ハイスクールD×D 死を宿した人外   作:ゼルトナー

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 今回は戦闘回です。大変でした。ええ、本当に。

とりあえず、どうぞ。


Life.10 『禍の団』の集まり②

「オオオオオオオッ!!!」

 

 雄叫びのような声を上げながら魔獣の群れに突っ込んでいった。それに対抗するかのように魔獣達も雄叫びを上げながら走ってきた。

 

 魔獣達が走る度に軽い地鳴りが起き、俺の体を震わせた。体の震えと共に俺の心も期待で気が高まっていた。

 

 魔獣達の先頭には四足歩行型の魔獣がとてつもない速さで走ってきた。

 

 数はざっと見たところ三十体はいるな。後ろの魔獣達は先頭の魔獣ほど速くはないな。だったら先に先頭の魔獣達を倒してその後に後ろの魔獣達を倒すか。

 

 魔獣達とどう戦うか決めた俺は走る速度を上げて一気に魔獣との距離を詰めた。

 

 

 一番近くにいる魔獣に向かって飛び膝蹴りをぶちかました。膝蹴りは魔獣の顔面に直撃して顔がっ端微塵になった。

 

 地面に着地すると周りを四足歩行の魔獣が囲んでいた。

 

 仲間が一撃でやられたからなのか個別で戦うより集団で戦ったほうがいいと判断したんだろう。懸命な判断だ。

 

 そして同時に全ての四足歩行型の魔獣が逃げ道を塞いで襲いかかってきた。

 

 強靭な足を使って上空に飛び上がった魔獣が十五体、大地を駆けて襲い掛かろうとしているのが十四体もいる。

 

 魔獣は同時に襲いかかってきたかのように見えるが、一体だけタイミングの合っていないのがいる。そいつは俺の背後にいる魔獣だ。

 

 おそらく背後にいる魔獣は後ろから襲ったら確実に殺せると慢心したのだろう。他の魔獣と比べると襲いかかってきたタイミングが僅かにずれているんだ。

 

 集団による攻撃はひとつでもタイミングがずれると全体に影響を与えて攻撃に失敗する。音楽と同じだ。ドラム、ギター、ベースのどれかがずれると音程がずれて音楽じゃ無くなるのと同じだ。

 

 背後にいる魔獣に向かって西洋剣を降り下ろして脳天を二つに割った。一瞬の出来事に他の魔獣達は俺から意識を逸らしてしまい、全ての魔獣の攻撃するタイミングがずれていた。

 

 その隙を見逃さず一気に西洋剣で全ての魔獣を切り裂いた。俺を囲んでいた魔獣は全て絶命し、魔獣の血が俺の体に付着した。

 

 西洋剣に違和感を感じて見てみると刃が折れていた。仕方ないか。この剣を初めて使ってから三年近く経つんだ。今まで世話になった。

 

 そして折れた剣を空間にしまった。

 

 それから俺は目標を後ろにいた魔獣達に変えた。魔獣達に斬り掛かろうとすると俺を影が覆った。すぐに後ろに飛ぶとさっきまでいた場所が爆発した。

 

 爆発が起きた所にはヘラクレスと呼ばれる巨漢がいた。

 

「ハッハッハーッ!いいなぁ!アンタさっきの魔獣を一瞬で倒したなんてとんでもないなぁ!俺と勝負しろよぉ!」

 

 俺の返答を待つことなくヘラクレスは拳を突きだした。その拳を素手で受け止めようとしたが、さっき地面が爆発したのを思いだした。受け止める寸前に奴を蹴り飛ばして距離を取った。

 

 ヘラクレスは後ろに仰け反ったが、すぐに俺を叩きつけようと拳を降り下ろしてきた。その拳も回避することができたが、拳が地面に突き刺さるのと同時に爆発が起きた。

 

 やっぱりか!ヘラクレスの拳は物に触れたのと同時に爆発を起こすのか。ヘラクレスの攻撃に該当する神器は間違っていなければ『巨人の悪戯』(バリアント・デトネイション)

のはずだ。 

 

「ヘラクレスとか言ったな、その神器は『巨人の悪戯』(バリアント・デトネイション)なのか?」

 

 神器の名前を言うとヘラクレスは嬉しそうに笑いだした。

 

