Fate/make.of.install   作:ドラギオン

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円卓王

 衛宮士郎達を先に行かせた彼らは、強敵である黒騎士相手に激しい火花を散らしていた。

 

 執拗にマスター目がけて宝具を解放する黒騎士に数の暴力でどうにか凌ぐ。正確には、採算度外視の宝具の乱打によってどうにか食い止める事が出来ているだけなのだ。

 

 現在もランサーの必中の槍の持つ因果逆転すら盾でしのぎ、背後から迫る小次郎と魔力放出を行いながら弾丸となって迫るアルトリウスを盾をコンバートした赤雷を纏う剣と聖剣で受け止められる。

 赤雷を纏う剣は、それを受け止めたアルトリウスに追加ダメージを与える。そして、小次郎の首狙いの鋭い斬撃

すら回避し回し蹴りが小次郎の腹部に突き刺さる。吐血しながら蹴り飛ばされる小次郎。赤雷で身体を焼かれたセイバーが弾かれる。

 

「約束された勝利の剣(エクスカリバー)!!」

 

 しかし、その隙にアルトリアが凛と綾香の前に立ちながら、聖剣の真名開放を行う。至近距離での約束された勝利の剣から放たれた光。3人相手に気を取られた黒騎士目がけて完璧なタイミングで襲い掛かる。

 

 一撃必殺の対城宝具を前に黒騎士は、冷静な対処を行う。彼は、赤雷を纏う剣を消した後、黒く染まった聖剣の鞘を展開する。終始無言の中で、宝具を解放する黒騎士。遥か遠き理想郷と同じ宝具は、無数のパーツに分裂することで聖剣の光を封じようとする。自身を妖精郷に隔離することで絶対の防御となる宝具。

 その力の前に、アルトリアの約束された勝利の剣の光の奔流は遮られる。その防御力は、最大開放した英雄王の天地乖離す開闢の星すら完全に防ぐ。威力の面で劣る聖剣では、突破は不可能。

 

「やはり、アヴァロンは突破できないのです、か」

 

 自分で放った一撃が遮られる光景を見てアルトリアは、悔しげに表情をゆがめる。 

 4人という数の優位を利用して、徹底的に攻撃を繰り広げるが十字の盾と聖剣の鞘の防御によって、傷一つ負わせることが出来ない。それどころか英霊としても異常な膂力と剣技の前に、ただ戦うだけで傷が増えていく。

 

 ゆえに一人の最大火力を発揮する時間稼ぎを行ったのだが、それすら意味を成しはしなかった。

 

「ちょっと待って」

 

  打つ手はないかと思われた時、黒騎士相手を観察していた綾香が声を出す。黒騎士との戦闘が始まった後、何度も魔術で攻撃した綾香と凛だが奴の持つ対魔力を突破できなかったため、バックアップに徹していた。相手の防御の突破方法を魔眼で探っていたとき、綾香は見たのだ。

 

「約束された勝利の剣(エクスカリバー)の光が僅かに、鞘の守りを突破して鎧に傷をつけてる。すぐに回復されたけど、ハッキリ見えた」

 

 それは、英霊達でもとらえられない刹那の瞬間。光の奔流の中を幾重にもフィルターを用いて視る事の出来る綾香だからこそ見つけた突破口。その言葉を聞いてアルトリウスとアルトリアは、聖剣の鞘の弱点を知る。

 

 聖剣と鞘は、一対の宝具。故にその繋がりが、聖剣の鞘の防御壁を突破する抜け穴となる。しかし、ダメージが与えられるとはいえ、アルトリアの聖剣では、ダメージが薄い。鎧に傷をつけるだけでは、倒すことは不可能。ただでさえ、無尽蔵な魔力と膂力と宝具を持つ怪物。

 セレアルトが呼ぶアーサーという真名から察すれば、彼は二人の騎士王ではない別の可能性。いうなれば円卓王アーサーが黒騎士の正体だろう。こうしている瞬間にも、聖剣と湖の騎士の聖剣を手に取る二刀流の黒騎士。次々にアーサー王伝説の宝具を操る彼は、円卓の崩壊を防いだ王。または、円卓が崩壊した後も君臨し続けた王。

 未知の可能性でありながら、アルトリアとアルトリウスの両者が辿り付けなかった存在。

 

「そんな、どうすれば」  

「来るぞ!」

 

 アーサー王伝説に登場する湖の騎士、サー・ランスロットの所持する武器。無毀なる湖光(アロンダイト)を左腕に持つことで怪物じみたステータスをさらに上昇。さらにアーサー王の死の要因となった彼の息子、モードレッドの持つ我が麗しき父への叛逆(クラレント・ブラッドアーサー)を左手に装備することで二人のアーサー王すら凌駕する。

 単純な接近戦だけで、接近戦を得意とする4騎の英霊を切り払う。一撃一撃が重く、アーサー達でなければ受ける事もかなわず、小次郎とアルトリウスが得物で軌道を逸らして懐に入り込むが瞬時に、ハープのような敬三の弓に持ち替え、跳躍。上空から数えきれない数の弓を弾く。

