「貴方が好きです!私の気持ち読んでください!」
屋上にて、優が女生徒からラブレターを貰っていた。
女生徒はこの間の吸血鬼の襲撃の際に襲われた女生徒だ。
そんな様子を和眞とシノアはこっそりと眺めてたいたが、女生徒が居なくなると優の前に出る。
「いやー、流石吸血鬼から学校を救った英雄さんはモテモテですねぇ。今度はあの子を泣かせるんですか?」
「今度はってなんだよ?そんなことしてねぇだろうが」
「まぁ、童貞ですしね」
「シノア、テメェ……」
「だが、童貞は感心できないぜ、なんせ日本帝鬼軍は日々カップル成立を奨励してるからな」
「は?」
和眞は街の方を、壁の向こう側を見つめるように向く。
「知っての通り、人類は未知のウイルスで一度滅んだ。人口は十分の一にまで減り、壁の向こう側は荒野と廃墟しかなく、未知の化け物が闊歩する。この世界はもう人間には優しくない」
「ですが、我ら日本帝鬼軍は残った人々を取りまとめ増殖させて世界の覇権を狙う!さぁ産むのです!増えるのです!ビバ!不純異性交遊!」
シノアは優の周りを踊るかのように回り変なポーズを取る。
「てかさ、俺、この間の吸血鬼の戦いで実力認められて吸血鬼殲滅部隊に配属されたんだろ?なのに何でまだ学校に通ってるんだよ?」
「その辺は中佐に聞いてください」
「グレンのバカ!全然軍の執務室にいないんだよ!どうやって文句言うんだよ!」
「中佐のことを私に怒鳴られても………それに、殲滅部隊の訓練ならもう始まっているんですけどねぇ」
「んぁ?どういう事だよ?」
「簡単に教えると、お前が欲しがってる物は手に入れるための訓練は既に始まってんだよ」
そう言ってシノアは何処からか鎌を出し、和眞は大剣を出す。
「私が契約している鬼“四鎌童子”です」
「んで、こいつが俺の契約してる鬼で鬼呪装備の“天之村雨”だ」
「一応私達も吸血鬼殲滅部隊の一員ですからねぇ」
「これが…吸血鬼を呪い殺せる…鬼呪装備……これがあれば吸血鬼を……」
「いや、無理だね」
和眞は大剣を回転させながら言う。
「戦場じゃ、吸血鬼も武装してる。昨日の丸腰の吸血鬼とはわけが違うぞ。ましてや、昨日のは貴族でもない下級クラス。貴族相手じゃ鬼呪装備を持っていようが、死ぬ。だが、チームで行けば勝てなくても生き残れる。お前の場合、まず協調性を身に着ける所から」
「おい、和眞、シノア。そいつ寄越せよ」
和眞の話を聞かず優は刀を抜き、言う。
「面白い冗談ですね。他人が契約した鬼の武器は使えませんよ」
「なら、その武器の実力見せて見ろよ!」
「やれやれ」
「一般装備で鬼呪装備に立ち向かうとかどうかしてるな、優。…………やるぞ、“村雨”。バカにお仕置きだ」
和眞がそう言うと、優は次の瞬間、フェンスにぶつかり、倒れる。
「分かったか。これが今のお前の限界だ。吸血鬼を倒したけりゃ、まずはチームで動けることから学べ」
そう言うと、行き成り屋上の扉が開き、与一が現れた。
「助けて…優君!和眞君!」
「まーた いじめられてんのか?」
「それが…「待ってくださいよ与一さ〜ん」
背後から現れたのはこの前、与一を虐めていた山中達だった
「与一さん、あのエリートが集まる吸血鬼殲滅部隊への配属が決まったらしいじゃないですか!」
「今までいじめていたことマジで謝りますから、俺を舎弟にしてください!お願いします!」
「そ、そんな……僕舎弟とかそんなのいらないし……」
山中達が与一に詰め寄ってると、優がいることに気付き、優の方を見る。
「あ!優一郎の兄貴!自分山中です!あなた方と与一さんに吸血鬼から救ってもらった山中智です!!」
「妙な尊敬の矛先を俺に向けるな!」
「やれやれ、随分お友達が増えましたね」
「で、お前ら一体何をたくらんでる?」
和眞の僅かに殺気を込めた言葉に山中達はビビりながら話す。
「そ、それが…実は今、俺らすげぇ困ってて…」
「はっ、困ったらいじめてた相手に平気で頭下げんのかよ?最近の不良は随分プライドはねぇんだな」
優が吐き捨てるように言う。
「……いや、あんなことした俺がお前らに頼めるような義理じゃねぇのはわかってる。でも祐二が、俺たちの仲間が《開かずの扉》に行ったきり帰ってこなくて」
「《開かずの扉》?」
山中は下を向き言った。
「はっは~ん、あなた達、軍管理下の立ち入り禁止区域に入ったんですね?」
「えっと……その……」
「言い訳はいい。大方度胸だめしで入ったんだろう」
「あそこに入ったものは軍に捕まり、厳しい罰を受けます。…死刑の可能性もあります」
「そんなことが…………吸血鬼殲滅部隊のエリートのあんた達なら助けることが」
「無理だ。諦めろ」
残酷と言われるようだが、変に期待させる必要もない。
山中達にそう言い、和眞達は屋上を後にする。
その後を優と与一も続く。
「なぁ、《開かずの間》ってなんだよ?」
「何処の学校にもある七不思議の様なものだ」
「そんな訳あるかよ。軍が管理してるんだろ?」
「ああ、そうだ。七不思議なんてちょっとした隠れ蓑。実際は違う」
和眞は僅かに間を開け、《開かずの間》の真実を話す。
「あそこは吸血鬼殲滅部隊の隊員を養成するための場所になってる。訓練を受けてない者が入ると鬼に取り憑かれる可能性がある」
「鬼……まさかそれって……」
「言ったでしょ。もう訓練は始まってるって。……そろそろ次のステップに進んでもいいでしょう。付いて来て下さい」
優と与一の二人を連れ、地下にある《開かずの間》へと向かう。
「ここは?」
与一が地下へと続く階段を降りながら尋ねる。
「かつて台風とかで川の増水を防ぐために渋谷の地下に作られた巨大な水路だ。今は、吸血鬼殲滅部隊の訓練場になってる」
「ま、この学校自体が殲滅部隊の訓練場になってます。地下で鬼を飼い、鬼の邪気に当てられても大丈夫な人間を部隊に引き入れる。つまり、この学校自体壮大な人体実験場なのです」
「そ、そんなことが………」
与一が驚いたように言う。
和眞はそんな与一に向かって、笑みを浮かべ言う。
「こんな狂った時代に、平和な学校があるとでも思ったか?」
そう言うと与一は身震いし、優は緊張したような表情になる。
そして、和眞達は《開かずの間》の扉の前に着いた。