「え……いいんですか?2人がかりで?」
「そのナイフなら俺達人間に害はない。かすりでもすれば今日の授業は終わりでいい」
俺はそう言いながら、ネクタイを緩め、胸元を少し開け、動きやすくする。
「え……えーと…そんじゃ」
ヒュッ!
磯貝君のナイフが、俺を刺そうと向かってくる。それを俺は、紙一重に避けた。
「……!!」
「さぁ」
「くっ!」
前原君が少し焦った様子で、ナイフを振る。
それを俺は、前原君の腕を払い、攻撃を制した。
磯貝君と前原君が、2人がかりでかかってくるが、俺はその全ての攻撃を、かわし、払い、最小限の動きで全てを捌いた。
「このように、多少の心得があれば、素人2人のナイフ位は俺でも捌ける」
「くっそ!!」
2人がムキになって、向かってくる。今だ。
俺は2人の腕を取り、柔術の感覚で、2人を地面に倒した。
「俺に当たらないようでは、マッハ20の奴に当たる確率の低さがわかるだろう。それに、見ろ!今の攻防の間に奴は」
俺は指を砂場の方にさした。そこには…。
「砂場に大阪城を作った上に、着替えて茶まで立てている」
砂の大阪城を立て、和服に着替え、お茶を飲みながらニヤニヤしている奴の姿があった。
((((腹立つわぁ〜…))))
俺は磯貝君と前原君の手を取り、起こす。
「クラス全員が俺に当てられる位になれば、少なくとも暗殺の成功率は格段に上がる。ナイフや狙撃、暗殺に必要な基礎の数々。体育の時間で俺から教えさせてもらう!」
なるべく易しく教えつもりだ、と付け加える。
この学校で見下されてる分、頑張って手柄を立てて欲しいという心意気もあったのだろうか。
久しぶりに、俺の教育の熱に、火がついた気がした。
◆ ◇ ◆ ◇
side水湊
「では、二人一組になって、俺と模擬戦をしてもらう!各自、ペアを作ってくれ!」
やべぇ。詰んだ。
これは、あれか。学校でよくある、『はーーい!じゃあ2人組作って〜』ってやつか。やばい。
そこらのボッチ主人公と違い、俺はこの手のペア作りで余り物になった経験は、あまりない。
中学でも高校でも、友達と呼べる奴はたくさんいたし、自分から行かずとも向こうから来てくれたのだ。
しかし、今この場合は違う。
彼らは、同じ学校で3年間共に過ごした普通の学生だ。同じクラスに仲のいい人物のひとりやふたりはいるだろう。
片や、俺は転校生。しかも、こっちへ来てまだ1ヶ月経っていない。詰んだ。
まさかこの歳になって、中学生の沢山いる場所でぼっちになるとは思わなかった。このままだと、俺はアレだろうか。烏間先生と
と、約300文字にも渡って2人組の恐ろしさを解説していたが、なんて下らないことを…。と思わないで欲しい。こっちは真剣なのだ。
どうしよう、と考えていた時。俺に声をかけてくれる子が現れた。
「あれ〜?ミっち〜1人?なら、わたしと組もうよ!」
女神か。いや、違う。陽菜乃だ。
「えっ?あぁ…、ヒナノはいいのか?」
「うん〜!全然おっけーだよ!」
「そっか。なら、よろしくな」
「うん〜!頑張ろうね!」
いい娘だなぁ…。癒されるなぁ。
はっ!いかんいかん、しっかりしろ18歳!相手は中学生だぞ!
陽菜乃は、磯貝や渚と同じく、俺に積極的に話しかけてくれる優しい子だ。
性格もなんだかふわふわしてるし、見てると和む。渚とはまた違った可愛さだ。
べ、別に渚のことを可愛いとかは思ってないんだからね!…めっちゃキモイな、自重しよう。
そんなこんなでペアが決まり、テキトーに話してると、俺達の番がやってきた。
「次が最後だな…ほう、水湊君か。君の実力はあの時、夜中の山道で、少し垣間見てるぞ。期待している」
「いやーーそんな期待されても、期待はずれで終わっちゃうので勘弁してください」
「まぁやってみればわかるさ。さぁ、来い!」
「うしっ、行くぞ!ヒナノ!」
「うん〜!」
正直、今の時点の陽菜乃に戦闘能力は期待していない。だから、これは実質俺と烏間先生の一騎打ちだ。
結局こうなんのかよ…。まぁ、あぶれて1人で戦うよりはいいか。
案の定、陽菜乃は向かっていったが、すぐに転ばされてしまった。しかし、紳士カラスマ。投げる時も、相手をいたわり、優しく投げた。俺にもやって欲しい。
「きゃっ!」
「大丈夫か?ヒナノ!」
「うん〜…」
「さ、残りは君だけだな。来るといい」
「うぃ〜っす…」
俺も、烏間先生に向かっていく。俺は烏間先生に、
ブンッ!!
