俺はMUGENの可能性 作:轟く雷鳴のギース
パンパカパーン!!(癒し空間)
「ちっ!」
嶽京は強い
そんなことは最初っから分かってた
嶽は純粋な戦闘能力だけなら爆豪と並んでクラストップのレベルを持つ
現に今、無数の武具が切島の周りを取り囲んで絶え間無く飛翔し攻撃を繰り出している
しかもあの黄金の波紋から射出された武具を再び黄金の波紋で回収するなんて余裕すら嶽にはあるようだ
そんな嶽の余裕に反して切島は戦闘が始まってから一度も攻勢に出ることができなかった
「手も足も出ないか、雑種!!」
「…くっ!」
なんかテンション上がってるのか声高らかに嶽は笑い声をあげ、見下すようにその紅き眼で切島を見つめている
後ろでは緑谷と八百万がスイカバーの剣士と、飯田と轟がちっこい妖精と戦ってる
あいつらの中でも特に轟はあの妖精と相性が悪いようだ
妖精はどうも氷を操るみたいで轟が出す氷を悉くいなしてはカウンターのように攻撃を繰り出しつつ、轟がその氷を溶かそうと出された炎は妖精に届く前に掻き消えていた
逆に緑谷と八百万はまだ持ち堪えてはいる様子だがこちら側の攻撃がなに1つ通っていない
前に嶽が話していた特殊な耐性を持ったキャラというモノに当たるんだろう
八百万が色々試しているがダメージが通る素ぶりが見えないということはあいつらがダメージを与えることはほぼ不可能だろう
「また俺は…」
弱い、その事実がまた自分自身を苦しめる
嶽の言葉が正しいことは頭で理解してる
嶽が切島たちを止める理由もわかってる
だからそれを突っ撥ねてでも行動を起こせるような強さが欲しい
でもそんなもんが都合良く現れるわけじゃない
それでも奇跡ってのを起こすには俺が出来る事を最大限するしかない
諦めた者に奇跡なんてものは訪れないのだから
思わず溢れそうになった弱音を切島は呑み込む
「こうなったらヤケクソだぁぁ!!」
波紋から波紋に向けて武具が射出されるってことはその直線上から外れればいい
今の位置と波紋の位置、そして嶽の位置から考えて一番安全なルートを逆算する
そしてそれでも避けきれない攻撃は硬化の個性にモノを言わせての特攻する
側から見れば無策に相手に突っ込んでいくというその行動は切島の執念からなのかはわからないが思いもよらない結果を生んだ
「っ!?」
所謂アーマー状態で突っ込んできた切島の対処をしようとした嶽の動きが一瞬だけ止まった
そのお陰で生まれたほんの1秒に満たないような僅かな隙
しかし勝つことのみを求めた切島の本能はそれを見逃すことをしなかった
強く、固く握り締められた右の拳を嶽の顔面に向けて叩き込む
「はぁはぁ…」
渾身の一撃を放った切島は肩で息をしながら顔を上げて嶽を見やる
その一撃をモロに喰らった嶽はというと顔面パンチの勢いそのままに背中から地面に落ちる
勝ったのか?と思わず切島は呟く
自分よりも格上の存在である嶽に勝ったという事実を実感できなかったためだ
「……はっ!みんな大丈夫か!?」
そしてその事実を受け入れたと同時に後ろを振り返ると緑谷たちの相手をしていた2人も消失していた
どうやら嶽が戦闘不能になったことで消失したようだ
「お前の体の調子が悪かったからってものあるだろうが…行かせてもらうぞ、嶽」
地面に倒れたままの嶽はそのままの姿勢で小さく「あぁ、行けよ」とだけ答える
それっきり嶽は口を閉ざした
切島はその言葉を聞くと黙ったまま振り返り緑谷たちの元へと駆けていく
後に残ったのは地面に倒れた嶽の姿だけだった
☆☆☆
「なっさけね…」
思いもよらない特攻に怯んだ俺は咄嗟に乖離剣を取り出そうとした
しかし俺の手は乖離剣を掴むことはなかった
あの一瞬、宝物庫に手を入れようとした時、まるで全身を裂くような激痛が走ったのだ
個性発動が与える不明瞭な身体への影響が招いた結果だろう
その痛みのせいで切島に決定的な隙を与えてしまった
「あんだけ言ってこれ…体育祭の頃からなんも変わんねぇ。口先だけ」
ちょっとは成長したと思ってた
新しい戦い方も確立出来た
あの合宿を経て変わったのはそれだけ
ならさ、少しくらい変わってみるのもいいよな
「おい、聞こえてんだろ。俺は力が欲しい。あいつらを助けられる力が、お前らなら…できるだろ」
側には誰も居ない
だが俺の言葉は確かに誰かに向けてのもの
他人から見れば痛い子に見えるだろう
しかし俺の言葉は確かにあいつらに届いた
意識を引っ張られるような感覚と共に俺は再びあの空間へと誘われた
☆☆☆
俺が目を開けるとあの時の真っ暗な空間だった
前回のように俺の中にいるみんなが集合しているわけではないようだ
居たのは『やれやれ』といった感じでこちらを眺める白い影、
この感じ的にこの空間の主人的なポジションなんだろうか?
