俺はMUGENの可能性 作:轟く雷鳴のギース
戦いは数だよ、兄貴!
「エクトプラズムにこの子達をぶつけるとは随分と思い切ったことをするじゃないか」
僕たち以外の試験状況を監督役も兼任していたリカバリー・ガールが手元の資料と試験状況がモニタリングされた画面を見ながらそう呟いた
「やっぱりペアになる人同士でなにかしらの課題を持った先生が相手になってるんですよね?」
「そうさね。それじゃこの子達、嶽京と常闇踏影が持ってるエクトプラズムに対する課題とはなにかわかるかい?」
リカバリー・ガールは当てれるものなら当ててみな、とでも言うように僕に問いかけてくる
だから必死に二人の課題とエクトプラズムの個性を考えたがさっぱりわからない
「全然わからないです…」
「まず常闇踏影。この子は戦闘を自分の個性に任せっきりな傾向がある。得意の距離で戦うことができればこの子の個性は相性を除けばそうそう負けることはないかもしれない。けど相手は神出鬼没の個性の持ち主。得意の距離なんか知ったこっちゃないと近距離戦闘を強要してくる。本人の力量がそこまで高くないということがこの子の課題だよ。多分今頃そのことを痛感してるだろうさ」
体育祭
そこで僕らの危機を救ってくれた常闇君にそんな弱点?があるとは思わなかった
けど言われてみれば確かにそうだと納得できてしまう
確か嶽君と一対一で戦った時も
では嶽君はどうなんだろうか
そういう考えで課題を探ってみるがこれまたわからない
遠距離でも騎馬戦の時のようにビームを飛ばせばいいし近距離なんかまともにやりあったら絶対に勝てないくらいに強い
「ヒントは数だよ」
リカバリー・ガールが僕にそう告げる
「この子の戦い方は全部一対一で戦うことを想定とした戦い方なのさ。イレイザー・ヘッドのように一対多の戦い方をしていない。恐らくできないんだろうね。君はあの子の個性がどんなものか聞いているかい?」
嶽君の個性
確かあの時切島君が説明してくれた
「格ゲーのキャラや技を再現する個性…だったはずですけど」
「そうだね。私達があの子の個性が聞いている通りの個性だったらその通りだよ。ただ格ゲーとは普通一対一だろう?チーム戦とかいうものがあったりラウンドがあったりなんてゲームによってルールは違うけど基本一対二になることはほぼない。だからこの子はエクトプラズムの分身のような多数を相手にした戦い方がとれない。戦いは数だ、とは随分と的を射ている言葉だよ」
これまでの嶽君の戦いを思い返せばそれもそうかと理解ができた
ヒーロー殺しの時もUSJでの
今は攻撃してくるエクトプラズムの分身には反撃せず防御だけしてただひたすらに常闇君に近くに現れる分身だけを倒している
進行方向に現れる分身を常闇君が、その常闇君の弱点である近距離に現れる分身は嶽君が担当してその他の分身には目もくれずに本体であるエクトプラズムがいる場所に向かって走っていきついに本体が待つフロアに二人が躍り出た
「う〜む。確かにそれしか勝ち目がないとはいえ迂闊にエクトプラズムの前に姿を見せるとは勝負のタイミングを見誤ったかねぇ…」
リカバリー・ガールがこの子達はもう終わりだよ、と次の資料に目を通し始めた時だった
嶽君が常闇君を投げてエクトプラズムの必殺の超巨大分身に捕らわれるのを回避させたのだ
「ん〜。最後のチャンスを無駄にしたねぇ。まだ常闇踏影よりも嶽京の方が勝ち目があっただろうに…」
「あの、リカバリー・ガール。僕、この戦いを見ていたいんですけどいいですか?」
これまでの経験からして嶽君が無駄なことをするとは思えない
嶽君はこと戦いに関しては特に勝利に関してはかっちゃんと同じで凄く強欲で貪欲だ
どんな状況状態であろうと必ず勝ちに行く彼が常闇君を助けたということは常闇君に勝機を見出しているからではないか
そう考えた僕はこの戦いを見続けることを決めたのだ
「構わないけど私も一応監督役だからね。他の生徒の様子も見なきゃならない。そっちのモニターに映しておくからそこで見てるといい」
そう言って端っこのモニターに映像を映してくれた
僕はそれに映る光景を食い入るように見つめる
そこでは主に守備に徹してゲートを狙う常闇君とその考えを読んで立ちはだかるエクトプラズムの姿があった
「常闇君はゲートを超えることが狙い…?けど嶽君が常闇君を助けたということは常闇君がカフスを持ってるはず。ならなんでそれを狙わないんだ?」
ぶつぶつと唱えるように状況を整理していく
あの大きな分身で嶽君を捕らえている以上はそれほど多くの分身をエクトプラズムは出すことはできないとしたらどうなる?
