今回は軽い裏話もご用意しました。
ブランクもあるので大目にお願いします。
「………………すみません、その質問は場所を変えてお願いできませんか?あまり知られたくないことです。」
「分かったよ!幸い、みんなにはまだ聞こえてないからね!」
天津はクラスの皆に聞かれてなくてホッとしていた。
烏間先生もそのことに無反応だ。
その会話の後、クラスの皆が2人へと走り寄る。
「すげぇよ新太!お前、あんな技使えたんだな!」
「天津君も凄かったよ、うん!マンガの主人公みたいだったよ!」
「2人とも、よくあんな動きできたな!いいもん見せてもらったよ!」
飛び交うのはどちらか一方だけでなく、両者への賞賛の言葉。
どちらが勝ってもおかしくない緊迫した闘いだったのは事実で場のテンションはヒートアップしていた。
烏間先生は少し遠くからその様子を見ていた。
(まさか、あの「ACE」と頭脳戦を繰り広げ、その正体を見抜くとは…。新太君の行動には驚かされるものがあるな。負けたとは言え、天津君の「ACE」の力も見せてもらった。しかし、新太君の近接戦でのあの動き……)
烏間先生が今回の勝負の分析を行っていると、突如風が吹き起こる。
「どうしました、烏間先生?」
「気安く肩を組むな。」
烏間先生のナイフは殺せんせーの頭を狙うが案の定空を切るだけだった。
場のテンションが下がるには、もう少し時間がかかるのだった。
「そんじゃな、新太。」
「また明日ね。」
「うん!まったねー!」
新太は杉野と渚をE組校舎から出ていくのを見送る。
見えなくなったのを確認すると、校舎に誰もいないことを確認して裏山へと向かうのだった。
そこには、天津と銀髪の中年くらいの男性が立っていた。
スーツにグラサンをかけているため、その手の人に見えてしまう。
「彼は使用人のニック·エンヴァーです。ヤクザにみえるかもしれませんがご安心を。」
銀髪の中年、もといニックはサングラスを外し、新太に一礼する。
そして、すぐにサングラスをかけ直す。
「それで、あなたの頼み事は私が「ACE」かどうかでしたね。どうしてそう思ったのですか?」
付き添い人の紹介を終えると、天津はすぐさま本題へとはいる。
天津としては自分が「ACE」ということは周りには知られたくない事実。
そのため、E組のみんながいない、2人になれる状況を生み出した。
ハッタリかそうでないにしろ、新太の発言の真意を確認しておく必要がある。
「うーん、一言で言えば………………勘。」
「…………………はい?」
何を言うのか天身構えてたところ、新太から飛んできたのは根拠のない言葉で天津は思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。
「天津君見てたら全く殺意感じないし、どちらかと言ったら僕と同じ観察してる感じがあったんだよね。僕のは殺すための観察だけど天津君のは何か違う感覚だったんだ。」
「なるほど。しかし、根拠としては薄くないですか?」
新太の話した根拠に即座に指摘を入れる天津の言う事はごもっともだ。
本当に新太の勘によるところが大きく根拠らしい根拠ではないのだ。
「もちろん、それだけじゃないよ。そもそも、天津君がE組に入ってきたのがおかしいんだ。」
その言葉に天津は不可解な表情を顔に出す。
天津とて、E組が椚ヶ丘中学の中でも落ちこぼれが行くクラスなのは知っていた。
入ること自体はどうとでもなるはずでは……と思っていた。
「E組ってね、成績不振や素行不良の人が落とされるクラスで、転校生は少なくともD組に入るはずなんだよ。時期として転校生は珍しくないけどE組の特殊性からしたら転校生が来るって充分不自然なんだよね。」
新太の話を天津はほうほうと頷いている。
E組の冷遇処置の点から話した新太の話は天津も納得できた。
「最初は暗殺者かな…と思ったんだけど」