 真上からの矢の雨に対して、アルトリアが風王鉄槌を。ランサーは矢避けの加護を信じ小次郎を押しのけ、目に見える矢の雨を槍で弾いていく。しかし、宝具の雨の前に長く持ついはずがなく矢の雨の範囲から逃れる時間を稼ぐので精いっぱい。どうにか回避した所で、黒騎士王は、アーサー王伝説に登場する忠義の騎士、ガウェインの武器である転輪する勝利の剣(エクスカリバー・ガラティーン)を手に持ちながら、その能力を発揮する。

 エクスカリバーの姉妹剣であり、太陽の熱を放射する宝具であり、周囲にいる4人目がけて炎が襲い掛かる。

 

「ぐぁああ」

「くう」

「がは」

「ハァ!」

 

 矢の雨の直後、突然の熱の放射攻撃にアルトリア、ランサー、小次郎は吹き飛ばされ火傷を負う。だが、アルトリウスのみ、ガラティーンの炎を飛び越えて黒騎士に切りこむ。黒騎士は、ガラティーンを飛び越えて切り込むアルトリウスに応戦。

 アルトリウスも徐々に黒騎士の動きに対応し始め、剣戟を何度も響かせる。約束された勝利の剣と黒い約束された勝利の剣が火花を散らす。だがステータスで劣るアルトリウスが次第に劣勢になる。ルーラーの令呪によるブ―ストすら相手との差を埋める事は叶わない。

 

「セイバー(アルトリウス)! 灰は灰に塵は塵に!」

 

 セイバー(アルトリウス)の危機に、綾香が炎の魔術で援護を行う。炎は黒騎士の対魔力に阻まれるため、効果がないが炎で視界が隠れたことでその隙をついて凛が宝石剣を起動する。

 

「これで! Es last frei、Werkzung(解放、斬撃)!」

 

 綾香のサポートに合わせる形で宝石剣の光の斬撃が放たれ、焔で遮られた視界からの奇襲が成功する。セイバー(アルトリウス)の相手を至近距離でしながら不意打ちを受ける黒騎士。聖剣の鞘を解放することもかなわず、直撃を受ける。

 黒騎士が光の奔流にのみこまれた瞬間に後ろに下がったアルトリウスは、黒騎士の姿を観察する。凛の一撃でダメージを負っていれば畳み掛けるが、そうでなければ危険すぎる。

 

「凛、しっかり」

 

 そして、攻撃を終えた凛が宝石剣を取り落として膝をつく。明らかに限界を超えた反動が来ている様子で、傷を負いながらもセイバー(アルトリア)が彼女の傍で支える。小次郎とランサーも傷が深いながら、どうにか立ちあがって追撃の構えを取る。

 マスターである綾香が瞬時に治癒を施していくが、完治には程遠い。

 

「セイバー(アルトリウス)、もう一度エクスカリバーを使って。ランサーさんもお願いします。それらを令呪で強化して倒す。小次郎さんは、凛さん達の護衛に」 

 

 この中で一番火力のあるアルトリウスと対軍宝具を持つランサーの宝具の真名開放で決めると宣言。接近戦主体の小次郎は、動けない凛達の護衛にと指示を出し、綾香は魔術を構築していく。その魔術は、周囲に漂うマナを吸収し放つたぐいの封印指定の魔術。そのまま放出するのではなく、セイバーとランサーの宝具を補助する名目で展開した魔法陣が二人に魔力を与える。

 既に綾香の体は、9割が妖精化しており、出力が上がるものの自意識が世界に溶け込むように薄れていく。抑止力であるガイアがセレアルトの持つ聖杯の力で汚染された今、完全な妖精化は綾香の意思に反して世界の敵に回ることを意味する。

 

(もう長く持たない。さっきから頭に変な情報が)

 

 魔術を起動し七色の魔眼で細やかな調整をしていく。もうこの一撃で決めたいというのが綾香の願いだった。これ以上の戦闘はジリ貧で、相手の強さから瞬時に決着がつくだろう。

 しかし、爆発の煙の中から突然あふれ出した黒い閃光の斬撃。煙の中で極限まで収縮した約束された勝利の剣が放たれていたのだ。完全に不意を突かれたため、閃光が切り裂こうと迫るなか狙われた綾香が動けない。

 

「キャ!」

 

 閃光を防ぐことも回避も間に合わない綾香。先ほど使った内包魔術による吸収すら間に合わない絶体絶命。その時、セイバー(アルトリウス)がなりふり構わず駆けながら、綾香の体を突き飛ばした。

 

 どんという衝撃と共に、綾香は床に倒れ伏し、間横を通り抜けた光の斬撃を見て恐怖する。不意打ちの約束された勝利の剣が収まると綾香の視線の先に突き飛ばした右腕が切断され片腕を失ったセイバー(アルトリウス)が居た。

 綾香が一瞬だけ思考を止め、やがて自体を理解してセイバー(アルトリウス)に駆け寄る。

 

「セイバー(アルトリウス)!!!」

 

 綾香の悲痛な叫びと共に、アルトリウスは、地面に倒れた。 

 

 

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