「そうだ、その通りだ!ほんの少しだけの攻撃でよく俺の神器が何か分かったな!嬉しいぜぇ、久しぶりに骨のある奴と戦えるってのは!!」

 

 ヘラクレスが拳を突きだしてくる度にその場が炸裂していた。こいつが拳を突きだす時に俺も拳を突きだして何度かカウンターを喰らわせていた。

 

 それでもヘラクレスは倒れることなく楽しそうに何度も拳を突きだしてきた。俺も負けまいと何度もカウンターをしたりして、こいつの拳と爆発を避けて体の至るところを殴っていた。

 

 ヘラクレスが楽しんでいるのも分かる。いつも俺の攻撃を受けた奴等は一発で死ぬか戦闘不能になるかのどちらかだった。だが、今目の前にいるヘラクレスは俺の攻撃を真っ正面から何度も受けているのに倒れる気配がしない。

 

 それが嬉しくて仕方ない。こんなに心踊る純粋な殴り合いはヴァーリ以来だ。この殴り合いが楽しくてたまらない。

 

 そして遂に俺の拳がヘラクレスの顎に直撃した。顎に拳を喰らったヘラクレスは後ろによろめきながら尻餅を着いた。

 

 顎に拳が当たったことにより脳が揺れたんだ。しばらくの間はバランス感覚を保てなくなるだろう。するとヘラクレスは尻餅を着きながら突然笑いだした。

 

「最高だぜ!俺とここまで殴り合えた奴はお前がはじめてだ!本っ当にいい気分だ!!さあ、もっと熱い殴り合いをしようや!!」

 

 ヘラクレスは足を小鹿のように震わせながらも立ち上がった。立ち上がると奴は自分の顔を殴った。

 

「ふう、落ち着いたぜ。さあ、お互い全力を出そうぜぇ!禁手化(バランス・ブレイク)ゥゥゥゥッ!!」

 

 ヘラクレスが叫ぶと、体が輝きだした。光がヘラクレスの体を肉厚のものに形成していった。

 

 光が収まるとそこには全身から無数のミサイルに似た突起物を生やしていた。

 

「これが俺の禁手(バランス・ブレイカー)ッ!!『超人による悪意の波動』(デトネイション・マイティ・コメット)だァァァッ!!!」

 

 禁手化(バランス・ブレイク)か。ヘラクレスが本気を出すんだったら俺も本気とまではいかないが、それに近い力を出そう。

 

 左手首に嵌め込んでいるブレスレットを外すと『死』が吹き出した。

 

「それがお前の全力かッ!いいオーラだッ!!」

 

 ヘラクレスが嬉しそうに笑いだした。それに釣られて俺も笑いだした。

 

 そしてお互いの距離を一気に詰めようとすると俺の横から炎の塊が飛んできた。

 

 炎の塊を左手で弾いた。炎の塊が飛んできた方向を見ると魔獣達が俺に向かって炎を吐いていた。

 

 それを咄嗟に回避した俺は炎を吐いた魔物に『死』の塊を投げつけた。濃度はそんなに濃くないが、あの魔獣を殺すには十分すぎる威力だ。

 

 魔獣が黒く染まり出してから数秒も経てないで黒く染まりきり体が崩れていった。俺は魔獣達に視線を向けると奴等はやる気満々だった。

 

 ・・・ふざけるなよ。俺はヘラクレスと心踊る戦いをしていたのに邪魔をするだと?ふざけるな!!もういい、こいつら全て今消してやる。

 

「ヘラクレス、すまないが今回は邪魔が入ったせいで興が冷めた。この続きはいずれしよう」

 

「ああ、今回ばかりは俺も同意見だ。こんなやつらに邪魔されたせいでやる気が失せちまった。俺はゲオルクの所に戻ってるから後はアンタに任せるぜ」

 

 ヘラクレスは禁手化を解除してからゲオルクの所に戻った。

 

 ヘラクレスが戻ったのを確認してから右手に『死』を溜め始めた。

 

 魔獣達は俺の『死』がまずいものだと分かったのか一斉に襲いかかろうとした。だがもう手遅れだ。

 

 右手は『死』で覆われていた。どす黒いオーラはまるで俺の心に反応しているかのように何時ものより黒くなっていた。

 

 魔獣達がすぐそこまで来たのを見計らい右手を魔獣達に向けた。

 

「死ね。ただ死ね。お前らのような創られた物は今すぐ死ね」

 

