サクラ大戦~暁の勝利へ浪漫を刻め~   作:自分不器用ですから

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うん、息抜き(´_ゝ`)


第弐話~飛翔~

 

 

 

??

「ドラァッ!」

 

一華

「よっ」

 

艦橋部にやってくるなり、いきなり目の前に拳が来たが軽くいなす。

 

一華

「いきなりは酷いんじゃないかな、雪吹」

 

そこにいたのは挑戦的な笑みを浮かべた長身の女性で黒髪を乱雑にサイドで縛

る髪型にしてその拳の一撃で分かるがかなり体術に長けている。

 

雪吹

「いいじゃない、いいじゃない。あたしも久々の召集で訛っててさ~?ロー

 レルの奴からお前が抜錨するっていうからテンション上がってるんさ」

 

彼女の名前は『春雨型駆逐艦六番艦・雪吹』。通常の駆逐艦の主砲は威力が

低くて撃った気がしないという理由から特注の大型リボルバー型の主砲を扱い

さらには接近しての肉弾戦も考慮した短刀術も習得している。

性格は一言でいえば『豪傑』、悪く言えば『大雑把』だが見た目に反して戦い

で傷つき戦線を離脱せざる得ない艦娘達の保護と復帰の手助けもしている。

 

初月

「まったく、お前はいつも通りだな。乱暴で粗雑もいいところだ」

 

雪吹

「おうおう、優等生ちゃんのハッキ―も相変わらずだね~?」

 

初月

「だからハッキ―とかいうわけのわからないあだ名をつけるなッ!」

 

雪吹

「おっとッ!」

 

強烈なハイキックをミドルキックで相殺してある意味での挨拶が終わったようだ。

 

初月

「だが実力は前と変わらずみたいだな、雪吹」

 

雪吹

「当たり前だろさ、あたしは鍛え方が違うんでね~?そっちも練度落ちてねぇな」

 

初月

「当然だ」

 

そして怒涛の如く乗組員が入ってくる。ハッチが開くと同時に何かが飛んできた。

腰の下まである赤毛の長髪が目に留まった直後に軽い衝撃が来た。

 

一華

「おっと、なんだ、リヨンじゃないか。元気だったかい?」

 

リヨン

「・・・・・ッ!」

 

一華に抱き着いてきたのは初月と同じくらいの背丈の少女で見た目からは想像

出来ないのだが実は超弩級型戦艦なのである。

彼女はフランスの超弩級戦艦『リヨン級戦艦1番艦・リヨン』だ。

 

雪吹

「この見た目でパワーはわたし以上ってんだから分からないもんだよな~?」

 

そう言いながらリヨンの頭をポンポンと叩きながらクシャクシャと撫でる。

 

リヨン

「~~♪・・・・・ッ」

 

一華

「頭を撫でるのは嬉しいけどクシャクシャするのはやめてほしいそうだよ」

 

初月

「わたしも今だにリヨンの意思疎通が難しい・・よくわかるな、一華」

 

彼女は基本的にしゃべらないのだが物凄く一生懸命に意志を伝える事はするの

で一華とローレルに関してはそれが理解できるらしく会話も成り立っている。

 

????

「Bonjour、イチカ?元気そうで何よりです」

 

そういって右手で軍隊式の最敬礼をしてきたのはリヨンと同じフランス出身の

航空母艦で『クレマンソー級航空母艦・シャルル・ド・ゴール』だ。

最新式の航空母艦でフランスにある同盟組織の技術をつぎ込んだ空母らしい。

 

一華

「シャルも来てくれたのか。心強い、よろしく頼むよ」

 

笑顔で前で組んでいた両手を取ってしっかりと握り、歓迎する。

 

シャルル

「い、い、いえ!?Admiralにそんなお言葉、恐悦至極です。粉骨砕身

 の覚悟でた、た、戦わせていただきま―――ふぅ!?い、痛いぃぃ・・・」

 

一華

「だ、大丈夫かい、シャル(汗。」

 

先ほどまでのキリッとしたクールな眼差しの美女はどこへやら一華に過度(本

人レベル)なスキンシップをされたせいで素の状態が出てしまった。

 

??

