Fate/make.of.install   作:ドラギオン

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終末内包術式礼装・Harmagedōn

 

「この香ばしいソースの匂いは何?」

 

 作業を終え、後片付けをしながら食堂のNPCに頭を下げて帰宅したブレイカー。その後はセレアルトが目覚めるまで、自分用のタクシーの座席で眠る。

 

 目的は果たしたため本日の成果としては上々だった。

 

「昨日小腹が空いて夜食をな」

「いいなぁ」

 

 そういいながら、4つ目のプリンをスプーンですくい、口に放り込むセレアルト。冗談だと思っていたが、本当に周防い勢いでプリンを食べる様子に、冷蔵庫いっぱいでも食べきるつもりだったのが窺い知れる。

 

「あぁ幸せ。プリンって罪深い食べ物ね」

「喜んでるならいいけどよ。電脳体といっても食事は体や精神に良いのは間違いない。今後は食堂にも足を運ぶか」

「うん」

 

そこまで話して、ブレイカーは、懐からアイテムボックスの役割をするキューブを取り出す。それを見たセレアルトは首を傾げるが、ブレイカーが指を弾くとそれが起動。

 

「お。おお、ええ、何、これ?」

 

 起動したキューブからは、軍用のケープと同じく軍服ような衣服が現れ、セレアルトに装着される。ケープは黒で軍服は薄い赤のような色だった。

 

「サイズはどうだ? 流石に調整が必要か?」

「胸が若干きつい? 後は、少し全体的に長いような。あ、自動で調整されるんだ」

  

 セレアルトがそういうと、衣服が彼女にフィットするように動いた。突然仮装させられた彼女は、なんとなくマイルームに置かれた鏡で姿を確認する。少し見た後、気に入らないところがあったのか、何か所かにリボンのテクスチャを張り付け、満足げに姿見の前でポーズを取っていた。

 実は、参考にしていたのは、マスターであるアルカのサイズだったのだが、顔は同じでも差異はあるらしい。

 

「これは何?」

「お前専用の礼装だ。終末内包術式礼装・Harmagedōn。俺の宝具を加工して、作った」

「え、カッコいい。でも、私、礼装は一回使っただけで」

「使ってみろ。起動するワードは、apocalypse_(13)」

 

 ブレイカーにそう言われ、彼女は礼装に魔力を流して起動する。両手の周りに魔法陣が浮かび上がり、そこから、白と黒魔力が螺旋のように絡まった針が発射される。

 

 その速度は銃弾のような速度で飛び、教室の壁を貫いた。

 

「壊れない。なんで?」

「俺の宝具を加工したと言っただろ? 俺の能力は文字通り破壊だ。その俺が愛用している宝具が、ベアラーの魔力による不具合で壊れると思うか? 要は強度の問題だ」

「それに、これ、魔力全然使わないね。けど、威力は、高くない?」

「次は精度だ。これを撃ってみろ」

 

 

 ブレイカーが空き缶を放り投げる。

 もう一度起動するセレアルト。今度は人差し指から狙いをつけて発射される。その狙い通り、空き缶を貫いた。貫かれた空き缶は、壁に串刺しにされる。

 それを確認したブレイカーが3つ同時に投げる。

 

(一呼吸で3発)

 

 セレアルトの射撃の腕は、大したもので、瞬く間に3つの空き缶が壁に突き刺さる。しかし、そこで彼女はある事に気が付いた。

 

「ダメージ1? え、なにこの石を投げた方がダメージ出そうな礼装」

 

 空き缶を見ると、僅かに一ダメージしかなかった。これでは百発撃っても僅かなダメージにしかならない。だが、彼女の予想に反して、白と黒の魔力で編まれた針が刺さった物質が次々と破裂し始める。そして、刺さっている壁にひびが入り、少しづつ広がっていく。

 その光景に驚いていると、ブレイカーがネタ晴らしをしてくる。

 

「その礼装は、お前の魔力だけじゃなくて、俺の持つ【破壊】の権能を持った魔力が込められている。それ以外は、高速で射出されるシャボン玉みたいなもろい代物だ。実際針の耐久も、大したことない。だが、俺の魔力を込める事で圧倒的な貫通力と、内側から破壊をもたらす毒針になってる。射出速度は、かなり苦労したが、なかなかのものだろ?」

 

 もちろん針はもろい。だがほとんどのものに刺さるし貫通する。更に当たれば、内側から破壊の魔力による破壊が齎されるという。魔力の少ないセレアルト用の武器と言える。当たりさえすれば、サーヴァント相手にもダメージが与えられる。

 聖杯戦争に勝ち残るには、ブレイカー一人が強ければいいという訳ではない。マスター自身の能力も必須なのだ。才がないゆえに、頭を使った。道具に頼る。それが自分の担い手を守る方法だから。

 

 宝具を礼装に仕立て上げるという発想は、普通しない。何故なら、性能が極端に低下するからだ。英霊が扱うただ一つの伝説を、万人が扱える道具に変えるという愚行。しかし、元々ブレイカーは、『恐怖の大王(アンゴルモア)』を戦闘で用いる事が少ない。

 なら、問題はない。

 

「後は、簡単な防壁だ」

 

 ブレイカーが勢いよく空き缶を投げると、ケープが反応し、白と黒の防壁を展開。それを弾いて見せる。仕組みとしては、月霊礼装の自動防御と同じ術式である。

 

「すっごい。すっごいよこれ。チートじゃない?」

「防壁は気休めだ。魔力運用次第では、サーヴァントの攻撃も一度くらいなら防げる」

 

 本当に一度が限界だろう。だがその一度が命運を分けるのだ。

 

「だけど、絶対お前が前に出ようなんて考えるな。チェスで言うなら、お前はキングだ。間違っても他の駒を守ろうと前に出てはいけない。わかったか?」

「わかったわ」

 

 そうは言っても、今回は事情が変わる。

 

「それを踏まえたうえでだが、今回、ベアラーには役割が出来た」

「や、役割?」

「そう。アキレウスの踵を破壊するっていう、大事な役割がな」

 

 にやりと笑ったブレイカーの表情と対するように、セレアルトの表情は暗いものだった。

 

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