真剣に私と貴方で恋をしよう!! 外伝? ~毎日が記念日 365日の小噺~ 作:春夏秋冬 廻
・12月1日 『着信メロディの日』
「う~ん……」
「携帯を眺めながら何を悩んでいるんだまゆっち?」
「壊れたの?」
「あ、クリスさん、京さん。いえたいしたことではないのですが、携帯の着信メロディは設定した方がいいのかと思いまして」
「ん? どういう意味だ?」
「タカさんが仰っていたのですが、ファミリーだけでも普通の着信音と変えておいた方がいいと……」
「なるほど、そういう事。確かにその方が誰から掛かってきたのかすぐ分かるからね」
「京さんは設定しているんですか?」
「もちろん。ちなみに大和だけさらに別設定にしてあるよ」
「予想通り過ぎるな。まあ自分も父様やマルさんは別設定にしてあるがな。そういえば今日は『着信メロディの日』らしいな」
「そ。1999年の今日、世界で初めて着メロの配信が行われたんだよ。ちなみにこれが大和から掛かってきた時の着メロ」
『京……お前を一生放さない……何度生まれ変わろうとも俺はお前と添い遂げてやる』
「な、なんだその着ボイスは!?」
「や、大和さんが吹き込んだんですか!?」
「ううん。ジン兄に頼んだ。あの人、恐ろしいまでに声真似が上手いんだよ。それこそ本人と聞き間違うぐらい。しかも男女関係なく」
「ジ、ジン兄殿の意外な特技があらわになったが……」
「さっきの着ボイスのインパクトが強すぎですよ……」
・12月2日 『日本人宇宙飛行記念日』
「宇宙! いつか行ってみたいぜ!」
「キャップはいきなりどうしたんだ?」
「あ、大和。いやさ、今日が『日本人宇宙飛行記念日』だって教えたら……」
「なるほど。あの反応は予想通りだな。そう言えばモロ、日本人初の宇宙飛行を成功させたのは誰か知ってるか?」
「え? 誰って毛利衛さんじゃないの? あれ? そういえばあの人は1992年の9月だったよね? 今日が『日本人宇宙飛行記念日』だってことは違うの?」
「その通り。日本人初の宇宙飛行を成功させたのは秋山豊寛さんだよ。でも宇宙か。俺も死ぬ前に1度は行ってみたいな」
「ジン兄とかモモ先輩はなんか生身でも行けそうな感じするけどね」
「さすがにあの2人も無理だろ……成層圏ぐらいまでなら生身で行けそうだけどな」
・12月3日 『プレイステーションの日』
「そう言えば今日って『プレイステーションの日』なんだよな」
「『プレイステーションの日』?」
「ああ、今俺たちが遊んでるゲーム機の初代プレステが1994年に発売されたのが今日なんだ」
「ふぅん。これがプレステ3って事は3代目って事か」
「そう、日本が世界に誇るゲーム機だよ。あんまりゲームしないからって珍しく疎いな兄弟」
「そりゃそうだろ。このプレステ3が発売された時、俺は記憶喪失で日本にいなかったんだから」
「あ、そうだったな」
「ちっくしょぉぉ! また負けた!」
「代われキャップ! 次こそ俺様がぶっ倒してやる!」
「今日初めて触ったゲーム機で初めてプレイする格ゲーなのに1時間もしないでパーフェクトで10連勝って……」
「しかも大和君との会話の片手間だよ……」
「「さすがジン兄としか言えないねよね」」
・12月4日 『E.T.の日』
「そう言えば今日『E.T.の日』なんだけどさ。みんなはどんな映画が好き?」
「『E.T.の日』だぁ? なんだそりゃ」
「映画の『E.T.』だよガクト。1982年・昭和57年の今日、日本で公開されて『もののけ姫』に抜かれるまでは日本歴代最高の配給収入を記録していたんだ。まあそれは置いといて、それでさっきと同じ質問だけど、みんなはどんな映画が好き?」
「ただひたすらにアクション映画だな」
「アタシもお姉様と一緒!」
「自分はやはり時代劇だな」
「時代劇、いいですよね。私も好きです」
「愛憎渦巻くドロドロの恋愛もの。あるいはミステリーだね」
「冒険活劇が俺の血潮になるぜ!」
「俺様もキャップと同意見だな。モロはどうせアニメだろ」
「別にいでしょ。日本のアニメは世界に誇れる文化なんだから。ジン兄たちは?」
「これと言ってないな」
「同じく。俺は話題作りのためいろんなジャンルを見るから」
「ホラー。洋画よりも邦画の方が好きかな。リ○グとか好きだよ」
「意外な一面だね、タカ……」
・12月5日 『バミューダトライアングルの日』