「おうおう、また随分と賑やかな乗組員になったもんだ。儂の乗る舟ってのは

 毎度毎度、大事に首ツッコむか、死にに行けって航路ばかりだわな」

 

そして最後に現れたのは白ひげにボロボロな海軍帽を被った老軍人で一華も

良く知る人物で剣の修業とは別に軍法など戦術を教わった人物だ。

名を『防人 叡智』海軍階級は大将。その名を象徴するとおりに軍略に長けた

軍人であり、ある鎮守府では最小限しかない物資で本体が来るまで数週間もそ

の知略と戦略で護りきったという手腕の持ち主。

 

一華

「叡智爺様も元気そうで何よりだよ。一基の爺様がまた将棋がしたいってさ」

 

叡智

「あの頑固爺め。まだ儂との勝負が一敗負け越してるの気にしとるんか、歳

 くって寝込むのが多くなったと聞いたが負けず嫌いは相変わらずだわな」

 

そんな話をしながらゆっくりとこれから自分が座る事になる定位置の椅子に

手を置いて少し物思いに耽る。

 

叡智

「何度立ってもこの椅子の前は足が竦みやがるわな~・・・さてと・・・」

 

椅子にゆっくりと腰掛けて一度背をしっかりと預けた後に煙管に火を通して

一くぐりさせると大きく煙を吐いてその眼に老獪な鋭さが戻る。

 

叡智

「全員、最初に言っとくぞ。勝たなきゃ意味がねぇ、だからこそ戦うだけを

 考えるな。勝つために戦え、勝つために退け、勝つために耐えろ、勝つた

 めに泣いて、そして最後に勝って・・・笑おうや」

 

一華・雪吹

「ああ」「押忍ッ」

 

シャルル・初月

「「了解!」」

 

ローレル

「生きてさえいれば勝機はありますもの」

 

リヨン

「・・・・!」

 

全員と意志を確認し合った叡智は老獪な笑みと共に目的地へと船を進ませる。

 

叡智

「さぁて目的地の呉鎮守府まで急ぐとするわな。あそこの提督も艦娘達もまだ

 まだ練度不足・・・ちぃと心配だったんだよの~、儂」

 

初月

「確かあそこは深海凄艦達の勢力が多く確認されている区域だったはずだ。な

 ぜそんなメンバーを重要拠点に?」

 

雪吹

「俺も何度か異動しながらここに来たがある鎮守府じゃまともな物資もなくて

 それで激戦レベル戦わないといけねぇってのもあったからな。それに比べれ

 ば首都の物資は充実してる、老害の集まりは安全区域に、いくらでも御国の

 ため家族のためと入隊してくる若い経験もない奴らは次々に鎮守府異動・・

 ・・ってなもんさ」

 

ある意味では軍というものの根強い悪性の病気のようなものだった。

 

ローレル

「練度の高い艦娘もほぼ中央の守り。それに艦娘はその艦に対して1人という

 わけではないわ。それぞれが部分的な記憶を引き継いでしかも不思議な事に

 沈んだ艦娘の代わりに沸いたように同じ記憶を持った子が生まれている」

 

シャルル

「どこの国でも実態は似たようなものです。我々の国でも恥ずかしながら同様

 な輩はいる・・・仲間もそれの犠牲になった」

 

リヨン

「・・・・・。・・・・?」

 

不安そうなリヨンの頭を優しく撫でながら全員を見つめて一華が言う。

 

一華

「大丈夫さ、何があろうと関係はない。僕が負けなければ必ず護れる」

 

何の迷いもない自らの自信と実力に裏付けされた言葉を口にした。

 

叡智

「はっはっはっはは!!こりゃ頼もしい若造がいたもんだわな、儂が教えて

 た弟子らにもお前さんみたいな自信しかない奴でもでてこんかねぇ~?」

 

そういって背中をバシバシと叩きながら愉快そうに豪快な笑いが響いた。

 

雪吹

「また張り切り過ぎてドジやらかさないようにあたしにも任せておけよ、一華?

