俺はMUGENの可能性 作:轟く雷鳴のギース
ハイパー・ボッ!
「皆さん落ち着いてください!既に多数のヒーロー達が事件解決に動いていますので!」
俺と塩崎さんは二手に分かれて市民誘導を開始した
「塩崎さん、そっちはどう?」
『少しばかり皆様戸惑ってはいますが無事に誘導も終わりそうです』
俺はもしもの時に、と言われて持っていた通信機を使って塩崎さんの状況を確認する
「こっちもそんなもんだ。ここはまだ街から比較的ハズレの部分に当たるから被害は大きくないみたいだな。塩崎さんこの辺一帯の誘導任せてもいいかな、俺は街中の方に向かいたいんだけど」
『えぇ。私の方は大丈夫です、ご心配なさらず行ってください。こちらは私が誘導致します』
被害の少ない所より被害の大きいところのほうが困っている市民は多いはずだ
塩崎さんの個性は防衛力に長けていて盾になる
逆に俺は防衛するよりも突破する方が得意な矛だ
テロリストがいる場所に向かうのは俺でいい
塩崎さんには安全な場所を作ってもらう
「ok。んじゃ俺はこっちの方に市民を誘導するから後はよろしく!」
最後にそう告げてから通信を切った
「さっきちらっと見えた姿が見間違いであることを祈るぞ」
羽を生やした脳みそ剥き出しの黒い影
もしもこれが見間違いではなければ犯人はほぼ確実に死柄木だ
だが何故今こんな騒ぎを起こす?
何かしらのメリットがなければあいつは動くことはしない
勝ち目のある試合しか戦おうとしない死柄木がなんの考えもなくこんな事件を起こすはずが無い
となればこの騒ぎには何かしら裏があるということがわかる
それが何かはわからないがわざわざヒーロー殺しで警戒が強まっている保須市を狙った事件だ
この間のようにオールマイトを狙った犯行では無いはずだ
「いや、まて。ヒーロー殺し?」
俺は立ち止まって考え直す
「死柄木達
何故この考えがすぐに浮かばなかったのだろうか
「このふたつが繋がっているのか?」
死柄木達が表立って暴れる
そしてそれによって出動したヒーロー達をヒーロー殺しが倒す
これ程効率よくヒーローを殺すことができる方法は無い
騒ぎを起こせば起こすほどヒーロー殺しの獲物がわんさか湧いてくるのだから
「可能性としちゃ捨てられない考えだ。くそ、どこかにプロのヒーローはいないか!?」
学内ならともかく市街地で自分の個性を使用するのは禁止されている
シンリンカムイさんから特例で個性の使用を認められてはいるとは言っても使えばほぼ確実にシンリンカムイさんに迷惑がかかる
その時だった
俺の携帯に緑谷からメールが届いたのだ
「あ?なんだこの位置情報…」
はじめは悪戯かと思って無視しようと携帯を閉じてポケットにしまおうとした
しかし緑谷が無意味にこんな悪戯を行うようなやつだとは思えない
しかもそのメールは俺だけに当てたメールではなく俺たちA組みんなに向けた一斉送信のメールだ
確実にその場所に何かがあるということを伝えようとしているし俺の位置からその場所は結構近い
「あぁもう!なにが起きてるのかわからんが仕方ない」
完全に事態においていかれているが俺は緑谷の示す場所に向かって走り出した
☆☆☆
「あっこか!」
緑谷の示した位置はあそこの細道に入ったところだ
俺はそこに入った瞬間本能的に構えを取っていた
「なん…だよ…」
そこに広がっていた光景は血だらけになって倒れているヒーローと独特のコスチュームを身にまとった飯田、そして倒れている緑谷と血を流している轟だった
「ハァ…また餓鬼か…」
裏路地の奥から憎しみの籠った声が響き渡る
手にナイフを持った男の姿が露わになる
「おい…緑谷。まさかとは思うが…」
「うん。あれが…『ヒーロー殺し』だ」
ふざけんな!
なんでこんな所に俺呼んでんだよ!
プロのヒーローに通報しろよ!
「くそったれが。こんな光景見せられて逃げるなんて選択肢選べるわけもないだろ」
俺は覚悟を決めて血を流す轟の横に並び立つ
「さがってろ。お前は後ろから支援してくれるだけでいい」
「悪い…。だがあいつに血を見せるな」
「あ?」
どういうことだ?
「あいつの個性は血液を相手の血を口から摂取することによって対象の動きを封じるものだ。そして奴はそれを利用した最善の戦い方を行ってくる」
うん、相性悪いね
オワタ式かよ
ゴンザで永遠前転しといてやろうか
無敵ック永久とかしてやろうか
体育祭と違って自重なしでいいからな
スタン系の状態異常をしてくる相手に手を出させたらマズイからな
「めんっどくせぇ個性してんなぁ。だからこいつらみんなぶっ倒れてるんか」
「そういうことだ。もう少しでプロのヒーローの応援がくる。それまでこの場を維持さえできればなんとかなる」
あ、轟はちゃんと応援出してたのか
しかしいつまでスタン状態が続くのかもわからん以上獲物が転がってるのと同じようなもんだ
応援を待ってちゃ全滅させられる可能性もある
「なぁ轟」
「なんだ?」
俺は後ろに立つ轟に笑いながら声をかける
「別に…ここで倒してしまっても構わんのだろう?」
「ふん、やれるならやればいい。だがそんな余裕は全くねぇぞ」
轟に言われてヒーロー殺しを確認する
彼の手にはナイフが握られている
そしてヒーロー殺しは足に力をためるとこっちに向かって飛び出してきた