『流石の宿主も今のままじゃ満足に戦えないようだ』
するとこちらから話しかけるまでもなく向こうから話しかけてきた
「あぁ。今のままじゃまたいつあの痛みが襲ってくるかわかんねぇ。お前に弄られたおかげで幅が広がったけどそれだけじゃ俺は足りない…」
『いいや、あんたは戦える。俺たちはそれだけの力をあんたに与えているし、それだけの力を貰ってる。戦えないのはあんたがその力を使いこなせていないからだ。もっと周りに気を配れ。そしたら見えないものも自ずと見えてくる』
そして…とおろやんは続ける
『聞こえなかったものも聞こえてくる』
「どういう…意味だ?」
『今の宿主に俺から言えるのはここまでだ。後は…あんた次第ってところか。俺は構わないんだが他の奴らがな…。だからちゃんと力を示すことだ』
おろやんはそれだけ告げると『悪いね☆』と言って何処かに消え去った
生で本物の「悪いね☆」が聞けてちょっと感動した
てか力を示すってどういう意味だ?
「あれ?」
おかしい
その時俺は気付いた
前はおろやんが消えたと同時に現実世界に返されたわけだが今回はそうじゃない
未だに中の世界のままなのだ
「どうやって帰るんだ?」
などと考えていると「ざっ!」という足音が聞こえてきた
誰だと思って振り返るとそこに立って居たのは軍服を着、髪がツンツンしている1人の青年だった
その青年は【近接戦闘の鬼】や【格ゲー界最強の主人公】などと言われる軍人、アカツキ試製一號
アカツキはスッと半前屈立ちをすると空手の構えを取る
『来い!』
バチッ!という電気が弾ける音が響き渡る
「あぁ、力を示すってそういうこと…」
アカツキの行動から推測できるのは即ち…
「お前らに認めさせなきゃならんってことか」
俺は個性を発動する
しかし、なにも起こらない
個性自体はちゃんと発動しているが再現するためのキャラクターが存在しない
いや、正確に言えばおろやんがいるのだが今の俺の状態でおろやんを再現するのは限りなく不可能に近い
「いやいや!アカツキ相手に生身とか死にに行くようなもんだろ!?」
流石に無理だ!と俺はアカツキに目線を送る
しかしアカツキのキッ!っとした瞳はまっすぐに俺の眼を捉えていた
まるで『早く構えろ』という言葉が聞こえてくるようだ
だがそれでも尻込みしていた俺を見兼ねたのかアカツキが構えたまま口を開く
『今の貴様にオレ達を扱う資格はない!』
アカツキの言葉が俺の胸に突き刺さる
『貴様のような腑抜けに扱われるほどオレ達は腑抜けてはおらん』
するとアカツキの背後に大量の影が現れる
恐らくアカツキと同じ心境の奴らなんだろう
つまり今の俺はおろやん以外に反逆されているわけになる
「くっ、やれるかわからないが…やるしかないなら…」
保ってくれよ、俺の体…
俺はそのままおろやんを再現させる
瞬間、体に過去最高といえるほどの負荷がかかった
その負荷に耐え切れず倒れそうになるが俺は必死に耐える
「ぐっ…」
正直言って今にも吐きそうだし投げ出したい
でも仮に俺がそれをした時点でこいつらは俺を見限るだろう
あえておろやんを残したのは俺に覚悟があるか見極めるためなのかもしれない
「うぐぐぐ…」
痛い、重い、辛い
だけどそれがなんだ
これに耐えなきゃ俺は先には進めない
これを背負えるようにならなきゃあいつらも俺を認めやしない
その時だった
不意に頭の中に声が響き渡った
『それじゃ今までと変わらないわ』
どこかで聞いたような女の声
それが誰の声なのか思い出せないがとても大事なものだった気がする
『あの人に言われた事を思い出しなさい。答えはもう得ているはずよ』
と、助言をするとそれっきり女の声は聞こえてこなくなった
女の言ったあの人とは恐らくおろやんだと思う
そのおろやんの言葉で大事そうな事を思い返す
キーワードは「周りに気を配る」「見えないものが見える」「聞こえなかったものが聞こえる」
そして前回来た時に黒い影に示された「受け入れる」ということ
そこから導き出せてこの場をなんとかできそうな答えは恐らく…
「そういう…ことか…」
答えがこれなら確かに今まで俺がやって来たことはこいつらをバカにしてたな