「犬っ娘。今日が『バミューダトライアングルの日』なのは知っているか?」
「ばみゅ~だとらいあんぐる? 何それ?」
「ふむ、心して聞け。バミューダトライアングルとは男にとって女の未知の領域の事を言うんだ。つまりは女のせい――かふっ!」
「なにカズに変な事を教えようとしているんですか凛奈さん」
「ジン兄?」
「カズ、知りたければヤマかタクに聞け。間違ってもミヤとモモには聞くなよ」
「うん、分かった!」
「……さて、何をしようとしてたか教えてもらえますか?」
「だからってお前……親指を弾くだけで圧縮された空気の指弾なんか撃つな。おかげで額が赤くなったろ」
「反省していませんね?」
「いや! 反省した! 反省している! だから指を鳴らしながら満面の笑みを浮かべて近付いてくるな!」
「凛奈さん。貴女も作家なら知っているでしょう? 『問答無用』って言葉を?」
「お前いくらなんでも過保護すぎるだろ!?」
「凄いよね……あの凛奈さんを怯えさせる事が出来るなんてこの世にジン兄だけだよ」
・12月6日 『姉の日』
「大和~ジュース持ってこい~」
「はいはい」
「大和~お腹すいた~お菓子ちょうだ~い」
「はいはい」
「……大和はいったいなにをやってるんだ?」
「あれね。実は今日って『姉の日』なんだけど、それを知ったモモ先輩が大和相手にその権限をフルに使っているんだ」
「その権限を実の妹の一子ちゃんに使わず舎弟でしかない大和君に行使するあたり、さすがって言うかなんて言うか……」
「あれは“姉”というより“暴君”だよね……」
「そうか、今日は『姉の日』なのか……自分もマルさんに何かしたら喜んでくれるだろうか?」
「喜びすぎておかしくなるんじゃない?」
「逆にクリスさんを甘やかしそうな気がしないでもないね……」
・12月7日 『クリスマスツリーの日』
「もう後2週間もしたらクリスマスだな」
「そうだな。ところどころでクリスマスの装飾が始まってるしな」
「そういえば今日は『クリスマスツリーの日』でな。何でも日本で初めてクリスマスツリーが飾られた日らしいぞ。ところで小梅さん、今年こそはクリスマスぐらい――いや、何でもない」
「何を言い掛けたか非常に気になるし、何を言いたかったかなんとなく分かっているが、聞かなかった事にしてやる」
「そいつはどうも」
「やぁ小島先生。よろしければクリスマス、一緒に食事でもどうですか?」
「結構です。既に篁先生と食事の約束をしておりますので」
「そうですか……ハァ、世知辛いねぇ……」
「いつの間に私と約束をしたんだ、小梅さん?」
「方便だ。最近誘いがしつこくて辟易していたんでな。すまないがお前を利用させてもらった」
「謝る事はないさ。なら方便を本当にすればいいだけだ。それじゃあ
「強調するな、殴られたいか凛」
12月8日 『対米英開戦記念日・太平洋戦争開戦記念日』
「今より70年前の今日、1941年の昭和16年に日本軍が真珠湾を攻撃し、この日より3年6ヶ月にも及ぶ太平洋戦争が始まった……今日は日本が愚かな戦争を起こした日として『対米英開戦記念日』はたは『太平洋戦争開戦記念日』になっておる」
「またジジイのくだらん戦争語りか」
「くだらんとは何じゃモモ!」
「実際くだらないだろ! 戦争がどうこう言われても私たちは生まれてすらいなかったから実感なんて湧くか!」
「そんな考えが既に間違っておると言うのに! ええい、そこになおれモモ! 今日はみっちり説教をしてやるわい!」
「上等だジジイ! やれるものなら力づくでやってみろ!」
「あ~あ、また始まったネ。それじゃあワタシは門下生を避難させるから、あとはよろしく頼むヨ、ジン」
「ハァ……結局止めるのは俺なんですね」
・12月9日 『国際腐敗防止デー』
「また政治家が汚職で捕まったってたね」
「ああ、ついでに言うとその政治家の秘書も横領で捕まったな」
「今日は『国際腐敗防止デー』だってのに意味のなさいニュースだな」
「おい大和、なんだそれは?」
「ん? ああ、今日は『国際腐敗防止デー』と言って、贈収賄・横領などの汚職・腐敗行為の防止を目的とした『国際腐敗防止条約』が調印された日なんだ」
「なるほど、確かにそんなニュースが今日流れてたら意味のなさない記念日だな」
「兄弟の言う通りだ。まあ、政治家と汚職ってのは切っても切れないやつらしいけどね」