 これでも付き合いはなげぇんだ、動きは一番わかっぜ?」

 

ローレル

「要するに全部自分で背負わないでわたしにも頼ってって事ね、雪吹?」

 

初月

「素直じゃない奴め」

 

シャルル

「要するにこれがよくあるツンデレって奴なのね」

 

リヨン

「(ツンデレ)・・・・!」

 

雪吹

「てめぇら!勝手に人にキャラ属性つけるんじゃねぇ!!?」

 

一華

「ぷっ・・・はっはっは!勿論、皆も頼りにさせてもらう。だからこそ呼ん

 だんだ。俺が自信を持って選んだ2つの『かげきだん』のメンバーだからね」

 

雪吹

「つってもわたしはそっち系はどうにも苦手なんだがよぉ~・・・」

 

実をいうとここに揃っているメンバーはそれぞれが演劇や舞踊などの知識や

技術などを付けている。

理由としては彼が帝国華撃団を継いだ場合にそれの別の顔でもある『歌劇団』

としても活動するために戦うだけでなく部隊で舞い、演じる事もそれぞれの

メンバーなりに考えて訓練してきていたようなのだ。

 

シャルル 

「わたしはダンスとミュージカル中心でリヨンは歌を練習したのよね」

 

リヨン

「・・・・・(コクコク)」

 

初月

「何!?リヨンが歌だと!わたしも付き合いはそこそこだが声を聞いた事が

 ないというのに・・・・ッ!で、どうなんだ?出来の方は?」

 

シャルル

「それがわたしも教えてもらっていないの。知っているのはローレルだったかしら」

 

リヨンはローレルに抱き着いているようで彼女もよしよしと頭を撫でながら

笑みを浮かべながら率直な感想を述べた。

 

ローレル

「基本的にあまりしゃべらない子だから、発声が十分とは言えないけど声の質

 はとてもいいと思うわ。後は一生懸命に練習ね、ねぇ~、リヨン?」

 

リヨン

「~~♪」

 

頷きながらローレルの胸にギューと顔を埋めて甘えているようだ。

 

一華

「戦艦としてのポテンシャルは高いがまだまだ歴としては幼いからね」

 

とは言え、そこは最新式の超弩級戦艦で性能は申し分ないが後は経験のようだ。

 

雪吹

「ハッキ―は何やってたんだっけ?」

 

初月

「ハッキ―と言うなッ。わたしは全般をやっている、歌はもちろん、ダンスに

 演技、さらには演奏と何に置いてもこなせるようにしてきた」

 

叡智

「後はチームとして周っていけるようにてめぇらでしっかりするこった。そこは

 隊長兼務支配人のお前さんの技量ってやつだわな、一華」

 

彼自身もローレルや元帝劇メンバー達にそういった部分も習っているので後は

実際に戦闘もそうだが歌劇の部分でもしっかりとやっていけるかだ。

戦闘とは違ってそちらに関しては少し不安材料もあるようだ。

 

ローレル

「まぁ・・・それに関してはわたしも指導したけど・・・(汗。」

 

最早、その苦笑が全てを物語っているようだ。

 

一華

「踊りや演技ならまだいいんだが・・・歌は苦手だなぁ~・・。それを考えると

 リヨンは凄いな。苦手な歌もしっかりやれるようになるなんて」

 

リヨン

「・・・・(///)」

 

叡智

「だがよぉ~、そんなに上手いってんならローレルの奴と一緒に歌ってもらいてぇ

 もんだなわな。輪唱って言ったかよ」

 

ローレル

「あらあら・・・・んっ?この反応は・・・・」

 

何かに気づいたローレルが1つの水晶を浮遊させてそこに投影映像を映す。

 

雪吹

「にしても何度見ても凄いよな。遠くの映像をここに立体的に出せるってんだ

 から。昔あったすげぇ軍艦から貰ったんだっけ?」

 

元々この力は彼女が唯の潜水艦だった時に大破した彼女を助けたある軍艦から力

を譲り受けて他の艦娘を凌駕する力を持っている。

だが元から長時間の戦闘が出来ない体質なので力を活かしきれない部分もある。

 

一華

「これは艦娘と深海凄艦の戦いか?そろそろ呉鎮守府の防衛圏内に入る頃か」

 

叡智

「おい、相手艦載機が出てんのに味方は何してやがんだッ?駆逐艦と軽巡だけ

 じゃ落としきれる数じゃねぇわな」

 

さらにローレルが広範囲を索敵するとさらに遠くに反応があった。

 

シャルル

「どういう事、何で単艦であんな場所に?近くに敵機もいる可能性もあるわ」

 

