Fate/make.of.install   作:ドラギオン

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電光

 

 セレアルトに頼まれたプリンを5個ほど購入。後は、今晩使用する予定の道具や礼装などを大量に買い込むブレイカー。この購買というのが便利で、ある程度の品ぞろえがされており、必要なものはある程度揃った。

 

 そしていい事に、ブレイカーの胸ポケットが再び光輝き、中には、大きめの手紙が入っていた。その中身を見てブレイカーはにやりと笑う。それは、普段の手紙ではなく、明らかに何らかの設計図だった。

 

 宛名が、ロードエルメロイ教室とアルカとケイネスとなっており、何枚もあったが、全て精巧な設計図であった。

 ブレイカーだけが使える唯一の反則技。それは手紙を外部に送る事が出来るというものだ。彼は、この聖杯戦争に勝つために昨夜のうちに、手紙を送っていたのだ。

 この世界には存在しない、魔術師たちの巣窟であり、重要機関、時計塔の最高峰の頭脳に。

 アルカに届いたらしいそれは、すぐにロードエルメロイと二世に伝わり、開発してくれたのだろう。恐ろしい事にアルカも手を貸している。

 

 知識がないゆえに外部委託する。反則もいい所だが、他のウィザードたちもやれることはやっている。なら文句は言わせない。そんなことを考えつつ、マイルームに入ったのだ。

 

「ん、んん」

 

 セレアルトは、完全に眠りに落ちていた。聖杯戦争という殺し合いの場で、眠れるのはいい事だ。そう考えたブレイカーが気を利かせて冷蔵庫にプリンを放り込んだ後、静かにマイルームを後にした。

 

「なんとなくここにたどり着いたが、まぁいてもアイツくらいだろうな」

 

 ブレイカーは、当然のように図書室の扉を開ける。

 

「なんだ、また来たのか。勤勉な奴め」

「今日はちょっと違うかな。この机借りるぞ」

 

 ブレイカーは机を幾つも合体させ、購買から買ってきたものと、自分が所持していたある二つのアイテムを取り出し、更に胸ポケットから取り出した設計図を開いた。

 図書室で本を読んでいた少年のサーヴァントは、突然始まったブレイカーの作業を訝しげな眼で見るが、止める気はない様子。

 

「ちょっと眩しいぞ」

 

 ブレイカーは自分の取り出したナイフと、もう一つ赤い偉く未来的な剣の柄のようなものを道具作成スキルで弄り始める。眩い光が、図書室を照らし始めた。

 

―――――

 

「おや、何故図書室から、光が漏れているのでしょうか」 

「ますたぁ。てき、かも、しれない。あぶない」

「いえ、校舎内では戦闘行為は禁止されています。いざとなればあなたが守ってくれるのでしょう? 行きましょうアステリオス」

「うん。ぼく、ますたぁ、まもるよ」  

「頼りにしています」

 

 褐色肌の少女と酷く窮屈そうにしゃがんでいる3mはあろうかという巨大な男性が図書室の光に誘われて、中に入ってきた。

 

―――――

 

 誰かが図書室に入ってきた。一人はメガネの褐色の少女。そしてもう一人は、巨大な角を生やしたヘラクレスすら超える大男だった。大男は校舎が狭いのか這うように移動しており、少女はそのサーヴァントのマスターなのだろう。

 彼女は、侵入者にもかかわらず作業を続けるブレイカーを興味深そうに見ていた。

 

「失礼。まさかサーヴァント二人が夜の図書室で作業をしているとは思わず」

「マスターとサーヴァントか。図書室を利用したかったのか? 眩しくて悪いが、勝手に使ってくれていいよ」

「俺は此奴の同伴じゃないぞ。そいつが勝手に始めただけだ」

 

 少女は、サーヴァント二人が何をしているのか興味津々と言った表情で、こちらを窺っている。

 

「どうした?」

「警戒しないでください。興味深い設計図がありましたので。勝手に見てしまい申し訳ありません」

「構わない。好きに見ていけばいいさ。確かに珍しいじゃないかな、時計塔の新作だからな」

「時計塔? 今は無きあの時計塔ですか?」 

「あぁ」

 

 見ていいと言われたので少女は、それを注意深く眺めている。そして、ブレイカーの作業が進んでいくと、手を挙げる。

 

「この数式なのですが。旧世代の魔術的方式が採用されていますが、今のウィザードに合わせるとなると企画が大きく変わってしまいます。ですので、今風にアレンジするなら、こうした方が効率的です」

 

 少女は瞬く間に計算を終え、それを設計図の上に転写する。それを見たブレイカーが頭を掻きながら、手伝ってくれるのかと尋ねる。

 