僕なら自分の弱点である近距離に近寄る相手のみを倒して自分が戦いやすい盤面を作り出す
そうしないと格上を相手にして有利には戦えない
彼の考えがまだはっきりとわからない以上はなんとも言えない
「まさか…」
常闇君は嶽君が戻ってくることを信じて居るのか?
確かにこれまで嶽君は思いもよらない方法で状況を打破してきた
だけど今回は違う
あのエクトプラズムによって完全に捕縛されているんだ
どれほど格闘ゲームの再現ができると言っても流石にあそこから抜け出してくるとは考えにくい
「でも…そうとしか考えられない…」
そこで僕は他のカメラで嶽君が捕縛されている場所を確認する
そこに映っていたのは言葉を失う光景だった
「………なんで?」
ちくわ
その状況をわかりやすく一言で言うならばちくわが突き刺さっていた
どこからちくわが現れたとかわからないけど嶽君はそこに居らずあったのはちくわだけ
状況から考えられるのは嶽君がちくわを犠牲にして回避したという事だろうか
「エクトプラズムが抜け出していることに気付いていないわけがない。常闇君の攻撃といつくるかわからない嶽君の奇襲その両方を気にかけなくちゃいけないからエクトプラズムは攻めあぐねているのか…」
常闇君を制圧するだけならさっきみたいに大きな分身を出せばすぐにでも出来るはずだ
けどそれをしないのはそういうことなんだろう
嶽君の持つ瞬間的な爆発力は控えめに言っても凄まじい
それは体育祭で何度も見たしエクトプラズムも当然知ってる
「勝負は…一瞬…」
特に確信があったわけじゃない
けど嶽君の姿が現れた時が決着の時だという空気がモニター越しにでもそれがわかった
それには残りの制限時間も短いという理由も含まれていたかもしれない
「あ!」
そんな時だった
エクトプラズムの背後に嶽君が居たのだ
嶽君はそのままエクトプラズムに向かって走り出す
エクトプラズムも当然嶽君の存在には気付いており分身を出して迎撃する
しかしいつの間にか嶽君は手に槍のようなものを持っておりそれで思い切りエクトプラズムの分身を切り裂いて突き進んでいく
そしてエクトプラズムに肉薄してひょいっとエクトプラズムを投げたのだ
「勝った…」
思わず僕は呟いていた
何故それが確信を持って言えたのかはわからない
だけどこれまでの経験上嶽君が一度攻め手に回った時は負けるなんてことはほぼ無かった
嶽君が負けたのはすべてなにかしらの搦手で足元を掬われた時だ
だから僕は今からの嶽君の動きを必死になって頭に叩き込む
これから起こるであろう嶽君の動きを僕がコピーできるとは限らないけどそれを活かすことはできるはずだ
こと戦闘に関してはクラスでトップレベルの嶽君の本気の動きを観察できる機会はそうそうない
「蹴り…」
最初に行ったのはエクトプラズムを凄まじい勢いで蹴り飛ばしたことだ
エクトプラズムはその勢いのせいで壁にめり込んでいる
それを見ただけであの蹴りにどれだけの力が込められていたか察することができる
「…なんて動きだ…」
かなりのスピードで縦横無尽にエクトプラズムを槍で切り裂いていく
嶽君を糧にできればいいと思ってた
でも今の嶽君の動き、槍を手に相手に反撃させることもなく一方的に地を宙を駆けて攻撃をするなんて芸当いくら僕が
嶽君はそんなつもりはないだろうけどこんなにも差を見せつけられたと思うと悔しさが込み上げてくる