「………ッ!」
それを烏間先生は、少し驚いた顔をし、しかしなんなく避ける。
チッ……。不意打ちで決めようかと思ったのに、こりゃダメだな…。
「……驚いたな。身体能力は高いと思っていたが、ここまでとは。なにか習っていたのか?」
「育ての親に、武術を少々。でも、自慢できるほどではないですよ」
「そうか…なるほどな!」
烏間先生が、俺の手を取り、投げようとする。それを俺は、身体を一歩引き、避ける。
すると、攻撃の手を休めない烏間先生は、足を払おうとする。俺はジャンプして、それも避け、飛び蹴りを入れる。
しかし、腕で防がれ、逆の手で足を持たれる。俺は、身体を起き上がらせ、ナイフを烏間先生の首元に振る。
だが、起き上がらせる動作が遅かった。気がつけば俺は、足から地面に投げられていた。
なんとか受身を取り、ダメージをやわらげる。てか、中学生男子1人を片手で投げられるってどんな筋力だよ…。この人も大概化け物だな。
「悪い。少しやりすぎた。立てるか?」
そう言い、手を差し伸べてくれる。
「えぇ、なんとか受身取りましたから。やっぱ強いですね烏間先生。あわよくば、って思ったんスけど…」
「いやいや、君も中々だ。見込みがある。よほど師がいい人だったのだな」
「まぁ、それほどでも。そうですね…。俺の師匠も中々に化け物クラスでした」
「いつか手合わせ願いたいものだ。さて!これで、全員終わったな?」
と、その時。
キーンコーンカーンコーン。と、授業終了の鐘が鳴った。
「では、今日はここまで!次回からは、実践的な基礎の練習に入る!では、解散!」
ふぅ…。疲れたな…。
◆ ◇ ◆ ◇
「烏間先生、ちょっと怖いけどカッコイイよねー」
「ねー!ナイフ当てたらよしよししてくれんのかな〜」
体育が終わり、校舎に戻る途中。皆、それぞれ思うことを口に出していた。
「烏間先生…ひょっとして私から生徒の人気を奪う気でしょう…」
「ふざけるな」
そういえば、と磯貝が告げる。
「カッコイイっていえば、ミナトもすごかったよな!烏間先生と、結構張り合ってたし!」
「勘弁してくれユウマ…。あの人全然本気じゃなかったっての。」
「ねー!ミっちースゴかった!カッコよかったよ〜!」
「お、おぅ…サンキュなヒナノ」
「あっれ〜?まさか、18歳の大学生さんが、中学生に照れちゃってるの?」
そうからかってくるのは、E組17番。中村莉桜だ。
「うるせぇリオ!年上をからかうんじゃありません!」
「今は身体は中学生だから関係ないのよ〜?」
「………!」
そんな無駄話をしてると、渚がなにかに気づく。
校舎の前に、誰かいる。
「カルマ君…帰ってきたんだ…」
「よー渚くん。久しぶり」
そこには、赤髪で黒のカーディガンを着て、紙パックのジュースを飲んでるここの生徒らしき人物がいた。
「わ、あれが例の殺せんせー?すっげ本トにタコみたいだ」
「…!…赤羽業君…ですね。今日が停学明けと聞いてました」
殺せんせーが顔を赤くし、バツの模様を顔に作り注意する。
「初日から遅刻はいけませんねぇ」
「あはは…生活リズム戻らなくて…」
そう言って、カルマ、と呼ばれた生徒は殺せんせーに手を差し出す。
「下の名前で気安く呼んでよ。とりあえずよろしく先生!」
感じのいい生徒だな…。まぁ、見た目は完全にヤンキーだけど。
人は外見によらないとは、このことかもしれない。
殺せんせーもそう思ったらしく、笑顔で握手に応じた。
「こちらこそ。楽しい1年にして行きましょう」
と。カルマの手を握ったその時。
ドロォ!と、殺せんせーの触手がいきなり溶けた。
「!?」
その隙を見逃さず、カルマは服の袖から対先生用ナイフを取り出し、刺そうとする。
しかし、行動が遅かった。
殺せんせーはカルマから遠く離れ、失った触手を眺め、冷や汗をかいていた。
「……へー、本トに速いし、本トに効くんだ対先生ナイフ。細かく切って貼っつけてみたんだけど」
シュウウウ、と殺せんせーの触手が再生を始める。カルマは、気にせず殺せんせーに近づく。
「けどさぁ先生、こんな単純な『手』に引っかかるとか…。しかも、そんなとこまで飛び退くなんてビビりすぎじゃね?」
ザッザッ、とカルマはどんどん殺せんせーに近づいていく。
「殺せないから『殺せんせー』って聞いてたけど…」
カルマは下から殺せんせーをのぞき込むようにして、こう言う。
「あッれェ。せんせーひょっとしてチョロイひと?」
前言撤回。殺せんせーに初めてダメージを与えた、停学明けの問題児は、見た目通りのクソ野郎でした。