暗殺教室Another〜大海の様な暗殺者〜   作:コユキ@0324

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カルマの時間①

 

ブ二ョンッ。ブニョンッ。ブニョンッ。

 

5限目の体育が終わり、6限目。

6限目は小テストで、みんなが頑張って解いている。のだが…。

 

 

「さっきから何やってんだ殺せんせー?」

 

「さぁ?」

 

「壁パン、じゃない?」

 

「あぁ…さっきカルマにおちょくられてムカついてるのか…」

 

「触手が柔らかいから壁にダメージが行ってないな…」

 

ブニョンッ。ブニョンッ。と、殺せんせーは触手で壁を殴っている。そんなにおちょくられたのがムカついたのだろうか。

まぁ、初めてダメージを与えられた。ということもあるのだろう。

それにしても……。

 

「ブニョンブニョンうるさいよ殺せんせー!小テスト中なんだから!」

 

「こ、これは失礼!!」

 

一方でカルマはというと、寺坂達悪ガキ3人組に、見事に絡まれていた。

 

「よォカルマァ。あのバケモン怒らせてどーなっても知らねーぞー」

 

「……」

 

「またおうちにこもってた方がいいんじゃなーい?」

 

「殺されかけたら怒るのは当たり前じゃん。寺坂。しくじってちびっちゃった誰かの時と違ってさ」

 

「な!ちびってねぇよ!テメ、ケンカ売ってんのか!!」

 

カルマは、寺坂達のおちょくりにも冷静に、なおかつバカにするような物言いで返した。

 

「こら、そこ!テスト中に大きな音立てない!!」

 

(((自分の触手に言ってくれ…)))

 

「ごめんごめん殺せんせー。俺もう終わったからさ、ジェラート食って静かにしてるわ」

 

と言い、どこからともなく取り出したジェラートを咥え、舐め始めた。

 

「ダメですよ授業中にそんなもの…。全くどこで買ってきて…!」

 

驚いたような顔をして、殺せんせーは叫ぶ。

 

「そっ、それは昨日先生がイタリア行って買ったヤツ!!」

 

(((((お前のかよ!!)))))

 

「あっごめーん。教員室で冷やしてあったからさぁ」

 

「ごめんじゃ済みません!溶けないように苦労して寒い成層圏を飛んできたのに!」

 

「へー……で、どーすんの?殴る?」

 

「殴りません!!残りを先生が舐めるだけです!!」

 

そんな情けないことを自信満々に言うなよ…。なんだか、こっちまで情けなくなってくる…。

 

と、殺せんせーがカルマに近づこうとした時。

 

バチュ!!ドロォ…。

 

殺せんせーは気が付かなかった。床に対先生用BB弾が散りばめられていることに。

 

「あっはーーまァーた引っかかった」

 

パンッ!パンッ!パンッ!

 

カルマがポケットから取り出したエアガンを放つ。しかし、殺せんせーは動揺しながらもしっかりとかわす。

 

「何度でもこういう手使うよ。授業のジャマとか関係ないし。それがイヤなら…俺でも俺の親でも殺せばいい」

 

「……」

 

でも、とカルマはジェラートを殺せんせーの服に押し付け、続ける。

 

「その瞬間から、もう誰もあんたを先生とは見てくれない。ただの人殺しのモンスターさ。」

 

ニヤリ、と笑いながらカルマは言う。

 

「あんたという『先生』は……俺に殺されたことになる」

 

…………なんて子だ。頭の回転が早すぎる。

 

「はいテスト。多分全問正解。」

 

パサっと、カルマは殺せんせーにテストを投げつける。

 

「じゃね『先生』〜。明日も遊ぼうね〜!」

 

と言い、教室を出る。……えっ、終わったら帰ってていいの?俺も終わったんだけど…。まぁ、ほとんど空欄だけど!