最後に嶽君は溜めた力を出し切るように飛び上がってエクトプラズムを地面に叩き落とす
その一撃によって動きが停止したエクトプラズムに常闇君が横からカフスをつける
これによって嶽君、常闇君の試験合格が決定したのだった
「おや、あの二人勝ったのかい。あんたもここにいるなら手伝いな。ベットを開けておくれ。どうせあの子またここに運ばれてくるんだから」
リカバリー・ガールがせっせと準備を開始する
すると少しして嶽君が運ばれてきた
「いやぁすんません、リカバリー・ガール。今回は色んなことしすぎたせいで体力が…」
嶽君は笑いながらリカバリー・ガールに事情を説明していると中にいた僕に気がついた
「お、緑谷か。お前も合格おめっとさん。俺エクトプラズムが相手だったじゃんか。超きつかったわ」
リカバリー・ガールの治癒の個性を受けながら僕にお疲れ様と声をかけてきた
僕も慌てて「嶽君もお疲れ様」と返す
突然のことだったのでキョドッてしまったがそれを嶽君は笑いながら流す
「あ、リカバリー・ガール。多分俺にエクトプラズムをぶつけたのって格ゲーの基本が一対一だからじゃないっすか?」
「なんだい気付いていたのかい。そうだよ。あんたの授業や体育祭での個性の使い方をデータ化した結果一対一を好む傾向があると出たからそうなったんだね」
甘いっすよ
と嶽君はリカバリー・ガールに告げる
「今回のテストで俺を苦しめたのは一対多ではなくチーム戦ってところです。流石に常闇が横にいるところで範囲の広い技やストライカーとかヘルパー占領とかできないですし…。だから接近戦で一気に勝負を決めに行ったんすよ。まぁエクトプラズムの脚が悪かったから一気に距離を詰められたってところもありましたけど」
相手になるのが相澤先生かオールマイトだったらかなりやばかったです、と嶽君は言った
「お、他のやつらの試験の様子じゃん。ってことは緑谷ここで俺らのやつ見てたんか。かっこよかったろ?俺の真紅の呂旗」
笑いながらそう言うと最後にありがとうございましたとだけリカバリー・ガールに伝えて部屋から出て行った
「ますますあの子の個性が不思議でならないねぇ。坊やの個性も大概だけどあの子の個性も充分ぶっ飛んでいるよ。いつ自分の肉体を滅ぼしてもおかしくない。今はまだある程度制限しているみたいだけどその制限を解除して全力で個性を使えばほぼ確実にあの子は体が滅びるよ。まぁその点に関しては坊やも同じだけどね」
リカバリー・ガールは少し不吉なことを言ってからその口を閉ざしたのだった
普通の格ゲー"は"一部例外を除いて基本は一対一です普通の格ゲー"は"
けどMUGENは普通じゃないんだよなぁ…
15漢ジョンスとかジェネラルズとか単純にキャラクターの数が頭おかしいくらい多いのからストライカーがえげつないモユーフィーやセリカなども居ますしアドラーや闇鍋ェノムみたいにヘルパー占領して何もさせなくするようなキャラもいるという
ほんと魔境ですわ…
一応報告をと…
現在構成自体は合宿で敵が攻めてくるところまではできています
が更新ペース自体はそれほど上げずに行こうと思っています
理由として私自身のテストが近いことと年度末に国家試験が控えていることです
そのため忘れた頃にやってくるみたいなことになるかもしれないですが気長に待っていただけると幸いです