平凡な男の非凡な学園生活(過去編)   作:御龍

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今回のゲームはプレイ時間が短くお勧めできます。


シンプル・イズ・ザ・ベスト

遊戯兄は現在高校生である。

大事なことなのでもう一度言おう、遊戯兄は現在高校生である。

 

何が言いたいのかというと、僕が知っている遊戯兄の友人は幼馴染の杏子姉だけだったってこと。

それでいて、友人と遊びに行くからというありきたりなセリフも一切聞いたことがない。

つまり……遊戯兄は友人がほぼいないというか杏子姉がいなければ完全にボッチである。

一応自分はそこそこ友人はいると思ってる。さらに杏子姉はダンスなどのレッスンや友人とカラオケに行くなどといった交流はきちんと存在している。

自分だって放課後遊んだりすることもないわけじゃない……インドア系ばかりだけどね。

 

ここまでは前置きに過ぎない前置きがあるということは本題があるということ、そしてその本題は……。

 

「遊戯兄に友人ができたなんて明日は間違いなく雪だ!!」

「それはひどいんじゃないかな……」

「こいつ遊戯の知り合いか?」

 

そう遊戯兄に友人ができて、なおかつ遊びに来たというのだ。今まで自分の記憶している限りそんなことは一切なかったのにもかかわらず……である。

ちょっとチンピラっぽい見た目のこの人は城之内克也さん。もともとは遊戯兄の情けない姿を見て発破をかけようとしたのが完全に逆効果になってしまい、さらにその姿に腹が立って……いつしかただのいじめになってしまった人らしい。さらにそんな城之内さんの姿をみて遊戯兄はちゃんと友人だと思ってたというのだからお人よしというかあきれるというか。

うん、まぁどんな出会いであれ友人ができたのは実に喜ばしいことである。弟分としては素直に喜びたいと思う。

さらに一人のボードゲーマーとしては人数が増えるとできるゲームの種類が増えるのが非常にありがたい。

基本的なボードゲームって3人以上のプレイが多いんだよね。二人だとどうしてもパターンが少なくて困ってしまう。杏子姉が来た時くらいしか3人プレイができなくて、4人プレイは全く縁がなかったしね。

 

「うん、近所の子供でよくゲームで遊んでるんだぜ」

「鈴本 厚志といいます。よろしくお願いします」

「へぇーこんな奴とねぇ。ちゃんとルールわかるのかよ」

 

おっと子供だからと言って舐めてるな、こちとらレトロなゲームは一家言あると思ってる。コンピューターゲームは苦手だがレトロゲーはそこそこやりこんでいる。ダイスの確率計算から狙ったカードを引く確率や期待値の計算、リスクとリターンの兼ね合いなどもある程度計算しているのだ。少なくとも何も考えずに漠然とプレイしているような人たちに負ける気など毛頭ない。

 

「大丈夫だよ。厚志君結構強いんだよ」

「こんなガキがねぇ」

「じゃあ、何かプレイしてみますか?」

「そーだなー、せっかく来たしやってみっか」

「どれにしようかな、城之内君はこういうボードゲームってやったことある?」

「人生ゲームならやったことあるぜ」

 

人生ゲームは分類すると双六ゲーの一種だがプレイヤーの意思が反映される余地がかなり少なくルーレットの出目次第でだいたい勝負が決まってしまい戦略や駆け引きなどに左右されない運ゲー要素がかなり強いゲームの一つだ。逆に言うとかなり低年齢から遊べるため、子供がやる分には楽しめるゲームでもある。

自分はかなりのボードゲーマーだと自負しているため、物足りない感じが否めない。

 

「そっかー、じゃあ人生ゲームにする?」

「いや、ここはやったことないゲームがいいな。なんか面白いおすすめを頼むぜ」

 

おすすめか……王道なのはロングセラーになったカタンの開拓者たちやドミニオンなどのゲームがいいかな。

シンプルだが楽しいゲームたちである。

だがボードゲーム素人の城之内さんならもっとシンプルなゲームのほうがいいかもしれない。

 

「……インカの黄金とかどう?」

「あー、あれも単純だけど面白いね」

「なんだそりゃ?」

「簡単に言うとチキンレースかな」

「引き際を見極めるゲームですよ」

 

インカの黄金……もとはダイヤモンドという名のゲームだったがそれのリメイク版となる(はず)

