俺はMUGENの可能性   作:轟く雷鳴のギース

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つまんなーい






後日談


32話

〜〜一夜明けた保須総合病院〜〜

 

 

とある病室には4人の姿があった

 

「冷静に考えると凄いことしちゃったね…」

 

ふと思い出したように1人がそう呟く

その言葉の主は緑谷だ

 

「そうだな…」

 

緑谷の言葉を肯定する他の3人

あの場にいた俺と轟と飯田である

 

「あんな最後を見せられたらさ。今生きてるのが奇跡だって…思っちゃうよね」

 

緑谷の言葉は実際その通りであの戦いを生きて今ここにいることは奇跡に近い

 

「僕の脚、これ殺そうとすれば殺せたと思う」

 

「あぁ。俺たちはあからさまに生かされた」

 

轟の言葉

確かにそれは事実であるが正しくはなかった

 

「いや、少なくとも俺と飯田に関しては奴は本気で殺しに来てた。それに最後のあれ見たろ?あれは殺す者と殺さない者を明確に自分の中で区別してた。奴の言ってた本物のヒーローってヤツに近い者とそうじゃない者の二つにだ。そこに俺と飯田は当てはまることはなく逆に緑谷と轟は当てはまっていた。だからお前達には奴は殺す為でなく無力化させる為に個性を使ってた。だろ?」

 

俺はあの時に感じた事を皆に伝える

 

 

 

 

 

 

『俺を殺していいのは本物の英雄(オールマイト)だけだ!!』

 

 

 

 

 

ヒーロー殺しことステインの最後の言葉を思い出す

奴がエンデヴァーを見た瞬間にその身に秘めた全ての殺意と想いをぶちまけたその言葉

今回の事件には箝口令が出されるらしいが今のご時世インターネットというもののせいで一気に彼の最後は伝染する

ヒーロー殺しが捕まったということで安堵する者

逆にそのヒーロー殺しに恐怖する者

恐怖という感情は人間が持ちうる最大の防衛本能だ

だからそこを刺激され護るために動くということは構わない

しかしだ、世の中皆がそう感じ取るだけではない

もしかすると今回のヒーロー殺しに感化されて余計に犯罪を犯す者などが現れてもおかしくないのだ

この後者が現れる可能性が絶対にない、とは言いきれない

むしろこの可能性は高いといった方がいいだろう

今まで世間に見えないところで燻っていた奴らを煽るいいきっかけになったのだから

ましてやあの場に脳無がいた事からあの死柄木達と少なからず繋がりがある事が容易に想像できる

容易に想像できるからこそ、そこにヒーロー殺しが居たというその事実によって他の(ヴィラン)が集まっていく

まさに(ヴィラン)連合だ

 

などと俺が今後の事を考えていたらガラガラ!っと病室の扉が開いた

そこには飯田の研修先のマニュアルヒーローや緑谷の研修先のグラントリノそして俺の研修先のシンリンカムイさんがいた

そしてその3人の後ろには大きな体をした犬の頭の…人間?が立っていた

 

「保須警察署署長の面構犬嗣さんだ」

 

警察署長…

あっきらかにいい要件でここにきたわけじゃなさそうだ

わざわざここに署長というど偉い役職の人が来てるんだ

絶対になにか裏がある

 

「君たちがヒーロー殺しを仕留めた雄英生徒だワンね」

 

すると面構さんは俺たちを確認すると話し始めた

 

「ヒーロー殺しだが、現在は火傷に骨折となかなかの重傷だったために治療中だワン」

 

俺のゴリ条さんのフルパワーのパンチラッシュと轟の炎の個性のせいだろうな

ちょっと待てよ?わざわざそのことを俺たちに伝えるっていうことはもしかしてまさか…

やべぇな俺は一応口実はあるけどこいつらにはそれがねぇ…

 

「超常黎明期。警察は統率と規格を重要視し『個性』を『武』に用いない事とした。その代わりに『ヒーロー』というその『穴』を埋める役職を作り上げたワン。個人の武力行為。個性には容易に人を殺めることができる力も存在するワン。そのような力が公に認めれられ糾弾されていないのは先人たちがモラルやルールをしっかりと遵守してきたからだワン」

 

