俺はMUGENの可能性 作:轟く雷鳴のギース
どうやら聞きたいらしいな…
後日談その2
「大丈夫そうで良かったです」
同じ職場で体験実習をしていた塩崎さんが検査入院から帰ってきた俺に安堵した表情で話しかけてくる
あの騒ぎの途中で突然俺と連絡出来なくなって心配していたようだ
「まさかあのヒーロー殺しさんと戦っていたなんて想像もできませんでした」
「心配かけてごめんよ。俺もどっちかと言えば巻き込まれた側の人間なんだけどよ、ちと軽率すぎたわ」
俺は素直に塩崎さんに謝る
そりゃ心配かけたら謝るのが常識だろう
それが塩崎さんみたいな女の子が相手なら尚更だ
「まぁ後でシンリンカムイさんにもいろいろ言われたからなぁ。まずは大人を頼れって。俺らみたいな子供が命をかけた戦いをするにはまだ早いってさ」
俺はその時のことを思い出す
それは面構さんとの秘密の話が終わってから個別にシンリンカムイさんに呼び出された時だった
「そうですか。なら大丈夫ですね。嶽さんって放っておけばどこまでも突き抜けていくようなイメージがありますので…」
うわぁよく見てるなこの子…
シンリンカムイさんの言葉の通りじゃないか
『君は抑えるものがあればそれを跳ね除け突き抜けようとする傾向がある』
あの時、俺を呼び出したシンリンカムイさんは怒るわけでもなく諭すように俺にそう話しかけてきた
『その姿勢がダメだとは悪いとは言わない。だがその姿勢が良いとも言うことはできない。どんな壁でも必ず乗り越える、これはとてもいい言葉に聞こえるだろう。しかし壁を乗り越える為に君は君自身を犠牲にしてはいないか?』
シンリンカムイさんは俺と目をしっかりと合わせたまま話を続けていく
それを俺は黙って聞いていくことしかできなかった
何故ならシンリンカムイさんの言葉は全て事実で前にオールマイトに言われた事とかぶってしまったからだ
『自己犠牲。この世でこれ以上に愚かな行為は存在しない。君の今回の行動ははたから見れば勇気ある行動に見えるだろう。しかし轟くんや緑谷くん、飯田くんの3人からどのような状況だったかを聞いた時彼らは揃ってこう言ったよ。《君が1人で戦った》とね』
唇を噛み締めながら俺はおもわず視線を落とした
まだ数日しか俺と付き合っていないにも関わらずシンリンカムイさんはオールマイトが俺に指摘してやめろといったことを指摘しているのだ
それはつまりあの時からあの体育祭の時からなに1つ俺が成長していないことを意味していた
『君が傷つくことで悲しむ人もいるということを忘れてはならない。今日はここには来ていないが塩崎くんもすごく心配していたぞ』
『……わかり…ました。すいませんでした』
『気にやむことはない。別に私は怒っている訳ではない。ただもっと自分を大事にしなさい。あのヒーロー殺しと戦えるだけの実力は持っているんだ。もう少し自分の力を信じてやってもいいと思うぞ。常に高みを目指すことは大事だがそればかりでは張り詰めた糸がいつ切れるかわからないからな。それに君よりも先に生まれた大人達を頼りなさい。君よりも長く生きている人たちはその分生きるための知識を持っている、それを盗むのも立派な力になる』
と、最後に優しく俺の頭を叩いて笑うとシンリンカムイさんはパトロールがあるからといって帰って行ったのだった
「ま。あとは少ない日数しかないけど実習を頑張ろうか。ここで得られることはぜんぶ盗んでいかねぇと勿体ないからな」
「そうですね。頑張りましょう」
そんな会話が終わった時を見計らったように事務所の奥からシンリンカムイさんが現れる
「む、集まったな。それでは本日の業務を開始する」
そういって今日もシンリンカムイさんの事務所での実習が始まった
あれ?
MUGEN関係ねぇ…