「なあ大和。お前、政治家になるんだろ?」
「確かになりたい職業の1つではあるけど……急にどうしたの姉さん?」
「なに、もしお前が政治家になって汚職にまみれた政治家がいたら私に教えろ。私とジンとタカが必殺仕○人のごとくお仕置きしてやるからな」
「………………」
「モモ、面白い面白くないの判断で適当な事を言うな。それに日本には公的に認められた殺人許可はないぞ」
「それ以前に僕を巻き込まないでよ……」
「なんだよ、リアクション悪いな。お前たちなら出来そうじゃないか」
「出来る出来ない以前の問題だと思うぞ、姉さん……」
12月10日 『世界人権デー』
「さあ大和、お姉さんと遊ぼう!」
「姉さん! 今日は国連総会で『世界人権宣言』が採択された『世界人権デー』だ!」
「それがどうした?」
「俺は舎弟として、いや、人としての人権の尊重を提言したい!」
「甘いな大和。人権とは法制度があって初めて効果を発揮するものだ。お前と私の間に法なんてものは存在しない。したがって舎弟に人権などないのだ!」
「それなら舎弟契約も意味もないさいぞ、姉さん!」
「ぬぅ……」
「契約って契約者と被契約者の間で交わされる約束のようなものだから、必ずしも法が関係するとはいえないんじゃぁ……」
「ナイスフォローだジン!」
「余計なこと言うな兄弟!」
「さあ大和! 舎弟として私の退屈を晴らさせろ!」
「そういうのは兄弟の役目だろ!? ぎゃあぁぁぁぁ!」
「……ヤマには悪いことしたな。あとで何かおごってやるか」
・12月11日 『胃腸の日』
「さあ! 今日は自分が夕飯を作ったぞ!」
「お嬢様が丹精込めて作った手料理です。感謝の限りを尽くしてしっかりと味わいなさい」
「オイ大和! なんだこの罰ゲームは?」
「俺が知るか! なんかしらんが急にクリスが料理しだしたんだよ! しかもマルギッテがいるから文句も言えないし!」
「京とまゆっちとゲンさんは!?」
「まゆっちは凛奈さんにお呼ばれ、ゲンさんはバイト、京は用事があるとの建前で危険を察してそそくさと逃げた」
「オイお前ら」
「ゲンさん!」
「僕らのゲンさん! 帰ってきてくれたんだね!」
「誰がお前等のだボケが。まあいい、コレやるよ」
「「胃腸薬?」」
「何でも今日は『
「「ゲンさん……優しさが身に染みるが出来れば止めてくれよ……」」
「さあ! 大和にキャップ! たくさん作ったからどんどん食べてくれ!」
・12月12日 『漢字の日』
「そういえば今日って『漢字の日』だね」
「『漢字の日』? 日本にはそんな日まであるのか?」
「まあな、今日が12月12日って事で『
「もうそんな時期か~。あ! いいこと思いついた! 俺たちもそれやろうぜ! クジで決めた相手を漢字1字で表現するんだ!」
「また唐突だなキャップ」
「よーし! それじゃあやるぜ!」
一子 → クリス 『栗』 「『栗』となはんだこの犬!」
クリス → 由紀江 『礼』 「まともなもので良かった……」
由紀江 → 京 『愛』 「さすがまゆっち、良く分かってる」
京 → 大和 『京』 「主旨を分かってない! これはお前の願望だろ!」
大和 → 百代 『暴』 「いい度胸だな弟よ」
百代 → 岳人 『愚』 「なあ、これってなんて読むんだ?」
岳人 → 卓也 『弱』 「どうせ『ひ弱』とか『脆弱』って意味なんだろうな」
卓也 → 翔一 『奔』 「なぁモロ。これってどういう意味だ?」
翔一 → 緋鷺刀 『女』 「ねぇキャップ。僕を怒らせたいんだ」
緋鷺刀 → 神 『万』 「……これはどう捉えればいいんだ?」
神 → 一子 『純』 「これって褒められてる? 褒められてるよね?」
(ちょっと解説。
『栗』……言わずもがな 『礼』……礼儀正しい 『愛』……これも言わずもがな
『京』……願望そのまま 『暴』……暴力・暴君 『愚』……愚か
『奔』……奔放 『弱』……ひ弱・脆弱 『女』……女顔だから
『万』……万能 『純』……純粋 こんな解説いらないよね~)
・12月13日 『双子の日』
「まゆっちとタカは似ているよな」
「えっと……急にどうしたんですか、クリスさん?」
「いや、ふと思っただけで深い意味はないのだが……何というか雰囲気とか性格とか、そういったものがよく似ているなぁと」