リヨン

「・・・・ッ!・・・・ッ!」

 

リヨンがしきりに一華に何かを訴えている。どうやら助けに行こうというらしい。

 

初月

「確かに防空専門の艦娘もいないようだし、単艦の方も気がかりだ。ボク達で

 出よう。どの道は会う事になるメンバーだ」

 

一華

「距離的に単艦の艦娘の方には僕が行こう。新たな機体の動作確認もしあいか

 らね。もう片方には初月、シャルルが行ってくれ。リヨンと雪吹の2人は

 この艦の守りを。叡智爺様、指揮を頼むよ」

 

叡智

「おうよ、そんじゃま、一華ッ!初号令だ、気合入れていけやの!」

 

そういって彼に視線を向けるメンバーを見つめて初の号令をかける。

 

一華

「帝国華撃団・花組、出撃!そして全員、またここに帰還せよッ」

 

一同

「了解ッ!」

 

叡智

「よし、潜水艦ローレライ、浮上!海面到達後、各艦娘は抜錨だわな。一華は

 《天武神威》に搭乗して発進準備だ、油断するなぁ~?」

 

一華

「ああ、行ってくる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

??

「ようやくこの日が来たんやねぇ~。ずっと整備してたんやから」

 

彼の愛機となる霊子甲冑《天武神威》に乗り込んで最終調整に入っていた。

そしてその調整を行っているのはこの神武の開発にかかわっている若きエンジニア

であり、一華の心強いサポート役の1人『李白蓮』愛称『ハク』だ。

 

ハク

「霊子ケーブル、接続完了。天武との霊子調和も良好・・・稼働率高水準を

 キープ。一華、今は積んでいる武装が基本装備しかないから気を付けて」

 

一華

「問題ないよ、剣があれば僕は戦える」

 

服装もこの神武用の霊子戦闘服を着ており、動作をしっかりと確認する。

 

ハク

「フライトモードの感触は大丈夫か?一応、特訓してって聞いたんやけど」

 

一華

「ああ、空軍で一番速い戦闘機で練習したからね、問題はないと思う」

 

ハク

「OK。メインエンジン出力調整完了、各接続部問題なし、艦長行けるよッ!」

 

指令室で待っていた叡智はその言葉を聞いて海面に船体を上げ、天武神威の発

進用カタパルトを展開してゲートラインが全てグリーンになる。

 

ハク

「システムオールグリーン、天武神威、発進、いつでもええよッ」

 

一華

「神大寺 一華、天武神威、出るッ!」

 

一気にフライトエンジンの出力を上げ、カタパルトから射出されると両翼を展

開してそのまま大空へと飛び立っていった。

 

ハク

「よっしゃ!全て起動動作に問題なし、全出力水準値大幅クリアやッ!」

 

叡智

「まずは第一関門突破って奴だな、さぁてと巧くやってくれよ、皆」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦闘海域から少し離れた場所で1人の艦娘が敵の深海凄艦一機を撃破して一息

をついていた。

 

??

「んっ・・・やだ・・髪が乱れちゃう」

 

だが気づいていなかった、耳元を吹き抜ける風の音で近づいていた敵軽空母の

艦載機とその本体に。

だが規則正しい水音が乱れたのを聞いて振り返るとそれは目と鼻の先にあった。

敵の艦載機から発射された爆弾が回避不可能なタイミングが視線に映った。

 

??

「ッ!?」

 

刹那、自分の全てを砕け散らすような衝撃と爆音、熱が全身を襲い、すぐに全て

の感覚が途絶えるような衝撃の直後に聞こえたのは水に『モノ』が沈みゆく音。

 

??

「・・・・・」

 

これが走馬灯というのか、今まであった事、楽しい、悲しい、嬉しい、思い出が

流れ、そして大切な仲間や妹の艦娘の顔が思い浮かぶが意識が消えていく。

そして最後に言葉がついてでた。

 

如月

「如月の事・・・・忘れないでね・・・・」

 

そして深海へと沈み、消え行く意識の中で見たのはこちらに邪悪な笑みを浮かべ

る底に生き、底を総べる者達の伸び往く絶望の掌だった。

 

 

 

 

 

~TO BE CONTINUED~

 

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