やはり…か…

いくらヒーロー殺しを捕まえたという功績があったとしてもそれはヒーローが捕まえたんじゃなくまだ免許も持っていない俺たち生徒。即ちただの一般人だ

一般人が他者に個性を使って危害を加える事、それは完全な規則違反になる

 

「嶽君を除いた君たち3名及びませプロヒーロー。エンデヴァー、マニュアル、グラントリノ。この6名には厳正な処分が下されなければならない」

 

あ、ここで俺が除外されてるのはシンリンカムイさんのおかげっぽい

 

「まってくださいよ」

 

ここまで聞いた轟がぐいっと前に出る

まぁガツンと言いたい気持ちはわかるけどよ…

 

「飯田が動かなかったらネイティヴさんが殺されていた。緑谷が動かなかったら二人が殺されていた。嶽が来なかったら俺たちが殺されていた。誰もヒーロー殺しの出現に気づいていなかったのに。規則を守ってこの人たちを見殺しにしていればよかったとでもいうのか!?」

 

うーわ、超怒ってらっしゃる

他人がキレてるところ見ると無性に自分って冷静になれるよね

うん、俺今がそうだもん

 

「人を!助けるのがヒーローの仕事だろ!!」

 

おお、かっこいい

今後俺も機会があったら使ってみてぇセリフだなそれ

 

「まぁ待ちなさい。先に述べた事が警察としての意見だワン。更に言えば処分云々は公表『してしまった』場合だワン。公表すれば世論は君たちを褒め称えるだろうが我々警察は君達を規則違反として処罰を与えなければならない。が、汚い話になるが公表『しなかった』場合、恐らく轟君の個性によって与えられたであろう火傷の跡からエンデヴァーを功労者として擁立させる事が可能だワン。幸い他のヒーロー達が市民を誘導してあの場から離してくれていたおかげで目撃者は限られている。今回の君たちの違反はここで握りつぶすことができるんだワン」

 

あ〜、そういうことか

だから警察署長ね

確かにこんな話警察署長クラスじゃねぇとできねぇわ

 

「俺はそれでいいけど。というか初めから俺は処罰対象じゃないっぽいし」

 

「そうだ。面構さん。どうして今回の一件で嶽君は処罰対象から除外されてるんですか?」

 

ま、その理由は初めからそうって知らなかったら想像するなんて無理だわな

 

「そこはわたしが説明しよう」

 

すると後ろに控えていたシンリンカムイが緑谷の疑問に答えるように前に出てくる

 

「今回の事件。最悪の場合を想定しわたしは予め嶽君に『市民に危害を及ぼすような因子が現れた場合のみ』という限定的な条件下で個性使用を許可した。といってもわたし自身逃げ遅れた市民を助けるために使ってくれ、という意味だったのだがヒーロー殺しもまた『市民に危害を及ぼす因子』に足りうる存在だ。よってプロヒーローであるわたしが個性使用を許可した事となった為処罰対象から外されたという事になるわけだ」

 

うんうん、そりゃあまさかだよなぁ

救助の為に個性を使えって言ったのに蓋を開けたらヒーロー殺し捕まえる為に個性使ってるんだもん

 

「そういう事だから処罰対象から嶽君は除外されたわけだワン。だが処罰はされないだけで我々から厳重な注意を受ける事にはなるんだワンがね」

 

まぁそうでしょうねぇ

普通に考えてそうなるよ

いくら口でシンリンカムイさんが許可出したって言っても国が認めたわけじゃないからな

あくまで緊急時だったからって理由が一番でかいだろうな

これがなかったら俺も処罰対象に入ってただろう

 

「我々大人のズルのせいで本来君たちが受けていたであろう賞賛の声は消えて無くなってしまうが…せめ共に平和を守る人間としてこれだけは言わせて欲しい」

 

そして面構さんは深々と頭をさげる

 

 

 

 

「ありがとう」

 

 

 

 

誠心誠意心のこもったその言葉を受けた俺たちはお互いの顔を見合わせることしかできなかった

俺にとって思わぬ形で巻き込まれる事になった路地裏での命をかけた本当の死闘

それは誰にも知られることなくこうして静か幕をおろしたのだった

 

 





9巻発売のため止めていた連載を再開します
今後も単行本を追い抜かない程度に連載を続けていく予定であります
失踪するつもりはありません
気長に待っていただけると幸いです


序盤に疾走したツケがここになって現れるとは思いませんでしたぜぃ…
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