「誕生日も同じだしね。外見も何となく似てる気がするし、男女だから二卵生双生児と言われても信じちゃいそう」
「うん、自分も信じるな。タカがお兄さんでまゆっちが妹だ」
「その意見賛成。ちなみに関係ないけど今日は『双子の日』らしいよ。何でも1874年・明治7年の今日に『双子の場合は先に生まれた方を兄・姉とする』っていう太政官指令が出たんだって」
「おお、日本にはそんな政治指令があったのか?」
「私たちが話題だったのに置き去りにされてるような気がるのは気のせいでしょうか?」
「まあ、風間ファミリーにはよくあることだよ」
・12月14日 『ハグデー』
「なぁモモ……ここにいるのが仲間内だけとはいえ、そろそろ離れてほしいと思わなくもないんだが?」
「いいだろ、今日は『ハグデー』という恋人同士が抱き合って寒い冬を暖かく過ごす日なんだ。だから私はお前に抱きつくのをやめるつもりはない」
「でも今の姉さんは抱き合っているんじゃなくて、兄弟にただしがみついているだけにしか――」
「なんか言ったか大和?」
「何も言ってないよ」
「羨ましい、ああ羨ましい、羨ましい、羨ましいったら、羨ましいな」
「京……なんだその羨望まみれの短歌は……」
「今の私の心の叫び。ねえ大和――」
「お友達でお願いします!」
「もはやデフォになったやり取りすら前倒しかヤマ……」
・12月15日 『観光バス記念日』
「大和! 東京に行きたいぞ!」
「いきなり何だ?」
「いやな、さっきネットで知ったんだが、何でも今日は『観光バス記念日』らしいじゃないか」
「それは分かったけど、なんで東京に行きたいになるんだ?」
「東京には『はとバスツアー』なるものがあるというではないか!」
「ああ、だから東京に来たいのね……」
「なあなあ大和。俺いいこと思いついたぜ」
「いやな予感しかしないが聞いてやる。何を思いついたんだキャップ?」
「川神でもバスツアーをやろうぜ! 見て廻る所なら東京にも負けてねーと思うんだ!」
「おお! 素晴らしいアイデアだ! キャップ!」
「クリスもそう思うだろ! よぉうし! そうとなりゃあすぐにでも草案を作って市役所に殴り込みだ! 大和! お前も手伝え!」
「頼むから俺を巻き込むな!」
・12月16日 『電話創業の日』
「1890年・明治23年の今日、東京市内と横浜市内の間で日本初の電話事業が開始した。故に今日は『電話創業の日』とされている。加入電話は東京が155台、横浜が45台。ちなみに当時の電話は直通ではなく取次のものだったらしく日中は7人の女性、夜間は2人の男性が交換手として対応していたらしい」
「凛坊、オジサン、蘊蓄はどうでもいいんだが」
「そう考えると日本の電話は100年ほどで携帯できるほどにまでなったという事だな。あ、お姉さん、焼酎をロックと熱燗3本。たこわさ、あんきも、軟骨の唐揚げも追加で」
「オイオイ、どんだけ飲むし食うんだお前さんは」
「巨人さんの奢りなのだから当然遠慮などしないさ。それに今の私にそんな強気に出ていいのか? 小島先生の携帯番号を知りたいんだろ?」
「足元見るねぇ……前から思っていたが、本当に可愛げがないなお前さん」
「可愛げなんぞ母親の腹の中に置き去りにしてきたさ。すみませーん、お刺身の盛り合わせもお願いします」
「……本当に容赦ねぇな。で、そろそろ教えてほしんだが?」
「ああ、その事なんだがな。実は小島先生に『宇佐美先生にだけは決して教えるな』という事ですでに買収済みなんだ。本当に申し訳ない。ハハハハ」
「……つまりあれか? オジサン奢らせ損ってわけ?」
「ハッハッハッハッハ」
・12月17日 『飛行機の日』
「なあガクト」
「なんだよモモ先輩」
「私は人は信じれば空を飛べると思うんだ」
「いきなりな話題だなオイ」
「何でも今日は『飛行機の日』らしくてな。あのライト兄弟が飛行機での初飛行を成功させた日らしいんだ」
「で? それと今俺様が屋上に呼ばれた事に何の繋がりがあるんだよ?」
「なあガクト。私は人は信じれば空を飛べると思うんだ」
「いやだからそれはどうでも――ってオイ!? まさか!?」
「というわけで飛んでみろ!」
「結局このオチかよ!?」
「高く飛んでるねガクト」
「10メートルは飛んでるね」
「オイ! なにのんびりしているんだ!? いくらガクトでもあの高さから落ちたら死ぬぞ!」
