ラプンツェル   作:朱緒

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【閲覧注意】番外編:深淵のテスタメント(予告)から続いています
(1は活動報告にアップした部分)


皇妃のお仕事
ロイエンタール編・1


 ジークリンデちゃんの結婚相手は「美形には美形を」という方向に進み、満場一致でオスカーに決まりました☆オスカー当人は納得していなかったように見えましたが、そんなことは知らん。お前の意思など知らぬ! このわたしが聞くわけなかろうが!

 女性不信とマザコンをこじらせるだけでは飽き足らず、反逆してもラインハルトへの愛と忠誠はマックス振り切れな死にたがり屋 ―― ただの問題児でしかねえ男をジークリンデちゃんの夫にするのは、良心の呵責がががが……だが、ジークリンデちゃんもそういう男だと知っているから、なんとかなるだろう。

 わたしとジークリンデちゃんが、密に連絡を取り合うことで、オスカーが陥れられた場合にも備えることになるしね☆

 ジークリンデちゃんも、

 

「絶対にロイエンタールを反逆者にはいたしません」

 

 言ってくれたよ。ジークリンデちゃん、やや古風な感じだから、オスカーが死ぬ時付いていきそうな気がするんだよなー。ジークリンデちゃんが死ぬとか、国家の大損失である。……ラング殺しておけばいいのかな? 殺すかー。殺しちゃおうかー。ラング如きなら、下男にヘッドショットさせてもいいし、自然死に見せかけて殺すよう命じても……やはりここは原作に近づけるべく死刑にすべきか。

 どうやって死刑に? 憲兵を支配していた祖父仕込みの捏造技術を持ってすれば、ラング一人を死刑にするなど簡単なこと!

 家庭人としてはいい人で、死ぬと家族が悲しむか。死刑囚の家族ってやっぱり辛いだろうし。

 もしかして家族皆殺しにすると円満解決! 家族旅行中、事故に見せかけて抹殺とか! 誰も傷つかないね! みんな死ぬけど! ふむー☆駄目な方向に妙案じゃないかな!

 

 ラングはともかく(排除はするが)、いまはジークリンデちゃんのことです。

 

 オスカーは敬愛するラインハルトからの命令ということで結婚を承諾したものの、蟠りがあるようで ―― ジークリンデちゃんを幸せにするためにも、不和の芽は潰さなくては。プチプチ梱包材のように!

 まずはオスカーの心の闇っぽいものを取り払おうと思います。オスカーの心に深く根ざしている母親に対する愛憎 ―― 愛憎はともかく、綺麗だった母親と、綺麗とかいうレベルじゃねえよ、神様、手違い起こすにも程があるぜ、全世界の美の女神のステータス全部足してもまだ足りないんじゃね? な、ジークリンデちゃんが重ならなければいいのですよ。

 そのために、わたしは非情な手段を取った。劇薬も劇薬、超劇薬を☆

 

「卿の母親は伯爵令嬢で美しかったと。なるほどなあ」

 

 その劇薬とは元皇女。

 

「元帥閣下のお年は今年三十三か。で、母君が伯爵家の三女だったと」

「知っておられるかな? 元帥閣下。旧王朝では皇妃は伯爵令嬢からとなっておった」

「まあ子爵の娘もいるにはいるが、普通は伯爵の娘からだな」

「元帥閣下の年齢から逆算したとして、母君は存命ならば五十幾つか」

「美しいのであれば、わたしの弟たちが放っておかなかったと思うのだが」

「本当に美しい伯爵令嬢を、下級貴族にくれてやるほど、門閥貴族の男は寛容ではない」

「金? ほう、当時の門閥貴族は軒並み元帥閣下のご実家より貧乏であったと?」

「本当に美しければ、あの愚弟クレメンスが迎えたであろうよ」

「たしかにオトフリート五世(父上)は吝だが、由緒正しい伯爵家の美姫を迎える際に金を出すのを惜しむことはない。まして元帥閣下が今迎えるような美姫であらば、父上とて喜んで……取り上げたかもしれぬがなあ」

「元帥閣下の母君が、本当に美しければ、門閥貴族が抱えたであろうよ」

「たしかに美女だったが、下級貴族に売られる程度の美貌であった」

「むろん元帥閣下が母君を美しいと思うのは当然のことだが。曾祖父殿の娘であるツィタ殿と並べるのはおかしい」

「当時の艶福家で金を持っている門閥貴族と言えばなあ……」

 

 オスカーのお母さん、そんなに綺麗じゃないよ、本当に綺麗だったら裕福な公爵家とか皇子に請われて嫁いでるよ攻撃 ―― 四十八分三十二秒後、オスカーは離脱。

 

「まぶたの母というものは、ことのほか美しく見えるものなのであろうな。このレオノラ程度の姫ならば、宮殿には掃いて捨てる程おったがのう」

 

 ありがとう元皇女。もう追加攻撃はいいよ。オスカーいないから。

 いやいや、たしかに美人だよレオノラさん。でもね、なんつーのかな、ただの綺麗な人止まり。「ほうぅ」と息をのむとか、息が止まるとか、見惚れるとかはない。うん、綺麗だね……で終わり。アレだね、美術学校の入学試験に提出される絵画で、上手いけど選ばれない系。うん、まあ、美人だよ美人。レオノラさん、美人だよ。うん。あれ、わたしも結構酷いこと言ってる? まあいいや。元皇女、ありがとう!