まるで話を聞かない理不尽な上司みたいじゃねーか
「聞こえてるだろ?おろやん、俺はどうすればいい」
『なに、簡単な話だ。奴を斬刑に処す、それ以外に道はない』
スッと俺は慣れた手つきで、ごく自然な動きでナイフを手にする
俺の体を襲っていた負荷が一気に抜けていく
そしてアカツキに向けて腕を伸ばす
『お前も
『別に俺は宿主に不満があるわけじゃないんでね。それに、俺も
俺の口からおろやんが声を発する
今、俺の体はおろやんと俺の2人が共有している状態だ
『それに、あんたの身体は
俺の中にこれまで体感したことのない殺意が溢れ出る
雑念など一切混ざることのない純粋な殺意
ただ目の前のモノを殺す、それだけの意思が身体を駆け巡る
これが七夜が孕む殺意ってやつか…
ぶっちゃけその殺意に押し潰されて発狂しそうだがギリギリのところでおろやんが俺を繋ぎ止めている
『あぁ、脳髄が蕩けちまう程殺し合おうぜ!』
『構わん、貴様相手ならば手加減などせん!』
俺たちはバックステップでアカツキから距離を取る
アカツキ相手にマトモに近接戦なんて挑めやしない
『俺がやるのはこれっきりだ。あとは…自分で覚えろ』
俺におろやんはそう告げると手にしたナイフを投擲する
そのナイフをアカツキは払い落とそうと拳を振るう
だがアカツキはその時点で後手になっていた
おろやんはナイフを投擲した時には既に次の行動を起こしていた
『極死ーー』
ぐんっ!と跳び上がってアカツキの視界から消え去る
そしてそのままアカツキの頭を掴む
『ーー七夜!!』
ガラスが割れるような音が響くとともにおろやんはアカツキの首をへし折った
アカツキはそのまま崩れ落ちる
『これが、モノを殺すということだ』
おろやんは俺に示すように最後にそう呟く
おろやんが極死・七夜を行なった瞬間頭の中を色んなモノが駆け巡った
その全てを理解することは出来なかったがなにをしようとしたかという大まかな形ではわかったような気がする
それと同時にこれは俺がまだ手を出していい領域では決してない
でもそれを今この場で俺に見せたということは俺もいずれはアレを使えるようになるということだろう
『あとは、あんた次第だ。上手くやれよ?』
「おろやん、ありがとう」
そう中に戻って行くおろやんに俺は感謝の言葉をかける
それを聞いたおろやんは『ふっ』っと笑うと消えて行った
「よし」
そして俺は目の前で倒れているアカツキとその背後にいる影たちに向けて頭を下げる
「今までありがとう。だけどこれからも俺にはみんなの力が必要だ。負けない為にも俺はみんなの力を頼るしかない。だからもう一度俺に力を貸して欲しい」
今までは力のみを引き出してこいつらの本来の性能を引き出していなかった
オールマイトが言ってた個性の「真の意味」にはまだ辿り着けていないけど少なくともさっきやったキャラ本人を俺の体で再現させることも1つになってくるはずだ
それに一人一人に意思があるのもわかった
これはかなり大きな発見だ
「俺と、一緒に戦って欲しい」
その瞬間だった
今まで色がなく真っ黒だった影たちに色がさしたのだ
リュウや豪鬼、ルガールなどその影たちの正体は俺が中に入れていたキャラクターたち
その光景は思わず息を呑む光景であり、みんなの答えだった
示された答えを肌で実感する
俺にはこんなにたくさんの仲間がいると再認識出来たのだから
「ありがとう」
俺はもう一度頭を下げる
次に俺が頭を上げた時にはみんなはもう居なかった
切島との戦いはプリヤの子ギルがアンジェリカから宝具の掃射をバビロンで回収するシーンをイメージ
乖離剣を掴もうとして掴めなかったのは本家ギルガメッシュをイメージ
そして巻き起こる謎のおろやん回
七夜系列の厨二な感じが使ってみると意外と動かしやすい
今までの個性の使い方が技、キャラの性能のみ、を再現していたのに対し、今回解禁したのが本人を自身を媒体に再現させるもの
イメージ的にはシャーマンキングの憑依合体
アカツキ
アカツキ電光戦記に登場する主人公
近接戦闘の鬼と言われるほどの性能を誇っている
私自身このゲームをプレイしていないため詳しいことは語れないです