「問題ない。兄弟が側にいるんだ」
「そのひと言で片付くなんて……相変わらずパネェぜ、ジン兄は。オイラマジで尊敬するぜ」
「本当に『困った時の神頼み』ですね」
「まゆ、上手い事言ったつもりなんだろうけどさ、それ、シャレじゃなく本当にその通りなんだけどね」
・12月18日 『東京駅完成記念日』
「そういえば今日ニュースで『東京駅完成記念日』と言っていたが、東京駅は何年に完成したんだ? あの赤レンガ造りの建物はかなり年季が入っていると思うのだが……そういえばモロはそういうの詳しかったな?」
「うん。いいよ、教えてあげる」
「すまないな。あれ? みんなどこに行ったんだ?」
「あのね、東京駅が出来た理由はね、1889年に国鉄東海道本線の新橋~神戸間が全通、私鉄の日本鉄道が上野を始発駅として青森に向けて線路を建設していたんだ。そこで新橋と上野を結ぶ高架鉄道の建設が東京市区改正企画によって立案されて、1896年の第9回帝国議会でこの新線の途中に中央停車場を建設する事が可決された。それが東京駅なんだ。だけど実際の建設は日清戦争と日露戦争の影響で遅れて、工事は1908年から本格化して、1914年の今日、12月18日に約6年半かけて完成、同時に『東京駅』って命名された。だから今日が『東京駅完成記念日』に制定されんだ」
「あ、ああ、そうなのか?」
「それでね、東京駅はその名の通り東京の表玄関とも言えるターミナル駅で、プラットホームの数は日本一多くて、在来線が地上5面10線、地下4面8線の合計9面18線。新幹線が地上5面10線。地下鉄が地下1面2線あるんだ。ちなみに面積は東京ドーム約3.6個分。赤レンガ造りで有名な丸の内口駅舎は1914年竣工で、今は国の重要文化財に指定されているんだ。それから乗り入れている路線なんだけど――」
「これはいつまで続くんだ? みんなはこれが分かっていて逃げたのか……」
・12月19日 『日本人初飛行の日』
「1910年・明治43年の今日、東京の代々木練兵所、現在の代々木公園で徳川好敏工兵大尉が、ライト兄弟の人類初飛行に遅れる事7年。日本初飛行に成功した。飛行時間は4分、最高高度は70m、飛行距離は3000mだった。そしてそれを記念して今日12月19日は『日本人初飛行の日』とされた」
「淡々と語ってるところ悪いんだけどさ、あれを止めようとしないの、大和?」
「何故止める必要があるんだモロ? そもそも俺如きが止められるとでも? 止めたければヒロを呼んで来い」
「いや、ガクトを庇うわけじゃないけどあれってどう見ても事故でしょ? いくらなんでも可哀想だよ」
「例え理由が事故だろうとも、姉さんの着替えを覗いてしまった以上、兄弟による折檻は避けて通れないんだよ」
「それはそうかもしれないけど……あ、また蹴り上げられた。これでもう13回目だよ。さすがにヤバいんじゃないかな?」
「兄弟の事だ、怪我をしないようにちゃんと手加減しているさ」
「それもそうだね」
「今日も今日とて、ガクトは蹴りを推進力に空を飛ぶ――か」
「日和ってまとめてんじゃねぇよ! 助けろよ!?」
「反省が足りないようだなガク。よし15回で終わらせようと思ったがさらに10回追加だ」
「墓穴掘ったぁぁ!?」
・12月20日 『鰤の日』
「あ、お帰りなさいタカさん」
「……えっと、これはいったいどうなってるの?」
「帰ってきた時は『ただいま』だぜ、タカっち!」
「え、あ、うん、ただいま、まゆに松風。それよりもなんで家にいるの? それに鰤の刺身に鰤の煮付け、鰤の照り焼きに鰤雑炊まで……なんで鰤づくしなの?」
「えっとですね、下校際で凛奈さんに『今日は急用で家事当番が出来ないから私に代わって緋鷺刀の夕飯を頼む。材料は冷蔵庫に入っているから何でも使って構わない。ついでに由紀ちゃんも食べていけばいい』と、鍵まで渡されてお願いされたので……」
「それで冷蔵庫を開けたら鰤がいっぱいあったって訳か。そういえば今日は『鰤の日』って言ってたからたぶんそのせいだね」
「ご迷惑だったでしょうか?」
「いや、ありがとう。助かったよ」
「よかったです。あ、もうすぐ出来ますので座って待ってて下さい」
「うん、そうさせてもらうよ。久し振りにまゆの手料理だし楽しみだね」
「はい、丹精込めて作らせていただきました!」