 

「皇妃殿のお役に立てたのであれば幸いだ」

 

 そして翌日、オスカーはウォルフに言ったそうな。

 

「写真を見直したところ、俺の母親はそれほど美しくはなかった」

 

 オスカーは母親の頸木から解き放たれたのだ☆解き放っていいものかどうかは知らぬが、不倫三昧だった母親のことを吹っ切れたのなら、まあ良いのではないかな。良いことにしておく☆

 

 あとは心の渇きだとか、心は作り損ねたとかそういう問題を解消……無理難題しかない男だなあオスカー。男を顔と体と金と才能だけで選んじゃいけませんの典型的なヤツだなあ。

 人間は心だよ……とは言っても、心が優しいだけではジークリンデちゃんを守れないので仕方ない。

 オスカーの顔と体と金と才能、どれか一つでも凄いものだが……全部揃ってもお勧めできないという厄介な存在。仕方ないよねー。

 

 さてオスカーは新領土総督就任が内定している☆なので、ジークリンデちゃんも同行することになる。

 本当はいかせたくはなかったのだが、新領土の総督になったロイエンタールって、死刑台の階段を、鼻歌歌いながら三段跳びで登り始めているというか……早急にラングを殺さねば。

 殺害が間に合ったとしても、反逆しないようにしなければならないので、ジークリンデちゃんには是非とも一緒に行ってもらいたいわけですよ。

 ……くっ、だがやはりジークリンデちゃんが心配だ。いきなりこの世界に放りだされて、オスカー・フォン・ロイエンタールの妻とか。やっぱり、別の直参将校にするべきだったか。帝都防衛司令官の小鳩(ウルリッヒ・ケスラー)の妻なら、ずっとわたしの側に置いておけたが、だがなあ……やっぱり元帥の格があってなあ。

 オスカーはウォルフを助けて下さい、助けてくれたら部下になります☆と最初に売り込みに来た男。いわば最古参の部下。

 

 キルヒアイスが最も古い? キルヒアイスは部下じゃなくて親友だから。カウント違うから。

 

 話をオスカーに戻すが、最古参でありながら武勲も巨大で独身。で、なにより部下になった経緯も綺麗だから、兵士たちにも人気あるしね。

 ほらオスカーは「軍規に則ったのに不当逮捕されたウォルフを助けて欲しい」―― が部下になった経緯。当然ウォルフも経緯は清らかプラス()()()()門閥貴族を軍規に則って処刑する度胸に惚れている部下は数知れず。

 この二人に対してパウルはガチで犯罪行為を犯しておきながら……というのが知れているので、それはそれは兵士に人気がない。

 敵前逃亡はマジで極刑なんですよ☆普通は射殺されても仕方ないもの。ウォルフが見たら射殺してしまうかもしれないレベルの犯罪行為。

 

 ラインハルトはその辺りは緩いけど、軍規というものがなあ……などの絡みがありまして、オスカーしかいないわけです。

 

 ちなみに「ケスラーってウルリッヒ・ケスラー……あ……わたしの初恋の人、ケスラーでした」と、ジークリンデちゃんが教えてくれた。それを早くに言ってくれていたら、小鳩を婿にしたのに!

 今から取り替えろって? そんなことしたら、オスカーが反逆しちまうわ!

 色々言ってるけど、美女貰ったこと自体は嬉しいらしい。あいつら割と子供だから☆

 

 さて「ジークリンデちゃん初恋の人とくっつけなかった悲劇」についてですが、ジークリンデちゃんはケスラーの名前を覚えていなかった模様。それは仕方のないことだろう。ウルリッヒは「ケスラー」「憲兵総監」「大佐さん」「ロリコン」「ポクス(略)」としか呼ばれないので、覚えていないなくてもおかしくはない。大体ロリコンが悪い……だんだんうちの小鳩(ウルリッヒ)から離れていっているから、軌道を修正しようか。

 

 ジークリンデちゃんの話では、出会った時ジークリンデちゃんは五歳でウルリッヒは二十歳ちょっと過ぎで、短い間護衛してくれたんだって。その時の態度がそれはそれは紳士で優しくて、恋しちゃったんだって。

 そういうやつだよな、お前は。誠実で子供に好かれるいい男。

 その際になぜかウルリッヒと名乗っていたので、苗字がウルリッヒなのだとばかり思っていたそうな ―― おい、そっちの小鳩、美幼女に名前呼んで欲しくてウルリッヒ名乗ったのか。どの世界線でもウルリッヒはロリコンか……そこまで筋金入りならば、許してやろうではないか! 小鳩がロリコンかどうかは知らないが!

 

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