 

少し気になったので、渚に聞いてみることにする。

 

「なぁナギサ。あの、赤羽業ってどんなやつなんだ?」

 

「…うん。1年2年が同じクラスだったんだけど、2年の時続けざまに暴力沙汰で停学食らって…このE組にはそういう生徒も落とされるんだ」

 

なるほど。マジで見た目通りのヤンキーだったのか。

 

「でも、今この場じゃ優等生(・・・)かもしれない…」

 

「……どういうことだ?」

 

「凶器とか騙し討ちとかの『基礎』なら、カルマ君は群を抜いている。彼は、頭の回転がスゴく早いんだ」

 

「なるほど…」

 

「今だってそうだよ。先生が先生であるためには越えられない一線があるのを見抜いた上で、殺せんせーにギリギリの駆け引きを仕掛けてる」

 

けど、と渚は続ける。

 

「カルマ君は本質を見通す頭の良さと、どんなものでも扱いこなす器用さを、人とぶつかるために使ってしまうんだ…」

 

また、中々に複雑な生徒だな…。昔、なにか人に失望するようなことがあったのだろうか。

 

まぁ、このままあのタコ助が約束に反してこの教室を抜け出してもアレだ。俺は、この不良生徒をどうするか、残りのテスト中ずっと考えていた。

 

え?テスト?もちろん赤点でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キィィィィィィィィィィィィン!!

 

太平洋のはるか上空を、黄色い光が駆け抜ける。

 

「まったく…彼のせいでジェラートの買い直しだ。」

 

音速を纏い、世界を横断する超生物は、飛行している中でそう言った。

 

「頭が良く、手ごわい生徒だが、彼の言う通り教師を続けるためには…殺すことも傷つける事も許されない」

 

ニヤリ、と超生物が笑った気がした。

 

「………さぁて、どう片付けてやりますかねぇ」

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

「じゃーなー渚!ミナト!」

 

「うん。また明日」

 

「んじゃーなー」

 

帰り道。教室を出た俺達は、各々下校し、駅組と地元組に別れた。

俺は地元組だが、このあと電車に乗り、向かいたい場所があるので、今日は駅にいる。

 

「……おい、渚だぜ」

 

駅で電車を待ってる間、そんな声が聞こえた。

 

「なんかすっかりE組に馴染んでんだけど」

 

「だっせぇ。ありゃもぉ俺等のクラスに戻ってこねーな」

 

あれは……、本校舎の奴らだろうか。

あきらさまに渚をバカにした物言い。腹が立った俺は、そいつらに一言言ってやろうと口を開いた。

 

「おいテメェら…」

 

「大丈夫。僕は大丈夫だからミナト。何もしないで…」

 

「……けど、ナギサ」

 

「大丈夫だから!」

 

この学校では、E組の立場は圧倒的に弱い。

俺がここで歯向かったら、何か問題になると思ったんだろうか。

渚は俺を、必死に止めていた。

 

しかし、本校舎の奴らは口を止めずに、嘲笑と共に、馬鹿にしてくる。

 

「しかもよ、停学明けの赤羽までE組復帰らしいぞ?」

 

「うっわ最悪。マジ死んでもE組落ちたくねーわ」

 

腹立つなぁコイツら…。と、その時。

 

ガシャァァァァァン!!!

 

いつの間にかいたカルマが、コーラのガラスの瓶を2人組の近くの壁にぶつけ、威圧を放った。

 

「へぇ、死んでも嫌なんだ」

 

なら、とカルマは笑みを作り、言う。

 

「今、死ぬ?」

 

「「ひぃぃぃぃ!!」」

 

本校舎の2人組はビビりながら、走り去っていた。

 

「馬鹿だねー殺るわけないじゃん」

 

「………カルマ君」

 

「ずっといい玩具(オモチャ)があるのに、また停学とかなるヒマないし」

「危ねぇことするなぁお前。ガラスの破片とか刺さったらどうすんだ」

 

「おっ!アンタが噂の転校生?元・大学生なんだって?」

 

「ん?まぁな。なんかその言い方だと俺が退学になったみたいに聞こえるけどな」

 

「ははっそんなふうに言った覚えはないよ。まぁ、1年間よろしくね。えぇっと、ミナト?」

 