プレイヤーは冒険家となり5つの洞窟を探検していくことになる。探検といってもシンプルな作りで、やることは進むか引くかを選択するだけ。進めば財宝カードにより得点の宝石が与えられるが、もちろんリスクもある。

同じ危険カードが2枚めくられたとき探検は強制終了させられて、その洞窟で見つけた財宝がすべてチャラになってしまうのだ。それを避けるために途中で帰還するという選択肢が与えられる。

見つけた財宝は人数の頭割りになり、余った分は場にプールされ期間を選択したものが持ち帰られるという仕組みなので、プール財宝が増えて来たら危険カードがなくても帰還するというやり方も存在する。

3人以上で遊べ最大人数8人というほとんどプールじゃねえか! という状態なら違った戦術や読みが発生する面白いゲームだ。

 

「へー、だいたいルールは分かった。こんなの簡単だぜ」

「結構奥深いんだよ」

 

というわけでさっそくプレイ開始だ。初心者がいるということで得点ボーナスの遺産カードを省いてほぼリメイク前の状態でのプレイ。

でも城之内さんの戦い方は何となく予想がつくなぁ。

 

 

1戦目

「じゃ、帰還で」

「もう帰るのかよ。まだ危険カード見えてないぜ」

「厚志君は慎重派だからね」

 

「ぎゃー!へびがーへびがー!」

「うわぁ……城之内君と張り合ってたらやっちゃった」

 

このゲームは基本的に総取り以外はおいしくない。

10点プールなら自分が帰ったとして残り二人は20点分の財宝を見つけなければこちらを越えられないからだ。

しかし、逆に言うと総取りしてしまえば一回の洞窟探検で30点を超える大台を叩き出せる可能性がある。そのためには残り二人が帰還しなければならず、かなりの度胸が必要になるのだが……。

 

 

2戦目

「じゃ、帰還で」

「おいおい、チキンレースならぎりぎりまで踏み込まないと勝てないんだぜ」

「あ、僕も帰るよ」

「あ、遊戯兄も帰るなんて意外だね」

「へっへー、俺単独なら財宝独り占めだぜ」

 

「ぎゃー!今度は毒ガスがー!」

 

まぁ遊戯兄と分割した分そこまでおいしくはないけど初回のリードがあるからまだまだ優勢かな」

 

 

3戦目

「まだ進みます」

「僕も進むよ」

「俺は当然行くぜ!」

 

「うわぁ……落石か」

「やっちゃったなぁ」

「へっへー、ぎりぎりで帰還したぜ」

 

城之内さんが帰還したのは正直意外だったが、点数はまだまだこっちが上のはず。

あと、遊戯兄がこのゲームのコツに気が付いたかな?

遊戯兄はルールは知ってるけど実際プレイするのは初めてのはずなんだよね。

 

 

4戦目

「帰還で」

「僕も帰るよ」

「あっちゃー、みんな帰っちゃったか。俺もなんだよな」

 

あら、全員そろって帰還になっちゃったか。まぁ差はついてないってことで良しとしよう。

 

5戦目

蛇、落石、毒ガス、蜘蛛と危険カードのオンパレード。

それでいて財宝は大したことがなく全部合わせて15点程度、つまり一人5点くらいってことだね。

そしてここで爆発の危険カード。

 

「進みます」

「僕は降りる。さすがにもうだめだ」

「俺もやーめた。さすがに突っ込めねぇぜ」

 

自分一人の単独チャンス。あくまでも自分流だけどこのゲーム最大のコツ。

一定以上の数値の財宝が出るまでは勝負すべきということだ。

このゲームの財宝カードの点数は様々で、低いものと大きいものの差が結構激しい。

高い点数なら15点や13点などをがあるため単独はもちろん複数でやっててもそこそこ点数になる……が、2点や3点が多少積み重なっても大しておいしいわけじゃない、プールがあるからだ。

今は高額財宝カードが山札に眠っている状態、しかも独り占めできる可能性があるなら行くしかない!

 

「あ、蛇だ」

「いくらなんでもなぁ」

 

デスヨネー

 

結果

僅差で自分が勝利した……あっぶねぇ。

ロマンを追い求めてるだけじゃダメだな……。




インカの黄金は本来なら遺産カードもあるため進むか引くかの選択のための要素がさらに増えてますね。
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