「いい。実にいい。まるで新婚家庭のようで物凄くいいぞ!」
「電話で切羽詰まった声で『一大事だ』って言うから何かと思ったら……部屋の中が見える高い建物から光学36倍ズームの望遠レンズがついた一眼レフで写真を取り、リビングに隠した集音マイクを使って中の様子を聞く。はっきり言って犯罪行為ですよ。っていうか暇人ですね凛奈さん」
「そう言いながらも付き合う辺り、さすがだな暁の坊主。ちなみになんで今日が『鰤の日』かというとな、12月は師走とも言い鰤は魚篇に師と書く事から、20日は『
「そうですか……俺は知り合いから犯罪者を出したくないだけです。デバガメもほどほどにしておかないとヒロが本気で怒りますよ」
「その怒った顔もなかなかくるものがあるがな」
「ダメだこの人……」
・12月21日 『遠距離恋愛の日』
「ジン、何でも今日は『遠距離恋愛の日』らしいぞ」
「なんで今日なんだ?」
「それがだな、『1221』の両側の1が1人を、中の2が近付いた2人を表しているんだとさ」
「なるほどね、誰が考えたか知らないけど凄い発想だな」
「しかし遠距離恋愛か……そういえば私も2年8ヶ月ほど経験したなぁ」
「うっ」
「しかも私の一方的な想いだけだったなぁ」
「えっと……」
「なんといっても相手は完全に私の事を忘れていたぐらいだからなぁ」
「………………」
「そこんところ、お前はどう思う、ジン?」
・12月22日 『労働組合法制定記念日』
「ふと思ったんですけど、この学園の教員たちにも労働組合ってあるんですか?」
「本当にいきなりだな直江。だが何故そんな事を聞く?」
「あれだろ、確か今日が『労働組合法制定記念日』であり、この学園がたまぁにだが労働組合法に抵触している様な気がしたんだろ?」
「よくあれだけの質問で読み取れたな……だが抵触しているように見えるのか?」
「いやぁ……時々なんですけど、ここの学園の教員って割に合わない様なことしているような気がするんですよね……」
「否定はしないがな」
「否定しろ馬鹿者。直江の質問だがちゃんと労働組合はあるぞ。だがどの先生もちゃんと納得済みでこの学園に来ているのだらかそれほど不満はないだろうな」
「まあ、私の場合は不満があったらすぐに辞めればいいだけだしな」
「お前は本当に自由奔放だな」
「食うに困らない資格ばかり持ってる人ですからね……」
・12月23日 『天皇誕生日』
「今日は『天皇誕生日』という事で祝日らしいが、みんなは祝わないのか?」
「確かに天皇誕生日だけど基本的には国民の祝日の1つだよ」
「そうなのか……日本の天皇は神の血を引く言われているがそれは事実なのか?」
「えっと、古事記や日本書紀ではそう書かれていますけど、それに載ってる神話は作り話のものもありますから、正確なところは分からないんですよね」
「そうなのか……それなのに国民の象徴なのか?」
「歴史の流れから象徴となったと考えていただければいいかと。それと知っていました? 日本の皇室は現存する世界の王朝の中で最長の歴史を有していると言われているんです」
「なに!? そうなのか!?」
「はい。6世紀前半に即位した継体天皇以降、今上天皇に至るまでの皇室系譜はかなり信憑性が高いらしいので、少なくとも1500年以上は続いています」
「それは凄いな……なるほど、それならば神の血を引いていると言われても信じてしまいそうだな」
「私はそれより、ジン兄の一族の方が神の血を引いていると言われたら信じちゃうかな。なんか物凄く信憑性高そうじゃない?」
「「否定できない……」」
・12月24日 『クリスマス・イヴ』
「まさかこんな所でクリスマスを過ごすとは思わなかったぞ」
「たまにはいいだろ? ま、個室だからマナーとかは気にするな」
「それ以前に、私としてはお前がフランス料理のテーブルマナーを知ってる方が驚きなんだがなジン……」
「テレビでやってたものの見よう見真似だよ」
「そうか……それで? この後のご予定は?」
「部屋も予約してあるし、上の階のバーにでも行こうか」
「……お前が率先してお酒を勧めてくるとはな。いつもなら『未成年なんだから』とか言って真っ先に注意するのに」
「ま、今日はクリスマス・イヴだからな。さっきも言ったけど、たまにはいいだろ?」
「ああ、そうだな。それじゃあ――」
「改めて――」
「「MaryChristmas」」