 そして右手に溜めていた『死』を魔獣達に向けて撃ち放った。それは十メートル位の魔獣ですら飲み込んでしまう程のものだった。

 

 『死』を辺りにいる魔獣全てに当てた。右手に溜めていた『死』を撃ちきると周りには黒く染まりきり体が崩れている魔獣しかいなかった。

 

 英雄派のゲオルクが俺の実力を知るために数百の魔物とジャンヌ、ヘラクレスを差し向けてからどれ位の時間が経ったんだろうが。

 

 ヘラクレスのおかげで心踊る戦いをすることはできた。だが、邪魔が入ったせいで全力に近い力を出すことができなかった。俺は、戦いの中で忘れてしまったなにかを感じたかった。

 

 数百の魔物と英雄の名を冠する者ならそれができると思っていた。なのに、こいつらはそれができなかった。むしろ失望してしまった。失望、呆れ、哀しみ、そして絶望という感情が俺の中で渦巻いていた。

 

 俺は、こんな戦いがしたかったわけじゃない。

 

 顔を上げて空を見た。そこにはゲオルクとジャンヌ、ヘラクレスが足元に魔方陣を展開して俺の事を見ていた。彼らは俺の事を人として見ていなかった。その目は俺を化け物として見ていた。ヘラクレスは名残惜しそうに見ているがな。

 

 ヘラクレスたちを見上げていると、視界に巨大な何かが入った。そこに視線を向けると体の大半を黒く染めた人型の魔獣がいた。

 

 魔獣は口から涎を垂らしていて、その涎が地面に落ちる度にジュウジュウと音を立てながら地面を溶かしていた。

 

 強酸の涎か、あれに触れたら不味いな。今のところ周りにこいつ以外の魔獣はもういないな。

 

 他に魔獣の生き残りがいないか辺りを見渡していると、魔獣が雄叫びを上げながら走ってきた。

 

 魔獣はその巨大な体格からは想像できない速さで瞬く間に俺の目の前まで来た。そして六本の腕を振り上げると音速を越える勢いで腕を降り下ろしてきた。

 

 その一撃が当たる前に魔獣の背後に回り込み、魔獣の攻撃を回避したが、降り下ろされた腕は勢いを殺すことなく地面に直撃した。

 

 すると足元に途方も無い程の巨大なクレーターができた。もし魔獣の攻撃に当たっていたら体を潰されるだけでなく血肉が辺り一帯に飛び散っていただろうな。

 

 そんな命の危機に瀕していたにも関わらず俺の心は魔獣の強さに満足していなかった。確かにこいつの一撃を喰らえば俺は確実に死ぬ。だが、こいつが攻撃するまでの動作が単純すぎる。どんなに強力な攻撃でも当たらなければ意味がない。

 

 一歩前に出て魔獣の背中に手を置き、そして『死』を大量に流し込んで体全体を一気に黒く染めた。先程の『死』よりも濃いものを流し込まれたのに気付いた魔獣は再び腕を振り上げたがその途端に腕が崩れ落ちた。その拍子に体が徐々に崩れ落ちていき、遂に声を出すことなく崩れていった。

 

 それを見届けた俺は魔獣だったものを踏みにじった。そして、再びゲオルクたちに視線を戻した。

 

「どうする、まだ続けるか?」

 

 ゲオルク達は一瞬たじろぐとヘラクレスに目線を向けて小さく頷きあった。すると足元に展開している魔方陣で高度を下げてきた。

 

 魔方陣が俺より少し上のところまでの高度に達するとゲオルク達は魔方陣から飛び降り、地面に着地すると黒い砂塵が足元を舞った。

 

「俺たちの目的は貴方の実力を知ることだ。これまでの戦いぶりから貴方の実力は分かった。だからこれ以上の戦闘は無意味だと判断した。もう続けるつもりはないさ。いいよな、ヘラクレス?」

 

 ゲオルクが両手を顔の位置まで上げて降参の身振りをしながらヘラクレスにそう尋ねた。ヘラクレスは構わないと言わんばかりに仁王立ちをしていた。それを見た俺はゲオルク達に戦い続けるつもりが無いと判断し、コートの左ポケットにしまい込んでいたブレスレットを取りだして右手首にはめた。それと同時に『死』が霧散した。

 

「そっちに戦う意志が無いなら俺も戦うつもりはない。『絶霧』を解除してくれないか」

 