「それなのに殺意もまるでなく、観察している。暗殺以外の目的できているかも……てことですか。」
新太の話を遮るようにこの後出るであろう結論を話す天津に「そういうこと」と新太はニコッと笑う。
確かにそれらを考慮したら、ありつく結論は殺せんせーを造った研究者かそれを調査する人。
しかし、殺せんせー自体世には非公開のことでありつける人間は限られてくる。
研究者だと非合法の実験で造られた殺せんせーの存在を知られたくないはずなので真っ先に殺そうとするはず。
しかし、そうでないとするなら後者、調査する人。
世の中にヒントが少ない中、殺せんせーの存在を知るには相当な推理力、調査力が必要。
それに見合う人物がエースではないか。
これが新太の考えだ。
「……………でも、流石だね。僕が全部話す前に僕の意図を全部読んじゃったみたいだね。」
「いえいえ、私の方こそ感服です。まさか、こんなに早く私の存在に気づく者がいるとは……」
「嘘はつかないんだね。」
「賭け………ですからね。」
天津はまいったというように頭を掻き出す。
黙って聞いていたニックも新太に感心した面持ちをしていた。
新太は「そういえば…」と頬に指をあてがい話す。
「もし、天津君が賭けに勝ってたら、どんなことを頼むつもりだったの?」
目をキラキラさせながらそう話す。
その表情に天津は言おうかどうか迷っていたが結局は折れてしまい話してしまうのだった。
「私が勝ったら…………友達………………になってと頼んでました。」
その発言に新太は「へ!?」と声を漏らす。
「失礼」とニックが前に出ると本人に代わってその説明を代弁する。
「彼は昔から頭が良く、同学年から疎まれがちでしてね。周りとの関係が閉鎖的で友達が出来たことがございません。そのため、今回ここに転校したのはそういう意味もあったのです。」
ニックから簡単な説明を受けると納得した表情の新太。
ふー…と軽く息を漏らす。
「天津君って、頭いいけどアホだよね。」
新太の言葉に天津もニックも驚きの表情を顔に出す。
なぜ、急にそんなことを…。
2人には到底理解出来なかった。
「そんなの賭けの景品って勿体ないよ。言ってくれたらいくらでも友達になるよ。天津君が人を大事にしない人なら話は別だけどそんな人じゃないだろうし。」
「でも、どう接すればいいか分からないのです……」
「そんなの僕にも分からないよ!人それぞれだから正解なんてないだろうし…。だから、自分らしく振る舞うんだよ!天津君の過去にどんな人から疎まれたか分からないけどここではそんな人はあまりいないよ。少なくとも、僕はそうだし。分からないなら、僕と一緒に天津君の正解を探そうよ!」
新太の言葉の真意を天津は心から受け取る。
そうか、これが人の温かさなのか…と。
今まで機械越しでの話が多かった天津にとって初めて触れる人の心だった。
それを感じ取った天津は少し口角を上げて「はい。」と短く答える。
その光景を微笑ましく眺めるニックの目には薄らと光るものが浮かんでいた。
《裏話2》
特訓をしている新太とそれを見ていた千葉のやりとり。
新太「ニックネームつけていい?友達にはみんな付けてるからさ。」
千葉「そうなのか。まあ、いいけど……」
新太「じゃあ、これから龍ちゃんって呼ぶね。」
千葉「いや、それはやめて。」
新太「なら、チーバくんでどう?」
千葉「なんか……千葉県から苦情が来そうなんだが…」
新太「そんじゃ、ミッキー〇なら大丈夫?」
千葉「それ、千葉県から繋げたな!!しかも、それは削除される!!ちゃんと伏せ字にしろ!!」
このようなやりとりが30分続いて結局、チーバくんで収まることとなる。
新太の弱点②:著作権なんてお構い無し
次回はカルマ登場の回です。
カルマの登場により、E組に事件が!?
登場初日でカルマが命の危機に!?
果たして、カルマの運命は!?
次回、「食べ物の恨みは何より恐ろしい」
をお送りします。