§ § §
「寒くない? ユキ?」
「はい、大丈夫です」
「ごめんね、せっかくのクリスマス・イヴなのに凛奈さんのパーティーに付き合わせちゃって……最後なんて殆ど酔っ払いの宴になっちゃったし」
「あはは……でも十分に楽しめましたし、ありがとうございましたヒロさん」
「僕としては、出来れば2人っきりで過ごしたかったんだけどな……結局は凛奈さんの押しに負けちゃって……」
「ふふ、でもヒロさん、まだクリスマス・イヴは終わってませんよ?」
「はは、そうだね。それじゃあ行こうか。まずは駅前のイルミネーションを見て、その後の事は歩きながら考えようよう」
「はい!」
§ § §
「うわ~! 凄いね大和!」
「まったく……行きたいところがあるって言うからどこかと思えば、学園かよ」
「だって雪が降ってるし積もってるのよ!? 誰もいない広いところで見てみたいじゃない!」
「まさに犬は喜びなんとやら、だな」
「大和は楽しくないの?」
「いや、お前と一緒ならどこにいても楽しいよ一子」
「えへへ……ねぇ大和」
「ん?」
「大好き!!」
(三者三様のクリスマス・イヴ。時系列的には本編終了1年後のクリスマス・イヴといった感じで)
・12月25日 『葵冬馬の誕生日・クリスマス』
「今日はトーマの誕生日なんだよね?」
「そうですよユキ、実は私はキリストの生まれ変わりなんです」
「さらりととんでもない嘘をつくな若。そもそもキリストの誕生日ってのは後付けで、本当はいつなのか分かってないだろ」
「冗談が通じませんね、準は」
「でも『クリスマス』ってどういう意味なの? なんで24日を『クリスマス・イヴ』って言うの?」
「『クリスマス』の語源は英語の『Christ's Mass』で『キリストのミサ』という意味なんですよ。そして『イヴ』とは『evening』と同義の古語『even』の語末音が消失したものですから、正確な意味で『クリスマス・イヴ』とは12月24日の夜の間だけなのですよ」
「ほー、そりゃ知らなかったな。それよりも若、いいのか? パーティーから抜け出して。昨日の本パーティー程ではないにしろ、今日もそれなりに関係者各位が集まってんだろ?」
「昨夜、顔を出したので大丈夫ですよ。それよりも2人と一緒に過ごす方がよほど有意義なクリスマスですよ」
「うん! 僕もトーマと準と過ごせて嬉しいよ!」
「ま、若がいいんだったらとやかく言わないさ」
「ええ、では行きましょう、準、ユキ」
(3人が小6、中1ぐらいの頃。冬馬にとって自分の誕生日すら忘れている父親のパーティーよりも、小雪や準と一緒にいた方が楽しい。それを理解して何も言わない準。複雑な事は分からないけど一緒にいられて嬉しい小雪。といった感じです。)
・12月26日 『ボクシングデー』
「くらえ! 俺様の必殺パンチ!」
「当たるかよ! 俺のフットワークは止められないぜ!」
「おいモロ、キャップとガクトは何をやっているんだ?」
「なにって……ボクシングでしょ?」
「見れば分かる。だから何でボクシングをしているんだ?」
「今日が『ボクシングデー』っていう外国の記念日だって言ったらいきなり始めたんだよ」
「勘違いも甚だしいな。そもそも『ボクシングデー』ってのはクリスマスプレゼントをの箱を空ける日、あるいはクリスマスにカードやプレゼントを届けてくれた郵便配達人や使用人にプレゼントをする日のことで、決してスポーツのボクシングとは違う」
「外国の記念日なんだから勘違いしてもしょうがないんじゃないかな?」
「ヒロの言う通りなんだけどな……ちなみにどっちが勝つと思う?」
「僕はガクト」
「それじゃあ公平を期して僕はキャップ」
「兄弟は?」
「凛奈さん乱入でダブルノックアウト」
「「「え?」」」
「静かにしろくそガキども! こっちは徹夜明けなんだ! ゆっくり寝かせろ!」
「「ぐはぁ」」
・12月17日 『ピーターパンの日』
「キャップ、なに読んでるんだ?」
「大和か。これ結構面白いぜ」
「『ピーターパン』? しかも原本直訳のやつか」
「まあな、バイト先の本屋にあったから借りてんだ」
「相変わらずマニアなチョイスだなあの本屋は。しかしキャップにピーターパンか……何か意図的な揶揄な気がするなぁ」
「うん? なんだよジン兄」