「あぁ、下の名前でいいぞ。俺もカルマって呼ぶし」

 

こう話してると、ただの感じのいいヤツなんだけどなぁ。標的にしかあのネジ曲がった本性は表さないのだろうか。

 

「うん!よろしく。でさぁ、渚くん聞きたいことあるんだけど」

 

「?」

 

「渚くん。殺せんせーの事ちょっと詳しいって?」

 

「……う、うん。まぁちょっと」

 

「あの先生さぁ、タコとか言ったら怒るかな?」

 

「…タコ?うーーん、むしろ逆かな」

 

「逆?」

 

「うん。自画像タコだし、ゲームの自機もタコらしいし、先生にとってちょっとしたトレードマークらしいよ?」

 

「俺なんて呼び方『タコ助』だからな。その場合、『殺せんせーって呼びなさい!』って怒るけどな…」

 

「ふーーん。……そ〜だ。くだらねー事考えた」

 

ニヤリ、とカルマが楽しそうに笑う。コイツは、イタズラを考えてる時の顔が人一倍輝いてるな…。

 

「……カルマ君。次は何企んでんの?」

 

「あんまあのタコおちょくんのは止めとけ。キレたら何すっかわかんねぇぞ」

 

「……俺さぁ、嬉しいんだ」

 

「嬉しい?」

 

「うん。ただのモンスターならどうしようかと思ってたけど、案外ちゃんとした先生で、ちゃんとした先生を殺せるなんてさ。」

 

パァァン。と電車が来る音がする。

ガタンゴトン!ガタンゴトン!

 

「前の先生は自分で勝手に死んじゃったから」

 

………どういうことだ?自殺でもしたのか?

 

 

 

それから、その事を突き止めようとしても、ぬらりくらりかわされ、結局真実を知ることは無かった。

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

翌日。

 

 

「………計算外です。ジェラートを買う金がないとは…」

 

「給料日まで収入のアテもなし。自炊するしかありませんねぇ」

 

そして、殺せんせーが教室に入ってくる。

 

ガラッ!

 

「おはようございます」

 

「…………」

 

「……」

クラスの雰囲気を不審に思った殺せんせーが、皆に尋ねる。

 

「……ん?どうしましたか皆さん?」

 

そして、皆の視線の先を見ると…

 

教卓に、頭をナイフで刺された、タコの姿があった(・・・・・・・・)

 

「あ、ごっめーん!」

そんなカルマの声が聞こえる。

 

「殺せんせーと間違えて殺しちゃったぁ。捨てとくから持ってきてよ」

 

「…………わかりました」

 

カルマのヤツ…。心から殺してやるとか思ってるのか?流石に、悪ふざけが過ぎる。

しかし、俺達はこの悪趣味な現場を見ても、何も言えなかった。

 

何故ってこの方法は、立派な暗殺なのだから。

俺達に『この方法はないだろう』と、意見をする権利はない。それほどまでに、暗殺を知ってはいない。

 

だから、何も言えない。それが、俺にはとても胸糞悪くて、吐きそうなくらい嫌だった。

 

殺せんせーは、タコをカルマの近くに持っていく。と、その時。

 

殺せんせーの触手が、突然ドリルのようなものに変わった。

 

「!?」

 

そして、どこからか持ってきたミサイルを持ち、こう言い放つ。

 

「見せてあげましょうカルマ君。このドリル触手の威力と、自衛隊から奪っておいたミサイルの火力を」

 

カルマが冷や汗をかいている。だから言ったんだ。あんまおちょくるのは止めておけ、と。

殺せんせーはキレているのだろうか。そのドリルとミサイルで、何をしようというのだろうか。

 

とりあえず俺は、カルマを庇うため、カルマの席の方に動き出した。

 

「先生は、暗殺者を決して無事では(・・・・)帰さない」

 

ヤバい。アイツ…殺る気か!?

 

ゴォォォォ!!!!

 

ヒュッ!!

 

何かが、飛んだ気がした。

 

 

 

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