突然発生したウイルスにより大人たちが死に絶え、吸血鬼が地上世界を支配し、人間社会が崩壊してから8年。
人口は十分の一に減り、ヨハネの四騎士と呼ばれる異形の生物が街を闊歩している。
だが、人類はそう簡単には滅んだりはしなかった。
生き残った人間たちは集まり復興作業を始めていた。
しかし、吸血鬼たちは人間を襲い、血を得るために人間を攫う。
そして、その吸血鬼に対抗する組織、日本帝鬼軍が作られ、吸血鬼と戦っている。
その日本帝鬼軍の中で、吸血鬼討伐部隊・月鬼ノ組と呼ばれる組織がある
彼等は鬼呪装備と呼ばれる吸血鬼に対抗できる武器を手に吸血鬼と戦う。
渋谷にあるマンションの一室。
寝室のベッドで眠る男の名は、
日本帝鬼軍吸血鬼殲滅部隊“月鬼ノ組”所属の軍人だ。
「おい、和眞!いつまで寝てるんだ!早く起きろ!」
同じく“月鬼ノ組”所属で、“月鬼ノ組”の制服を来た少女、三宮三葉がエプロン姿で現れる。
「う~ん……………あいよ」
和眞は眠気と戦いながらベッドから降り、自身の制服へと着替える。
ただし、制服は“月鬼ノ組”の制服ではなく、第二渋谷高等学校のものだ。
リビングとなっている部屋に入るとテーブルの上には朝食が並んでいた。
「遅い!早くしないと遅刻するぞ!」
「わかったよ。じゃ、食べるか」
「「いただきます」」
手を合わせ、三葉の手作りである料理を食べる。
「うん。うまくなってるな」
「当然だ。あたしが作ったんだからな!」
「最初の頃、卵焼きをフランベしたのはどいつだっけ?」
「忘れろ!」
二人っきりだが、騒がしく楽しい食事をし、二人は玄関へと向かう。
「和眞は今日から監視任務だったな」
「ああ。監視対象は百夜優一郎って言う奴で、帝鬼軍所属で、二等兵。警備任務中に独断行動して命令違反。そして、一ヶ月間の謹慎処分だ」
「態々和眞が監視しなくてもいいだろ」
「ま、いいじゃねぇか。それに、俺自身コイツがどんな奴か見て見たいんだよ。それに、シノアと一緒の任務だ。退屈しないで済みそうだ」
楽しそうに笑う和眞を見て三葉は不服そうにする。
「あたしよりシノアの方がいいのか?」
「は?」
「そうだな!あたしは愛想が無いし、すぐ怒るし一緒に居ても楽しくないよな!その点、シノアは気の利いたジョークをするし、和眞とも気が合うし、和眞もシノアと一緒の方がいいもんな!」
和眞は「また始まった」っと言わんばかりの表情で、頭を掻く。
不貞腐れて拗ねだす三葉を和眞は、後ろから優しく抱きしめる。
「シノアとはあくまで親友だ。言っただろ。あの日………俺にはお前しかいない。お前と一緒に居たいって」
和眞の言葉を三葉は黙って聞く。
「ま、お前の前でシノアの話をした俺も悪かった。ごめんな」
「……ううん。あたしも拗ねたりして悪かった」
二人で謝り、最後に笑いあった。
「さて、そろそろ行くか」
「………待って」
高校の鞄を手に玄関を出ようとする和眞の制服の袖を三葉は掴んで止める。
「その……だな……えっと………」
頬を赤く染め、しどろもどろに何かを言い出そうとする三葉に、和眞は笑みを浮かべ、三葉の頬を優しく触る。
三葉は体を跳ねらせるようにして驚くか、すぐに落ち着き、目を閉じ上を向く。
和眞は三葉の唇に優しくキスをする。
三葉は嬉しさと恥ずかしさが入り混じった笑みになり、震えだす。
「じゃ、行ってくるな」
「ああ!気を付けてな!」
そう言って見送る三葉の左手の薬指には、和眞の左手の薬指にある指輪とおそろいの指輪があった。
三宮和眞
日本帝鬼軍吸血鬼殲滅部隊“月鬼ノ組”所属
三宮家婿養子
配偶者:三宮三葉