「何でもない。そういえば今日が『ピーターパンの日』なのは知ってたか? イギリスの劇作家ジェームス・バリーの童話劇ピーターパンがロンドンで初公演した日なんだってさ」
「へぇ、そんな日があるんだ」
「キャップは別の意味でもずっと『ピーターパン』な気もするぜ」
「まあ、少なくとも俺と兄弟とヒロは別の意味でも『ピーターパン』に当てはまらないけどな」
「テメェ大和! そりゃ彼女持ちの余裕か!?」
「下世話な例えをしておいて、それを取って返されたから逆ギレ……どう思うタカ?」
「僕に振らないでよ卓也君」
・12月28日 『身体検査の日』
「ちょ!? モモ先輩! どこを触っているんですか!?」
「減るもんじゃないからいいだろ~」
「むしろ増えるかもね、ククク」
「まゆっち相変わらず凄いわ。どこもかしこも」
「あの……そうんな風に見られると恥ずかしいです」
「……1888年・明治21年のこの日、文部省、現在の文部科学省が全ての学校に毎月4日に生徒の身体検査を実施するように訓令した。故に今日は『身体検査の日』とされているんだって」
「なるほど、ヒロが部屋の前で門番しているのはそういうわけか……それを聞いた姉さんが女子連中に『身体測定をやろう!』とでも言ったんだな。で? それを吹きこんだ奴はどうした?」
「部屋の中を覗こうとした罰でジン兄の折檻を受けてる」
「やっぱり馬鹿ガクトか」
・12月29日 『シャンソンの日』
「今日は『シャンソンの日』らしいけど、そもそもシャンソンってどういう意味なんだろうね?」
「しゃんそん? それって何かの食べ物?」
「シャンソンとは楽曲のジャンルだろ。相変わらず食い意地が張ってるな犬は」
「うっさいわね!」
「えっと、そもそもシャンソンとはフランス語で『歌』を意味するもらしく、現代のフランス語圏内では歌全般の意味として、他言語圏では『フランス語で歌われる曲』という意味で使われているそうで、特定のジャンルの楽曲を指すもではないらしいですよ?」
「む、そうなのか? しかしまゆっちは博識だな」
「いえいえ、凛奈さんからお聞きした知識ですから自慢するほどの事では……」
「しかし、まゆまゆは凛奈さんとそういう話をよくするのか?」
「はい! 凛奈さんは作家という職業柄なんでしょうか、いろんな知識を多く持っていらっしゃって大変ためになるんです! この間もお泊りした時にいろんな事を教えていただきました!」
「凛奈さんの家にお泊りって……」
「それってイコール、タカの家にお泊りって事だよね」
「そうか、保護者公認なのか。よかったなまゆまゆ」
「うぇい!?」
・12月30日 『地下鉄記念日』
「今日12月30日は『地下鉄記念日』。1927年・昭和2年に上野~浅草に日本初の地下鉄、現在の東京地下銀座線が開通した。つまり、日本は地下鉄が通ってからまだ100年もたっていないんだよね」
「モロ! そんな蘊蓄を今言っている場合か! 我々は既に聖戦に出遅れているのだぞ! このままでは間違いなく計画していた『
「いや、そもそもスグルが寝坊したのが1番の問題でしょ。1日目の興奮が抜けきらずに寝付けなかったって……遠足前の子供じゃあるまいし」
「ふん、そんなんだからお前はまだまだ半人前の2次元人なんだ」
「寝坊して冬コミに遅れるのは一人前の2次元人のする事なの?」
「ぬぐぅ! おのれモロォ」
「はいはい、駅についたよ。乗り換えるんでしょ?」
「おお! そうだ! 今は言い争っている場合ではない! 走るぞ! モロ!」
「はいはい」
・12月31日 『大晦日』
「お、除夜の鐘が始まったな」
「もうそんな時間か」
「今年は撞きに行かないのか?」
「こうしてお前とくっついて炬燵に入ってるというのに、なんでわざわざ寒い所に行かなきゃならんのだ」
「どうせあとでみんなと初詣に行くんだ。今、寒い外に出たところで余り変わらないだろ。それに行くって言ってもすぐそこの境内だろ」
「みんなで行くなら別に構わんが、せっかくの2人きりなんだぞ? 暖かい所にいたんだよ。それよりもミカン、ミカン」
「はいはい。ほら、口開けろ」
「あ~ん。うん、美味いな」
「そういえば、カズが初詣の時に振袖を着るって言っていたけど、お前も着るのか?」
「そのつもりだ。私の艶姿を見て惚れ直せよ」
「期待しておくよ。それじゃあ――」
「ああ――」
「「今年一年、お疲れさまでした」」