「私としましても、このようなアーキタイプの魔術に触れられる機会を得られて光栄です。どうか最後まで観察させていただけるのでしたら、協力は惜しみません」

「学術的興味って奴か。そこのサーヴァントの坊主。お前はマスターが別のサーヴァントに手を貸してもいいのか?」

 

 本来的のマスターのはずだ。そんな彼女が手を貸すという事に納得しているのかと尋ねれば、巨大なサーヴァントは少年のような声で答えた。

 

「ますたぁが、そうして、いって、いう、なら、いい。おじさん、わるい、ちがう、おもう」

「そうか。なら、手伝ってくれ。正直一人では限界があったからな」

「はい。一応、自己紹介を私は、ラニⅷと申します。この子は、アステリオス」

「真名、名乗っていいのかよ?」

「問題ありません。それに、この子が、他の名前を嫌がるので」

 

 そういうものかと思いながらも、ブレイカーはラニに直すか所がないか設計図を見せる。いくつか指摘された箇所を重点的に修復していく。

 

「このナイフは、素材は平凡ですが秘められた神秘が凄まじいですね。そしてこの赤いのは何なのでしょうか」

「どこぞの軍神とか名乗ってた赤いロボットからはぎ取ったんだよ。その部分だけ壊れてなかったから、何かに使えないかと思ってたんだが、良い用途が見つかったよ」

「どちらも宝具かそれに起因する何かですね。こんなものを改造してもよいのですか?」

「必要とあれば。例え伝説の名剣であっても、必要とあれば鋳造して農耕具にでもするよ俺は」

 

 宝具とは己の伝承であり、自分の体の一部ともいえるはず。それを簡単に手放すというサーヴァントにラニは少しだけ憐憫を向ける。夜が更に深くなったころ、ようやくブレイカーの作っていたものが完成する。ラニは延々とブレイカーの作業をサポートし、アステリオスと呼ばれたサーヴァントは、図書館で絵本を読んでいた少年のサーヴァントと会話し、罵倒されながらも本をチョイスしてもらっていた。

 

「ある程度というか、中々の仕上がりになったんじゃないか」

「どちらも素晴らしい完成度です。計算に狂いもありません」

「とりあえずお疲れさん。まだ時間あるのか?」

「はい? えぇ。まだ問題ありません」

 

 ブレイカーはそれを聞くと、少し待っていてくれと図書室を飛び出してどこかへ向かう。あまりに急な行動にラニたちは待つしかなく、10数分ほど経った後、ブレイカーが戻ってくる。

 

 彼が図書室に戻ってくると、図書室に香ばしいにおいが漂う。思わず食欲を刺激するような香りの正体は、ブレイカーがカートに乗せて持ってきたお好み焼きである。

 

「さすがに礼だけってのも味気ないからな。夜食だ。こっちはラニの嬢ちゃんで、おい坊主、お前はこのくそデカい奴だ」

 

 ラニには一人前を渡し、アステリオスには、通常のお好み焼き10枚はあろうかという大型のお好み焼きと馬鹿でかいヘラを渡す。それを受け取った両名は、顔を丸くしたが、どちらも差し出されたそれを口に入れる。

 

「美味しいです」

「そーす、とっても、おいしい、おじさん、ありがとう」

「お前のマスターを借りたんだから、それくらいは当然だ。あと、お前の分もあるぞ」

 

 そういいながら図書室にいる青髪の少年にも皿を渡すブレイカー。まさか自分にも持ってくるとは思わず、面を食らっている様子だった。差し出されたものを押しのける訳にもいかず、しぶしぶ本を閉じて口にする。

 

「なんだこの、ソースだけで塗りつぶしたような、雑な料理は。だが、不思議と食欲を誘うな。この鰹節と青のりの風味もたまらん。極東の島国には、なんでもソースで塗りたく言ったような文化があるというが、これはその極地だな。塗ればうまいなら、当然塗るな」

 

 口にはあったらしい。彼の口の悪さを知っているブレイカーは、とりあえず気に入った事だけ理解して自分も口に運ぶ。ブレイカーは家事は人並みだが、綾香が大好物のお好みだけは作る機会が多く、誇れる腕前をしていた。

 空気をどれだけ生地に入れるかと、キャベツの切り方がポイントらしい。

 

 4人でお好み焼きを平らげた後は、ブレイカーが皿を回収して食堂に返しに行くと言ったので解散となった。

 

 




現在判明している。月の聖杯戦争参加者

マスター  ☆ サーヴァント
セレアルト ☆ ブレイカー(アンゴルモア)
遠坂凜   ☆ クーフーリン・オルタ
間桐シンジ ☆ アキレウス
ラニ    ☆ アステリオス
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