 『絶霧』を解くように頼むとゲオルクは一度だけ頷いてくれた。すると足元の霧が濃くなり足元から胸の位置へ、そして頭の位置まで霧が立ちこめてきた。視界が霧に包まれてゲオルク達が見えなくなった。

 

 

 

 

 霧が晴れるとそこは薄暗く蝋燭だけが辺りを灯している長い廊下だった。廊下には赤絨毯が敷かれていて、その奥には巨大な扉があった。

 

「ハース!!大丈夫ですか!?」

 

 聞き覚えのある声が後ろから聞こえた。

 

 声のした方を振り向くとそこには『絶霧』によってちりぢりにされたエレナ達がいた。

 

「エレナ、無事だったかぁ!?」

 

 後ろに振り向いた瞬間、エレナが飛び付いてきて体のバランスを崩してしまい、後頭部を廊下に叩きつけてしまった。

 

 後頭部の痛みを我慢して上半身を起こした。エレナは涙を流しながら顔を俺の胸に押し付けていた。

 

「危ないなじゃないかエレナ、こんなことをして。怪我をしたらどうするんだ?まあ、心配をかけた俺も悪かったな。エレナ、心配をかけさせてすまなかった」

 

 エレナの頭を優しく撫でながら謝ると、泣き声が段々と治まってきた。

 

「心配したんですからね!!突然いなくなったと思えば、数百の魔獣、しかも全て上級悪魔以上のスペックを誇る群れと戦っていると聞いたときはハースでも死んでしまうと本気で思ったんですからね!!」

 

 目を赤く充血させながらエレナは俺の事を見ていた。

 

「だが、俺はこうして生きているんだ。傷だって大したこと無いんだ。だからそんなに泣かないでくれないか?」

 

 それでも俺から離れそうにないエレナに困っていると真紀がエレナを引き剥がしてくれた。

 

「エレナ、ハースが困ってんだから離れなよ」

 

 真紀がエレナを引き剥がしてくれたおかげでやっと立ち上がることができた。真紀とエレナに視線を向けると、その後ろにはミッテルトとカラワーナがいた。

 

「真紀、ありがとう。それと心配させてすまなかった。ミッテルトとカラワーナにも心配させてしまったかな?」

 

 真紀の肩に手を置いて謝ってからミッテルト達に声をかけた。

 

「うちは別に心配なんてしてないっすよ」

 

 とは言っているが、目が少し充血しているし目元には泣いた跡があるから心配していないと言うのは嘘だとバレバレだ。

 

 ミッテルトがすぐにばれるような嘘をついたことに素直じゃないなと思いながら鼻で笑った。

 

 それからミッテルトの頭を優しく撫でてあげた。突然の事に彼女は驚いて慌てていたがしばらくすると大人しくなった。

 

 ミッテルトの頭を撫でているとカラワーナが近づいてきた。

 

「やはり無事だったか。戻ってくるとは信じていたがあまりミッテルトを悲しませないようにしてくれ」

 

 カラワーナは俺がいなくなった時のミッテルトを落ち着かせるのに苦労した事などの愚痴をこぼした。それに対してカラワーナには謝ったりする事しかできなかった。

 

 愚痴をこぼしてから数分してようやくカラワーナは愚痴をこぼすのをやめた。

 

 それからカラワーナにも心配させた事を謝った。彼女は無事に戻ってきたから気にしていないと言ってくれた。

 

 オーフィスは俺の実力を知っているからなのか真紀の傍でお菓子を食べていた。

 

 オーフィスに「戻ったぞ」と言うと「ん、分かった」とだけ答えてお菓子をまた食べ始めた。これはしばらくの間はこのままにしておくしかないか。

 

 オーフィスがお菓子を食べている間に先の戦闘で汚れたコートと骸骨の仮面は魔法を使ってすぐに綺麗にした。

 

 綺麗になったのを確認した俺はお菓子を食べ終えたオーフィスを肩に乗せて巨大な扉を開けた。

 

 やっと『禍の団』(カオス・ブリゲード)のメンバーに会えるのか。どんな奴等なのか実際に会えるからここで人柄を把握しておこう。

 

 

 

 




 来月には期末テストがあるので更新速度がもしかしたら落ちるかもしれません。楽しみにしている方々がいましたら申し訳ありません。

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